咲-Saki- 阿知賀編入   作:おこそとのほもよろを

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咲ーSakiー第168局(17巻)では、白糸台高校の監督は貝瀬麗香になっていますが、第202局の淡のセリフから監督が麗香から別の人になったように読み取れます。
しかし、ここでは白糸台高校の監督は貝瀬麗香のままとします。


三十三本場:悪魔の紋章

 大会四日目になった。

 当然、まこは、

「Cブロックは和のとこの試合じゃったな。」

 テレビを見ていた。

 ここでも超光速跳躍が発動するのは言うまでもない。やはり、デジャブーのように思われることであろう。

 

 白糸台高校、新道寺女子高校、射水総合高校、琴似栄高校の試合。

 先鋒戦は、白糸台高校からは和が出場した。

 絶対的エースの光を先鋒に置くと大方予想されていたが…。

 しかし、和の先鋒も決して悪くは無い。むしろ、初っ端から巨乳美女が登場すると言うことでマスコミ受けは良かったようだ。

 

 新道寺女子高校からは花田煌が、琴似栄高校からはエースの吉田が出場していた。

 煌は20000点以上削られない異能を持つことから、他校が先鋒にエースを配置してくることを前提に、彼女は先鋒に任命された。先鋒戦での勝利よりも、先鋒戦での失点を最小限に留めることを優先する戦法だ。いきなり得失点差対策だ。

 

 一方、和は他人の能力などお構い無しに自分の超デジタル麻雀を展開した。結局、着実に和が得点を重ね、白糸台高校が勝ち星を先制した。

 

 一応、玄は、自分達の試合を控室のテレビで観戦しているため、こっちの試合は見ていなかった。

 

 

 次鋒は、白糸台高校からは宮永光が出場した。北欧の小さな巨人と呼ばれる本大会の屈指の魔物の一人だ。

 最近では、宮永遺伝子の中で一番明るくてカワイイ容姿と評判らしい。

 白糸台高校監督の貝瀬麗香は、決勝戦で2対2の同点となった時のことを想定して、光をここに配置したようだ。

 つまり、もし決勝戦で2対2になった場合、その二校の素点の得失点差で優勝を決めるため、敢えて光には咲や小蒔とのエース対決を避けさせ、次鋒戦で大量得点を稼がせようと考えたのだ。

 

 一方、射水総合高校からは寺崎弥生(寺崎遊月妹)が、新道寺女子高校からは友清朱里が出場した。

 弥生は、聴牌すると壁牌にある自分の和了り牌の場所が分かると言う能力を持っていた。

 全ての和了り牌の位置が分かるわけではなく、常にツモ牌に近い壁牌の二枚しか見えなかったが、それでも一枚目を見逃しても、二枚目と三枚目の和了り牌が見られるように変わるだけだ。

 つまり、次にツモれることが分かっていれれば、戦略的に一枚目の和了り牌を見逃すことが出来るし、和了る相手を選ぶこともできる。

 

 しかし、この試合では、白糸台高校の魔物相手に太刀打ちできる者などいなかった。弥生でも、まるっきり役者不足だったのだ。

 結局、

「ツモ! 2000、4000!」

「ロン! 8000!」

「ロン! 12000!」

「ロン! 18000!」

「ツモ! 6100オール!」

「ロン! 24600!」

 光の怒涛の連続和了で、前半戦は弥生が箱割れして終了となった。100000点持ちなのだが…。

 

 後半戦も、

「ロン!」

 光が連続で和了り、ここでも弥生のトビ終了で終わった。

 言うまでも無く勝ち星は白糸台高校のものになった。

 

 弥生は、

「(悔しいけど……今回は漏らさなかった。)」

 春季大会の個人戦では、咲の怒りに触れて失禁させられていたが、今回は何とか持ち堪えた。

 

 

 中堅戦は、白糸台高校からは佐々野みかん(佐々野いちご妹)が、新道寺女子高校からは鶴田姫子が出場した。

 みかんは、姉のいちごに勝るとも劣らぬ痩身美女で小顔。しかも胸がいちごよりも一回り………いや、二回りくらい大きい。

 白糸台高校No.1、いや、今の女子高校生雀士No.1美女との呼び声が高い。当然、ファンも無茶苦茶多い。

 ただ、それだけの容姿なのに男性と付き合った経験は無いらしい。

 そもそも、自分が美女だと言う自覚がない。むしろ、以前は太っていたことから、自分がモテない人間だと思い込んでいる。なので、告白されても冷やかしで言われていると勘違いしている節がある。

