咲-Saki- 阿知賀編入   作:いうえおかきく

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四十五本場:頂上決戦 神vs未来視vs嶺上vs連続和了

 阿知賀女子学院、白糸台高校、龍門渕高校、永水女子高校のメンバー全員が決勝卓を囲むように集まった。ここで、一同が試合開始前の挨拶をする。

 

 咲に、毎度の如く冷たい視線が突き刺さる。

 春季大会では、麻里香とみかんが咲を睨みつけていた。

 二人とも姉の失禁事件のことをレギュラー落ちした先輩達に執拗に弄られ、その怒りの矛先を咲に向けていたのだ。

 既に麻里香とみかんとは和解しており、特段問題は無い。むしろ、二人は咲に優しい笑顔を向けている。

 

 今回、咲を敵視しているのは、永水女子高校の石戸明星と十曽湧だった。この一年生コンビが、冷たく厳しい視線を咲に向けていた。

 昨年インターハイ団体戦で、あの強豪永水女子高校が、たった500点差でまさかの二回戦敗退。

 しかも、その裏には意図的な点数調整が隠されていた。

 思い出しただけでも、明星は腹が立ってくる。

 心も視線も穏やかに保つことなど出来やしなかった。

 

「一同、礼!」

 審判の掛け声が会場にこだました。

 

「「「「よろしくお願いします!」」」」

 

 選手全員の挨拶の後、先鋒選手だけを残して他のメンバーは各校控室に戻って行った。

 この時、咲は迷子対策で穏乃と手を繋いでいた。雰囲気は、いつものように弱々しい被捕食者にしか見えない。

 オドオドしていて王者の風格など全く無い。毎度のことだが…。

 そんな咲に、明星と湧は、さらに冷たい視線を浴びせ続けた。

「(このまま泣き出せば面白いのに…。)」

 どうやら、明星は、咲が自分達の視線を気にして弱気になっていると勘違いしていたようだ。

 実のところは、重度の方向音痴のため、知っている人が近くにいないと不安なだけなのだが…。

 

 

 阿知賀女子学院の先鋒は新子憧。鳴きが主体の麻雀を打つ。

 その気の強さと頭の良さ、打ち回しの上手さから、王者阿知賀女子学院の先鋒を任されていた。

 

 白糸台高校の先鋒はデジタルの申し子、原村和。

 オカルト超否定派。神の降臨も、場の流れの存在も、彼女にとっては絶対に有り得ない現象であった。

 しかも、彼女のスイッチが入った時、彼女の周りは全てが確率論に従って動き出す。

 これはこれでオカルトだと思うのだが…。

 

 龍門渕高校の先鋒は井上純。

 場の流れを読み、同時にそれを支配する。龍門渕高校不動の先鋒である。

 まともに行って、神を降ろすと言われる小蒔に勝てるとは思っていない。

 しかし、神が相手でも場を狂わして勝機が来るのを待つ。そんなことを考えられるのは、純をおいて他にはいないだろう。

 

 そして、永水女子高校の先鋒は神代小蒔。

 霊力の高い彼女は、既に自身の身体に神を降ろしていた。それも、この戦いに最も相応しい神、軍神が選ばれていた。

 正確には、武将の神。

 軍略よりも圧倒的且つ強烈な力で押し切るタイプであった。

 

 この先鋒戦では、絶対に永水女子高校が勝ち星をあげなければならない。その小蒔の強い意志が、この強い神を降ろしたと言える。

 しかし、最強神ではなかった。小蒔が降ろせる神の中で三番目に強い神だった。

 何故か?

 最強神は、個人戦決勝トーナメントで咲と戦うために待機していたのだ。これは、昨年インターハイで、神を差し置いて優勝した咲への雪辱のためであった。

 二番目に強い神は、最強神に命じられ、個人戦予選を確実に勝ち抜き、決勝トーナメント進出を決めるために力を振るうことになっていた。

 それで、三番目に強い神が、この団体戦決勝で小蒔に力を貸すことになった。

 

 

 霧島神境では、石戸霞、薄墨初美、狩宿巴の三人がテレビを通して小蒔の姿を見詰めていた。

 イヤでも思い出す。

 自分達を統べる姫………小蒔が誇る最強神の力でさえ、点棒の支配者に敗北を喫したあの日のことを…。

 

