奈良県大会が始まった。
参加校は32校。
昨年の県大会で優勝した阿知賀女子学院は、第一シードだ。32校なのでシード校も一回戦からの出場になるが…。
一回戦は1位のみ勝ち上がる。阿知賀女子学院は、先鋒から中堅まで三連勝し、勝ち星三で余裕の二回戦進出を果たした。
二回戦からは二校勝ち抜けとなる。そのため、1位が決まっても2位が決まらなければ、2位が決まるまで試合は続けられる。
阿知賀女子学院は、二回戦でも星五で余裕の勝利だった。
決勝は晩成高校と当たったが、結局は星五で阿知賀女子学院の完勝だった(優勝校が決まっても2位以下の順位を決めるために大将戦まで行われた)。
また、春季大会で明華が玄のドラ支配破りを全国生中継したが、県大会レベルでそれをやってくる選手はいなかった。
玄にドラを切らせるためには、槓が一つでは不十分である。照のような攻撃力を持っていなければ、逆に玄に三倍満以上の手を和了らせるチャンスを与えてしまう。中途半端な槓が怖くてできないと言ったところだ。
それに、星取り戦になったことで、玄以外が結託しても途中で誰かが裏切る。
何故か?
点数引き継ぎ制なら玄をへこますことだけを目的とするだろう。しかし、星取り戦の場合、1位になって勝ち星をあげることが一番の目的になるからだ。
これは、昨年夏の長野県予選の個人戦で、咲、久、智紀、桃子が対局した際、順子場にして咲を苦しめながらも、最終的に桃子が自らの勝利のために他を裏切ったのと同じだ。
結託されたら、ただ安い場で流されて終わる。
しかし、他家の結託が崩れれば………、ただ場を安く流すだけの麻雀でなくなるのであれば………、玄にも和了るチャンスが訪れる。
当然、ドラ爆が炸裂する。
星取り戦に変わることで玄は救われたかもしれない。
個人戦は、昨年度インターハイ団体戦の成績と、春季大会の団体戦・個人戦両方の成績から、奈良県の全国出場枠が五人に増やされた。
全国出場するのは、結局、
1位:咲
2位:玄
3位:灼
4位:穏乃
5位:憧
阿知賀女子学院の五人が、その椅子を全て占めた。
しかも、1年生のゆいは8位、美由紀は13位、百子は35位と、玄と灼が引退した後も安心できる成績を出してくれた。
団体戦出場チーム32校から8名ずつ出場し、さらに個人戦のみ出場の学校もあり、参加者は全部で300名を越す。それを考えると、一年生三人組は、かなりの好成績と言える。
その翌日、憧は、部室で新聞を見ていた。
各都道府県のインターハイ出場校をチェックしていたのだ。
「団体戦、やっぱりマークすべきは長野の龍門渕かな。それと、和と光ちゃんと大星さんのいる白糸台…。」
すると、穏乃が、
「憧に似た先鋒のいる臨海女子もだけどね。」
と言った。別に悪意は無い。
「まあ、私に似たは余計だけど…。それと、もう一つ気になるのが鹿児島の永水女子だよね。人数の関係で秋季大会には参加できなくて、それで自動的に春季全国にも出てこなかったけど、ここに新たに入った一年二人、結構ヤバイよ!」
憧が、永水女子高校の参加選手の名前を指差した。
そこには、石戸明星と十曽湧の名前があった。六女仙最後の二人だ。
これを見ながら、穏乃が、
「それともう一人…、面倒な人が永水にいるね…。」
と言った。穏乃の雰囲気から、その者は彼女達の知る人間のようだ。
ただ、違うベクトルの反応をする者が一人いた。
「神代さんと石戸明星ちゃんのオモチが楽しみなのです。それと、もう一人、永水にいるこの人のオモチも中々なのです!」
結局、その視点かい!