 それに、今は麻雀が第一優先。それもあって、今は男性と付き合う気持ちがないらしい。

 

 対する姫子は、本大会最高の妖艶美女と言われている。彼女がセルフリザベーションの時に見せる艶やかな表情に魅了されたファンも多い。

 

 痩身美女vs妖艶美女は、後半戦で見せた姫子の高打点の和了りが勝負を分けた。結果的に、中堅戦は妖艶美女…姫子に軍配が上がった。

 

 

 副将戦は、白糸台高校からは多治比麻里香(多治比真祐子妹)が、新道寺女子高校からは友清藍里(友清朱里従姉妹)が出場した。

 麻里香も、姉の真祐子並に顔立ちが整っており、こちらもファンが多い。

「(白糸台のレギュラーの中じゃ、私が最弱だからね。なんか、副将で最弱って、一年前にも誰かが言っていたような気がするけどね。)」

 と心の中で呟きつつ、缶のお汁粉を片手に強気の闘牌を見せた。

 彼女は、超が付くほど甘党だが、何故か太らない体質を持つ。日々食事制限しているみかんにとっては羨ましい限りだ。

 

 この試合は、終始麻里香が圧倒し、白糸台高校は三つ目の勝ち星をあげ、1位抜けが決まった。

 

 

 大将戦は、白糸台高校からは大星淡が、新道寺女子高校からは池田華菜に瓜二つの中田慧が出場した。

 慧は、自分の勝利がベスト。2位以下だった場合でも、白糸台高校以外の二校に1位を取らせてはならない。下手をすると得失点差勝負になり3位転落が起こり得る。

 しかし…、結局、途中で絶対安全圏を操る淡には敵わないと判断し、淡を援護すると言う戦略をとった。

 目立ちたがり屋の彼女にとっては苦渋の決断だっただろう。

 そして、白糸台高校勝ち星四、新道寺女子高校勝ち星一で、この二校が準決勝戦に進出した。

 

 

 一方、Dブロックは、優勝候補筆頭の阿知賀女子学院、千里山女子高校、東白楽高校、粕渕高校が対戦していた。

 まこが、Dブロックの試合にチャンネルを切り替えた時だった。

「カランカラン…。」

 店(雀荘)のドアが開いた。客が来たのだ。

「四人だけど。」

「はい、いらっしゃいませ!」

 まこが接客のため、一旦テレビから離れた。そのため、この瞬間だけは超光速跳躍の発動に至らなかった。

 

 先鋒戦は、阿知賀女子学院の新子憧、千里山女子高校の二条泉、東白楽高校の鈴木麻衣、粕渕高校の春日井真澄による対局だった。

 鈴木麻衣は一年生で、鈴木兒生(慕が横浜にいた頃の友人)の姪。なかなかのオモチの持ち主で、阿知賀女子学院控室では、玄がテレビモニターに食い付きながら、

「素晴らしいオモチなのです!」

 喜びの笑みを浮かべていた。

 コーチの恭子は、

「またか…。」

 この様子を見ながら頭を抱えていた。

 

 春日井真澄は、春日井真深の姪で、特に能力者では無い。

 粕渕高校のオーダーは、霊力の高い一年生、石見神楽(いわみかぐら)が受けた啓示によって決められていた。

 島根県大会では、彼女のオーダーが上手くはまり、石飛閑無が監督を務める朝酌女子高校を抑えて優勝した。

 

 場決めがされ、起家が麻衣、南家が泉、西家が憧、北家が真澄に決まった。

 二年生二人と一年生二人の対決。

 高二最強(?)を目指す泉は、憧には絶対に負けたくないし、下級生の二人にも差を見せ付けてやるつもりでいた。

 

 東一局。

 序盤から憧が、

「チー!」

 鳴き麻雀を披露した。

 しかも、現コーチ末原恭子によって憧の鳴きは、一層鍛えられていた。当然、

「ツモ! 2000、4000!」

 仕上がりも早い。

 恭子が阿知賀女子学院のコーチとして赴任して、一番得したのは、実は憧かも知れない。

 

 東二局も、

「ポン!」

 二巡目から憧が仕掛け、

「ツモ! 1000、2000!」

 ここでも、他家を寄せ付けないスピードで憧が和了った。

 