 

****************************************

 

******************************

 

********************

 

 

 昨年のインターハイ個人戦決勝卓。

 対戦者は、前年度チャンピオン宮永照、霧島神境の姫神代小蒔、一巡先を見る者園城寺怜、そして団体戦を制した清澄高校の大将、奇跡の闘牌宮永咲の四人。

 

 前半戦は、起家が小蒔、南家が怜、西家が咲、北家が照となった。連続和了による打点上昇が特徴の照にとっては最高の親番だった。

 

 

 東一局、小蒔の親。ドラは{一}。

 ここは、照にとって照魔鏡を発動するために様子見となる局。

 小蒔も相手の品定めをしているのか、どうやら、いきなりパワー全開と言うわけではなさそうだった。

 一方、怜は順調に手が伸び、六巡目で聴牌した。

 

 手牌は、

 {二三四②②⑥⑦222468}  ツモ{[5]}

 

「(ここでリーチをかけてもかけなくても、聴牌に取れば{8}を咲ちゃんが鳴くか。それでうちは次巡で{⑤}ツモ…。聴牌に取らなければ鳴かれへん。そうすると、{[⑤]}ツモ…。)」

 怜の手牌のうち、アタマの{②}が裏ドラになるのも見えていた。

 これならリーチをかけたほうが良い。リーチをかけなければ裏ドラは付かないし、満貫にもならない。

「リーチ!」

 ここで怜は、いつものようにリーチ棒を立てる独特のパフォーマンスを見せた。{8}切りでリーチ。

「チー!」

 予定通り、このリーチ宣言牌を咲が鳴いた。{横867}を晒す。

 やはり、リーチ一発ツモタンヤオドラ4の倍満は和了らせてくれないらしい。

 照は無難に安牌を切った。小蒔も振り込みを回避する。

 そして、怜が見たとおりの未来が、そこに待っていた。すなわち、

「ツモ。リーツモタンヤオドラ3。3000、6000!」

 {⑤}でツモ和了り。

 この様子を観戦室で見ていた清水谷竜華は、怜のいきなりのリードに、

「やったで! 怜!」

 大興奮していた。

 しかし、相手は超魔物三人。12000点のリードが貯金として通じるとは、怜には到底思えなかった。

 

 この時、照は、照魔鏡で小蒔が最強の神を降ろしていることと、咲が本気で向かってきていることを読み取っていた。

 怜については一度、団体戦準決勝で見ているが、その時から時間が余り経過していないため、今回は見ることができなかった。

 

 

 東二局、怜の親。

 今度は、小蒔の手は配牌から、いきなり萬子に偏っていた。しかも端牌である{一}と{九}が二枚ずつ揃っている。

 そして、その手は順調に九連宝燈へと成長して行った。

 

 六巡目、

「(ここで一巡先や!)」

 怜が未来視で一巡先の動きを見た。すると、下家の咲が捨てる{⑦}を怜が鳴かないと小蒔が純正九連宝燈をツモ和了りする未来が見えた。

「(もうこれか? これはナイわ…。)」

 怜が一先ず対子で持っている{北}を切った。

 次のツモ番は咲。ここで咲は、何気に怜の方を見ながら{⑦}を切った。鳴いてくれと言わんばかりだ。

「ポン!」

 最悪の未来を回避する。そのために怜は{⑦}を鳴いた。

「(咲ちゃんも、ここでうちが鳴かないと大変なことになるってことを分かってるようやな。前の局でもそうやったけど、もしかして牌が全部見えてるんとちゃうか?)」

 こう考えながら、怜は、もう一枚の{北}を切った。対子落しだ。

 

 続く咲は、ツモ牌の{4}を手に入れて打{①}。

 照もツモ牌………、{二}を手に入れて打{9}。本来なら、この{二}は、小蒔がツモって和了するはずの牌だった。

 怜と咲の連携でツモをずらした成果である。

 

 

 この様子を観戦室で見ていた巴は、

「やっぱり園城寺怜に、姫様の{二}ツモ和了りを察知されていたようね。」

 と言った。しかし、初美は、

「いえ、私には清澄の大将がわざと{⑦}を鳴かせたように見えたですよー。」

 別の視点から対局の動きを見ていた。

 

 この時、咲の手牌は、

 {223334⑥⑥⑥⑥⑧⑧⑧}

 

 一向聴だ。しかし、何故、この手で先に{⑦}を捨てたのか?

