咲-Saki- 阿知賀編入   作:おこそとのほもよろを

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二百十五本場:六大学対抗戦-5  罠?

 K大学vsT大学の次中堅戦は、東三局、咲の親。

 咲の配牌は、

 {四七⑥⑥⑧⑧34445西北中}

 ここから打{北}。

 

 その後、咲は二巡目でツモ{⑥}、打{西}。

 

 三巡目、ツモ{4}、打{中}。

 

 四巡目、ツモ{⑥}、打{七}。

 

 同巡、下家の静香が切った{⑧}を、

「ポン!」

 咲が鳴いた。

 ここから打{⑥}なら{四}単騎でタンヤオのみ、40符1翻の2000点の聴牌だが、敢えて{四}切りで聴牌にとらず。

 

 次巡、咲は{⑧}をツモ。

 すると、

「カン!」

 これを加槓した。

 嶺上牌は{3}。

「もいっこ、カン!」

 ここで、咲は{⑥}を暗槓した。

 続いて引いてきた嶺上牌は{3}。

 

 これで咲の手牌は、

 {3344445}  暗槓{裏⑥⑥裏}  明槓{⑧⑧⑧横⑧}  ツモ{3}

 タンヤオ嶺上開花で和了っていた。タンヤオ嶺上開花、60符2翻弄の1000、2000での和了りだ。

 

 しかし、咲は和了りを放棄し、

「もいっこ、カン!」

 {4}を暗槓すると、次の嶺上牌で、

「ツモ!」

 赤牌………{[5]}を引いて和了りを決めた。

 

 開かれた手牌は、

 {3335}  暗槓{裏44裏}  暗槓{裏⑥⑥裏}  明槓{⑧⑧⑧横⑧}  ツモ{[5]}

「タンヤオ対々三暗刻三槓子嶺上開花赤1。8000オール!」

 2000点の手が、4000点を経由して24000点に化けた。

 まさに、咲は三年前の長野県大会団体決勝大将戦で見せた手と同様の和了りを決めたと言って良い。

 

 現在の四人の点数と順位は、

 1位:照 154000

 2位:咲 121300

 3位:静香 65500

 4位:やえ 59200

 チームトータルで、既にK大学はT大学にダブルスコア以上の差を付けていた。

 

 東三局一本場。咲の連荘。

 ここで静香の配牌は、

 {一五①①②④6白白發發發中}

 ようやく、一発カマす手が来たようだ。

 目指すは大三元。

 しかも、それを門前で作り上げたい。

 

 本大会のルールでは、今までの大会と違って四暗刻単騎がダブル役満として扱われる。

 だからこそ門前で手を進め、{①}を暗刻にして大三元四暗刻単騎のトリプル役満まで持って行けるのがベスト。

 咲や照からの振込みは期待できないが、トリプル役満ツモならK大学チームから一気に72200点を取り戻すことができる。

 

 静香の第一ツモは{中}。まさに豪運だ。ここから打{6}。

 この後、静香は{1九北白9中}とツモり、七巡目で一先ず聴牌した。

 

 静香の手牌は、

 {①①②④白白白發發發中中中}

 大三元嵌{③}待ち。

 

 しかし、七巡目に照が捨てたのは{②}。

 これを、

「ポン!」

 咲が鳴いた。そして、打{①}。

 静香は、

「(ワタシの{①}………。)」

 と心の中で呟いた。{①}ツモ、打{②}で一旦{④}単騎に受けるのが一番理想的な打ち方と考えていたからだ。

 その後、単騎待ちとして理想的な牌へと切り替えて行けるのがベストシナリオ。

 

 同巡、静香は{東}をツモ切り。

 そして、照は手出しで{④}を切った。

 すると、

「ポン!」

 またもや咲が鳴いた。そして、打{①}。

 これで静香は、{①}を暗刻にして{②}または{④}での単騎待ちに移行することが完全にできなくなった。

 

 その二巡後、静香は{③}を引き、

「ツモ。大三元。8100、16100。」

 役満を和了ったが、トリプル役満どころかダブル役満にもできず。シングル役満での和了りに留まった。

 

 これで、現在の四人の点数と順位は、

 1位:照 145900

 2位:咲 105200

 3位:静香 97800

 4位:やえ 51100

 静香が原点近くまで復帰したが、依然としてチームトータルでは100000点以上の差を付けられた状態だ。

 静香としては、まだまだ大きな和了りが欲しいところだ。

 