 二連続和了で迎えた東三局、憧の親番。

 またもや憧が早仕掛けを披露する。

「ポン!」

 昨年インターハイの頃、鳴き三色や鳴き一通が多い憧だったが、昨年の夏の終わりに咲が転校してきてから少し打ち方が変わった。鳴き三色や鳴き一通に見せかけたクイタンや役牌バックなど、相手に手を読ませない打ち方を取り入れたのだ。

 そして、恭子に鍛えられ、さらに打ち方がブラッシュアップされた。スピードがさらに上がった感じがする。

「ツモ! 3900オール!」

 ここでも憧が和了った。

 

 しかし、東三局一本場では、

「ポン!」

 麻衣の捨て牌を泉が鳴き、

「ツモ。400、600。」

 ゴミ手だが、そのまま泉が速攻で和了った。

 

 このまま憧を走らせてはいけない。クズ手でも良いから和了って、流れを憧から引き離さなければならないとの判断だ。

 

 昨年のインターハイ二回戦では、泉は憧のことを見下していた。それなりに上手いが、自分よりは格下と思っていた。

 名門、千里山女子高校で、一年生でレギュラーの座を勝ち得た自分に敵う一年生などいないと自負していたのだ。

 しかし、準決勝は阿知賀女子学院が1位で、千里山女子高校は3位で敗退。春季大会でも憧の活躍に自分は追いついていない。

 

 春の個人戦の順位が、それを物語っている。憧は12位で泉は決勝トーナメントにすら出られていない。

 明らかに自分よりも憧のほうが格上だ。だからこそ、ここで勝ちたい。

 そう思って、憧の早い仕掛けに対抗しようと、泉も鳴き麻雀主体に切り替える判断をしたのだ。

 

「さて、咲のとこの試合は、どうなっとるかのう?」

 まこが戻ってきた。これにより、超光速跳躍の発動条件が揃ってしまった。

 大方の予想通り、

「先鋒戦終了―――――――――!」

 福与恒子アナの声が観戦室にこだました。時間が飛んで、一気に後半戦まで終了した。

 

 結果的に、泉は憧を完全に止めることはできず、1位憧、2位泉、3位真澄、4位麻衣の順となった。

 これで、阿知賀女子学院が一つ目の勝ち星を取った。

 

 

「カランカラン…。」

 再び、まこの雀荘のドアが開いた。客が来たのだ。

「一人だけど、打てる?」

「少々お待ちください!」

 まこが接客のため、テレビから離れた。これにより、超光速跳躍の条件が消えた。何時復活するか分からないが…。

 

 次鋒戦は、阿知賀女子学院からドラ爆娘の松実玄が、粕渕高校からは1年生の坂根理沙が参戦した。

 理沙は、慕達の中学時代の麻雀部顧問、坂根千沙の娘で、結構勘が鋭かった。

 また、彼女は気配り上手で、粕渕高校麻雀部の雰囲気が良いのは彼女の力によるところが大きいようだ。

 

 場決めがされ、起家は玄、南家は理沙、西家は千里山女子高校次鋒のナクシャトラ、北家は東白楽高校次鋒に決まった。

 

 東一局、ドラは{發}。

 当然、{發}は玄の手牌の中にしか来ない牌だ。

 役牌のドラは、それだけで玄に和了り役を与える。しかも、玄が親だ。最低でも親満は約束されたようなものだろう。他家にとって非常に厄介な局と言える。

 しかし、

「(ここかな?)」

 理沙が出来面子から敢えて真ん中の牌を切り捨てた。なんとなく、こうするのが良いと直感的に思ったからだ。

 すると、

「チー!」

 これをナクシャトラが鳴いた。

 次巡も、

「チー!」

 ナクシャトラが理沙の捨て牌を鳴き、数巡後に、

「ツモ。500、1000。」

 タンヤオ三色同順を和了った。

 むしろ、これは理沙がナクシャトラに和了らせたと言うべきだろう。ドラ爆被害を最小限に抑えた打ち方だ。

 

 東二局、理沙の親番。

 勘が良いと言うことは、ツモが無茶苦茶な局でない限り、確率論を超えて聴牌速度が上がる。

 この局は、五向聴からたった六巡で聴牌し、敢えて一巡遅らせて七巡目に、

「リーチ!」

 理沙はリーチをかけた。そして、

「メンタンピン一発ツモ一盃口。6000オール!」

 ドラ無しで親ハネをツモ和了りした。

「(多分、今日はツキが私にある。このまま、一気に稼がせてもらうよ!)」

 その後も、理沙の和了りが目立った。

 