まあ………、想定の範囲だが。
やっぱり、玄は何時もマイペースで平和だ。
他にも、南北海道の琴似栄高校や、北大阪の千里山女子高校、南大阪の姫松高校、福岡の新道寺女子高校など、多くの名門校が全国出場校に名を連ねていた。
さて、阿知賀女子学院では、夏休みに入る前に期末試験が行われた。
中間試験の時と同様、麻雀部の中では、
「楽勝!」
と余裕ぶっている娘もいれば、
「憧! ここと、ここと、ここと、ここと………、ここを教えて欲しいんだけど。」
って全部かい!
と言いたくなるような娘もいた。
さらに、
「テスト期間中は部活がないから、またもや美由紀ちゃんのオモチが拝めなくなって残念なのです!」
と悲しんでいる娘もいた。
咲は、
「(中間テスト前にも見たよね、これ?)」
なんだかデジャブーを見ている気がしてならなかった。
そして、中間テストの時と同様に、2年生の総合1位は圧倒的点差で憧だった。さすが、晩成高校を滑り止めにしていただけのことはある。
それで阿知賀女子学院に入学すると言うのは何だかな……と思われるが…。
咲は3位、穏乃は真ん中よりもちょっと下だった。これも中間試験と同じだ。
3年生は、灼も玄も、まあまあの成績。
1年生は、麻雀部の生徒が上位を占めた。
結局、中間試験の時と様子は全然変わらなかった。人間、そう簡単に変わらないと言うことなのだろう。
咲には、全てデジャブーのように思えたようだが…。
夏休みに入った。
阿知賀女子学院メンバーはインターハイ出場のため、大会会場のある東京都へと移動することになった。
昨年インターハイと今年の春季大会は、生徒五人+晴絵の計六人だったため、車での移動だった。しかし、今回は総勢40名近い。
それで、バスを借りての移動になった。
宿泊先は…、またもや良いホテルだ。予想はしていたが、昨年のインターハイ、今年の春季大会の時と同じホテルだったとは…。
こんなお金がどこから出てくるのであろうか?
特に千里山女子高校!
咲は、そんなことを思いながら、
「絶対に優勝しなきゃ、後援会の方々に申し訳ない…。全部、ゴッ倒す!」
と密かに勝利に燃えるのであった。
ただ、これも後半部分の台詞が、昨年あったような気もするが…。
大会前日。
この日は、抽選会が行われた。
阿知賀女子学院は、昨年のインターハイで団体戦準優勝を成し遂げており、本大会では第二シードだった。
第一シードは、清澄高校に代わって長野代表の座を勝ち取った龍門渕高校、第三シードは前回インターハイ3位の白糸台高校、第四シードは臨海女子高校となった。
このシード四校は、抽選会に出る必要はない。
咲達は、ホテルの各部屋で、抽選会の様子をテレビで見ていた。
次々とトーナメント表が埋まって行く。
シードでなくても強豪校はある。それらが、どのブロックに入るかも、選手達の興味の対象となる。
龍門渕高校のいるAブロックには姫松高校の名が、
臨海女子高校のいるBブロックには永水女子高校と劒谷高校の名が、
白糸台高校のいるCブロックには新道寺女子高校、射水総合高校、琴似栄高校の名が、
阿知賀女子学院のいるDブロックには千里山女子高校、東白楽高校、そして本藤悠彗が監督を務める粕渕高校の名があった。
当座の敵は二回戦に進出してくると予想される千里山女子高校、東白楽高校、粕渕高校の三校であろう。
そして、準決勝戦で光、和、淡のいる白糸台高校と当たると予想される。むしろ、白糸台高校が準決勝まで進んで来られなくなる筋書きが見えない。
さらに決勝戦では、順当に行けば龍門渕高校、臨海女子高校、永水女子高校の三校から二校が勝ち上がってくるだろう。
特に要注意なのは神代小蒔率いる永水女子高校である。
しかし、咲達とは決勝戦まで進まなければ当たることは無い。準決勝までに当たる超強豪校が白糸台高校だけなのは救いと言える。
翌日、大会会場に隣接した体育館でインターハイの開会式が執り行われた。
昨年優勝校の清澄高校麻雀部には、女子新入部員として室橋裕子(通称:ムロ)が入部していた。団体戦には人数が足りずに出場できなかったが、一応、部として存続していた。
清澄高校を代表して、ムロが優勝旗を返還する。
その彼女の後姿を見詰める咲の身体からは、ドス黒いオーラが湧き上がっていた。暗黒物質と言ったほうが良いかもしれない。
現在、清澄高校は京太郎とムロの二人だけの部になっている。
毎日が二人だけの空間。
観客席には、ムロの姿を見詰める京太郎の姿がある。二人の関係はどこまで進んでいるのだろう?