 {⑦}ではなく{①}を捨てていれば、その段階で聴牌だったはずである。

 これは、小蒔の和了り牌をずらすために敢えて聴牌を崩したとしか思えない。初美の言うとおりである。

 しかし、霞は、さらに上のことを考えていた。

「初美ちゃんの言うことは正しいと思うけど、それだけじゃない気がするのよ。もっと別の…小蒔ちゃんから和了るための何かをしようとしているんじゃ?」

「でも、神様が降りた姫様が振り込むなんてありえないですよー。」

「そうなんだけど…。」

 とは言え、実際に咲と卓を囲んで、咲に、やりたい放題やられた彼女だからであろう。普通では有り得ない何かを、咲が仕掛けてくるような予感がしてならなかった。

 

 小蒔に降りた神は、他家の和了り牌を読むことは出来たが、鳴く牌までは読み切ることは出来なかった。

 いや、正しくは、神としての完全な力を示されては、人間では相手にならない。それで多少の制限を神は自らにかけていた。

 ただ、それでもツモは鬼ヅモ。他家の和了り牌は完全に察知される。これでは、普通の人間では相手にならないだろう。

 そう、普通の人間なら…。

 

 

 小蒔が{⑧}を切った。

 すると、

「カン!」

 咲が大明槓を仕掛けた。嶺上牌をツモると、当然の如く、

「もいっこ、カン!」

 {⑥}を暗槓した。二枚目の嶺上牌を引くと、さらに、

「もいっこ、カン!」

 {2}を暗槓した、嶺上牌は二連続で{2}だった。そして、次の嶺上牌で、

「ツモ。タンヤオ対々三暗刻三槓子嶺上開花。16000です!」

 

 開かれた手牌は、

 {3334}  暗槓{裏22裏}  暗槓{裏⑥⑥裏}  明槓{⑧横⑧⑧⑧}  ツモ{4}

 

 霞の予感が当たった。しかも、{2}での嶺上開花を見逃しての倍満ツモ和了り。

 これは、小蒔の責任払いになる。これで小蒔の点数は一気に3000点まで落ち込んだ。さすがに神も、これには驚かされた様子だった。

 

 

 東三局、咲の親。

 ここでも小蒔の手は配牌から、いきなり萬子に偏っていた。しかも前局同様、端牌である{一}と{九}が二枚ずつ揃っている。

 そして、その手は順調に九連宝燈へと成長して行った。

 前局とは異なり、この局は、その勢いを止める術がないまま、

「ツモ。8000、16000。」

 小蒔に純正九連宝燈をツモ和了りされた。

 

 

 東四局、照の親。

 またもや小蒔の手は萬子に偏っていた。しかし、萬子一直線で攻める以上、他の色の牌は他家の和了り牌でない限りノーケアーで小蒔は捨てる。

 これを、

「ポン!」

 照が鳴いた。いや、ようやく照が動いたと言うべきか。

 そして、小蒔が九連宝燈を聴牌する直前に、

「ツモ。500オール。」

 第一弾の和了りを照が決めた。

 

 東四局一本場、照の連荘。

 一回和了りを許すと、照の連続和了を止めるのは難しいとされる。

 この局も、序盤のうちに、

「ツモ。800オール。」

 平和を照にツモ和了りされた。スピードが違う。これには追いついて行けない。このまま連続和了を許してしまうと、一気に逆転される。

 

 怜は、団体戦準決勝戦のことを思い出した。あれだけの大敗は、能力に目覚めてからは初めての経験である。

 しかし、あの時と違い、照に拮抗する力を持つであろう咲と小蒔が同卓している。共闘できれば十分止められるはずだ。

 

 東四局二本場。ドラは{三}。

 今回は、怜の配牌が結構良かった。ツモも噛み合い、五巡目にして既に門前聴牌していた。ここで怜は、

「(一巡先や!)」

 未来を見た。

 

 自分の手牌は、

 {三四五六八④⑤[⑤]⑥東東中中}  ツモ{中}

 