 まこが戻ってきた。そして、

「ほぉ、粕渕高校が結構やるのぅ。」

 とまこが言葉を漏らした次の瞬間、

「次鋒戦終了―――――――――!」

 福与恒子アナの声が観戦室にこだました。超光速跳躍が発動してしまったのだ。

 

 次鋒戦のトップは理沙。粕渕高校が待望の勝ち星をあげた。

 玄は、ドラ爆の高い手を和了れはしたが、和了り回数で理沙に大幅に負けて2位に甘んじた。

 それと、この対局では玄にとって大事な局面で、理沙が大明槓を二つ副露した。玄のドラ支配破りにチャレンジしたのだ。こうなると、玄はドラ切りを回避するだけで精一杯になる。

 もっとも、これも理沙は直感的に大明槓を仕掛けていたようだが…。

 千里山女子高校は3位、東白楽高校が4位となった。

 

 観戦室が一気に盛り上がってきた。いよいよ、D-ブロック二回戦の主役……宮永咲が登場する。

 千里山女子高校からは現部長の船久保浩子が、粕渕高校からは亦野誠子の従姉妹、緒方薫(二年生)が参戦する。薫は一応能力者で誠子と同じ力を持っていた。

 また、薫はボーイッシュで顔立ちも結構整っており、巷では男装麗人との呼び声が高かった。特に女性からの人気が高い。

 

「(さて、宮永をどう止めるか?)」

 浩子は、今まで様々なデータを見てきたが、咲に勝てる糸口が掴めない。

 初牌を捨てないほうが良いことだけは言えるが、別に咲は嶺上開花以外を和了らないわけではない。

 それに、勝ちに行くためには初牌を捨てざるを得ないケースも発生し得る。非常に厄介な相手だ。

 

 場決めがされた。

 今日は、咲は妙に機嫌が良かった。京太郎に会えたのだ。そして、建前上、優希用にと大量に作ったタコスの一つを咲はもらっていた。

 そのタコスの袋には、

「ガンバレ咲!」

 とデカデカと書かれていた。

 味も、優希用ではなく、咲用にしてある。全然辛くないし、咲好みの味に仕上げてある。それにまだ暖かい。

 もっとも、今日は優希の試合がない。なので、このタコスは、最初から咲に渡すつもりで作っていたことが読み取れる。

「京ちゃんのタコス…。」

 咲は、これを食べ切ってから場決めの牌を引いた。

 長野の都市伝説に従い、咲が起家を引き当てた。これを見て、浩子の背中に最上級の悪寒が走った。

「(これ、ヤバイ!)」

 まさに、奈良県大会決勝戦の再現だ。あの忌々しい444400点事件を思い出させる。

 南家は浩子、西家は薫、北家は東白楽の中堅に決まったが…。浩子は、もはや席順など関係ないことを既に悟っていた。

 ただ、今回起こる恐怖は、444400点事件を上回るものであることを、浩子は、まだ知らなかった。

 

 東一局から咲のオーラが激しく噴出している。

「カン!」

 初牌を切らなくても咲は自分で槓材を引き、暗槓してくる。そして、

「ツモ嶺上開花ドラドラ! 4000オール!」

 

 東一局一本場も、

「ツモ。嶺上開花。4100オール。」

 

 そこから先も、咲は嶺上開花での和了りを連発した。

 …

 …

 …

 

 

 そして、気が付けば二十五本場で、咲以外の面子の持ち点は全員6500点のみになった。当然、咲は、この6500点をきっちり取りに来る。

「カン! 嶺上開花。4000オールの二十五本付けで6500オールです!」

 

 これで、咲以外は全員0点になった。

 完全に計算された削り方。まさしく宮永咲の真骨頂と言える。

 

 そして、恐怖の二十六本場がはじまった。既に、浩子も薫も意気消沈していた。これはもう、どうにもならない。

「ポン!」

 咲が切った{白}を東白楽高校中堅が鳴いた。

 東白楽高校だからか(?)、彼女は{東}と{白}をガメる習性があるようだ。しかも、手牌の中には{東}の対子もある。

 しかし、今の咲には、そんな相手の能力など関係ない。京太郎のタコスのお陰で超絶好調なのだ!