変なことを想像しながら、
「(京ちゃんのバカ!)」
咲は勝手に嫉妬していた。
開会式の後、一回戦が開始された。これが大会初日となる。
午前中にAブロックの一回戦三試合が、午後にBブロックの一回戦三試合が並行して執り行われてゆく。
先鋒戦から大将戦まで各半荘一回の対局で、二回戦に進出できるのは各試合で一校だけである。いきなり、この日のうちに18校が姿を消す。
長野のある雀荘では、染谷まこが、大会の様子をテレビで見ていた。
彼女は、現在、風越女子高校に通っている。
団体戦では龍門渕高校に負け、個人戦でも惜しくも4位と県代表の座を逃していた。長野県の個人戦代表は昨年と同様に3位までだったのだ。
昨年のインターハイでは清澄高校が団体優勝し、個人でも咲が優勝したが、その優勝校麻雀部が実質解体、咲も転校したため、長野県個人代表枠の増員は、残念ながら成されなかった。
実質、まこは部活を引退しており、今日は家の雀荘の手伝いをしていた。とは言え、テレビを見る時間くらいは取れる。
「去年、全国の舞台を踏めたのは、咲達のお陰じゃのう。」
彼女がポツリと呟いた。
すると、大方の予想通り、時間軸の『超光速跳躍』が発動した。まこが持つ最大最強の能力だ。
次の瞬間、大会二日目に予定されていたCブロックとDブロックの一回戦まで、あっという間に終了した。
二回戦進出校も、大方の予想通りとなった。
Aブロック二回戦は、龍門渕高校、姫松高校、八枡高校(京都)、和深高校(和歌山)の戦いとなる。大会三日目の試合だ。
二回戦からは、先鋒戦から大将戦まで各前後半戦の計十半荘の対局となる。また、一回戦とは異なり、上位二校が準決勝進出となる。
Bブロック二回戦は、臨海女子高校、永水女子高校、劔谷高校、館山商業高校(千葉)が対戦する。
これも大会三日目の試合になる。Aブロック二回戦と並行して行われる。
Cブロック二回戦は、優勝候補の白糸台高校、新道寺女子高校、射水総合高校(富山)、琴似栄高校(南北海道)が激突する。
絶世美女軍団と名高い白糸台高校が、顔面偏差値だけでなく、どれだけ麻雀のほうでも圧倒的な展開を見せるか、また、そういった中で鶴田姫子がセルフリザベーションでどこまで食い下がれるかが話題となっていた。
特に姫子のセルフリザベーションは、前半戦の彼女の表情に注目が集まる。
大会四日目の試合だ。
Dブロック二回戦は、優勝候補筆頭の阿知賀女子学院、千里山女子高校、東白楽高校、粕渕高校の対戦となる。
こちらも白糸台高校に次いで顔面偏差値が高いと評価される阿知賀女子学院が、チャンピオン宮永咲を中心に、どれだけ圧倒的な試合を見せ付けるかが話題になっていた。
特に阿知賀女子学院の場合は、各選手が見せる個性的な麻雀にも話題性がある。
今回も咲がどれだけ嶺上開花を決めるかとか、玄の和了りにドラが最高で何枚あるかとか、そういった部分に大きな期待が寄せられた。
勿論、コアなファンの間では、咲の虐殺振り(失禁誘発)に大きな注目が集まっていた。
これも大会四日目。Cブロック二回戦と並行して行われる。
大会三日目になった。
当然、まこは、
「長野代表の試合じゃ!」
テレビを見ていた。また、超光速跳躍が発動する。周りから見ればデジャブーのように感じられるだろう。
Aブロック二回戦、龍門渕高校、姫松高校、八枡高校、和深高校の試合。
いつもの如く、龍門渕高校の先鋒は井上純。対する姫松高校の先鋒はエース殺し、爆発娘の上重漫だった。
漫は、部内戦で愛宕絹恵に僅差で負けて2位になり、今大会は絹恵がエースとして中堅戦に出場する。