 {⑤}を切れば聴牌だが…。

 ただ、下家の咲が同巡に{[⑤]}を切ってくるのが見えた。これを鳴かなければ照が和了る未来になる。

 ならば、怜は聴牌に取らずに{⑥}を切り、

「ポン。」

 咲が未来視どおり捨ててきた{[⑤]}を鳴いた。勿論、打{④}で聴牌。

 しかし、気になるのは、今回も咲は怜のほうを見ながら捨てていた。まるで鳴かせるのを意図しているかのようだった。

 怜は、次のツモで{七}を引き、

「ツモ! 中ドラ3。2200、4200!」

 満貫をツモ和了りした。

 これで照の連続和了を打点が低いうちに潰すことに成功した。

 

 

 怜がトップ、照がラスで南入した。

 この時の各選手の点数は、

 1位:怜 36300

 2位:小蒔 31500

 3位:咲 18500

 4位:照 13700

 下馬評とは全く逆の順位となった。

 

 

 南一局、小蒔の親。ドラは{2}。

 ここでも、小蒔の手は萬子に偏り、順調に九連宝燈に向けて手が成長していった。そして、殆どムダツモ無く、当たり前のように七巡目で純正九連宝燈を聴牌した。

 観戦室の巨大モニターに映る、この映像を見ながら初美は、

「これで姫様がツモ和了りすれば前半戦はチャンピオンのトビ終了ですよー!」

 小蒔の大勝利を確信していた。

 

 同巡、

「チー。」

 咲が捨てた{②}を照が鳴き、{横②③④}を副露した。

 

 そして八巡目、

 この時、咲の手牌は、

 {2233446788發發發}

 さっきの{②}切りで{58}待ちの門前混一色を聴牌していた。

 

 対する小蒔は、

 {一一一二三四五六七八九九九}  ツモ{8}

 

 照の鳴きでツモがズレて、咲の和了り牌を掴まされていた。

 ツモ切りすれば咲のハネ満に振り込む。止むを得ず小蒔は{八}を切った。

 

 同巡、咲は

 {2233446788發發發}  ツモ{2}

 ここから打{7}で聴牌を崩した。

 

 次巡、小蒔は、

 {一一一二三四五六七九九九8}  ツモ{發}

 咲の聴牌崩しを察知して、このタイミングで不用な{8}を処理した。

 

 すると、

「ポン!」

 咲は、この{8}を鳴いた。打{6}。

 手牌は、

 {2223344發發發}  ポン{8横88}

 {2345}待ちで、{5}以外なら緑一色の聴牌。

 

 次巡、小蒔は{八}をツモり直した

 {一一一二三四五六七九九九發}  ツモ{八}

 少なくとも{發}は他家の和了り牌ではない。ならば、純正九連宝燈聴牌に取り、打{發}。

 

 しかし、この{發}を待っていた者がいた。

「カン!」

 咲が、この{發}を大明槓したのだ。

 嶺上牌は{8}。当然、咲は、

「もいっこ、カン!」

 これを加槓した。続く嶺上牌は{[5]}。これで咲は、

「ツモ! 混一發嶺上開花ドラ4。16000。」

 小蒔の責任払いで倍満を和了った。

 この和了りに、ある意味、最も興奮していたのは、清澄高校の次鋒、緑一色が好きな染谷まこであった。

 彼女は、観戦室で、

「惜しい! 緑一色ならずじゃ!」

 と大声を上げた。しかし、最強神の力により、ここで時間軸の超光速跳躍が発動しなかったのは救いであろう。

 

 

 南二局、怜の親。

 照は、東四局の連荘で二度和了ったのみで、その後も第一弾の和了りが中々できないでいた。なんとか和了って連続和了に持ち込みたいところだ。

 しかし、ここでも今一つ手が遅かった。そして、ようやく聴牌して捨てた{①}を、

「カン!」

 咲が大明槓した。そして、そこからいつもの連槓に入る。

「もいっこ、カン!」

 {3}を暗槓。さらに、

「もいっこ、カン!」

 {9}を暗槓し、続く嶺上牌で、

「ツモ! 対々三暗刻三槓子嶺上開花! 12000!」

 咲が嶺上開花を決めた。

 これは照の責任払いになり、これで照の点数は1700点まで落ち込んだ。

 

 

 南三局、咲の親。

 ここでも小蒔は萬子に染めていた。これで何回目であろうか?