 そして、次巡、

「カン!」

 咲は{南}を暗槓し、嶺上牌を引くと、

「もいっこ、カン!」

 {發}を暗槓した。

 浩子は、

「(もう終わりや。もいっこカンが出た…。)」

 そう心の中で呟きながら手牌を伏せた。

 咲の『もいっこカン』は、傀の『ご無礼』と同義語だ。もう、対局は終わったと考えてよい。

 浩子の予想通り、咲は嶺上牌を引くと、

「もいっこ、カン!」

 {北}を暗槓した。そして、次の嶺上牌を引くと、

「もいっこ、カン!」

 {西}を暗槓し、続く嶺上牌………{東}で和了った。

「ツモ。嶺上開花。小四喜字一色四暗刻四槓子。」

 64000オールの二十六本付けで66600オールだ。全員0点にされていたのだから、電光掲示板には咲以外の点数は『-66600』と表記される。

 この点数を見て、

「(666………死神じゃない、悪魔だ、こいつ!)」

 浩子は咲への認識を改めた。

 

 このとんでもない和了りに、卓に付いた者達だけでなく、観戦室の人々も、解説を担当する小鍛治健夜も驚きの表情を隠せなかった。

 

 少し遅れて、

「前半戦終了―――――――――!」

 福与恒子アナの声が観戦室にこだました。

 彼女も、この咲の和了りを見て一瞬反応が止まってしまったのだ。それだけ衝撃的な和了りだった。

 

 順位は、阿知賀女子学院、千里山女子高校、粕渕高校、東白楽高校の順になったが、2位以下は同点のため席順による。

 

 後半戦は………、案の定、咲は得意のプラスマイナスゼロを披露した。前後半戦トータルでの成績になるのだから、当然、咲が勝ち星を得た。

 さすがに600000点近い得点を前半戦であげた咲を逆転するのは不可能だ。

 

 これで、阿知賀女子学院の勝ち星は二つとなり、阿知賀女子学院の準決勝戦進出は確定した。

 あとは、もう一つの準決勝進出校を副将戦、大将戦で決めるだけである。




おまけ
安福莉子「莉子と!」

水村史織「史織の!」

莉子・史織「「オマケコーナー!!」」

莉子「それにしても、サブタイトルが悪魔の紋章って、宮永さんは悪魔ってことでしょうか? 全員の点数を箱下66600点にしちゃうって…。」

史織「それも100000点持ちルールですからね。少なくとも、人間でないことだけは確かですね!」

莉子「あと、白糸台高校の多治比麻里香さん(多治比真祐子妹)。超甘党設定で、缶のお汁粉が好きってなってますけど?」

史織「これは、ライバル校、白糸台高校メンバーとしての単なるキャラ付けですね。原村和さんと大星淡さんは原作キャラですから、まあキャラは確立されてますし、光さんは咲さんと同じ血統と言うことで化物キャラにすればよい。」

莉子「なるほど。佐々野みかんさんは、原作でアイドルと騒がれている設定の佐々野いちごさんの妹と言うことで超絶美少女にすれば良いけど、麻里香さんのキャラ付けが問題となった。」

史織「そうです。それで、強引に超甘党にしたと言うことです。」

莉子「たしかに、何か印象に残るものが必要ってことなのでしょうね。たとえば私の6400点振り込みみたいに。」

史織「それは一理ありますね。黒歴史みたいに言われますけど、あれで結構覚えられているキャラになっているのではないでしょうか? 私なんか、殆ど忘れ去られているキャラでしょうから…。まあ、それは置いときまして、今日は開会式の後の出来事についてお送りします。」

莉子・史織「「それでは、どんな話になるか。オマケストーリー、スタート!」」





インターハイ開会式。
昨年優勝校の清澄高校麻雀部は、実質解体状態だったが、今年、女子新入部員として室橋裕子(通称:ムロ)が入部してきた。
これで、男子一名女子一名の部となった。
もっとも、これでは団体戦にエントリーできないのだが…。

大会では優勝旗の返還をしなければならない。それで、ムロが清澄高校を代表して優勝旗返還のため壇上に上がった。

現在、清澄高校は京太郎とムロの二人だけの部になっていることを、咲は京太郎からメールで知らされていた。
と言うことは…、あの部室は、毎日が京太郎とムロの二人だけの空間である。