先鋒戦は、終始、漫が爆発を見せ、圧倒的点差で勝ち星をあげた。
玄は、この試合をテレビで見ながら、
「漫さんのオモチはロケットみたいで魅力的なのです!」
結構喜んでいた。
次鋒戦は、手堅い麻雀で龍門渕高校の沢村智紀がギリギリで勝ち星をあげた。実は、智紀は長野県個人代表だったりもする。
この試合でも玄は、
「沢村さんも、結構なオモチなのです!」
と喜んでいたらしい。
中堅戦では、絹恵と龍門渕高校の国広一の一騎打ちとなった。この対局は、たった300点差で絹恵が辛勝した。
ちなみに玄は、
「愛宕妹さんのオモチは、とても形も良く素晴らしいのです!」
と言いながら、さらに顔が綻んでいた。
副将戦は、龍門渕高校からは部長の龍門渕透華が出場した。
現状、姫松高校の勝ち星が二つ、龍門渕高校の勝ち星が一つだが、大将の天江衣が負けるとは思えない。
万が一、ここで自分が負けても龍門渕高校の勝ち星二つは確定しているも同然。
そういった背景からか、透華は精神的余裕を持って攻めの麻雀を展開した。
これが功を奏し、副将戦は透華が勝ち星をあげた。
よって、この段階で龍門渕高校と姫松高校の勝ち星が二つずつとなり、上位二校が決まったため大将戦は行われなかった。
衣は、対局したくてウズウズしていたが、対局が無くなり不機嫌になった。
「次の準決勝では衣の力を見せ付けてやる!」
そう言いながら激しいオーラを周りに撒き散らしていたが、夕食はファミリーレストランに行くと決まると途端に機嫌が直った。
そして、嬉しそうな表情でエビフライハンバーグ定食を食べたとのことである。
一方、玄は、
「この試合はオモチが無いので面白くありません!」
と言って見向きもしなかったようだ。この試合で不機嫌になったのは、衣だけではなかったと言うことだ。
超光速跳躍のお陰で、試合は800文字程度で終了した。
Bブロック二回戦
「こっちは、優希の試合じゃった。」
まこがチャンネルを切り替えた。
臨海女子高校、永水女子高校、劔谷高校、館山商業高校の試合。
先鋒戦は、東風の神こと臨海女子高校の片岡優希が前半戦の東場で大量リードを作ったが、南場に入ると永水女子高校先鋒の神代小蒔に神が降臨し、染め手をガンガン和了り、前半戦が終了する頃には僅差で小蒔が逆転した。
その後も小蒔の一方的な展開となり、先鋒戦は永水女子高校が勝ち星をあげた。
ちなみに玄は、
「やっぱり神代さんのオモチは、とても立派なのです。しかも、高貴な雰囲気が漂っています!」
とても喜んでいた。
次鋒戦は、序盤に劔谷高校のエース、攻撃型の森垣友香が攻め、ディフェンス主体の永水女子高校、滝見春がそれを巧く流す。そんな対局が展開された。
しかし、途中から臨海女子高校の郝慧宇が中国麻将による和了りを連発し、最終的に郝がトップを取った。よって勝ち星は臨海女子高校のものになった。
2位は春。友香は3位となった。
玄は、
「永水の人と劔谷の人が、オモチがあって嬉しいのです! 臨海女子高校の人も中々なのです!」
と喜んでいたが、やはり高貴なオモチの小蒔のほうに興味があるようだ。
中堅戦は、永水女子高校からは石戸霞の従姉妹の石戸明星が出場した。劔谷高校からは依藤澄子、臨海女子高校からは雀明華が前年に続き中堅で出場した。
この試合は、世界ランカーの明華が圧勝したが、明星は2位に甘んじたものの余裕の笑顔を見せており、何かを隠している雰囲気すら感じさせた。
玄は、
「明星ちゃんの従姉妹の霞さんが最高なのです! でも、明星ちゃんも立派で素晴らしいのです! 臨海の人も中々なのです!」
