咲-Saki- 阿知賀編入   作:おこそとのほもよろを

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四十六本場:決着! 咲vs照

 昨年夏のインターハイ個人戦決勝卓前半戦。

 オーラス五本場、照の親。

 

 照がリーチをかける直前のツモで、怜は、

「(三巡先や!)」

 未来視能力を上限値まで上げた。

 ここで満貫をツモ和了りできれば、宮永姉妹と最強状態の小蒔を相手に念願のトップが取れる。

 たとえそれが前半戦だけだったとしても、もし達成できたら、この上ない快挙である。生涯自慢できるレベルであろう。

 ならば、多少の無理はして当然である。

 

 ルール上、鳴きが入ると、そこで一巡が過ぎたことにされる。これは、ポン、チーだけではなくカンにも適用される。

 しかし、怜の未来視では、鳴きは一巡とみなされない。どうやら、怜が次にツモるまでの出来事を一巡として扱われるようだ。

 

 ここで怜は、その後の展開を目の当たりにし、

「(ここで、とうとう出るんか!)」

 驚きの余り、目を大きく見開いた。

 それだけ衝撃的な未来予知だった。

 

 

 怜がツモってきた字牌を切った。

 同巡、咲はツモ牌を手に入れて{七}を切った。

 そして、咲の下家、照がツモ牌を手牌に入れ、別の牌………{①}を切って、

「リーチ!」

 前半戦最後の攻撃に出た。

 照の待ちは{四七}。

 誰もが、これで照の前半戦1位を確信した。この局で照が親ハネを和了って、咲を逆転すると…。

 たった『二人』の人間を除いて…。

 

 この照のリーチ宣言牌を、

「ポン!」

 咲が鳴いた。そして、ここで躊躇いなく{八}を切った。これは照の和了り牌ではなかったし、一方の小蒔も何も仕掛けて来なかった。

 萬子一直線の小蒔には、常に萬子は危険牌であると思うが、まだ小蒔は一向聴だった。

 また、これで咲は{七八}を順に切ったわけだが、照が聴牌する直前に{七}を処理していたことになる。これはこれでナイスプレーであろう。

 

 続いて照は{9}をツモ切り。すると、

「カン!」

 今度は、咲がこれを大明槓した。嶺上牌は{①}。

「もいっこ、カン!」

 当然のように、咲は、これを加槓した。続く嶺上牌は{南}。

「もいっこ、カン!」

 これを、暗槓して、咲は三枚目の嶺上牌をツモった。そして、

「もいっこ、カン!」

 とうとう四つ目の槓を晒した。{西}の暗槓だ。

 王牌には、四枚目の嶺上牌が残っていた。咲は、これをツモると、

「ツモ! 嶺上開花! 四槓子。33500。」

 最も出る確率が低いとされる役満を四連槓後の嶺上開花で和了った。

 しかも待ちは{四}単騎。照の待ち牌のもう片方。

 まさに奇跡的な和了りだ。

 

 怜が未来を見て驚いたのは、まさに、この四槓子だった。それも、チャンピオン宮永照の責任払いである。

 

 以上の結果、前半戦の順位と点数は、

 1位:咲 69800:+60

 2位:怜 26800:-3

 3位:小蒔 6000:-24

 4位:照 -2600:-33

 まさかの照のトビで終了となった。誰も予想していなかった結果である。

 

 

 一旦、ここで休憩となった。

 対局室の外では、和が咲を迎えに来てくれていた。

 咲は、恐らく休憩時間にトイレに行くだろう。しかし、それで迷って対局室に戻れなくなっては困る。

 それで、和が迷子対策に、ここまで来てくれていたのだ。

 咲は、対局室を出ると和と手を繋いでトイレの方へと向かっていった。傍目には必要以上に仲良く見えるだろう。

 

 一方、前半戦を観戦室で見ていた初美は、

「最強の神様を降ろした姫様が勝てないなんて。ないない!…。そんなの……っ!」

 と悔しさを露わにしていた。

 

 

 一旦トイレで用をたした後、咲は、自販機でレモン水を購入した。

 別に出した分を補給するわけではない。緊張からくる喉の渇きを潤すためだ。

 自販機の中には、白築慕が大好きな『つぶつぶドリアンジュース』も置かれていたが、この頃の咲は、つぶつぶドリアンジュースを気にも止めていなかった。

 まあ、視界に入っていなかったが正しいのだろうが…。

 

 それを意識するようになるのは、慕が監督として率いる世界大会メンバーに選ばれてからである。

 まあ、何かにつけて慕が勧めてくるので、その物の存在が咲の脳内にインプットされたからなのだが…。

 

 