咲は、会場観客席の中に京太郎の姿を見つけた。
京太郎の視線は、今、ムロの方を向いている。
二人の関係はどこまで進んでいるのだろう?
咲は、勝手に変なことを想像していた。

咲のキツイ視線がムロに向けられた。この時、咲の身体からは、ドス黒いオーラが湧き上がっていた。むしろ、暗黒物質と言ったほうが良いだろう。

咲「(京ちゃんのバカ!)」

勝手に咲は嫉妬していたのだが…、この時、とんでもない負のエネルギーをムロは感じていた。背筋が凍り付くようだ。



開会式の後、

京太郎「咲。久し振りだな!」

咲「きょ…京ちゃん。」

京太郎「元気してたか?」

咲「まあ、普通かな? 京ちゃんの方は、何か変わったこととかない?」

京太郎「別に何も。」

咲「下級生の女性部員と毎日部室で二人きりでイチャイチャしたりしてない?」←勘繰っている

京太郎「あのなぁ。そんなことしてねえよ。」

ムロ「そうですよ。宮永先輩の旦那を取ったりしませんってば。」

咲「べ…別に京ちゃんと私は…。」←恥ずかしくて顔を赤らめながらも次第に顔がにやけてきた………京太郎のことを咲の旦那と言われて嬉しいらしい

ムロ「須賀先輩の友達から聞きましたよ。中学の頃から宮永先輩は須賀先輩のイイ嫁さんだって。」

咲「やっぱり、そう見えるのかなぁ。」←暗黒物質が完全に消えた

京太郎「別にまだ嫁じゃねって。」←別に深い意味は無い

咲「(まだってことは、将来的にはそうなるってことだよね、うん。)」←勝手に都合の良いほうに解釈

京太郎「それで咲の試合は四日目だったな。」

咲「うん。」

京太郎「大会中、バイトで龍門渕さんの執事のハギヨシさんの手伝いをすることになって、こっちにいるんだ。昨日からハギヨシさんと同じ部屋に泊まってるよ。」

ムロ「私は、もう今日で帰りますけどね。」

咲「(じゃあ、もしかして京ハギ? でも、少なくとも室橋さんと京ちゃんが一緒に宿泊ってことだけは無いってことだよね?)」

京太郎「それで、明後日、優希の試合があるだろ。」

咲「あっ、うん。」

京太郎「それで、あいつに兵糧(タコス)を作れって言われたんだけど、沢山作ったから大会四日目に咲のところにも持って行くよ。」

咲「別にイイってば。」

京太郎「遠慮するなって。じゃあ、俺。もうハギヨシさんのところに行かなくちゃならないから、また後でな!」


そして、大会四日目。
約束どおり京太郎は咲にタコスを届けた。
そのタコスの袋には、
「ガンバレ咲!」
とデカデカと書かれていた。

咲は、それを対局室に持って行くと、

咲「(京ちゃんの〇〇〇。さて、〇〇〇には何が入るでしょう? なんちゃって。)」←当然、〇〇〇はタコスです。

そんなアホなことを心の中で呟きながら、一口食べた。

咲「(こ…これって…。)」

この味は、優希用ではない。明らかに咲用にしてある。
全然辛くなくて、咲好みだ。
それに、まだ暖かい。作り立てだ。

咲「(京ちゃん、わざわざ私のために…。)」

今日は優希の試合がないので、このタコスは、最初から咲に渡すつもりで作ってくれたことになるだろう。

咲「(京ちゃんの〇〇〇。いただきます。)」←しつこいようですが、〇〇〇はタコスです

咲「(今、京ちゃんの〇〇〇が私の身体の中に…。)」←くどいようですが、〇〇〇はタコスです

咲「(〇〇〇って言うと、なんかイヤラシくなるから不思議だね。でも、京ちゃんとだったら、そうなってみたいかな。)」←自分と京太郎のラブラブな未来を想像してニヤニヤしている

第三者からは、この咲のニヤケた顔は非常に気持ち悪かったのだが、それ以上に恐ろしくもあった。なにかとんでもないことをヤラれるのではないかと…。
勿論、この京タコスが、咲の試合を決めたと言っても過言ではない。


結局、気を良くした咲が、他家三人を箱下66600点にすると言う前代未聞の離れ業をやってのけたのだ。

一個のタコスがとんでもない記録を作る原因となる。バタフライ効果ならぬ京タコス効果の実証実験であった。
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