 東四局の時と同じで、萬子一直線の小蒔は萬子以外の牌を、他家の和了り牌でない限りノーケアーでドンドン捨てていった。

 そして、五巡目に小蒔が捨てた{2}を、

「ポン!」

 照が鳴いた。そして、小蒔が九連宝燈を聴牌する直前に、

「ツモ。300、500。」

 ようやく第一弾の和了りを、照が再び決めた。

 

 

 オーラス、照の親。

 ここに来て、とうとう照の連続和了のスイッチが入った。

「ツモ。500オール。」

 

 オーラス一本場。

「ツモ。800オール。」

 

 オーラス二本場。

「ツモ。1200オール。」

 

 オーラス三本場。

「ツモ。2300オール。」

 たしかに点数が上昇している。

 

 そして、オーラス四本場。とうとう照の右腕に竜巻が生じた。もう止められない。この局も、

「ツモ。4400オール。」

 照が和了り、これで照が一気に2位まで追い上げた。

 

 

 この時の各選手の点数は、

 1位:咲 36800

 2位:照 30400

 3位:怜 26800

 4位:小蒔 6000

 南入時点から大きく順位が入れ替わった。しかも、

「五本場!」

 照がさらなる連荘を宣言した。次に照が和了ったなら、点数は最低でも親ハネ五本場の19500点になる。

 

 そして、この局、

「リーチ!」

 とうとう照が逆転トップを狙ってリーチをかけてきた。




おまけ

援交していそうなアニメキャラ絶対王者陥落記念&王者復帰祈念と言うことで書いてみました。

咲 -Saki-とユリア100式のクロスオーバーです。
下品な内容ですので趣味に合わない方はスルーしてください。

本作は、マトモに書くと余裕でR-18になります。そのため、R-18に突入しそうになった時点で染谷まこの時間軸超光速跳躍が発動します。
また、憧100式の発明者として阿笠博士に特別出演していただきます。一応、灰原哀と江戸川コナンも登場させます。
今回は半分くらいコナン側な気がしますが…。


また、憧100式のサブタイトルは、出来るところまで本編のサブタイトルに合わせて付けてみたいと思います(語呂とか雰囲気とか)。
ただ、本編のサブタイトルは憧100式の内容を完全に無視してつけておりますので、正直なところ憧100式のサブタイトルは非常に無理が出ております。その点、ご了承ください。



憧 -Ako- 100式 流れ一本場:妄想・性戦 哀vsコナンvs京太郎vs究極のダッチ〇イフ


阿笠博士の研究室中央には大きな円形のベッドが置かれていた。昔流行った回転ベッドのようだが…。
そこには、一人の美しい女性が裸で仰向けに寝かされていた。
いや、正しくは、その女性は博士の科学力の全てを結集したカラクリの類いであった。