 

 そして、迎えた東四局。

 当然、この親番に静香は賭ける。

 しかし、こう言った時に限って豪運の超魔物………咲が、

「リーチ!」

 ダブルリーチをかけてきた。

 さすがに、やえも静香も目が点になる。

 

 役満を和了って静香にツキが回るかと思ったが、逆であった。前局で静香は運を一気に放出し過ぎたようだ。

 この局では、静香は運気がカスカスになった感じであった。

 

 ダブルリーチが相手では、待ちを読むのは、まったくもって不可能である。

 静香もやえも、自らの手を進めるため、普通にヤオチュウ牌の整理から始めた。

 

 四巡目。

「カン!」

 咲は{西}を暗槓すると、

「ツモ!」

 嶺上開花で和了った。

 役はダブルリーチツモ嶺上開花のみで、他にはドラも無かったが、これで満貫である。

「2000、4000。」

 親の静香にとっては、なんとも不条理な和了られ方であろう。

「くっ………。」

 いつも冷静な静香から、思わず声が漏れた。

 

 

 南入した。ドラは{東}。

 南一局、やえの親。

 やえは再び気を取り直して王者の打ち筋を見せる。

 

 この局、やえの配牌は、

 {一四八九③⑧379南西北發中}

 最悪の六向聴だった。ここから打{西}。

 

 しかし、やえは、二巡目でツモ{⑨}、打{北}。

 

 三巡目でツモ{8}、打{南}。

 

 四巡目、ツモ{一}、打{四}。

 

 五巡目、ツモ{1}、打{發}。

 

 六巡目、ツモ{七}、打{③}。

 

 七巡目に{⑦}をツモ。一切のムダツモ無しで聴牌。

 そのまま勢いに任せ、

「リーチ!」

 やえは、打{横中}でリーチをかけた。

 

 照も咲も安牌で一先ず振り込みを回避。

 そして、次巡、

「ツモ!」

 一発で、やえは{2}をツモって和了りを決めた。

 

 開かれた手牌は、

 {一一七八九⑦⑧⑨13789}  ツモ{2}  ドラ{東}  裏ドラ{1}

 

「リーチ一発ツモジュンチャン三色ドラ1。8000オール!」

 親倍ツモ。

 ここで大きな一撃を放つことに成功した。

 

 

 しかし、南一局一本場は、

「ポン!」

 咲が照に{白}を鳴かせ、

「ロン。」

 しかも、聴牌即で咲が照に差し込んだ。これは、東一局一本場とまったく同じパターンである。

「白のみ。1000点の一本場は1300。」

 これで照は第一弾の和了りを決めた。

 

 

 南二局、照の親。

 第一弾の和了りを決めると、照の手は早くなる。

 ここでは、僅か三巡で門前タンヤオを聴牌し、

「ロン。2000。」

 照は静香から安手だが直取りした。

 

 南二局一本場。

「ツモ。1300オールの一本場は1400オール。」

 照は、

 {一二三四五六③④[⑤]⑥⑦88}  ツモ{②}

 {四}又は{七}ツモの一切りを視野に入れていたが、手変わり前に和了り牌をツモって和了りを決めた。

 このまま出和了りだと打点上昇に抵触するが、ツモ和了りなら問題ない。

 

 南二局二本場。ドラは{7}。

 この局では、

「ポン!」

 早々に咲が照に{東}を鳴かせた。

 その二巡後に照は聴牌。

 手牌は、

 {二三四五六⑤[⑤]789}  ポン{東東横東}

 相変わらず手が早い。

 

 そして、同巡、

「ロン。5800の二本場は6400。」

 照は、やえから30符3翻の手を直取りした。

 

 南二局三本場。

 照は、静香から出てきた和了り牌を見逃し、その直後に、

「ツモ。平和ツモドラ2。2600オールの三本場は2900オール。」

 ツモ和了りを決めた。

 前々局と同様に、平和ドラ2からタンピンドラ2への移行を考慮していたところに和了り牌を引いてきた感じだ。

 静香を見逃したのは、直取りでは前局の和了りと点数が同じになるためである。これが照の能力の中で、融通が利かないマイナスポイントと言えよう。

 