と、たいそう喜んでいた。特に明星のことは気に入ったようだ。
しかし、咲は、
「(何、あの一年。霞さんは、年上だから仕方がないって思ってたけど、あの胸で年下なんて許せない!)」
魔物スイッチが入った。
副将戦は、臨海女子高校からはネリー・ヴィルサラーゼが、劔谷高校からは昨年大将だった安福莉子が出場した。
そして、永水女子高校からはステルス桃こと東横桃子が出場した。咲同様に親の転勤で転校したらしい。
思わぬ伏兵だ。
しかし、この試合は、運を操作するネリーが勝利を収めた。
桃子もステルスで応戦したが、ネリーに高い手のツモ和了りを連発されてはどうにもならない。結局、桃子は2位になった。
一方、玄は、
「テレビだと、東横さんのオモチがきちんと見れるのです!」
それなりに喜んでいた。
大将戦は、臨海女子高校からは南浦数絵が、永水女子高校からは十曽湧が出場した。
東場で、いきなり湧が高打点の和了りを連発した。
この和了り役を見て晴絵は、
「ローカル役満か!」
湧の特徴に気付いた。どうやら湧の和了り手は必ずローカル役満の形になっているようだ。
本大会では役満としては認められていなくても、ローカル役満は、それ相当に綺麗な手が多く、結果として湧は、ハネ満以上の手を連発することになる。
南入してからは数絵も和了りを連発したが、辛くも湧に勝ち星を取られた。
その結果、臨海女子高校が勝ち星三、永水女子高校が勝ち星二で、この二校が準決勝戦に進出した。
玄は、
「南浦さんは、普通のオモチです。他は…。」
不満だったらしい。
超光速跳躍のお陰で、Bブロック二回戦も1300文字に達することなく半荘全十回が終了した。
おまけ
安福莉子「莉子と!」
水村史織「史織の!」
莉子・史織「「オマケコーナー!!」」
莉子「それにしても、阿知賀編でヤラれ役として登場した私と。」
史織「単なるモブキャラの私が抜擢されるなんてチャレンジングだと思います。」
莉子「原作の主人公がモブと大差ないので違和感は無いと信じてますけど…。」
史織「私もそう思ってます。」
咲「(こいつら…。)」
咲から暗黒物質が沸き始める。
莉子「今回は、インターハイでのホテル部屋割りに付いてのお話です。」
史織「あんな良いホテルに部員全員が宿泊できるなんてリッチですね。私達なんて会場まで埼玉から毎日通いでしたよ!」
莉子「越谷なら十分可能でしょ!」
史織「でも、私、鷲宮からだから、家から片道1時間半以上かかってたので…。」←勝手に鷲宮在住設定にしました。
莉子「劔谷はお嬢様校だから、阿知賀よりもイイホテルだったし、新幹線はグリーン車でした。千里山には負けるかもしれませんけど…。」
史織「羨ましい! あんなホテルに私もタダで泊まってみたい!」
莉子・史織「「それでは、どんな話になるか。なんとなく予想は付きますが…。宿泊編、スタート!」」
…
…
…
今年、阿知賀女子学院麻雀部は新入生が多数入部した。そのため、インターハイ開催地の東京に部員全員が移動するにあたり、バスを手配した。
それでも途中の休憩時に咲が迷子でいなくならないか心配ではあったが…。
とは言え、電車で乗り継ぐよりもリスクが少ないのは間違い無い。
一年生達は、咲の方向音痴ぶりには驚かされた。
一年生達「「「「(やっぱり、強大な何かを得るためには、別の何かを犠牲にしなくてはならないってことなのね…。)」」」」
方向音痴にカナヅチ。
カナヅチはともかく、あの方向音痴は生活して行く上で大きなリスクを負うことになるのではないだろうか?