哀「博士、またそんなモノ造って…。そんな感じの娘が趣味なの?」

博士「別にイイじゃろ。それより哀君の方はどうなのかね?」

哀「望みの薬は出来たわ。あとは、工藤君に飲ませて、江戸川君をエロカワ君に変身させるだけ。」

博士「そうか。そっちも順調なようで何よりじゃ。でも劇薬なんじゃろ?」

哀「まあね。」

博士「くれぐれも、悪用するんじゃぞ!」←言葉じり注意

哀「分かってるわよ。でも、博士のほうも、随分リアルに造ったわね。」

博士「じゃなきゃ面白くないからのぉ。まあ、哀君がワシの相手をしてくれるなら、こんなモノは造らんのじゃが…。」

哀「イヤよ。まあ、工藤君の存在を知る前に博士にお世話になっていたら考えが違っていたかもしれないけど。」

博士「それは残念じゃのう。」

コナン「灰原ぁ。いるかぁ?」

哀「じゃあ、こっちはターゲットが来たから、絶対に私の研究室の方には来ないでよ!」

博士「わかっとる。ワシには、この憧100式の完成の方が重要じゃ。」

哀「100式って? 1式から99式は何処にあるの?」

博士「あの棚の上とか、物置の中とかじゃ。」

哀「ああ、あの、オ〇ホとか、吉田さんに似せて造ったダ〇チワイフとかね。」

博士「哀君タイプもあるんじゃぞ!」

哀「それは昨日、壊したわ。」

コナン「おい、灰原ぁ!」

哀「ちょっと待って。今行くから。」


哀は、コナンを地下の自分の研究室に連れて行った。
そして、怪しいカプセル錠をコナンに渡した。


コナン「これを飲めば、俺は元の姿に戻れるのか?」

哀「正確に言うと、貴方を工藤君と江戸川君の二人に分裂させるの。」

コナン「なんだ、それ?」

哀「どうしてもAPTX-4869の影響からは逃れられないの。でも、分裂したうちの片方だけにAPTX-4869を濃縮させて、もう片方はAPTX-4869のない身体にするのよ。」

コナン「じゃあ、俺は二人になるけど、片方は工藤新一には戻れるんだな?」

哀「そうよ。」

コナン「じゃあ、早速…。」

哀「ちょっと待って。これを飲む前に三つ約束して欲しいことがあるの。一つ目は、工藤君になった側は蘭さんとくっつけるけど、江戸川君になった側は、蘭さんを諦めて江戸川君として生きてもらうこと。」

コナン「まあ、それは仕方がないな…。」

哀「二つ目は、江戸川君になった側は、私をこれからも守ってくれること。」

コナン「俺が?」

哀「以前、守ってくれるって約束したでしょ!」

コナン「そう言えば、そんなことあった気が…。」

哀「そして、三つ目は、これは私もだけど…。この世に存在する人間としてキチンと登録すること。これは、FBIに全てを話して何とかしてもらうとするわ。」

コナン「しかし、最後のは…。」

哀「それができないなら、この薬は、お・あ・ず・け!」

コナン「分かったよ。全部、お前の言うとおりにするよ。じゃあ、飲ませてもらうぞ!」


コナンは、哀の指示で、培養液で満たされたビニールプールの中に入った。
そして、その薬を飲むと、コナンの身体の表面が次第に茶色く変化して行った。
まるで幼虫が蛹に変わって行くようだ。
全身が茶色くなると、コナンの動きが止まった。
そして、コナンの身体が培養液を吸収し、ドンドン膨張していった。

その数時間後、かつてコナンと呼ばれていた物体………蛹のように変化したモノが割れて、中から一人の高校生と一人の小学生が出てきた。
たしかに彼らは、間違いなく工藤新一と江戸川コナンであった。
ただ、何故か二人の股間はエ〇クトしていた。