 南二局四本場。ドラは{⑦}。

 ここでは、

「カン!」

 珍しく照が{二}を暗槓した。

 嶺上牌を引いて聴牌。しかし、リーチをかけず。

 

 同巡、やえは照の聴牌気配を感じたが、ツモ牌は幸か不幸か二枚切れの{西}だった。

 一般に安牌と言える字牌。なので、これをそのままツモ切りした。

 しかし、

「ロン。」

 これで照に振込んだ。まさかの地獄単騎だ。

 

 開かれた手牌は、

 {⑦⑦⑧⑧⑨⑨234西}  暗槓{裏二二裏}  ロン{西}  ドラ{⑦}  槓ドラ九

 

 門前でチュンチャン牌の暗槓が一つにドラが二つ。50符3翻で9600点の手だ。

「四本場は10800。」

 子の満貫を越える大きな手。

 暫定ラスのやえにとっては、かなり痛い振込みとなった。

 

 南二局五本場。

 ここでの照の和了りは、最低でも110符2翻の10600点。

 五本場が付いて12100点となる。

 しかし、110符なんて和了りは通常無い。こんな手を狙って作れるのは咲くらいだろう。

 となると、通常は11600点が最低点。他家は、五本場の13100点を覚悟しなければならないと言える。

 

 いよいよ、照の右腕を核に竜巻が発生した。

 そして、たった四巡目で、

「ツモ。4500オール。」

 照はタンピンツモドラ2の満貫ツモ和了りを決めた。

 これなら出和了りでも11600点と、打点上昇には抵触しない。恐らく、ツモ和了りは結果論だろう。

 

 南二局六本場。ドラは{二}。

 現在の四人の点数と順位は、

 1位:照 182800

 2位:咲 95100

 3位:静香 75000

 4位:やえ 47100

 照の圧倒的リード。チームトータルも、ダブルスコアを超えている状態だ。

 

 ここで、やえの配牌は、

 {二二二三[五]六六七九⑨3西北}

 逆転手とは言えないが、清一色ドラ4が狙える手だ。

 タンヤオまで付けられれば三倍満に達する。

 

 本大会は、全試合の勝ち星数のみで最終的な順位を決める。僅差の負けでも大敗でも結果は同じことだ。

 それに、得失点差も考慮されない。

 ならば攻撃あるのみ。このジリ貧の状態を打破するには、それしかない。

 

 やえは、ここから幸運にも、いきなり{四二五}とツモった。

 当然、切り出しは{3⑨西}。自風の{北}を最後まで残すのが普通であろう。

 

 三巡目にして、やえの手牌は、

 {二二二二三四五[五]六六七九北}

 清一色ドラ5の三倍満一向聴。

 

 次に{一四五六七八九北}のいずれかが引ければ聴牌となる。

 ただ、{北}が来ても、恐らくツモ切りする。ここで欲しいのは混一色ドラ5の倍満ではなく、飽くまでも三倍満だ。

 

 ところが、四巡目から六巡目まで、やえは全く萬子が引けなかった。

 むしろ今までが良過ぎたのだ。

 ここは、ただツモ切りするのみ。

 

 上家の静香の捨て牌は、

 {⑨1北東西中}

 

 対面の咲の捨て牌は、

 {九①9一西白}

 

 下家………親の照の捨て牌は、

 {三⑧⑤八發東2}

 索子の染め手が疑われる捨て牌だ。

 

 そして、七巡目。

 やえは待望の{七}を引いた。

 当然、{北}切りだ。

 門前清一色ドラ5の三倍満。{九}単騎だが、他の萬子が来れば多面聴へと移行できるし、その場合、タンヤオまで付けられるかもしれない。

 その上でツモ和了りできれば数え役満だ。

 しかし、この{北}で、

「ロン。」

 照に和了られた。

 まるで{北}を出させるための罠のようにすら思える。

 

 ただ、咲と言う人間を良く知る者達は、

『絶対あれ、掴まされたよね!』

 と思っていた。

 これも咲の支配の一つとの考えだ。

 

 開かれた照の手牌は、

 {123456789南南南北}

 

 南混一色一気通関。親ハネだ。

「19800。」

 この直撃で、やえは27300点まで点数を削られることになった。

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