得るものと失うものの等価交換だろうか?
やはり、ある意味、神は平等だと新入生達は思うのだった。
ホテルロビーにて、
晴絵「じゃあ、ホテルの割り振りだけど…。」
玄「私は美由紀ちゃん(宇野沢栞の妹)とがイイです!」←オモチ狙い
晴絵「いや、玄は最上級生同士ってことで、灼と同室だよ。灼、玄のこと頼んだよ(玄の暴走を止めてね)。」
灼「それって、無理だと思…。って言うか、私はハルちゃんと…。」
晴絵「私は恭子と同室にするから…。」
灼「(コーチ。ハルちゃんに変なことしたら許さないんだから…。)」
恭子「(なんか睨まれてるんだけど…。)」
灼「(部屋、代わって代わって代わって…。)」
恭子「監督。私は、エースの体調管理のため、咲と同室にしますわ。監督は、部長と同室で良いんじゃないですか?」
晴絵「いや、しかし…。」
灼「(ナイスコーチ!)そうしたほうがイイと思…。」
晴絵「まあ、咲はうちの要だからな。じゃあ、恭子。咲のことを頼む。」
恭子「じゃあ、よろしく頼むわ、咲。」
咲「は…はい…(胸が無い同士で良かったかも…)。」
玄「じゃあ、私は美由紀ちゃんのオモチを…。」
晴絵「セクハラ止めぃ! 美由紀は車井百子(車井百花妹:ややオモチの子設定)と同室、シズはアコと、玄は小走ゆいと同室でお願いする。」
全員「(オモチの子を避難させたってことか!)」
恭子「まあ、ゆいならしっかりしているからね。玄をよろしく頼むよ。」
ゆい「は…はぁ…(私には無理なんじゃないかな…。むしろ、一緒に美由紀達のところに行こうって玄先輩に誘われ…と言うか命令されそう…)。」
美由紀「あのう…。監督。」
晴絵「どうかしたのかい?」
美由紀「玄先輩にヤル気を出させるためなら、同室でも構いませんが…。」
晴絵「いや、ヤル気の方向がR-18になりかねないし、君を人柱にするのもなんだかなと思ってね。」
美由紀「でも、玄先輩のモチベーション維持も大切かと…。」
玄「そうです。オモチベーション維持が大切なのです!」
全員「(『オ』は要らないだろ! それに、『オモチ』ベーションって『オモチ』を使って変なことをするとしか思えないぞ!)」
玄「では、百子ちゃんは、ゆいちゃんと同室でお願いするのです!」
勝手に決めやがった…。
まあ、予想の範囲ではあったが…。
その日から、玄は毎晩、美由紀のオモチを堪能したのは言うまでも無い。まさしくオモチベーションだ。
晴絵が言っていたとおり、これだと美由紀は人柱と大差ない。
これで、玄が大会で最高の麻雀プレイが出来るならと思っていたが…、その前に自分が変な世界に入り込んでしまいそうな気がする。
麻雀じゃないほうの玄のプレイがしつこ過ぎる。
美由紀「(やっぱり、同室にしなければ良かった…。)」
下手に空気を読んで『チームのために!』と思ったのが間違いだったと、美由紀はつくづく後悔するのだった。
自己犠牲は、程々にしたほうが良い。
(R-15のため、これ以上は書きません。)
玄「これでイイのだ!」←何故か口調がバカボンのパパ