哀「(バイ〇グラも混ぜておいたからね!)」

新一「よし。これで蘭と一緒にいられるぞ。ラ―――ン!」


新一は、喜び勇んで哀の研究室を飛び出していった。


コナン「おい、ちょっと待て! 俺が新一じゃないなんて、卑怯だぞ!」

哀「卑怯も何も無いわ。こうなるだろうと思って、薬を飲む前に約束させたのよ。もう、貴方は工藤新一じゃない。江戸川コナンなの。」

コナン「でもよう。」

哀「それに、こんなとこ勃てて。ええと、長野の染谷まこさんは居るかしら?」

まこ「なんじゃ? 誰か呼んだか?」


これにより、時間軸の超光速跳躍が発動した。そして、気が付いた時には、既に事後になっていた。つまり、コナンは哀に誘われてヤっちゃったらしい。


コナン「(やべぇ。灰原とヤッちゃった。蘭、俺は…。)」

哀「もし、江戸川コナンでいるなら、私が毎日させてあげるわよ。」

コナン「でも、俺は蘭が…。」

哀「蘭さんは、もう片方の貴方が相手をするわ。でも、何時になったら出来るかしらね。当分ムリじゃない? 互いに、それができる性格なら、もうとっくにしてるでしょ?」

コナン「(鋭いな、こいつ。)」

哀「でも、私だったら何時でも…。」

コナン「灰原…。」

まこ「おい、誰かワシを呼んだか?」


まこのお陰で児ポにならずに済んだ。
コナンは、そのまま哀と楽しんだようだが…。

一方、博士の方は、


博士「これで、あとは電源を入れるだけじゃ。ただ、一度電源を入れるとオフに出来んからの。巧くイってくれ!」


博士が、憧100式の胸を触った。これがオンスイッチらしい。ただ、あくまでもオンスイッチであってオフスイッチの機能は無い。


憧「うーん。あれ? どうして私、裸………って、なんで男の人がいるのよ!」

博士「仕方がないじゃろう。君は、ワシが造った最高傑作じゃからのう。」

憧「造ったて、それってどういうこと?」

博士「はっきり言ってしまえば、君は人間ではない。ワシの科学力の全てを注ぎ込んで造り出した…。」

憧「(もしかして、ロボット?)」

博士「AI搭載の人型性欲処理具、自律型ダッ〇ワイフ、憧100式じゃ!」

憧「ええと、悪と戦うロボットとかじゃ…。」

博士「ダッチ〇イフ!」

憧「ええと、『正義の味方』とかじゃなくて?」

博士「強いて言えば、『性技のみの方』じゃの。」

憧「何なのよ、それ?」

博士「これが取扱説明書じゃ。」

憧「ってことは、私、売られるの?」

博士「そんなつもりは無いわい! ワシも、細かいところは忘れてしまうかもしれんからのぉ。それで書きとめたメモみたいなもんじゃ。」

憧「それって、まさか…。」

博士「ワシの下の世話のために造ったんじゃ。じゃあ、早速。」

憧「イヤ――――――!」


憧100式は、迫り来る博士に金的攻撃を仕掛けた。
股を押さえてうずくまる博士を横目に、憧100式は取扱説明書を奪い、その場にあった白衣を羽織って博士の家から飛び出したのだった。


憧「できるだけ遠くに逃げなきゃ。」


どれくらい走っただろう?
憧は、見知らぬ街………いや、誕生したばかりのダッチワ〇フにとっては、どの街も見知らぬ街にしかならない。
一先ず、それなりに遠く(徒歩レベル)に逃げた。

公園のベンチに座り、憧100式は、自分の取扱説明書に目を通した。
一応、偏差値70の高校に余裕で入れるくらいの頭脳は持っている。


憧「ええと、インプリンティング機能付きって、なにこれ?」


読んでみると、どうやら、最初にヤった男性(オーナー)専用になるらしく、他の男性が使おうとすると相手を感電させるらしい。
ただし、オーナーの命令であれば他の男性の受け入れは可能だそうだ。取扱説明書には、これを『スワッ〇ング機能』とか『NTR機能』とか書かれていたが…。

エネルギーは、普通に人間と同じ食生活で良く、特にロボ〇タンAとかを飲む必要は無いらしい。かなり都合よく出来ている。これなら、普通に人間として暮らしてゆける。

それにしても、おなかがすいた。
人間じゃないのに、造り物なのに、何故かおなかはすく。
エネルギーを補給しろと言うことなのだが…。


憧100式は、公園のブランコに一人で座っていた。
もう、夜10時を回っていた。
行くあてもない。
いや、一つだけある…、博士の家だ。しかし、博士の専用になるのは、なんかイヤだ。悪い人じゃなさそうだけど…。


男「おい姉ちゃん!」

憧「えっ?」

男「こんな夜中に、おい、お前、白衣一枚かよ!」

憧「(なんか、イヤらしい感じ。)」

男「俺と遊ぼうぜ!」

憧「ちょっとやめてよ。」

男「いいじゃんかよ、減るもんじゃなし!」

憧「減らないけど、イヤ(こんな人の専用になるのはイヤ!)」


たまたま近くを通りかかった京太郎の目に、この光景が映った。
カワイイ女の子が襲われそうになっている。これは助けないと…。


京太郎「おい、お前、何やってるんだ?」

男「何って、これからナニするんだよ!」

京太郎「嫌がってるだろ。おい、放してやれよ!」

男「んだと、こら!」

京太郎「染谷先輩の力を借りるぞ!」

まこ「なんじゃ、京太郎。なんか言ったか?」


次の瞬間、男の姿はなくなっていた。暴力的シーンを、まこの力ですっ飛ばしたのだ。
相変わらず便利な能力だ。


京太郎「大丈夫ですか?」

憧「は…、はい。」

京太郎「そんな格好で一人でいると危ないですよ。じゃあ、俺はこれで。」

憧「ちょっと待って。私、実は、行くあてが無くて…。一晩、泊めてもらえませんか?」

京太郎「えっ?」



続く

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