 咲は、前半戦で大勝利を得たが、まだ気が抜けない。

 相手は自分の打ち方を良く知る姉だ。それに、咲自身、姉の強さをイヤと言うほど理解している。

「後半戦はお姉ちゃんが飛ばしてくるだろうな。」

「そうですね…。」

「…。」

「咲さん。」

「なぁに? 和ちゃん。」

「もし、これで優勝できるのでしたら…、あの…、してもイイですよ。」

「えっ?」

「だからアレを…。」

「アレって?」

「だから、アレ…。」

「してもイイの?」

「はい…。」

 

 当然、この和と咲の会話を傍で聞いていた第三者の方々は、

「(この二人、デキてる?)」

 と思ったのは言うまでも無い。まあ、元々そんな風に見えていたのだから、この会話で拍車をかけることになるのは必至だろう。

 

 しかし、ここで言うアレとは、別にHな意味ではなく、プラスマイナスゼロのことであった。

 

 咲と照の点差は93点。かなり大きな差だ。

 もし、後半戦で咲がプラスマイナスゼロを達成し、且つ照が小蒔と怜の点棒を共に0点にした上で子の役満を和了れたとする。

 この場合、照は+92になるが、前後半戦のトータルは+59となり、咲の+60にはギリギリ届かない。

 

 一応、後半戦で咲がプラスマイナスゼロを達成しても、小蒔と怜の点棒を共に0点にした上で照が親の三倍満を和了れば咲を逆転できる計算にはなる。

 しかし、このような点数調整を照は出来ない。そんな都合の良い展開をプロデュースできる人間は、むしろ咲くらいだろう。

 

 つまり、咲がプラスマイナスゼロを達成した段階で照が+94以上を叩き出すのは極めて困難と言える。

 言い換えれば、後半戦でプラスマイナスゼロを達成すれば、咲が優勝できる可能性は極めて高いと言うことだ。

 

 逆に照は、咲のプラスマイナスゼロを破り、咲を凹ました上でトップを取るしかないだろう。

 93点差を埋めるのは容易なことではない。

 

 

 後半戦開始時間ギリギリになって、咲が対局室に戻ってきた。

 いや、正しくは『和が咲を送り届けた』である。

 

 場決めがされ、後半戦も前半戦と同じで、起家が小蒔、南家が怜、西家が咲、北家が照に決まった。

 

 

 東一局、小蒔の親。

 もう照は東一局で様子見をしない。最初からエンジン全開だ。逆転勝利に向けて何が何でも第一弾の和了りを決めに行く。

「ポン!」

 相変わらず萬子一直線の小蒔が捨てた{6}を照が鳴いた。そして、その数巡後、

「ツモ。タンヤオのみ。300、500。」

 俗に言うゴミ手だが、照が念願の第一弾の和了りを決めた。

 

 

 東二局、怜の親。

 ここでも照が、

「ツモ。500、1000。」

 安手を和了った。勿論、安くても前局の和了りより点数が上昇していた。この点数上昇が照の和了の特徴だ。

 咲も怜も小蒔も、手を打つ前にサクッと照に和了られた感じであった。やはり、第一弾の和了りを許すと、その後の照の和了りを阻止するのは非常に難しくなる。

 

 

 東三局、咲の親。

 この局も、

「ツモ。1000、2000。」

 照が和了った。そろそろ、照の右手に竜巻の予兆が見え始める。

 

 

 東四局、照の親。

 ここでも、

「ツモ。2000オール。」

 やはり、早々と照が和了った。照の聴牌速度が、回を追う毎にドンドン加速している感じがする。

 

 そして、東四局一本場も、

「ツモ。3300オール。」

 照が早い和了りを見せた。

 ただ、ここでは、まだ打点を敢えて抑えているのか、満貫には達していなかった。

 

 続く東四局二本場。

 ここで、とうとう照の右手に激しい竜巻が発生した。そして、

「ツモ。4200オール。」

 いよいよ和了りが親満に達した。ここから、さらに親ハネ、親倍と続いて行くだろう。

 

 この時点での後半戦の点数は、

 1位:照 60600

 2位:小蒔 13500

 3位:怜 13200

 4位:咲 12700

 前半戦終了時と、順位が完全に逆であった。

 

 東四局三本場。

 ドラを多数抱えるとか染め手とかに走らない限り、照としても、そろそろ打点を上げるのが厳しくなっている。

 この局、照は平和タンヤオドラ2で聴牌したが、これをツモ和了りしても前局と同じ点数となる。そのため、

「リーチ!」

 彼女は仕方なくリーチをかけた。打点上昇が縛りとなっている故のリーチだ。

 

 打点上昇は、和了れば他家にとっては脅威だが、途中から和了る条件が厳しくなる。これが照の能力の欠点とも言えるだろう。

 前半戦では、ここを咲に狙われた。

 

 下家の小蒔は相手の和了り牌が分かる。なので、照の和了り牌で無ければ、それが無筋だろうが初牌だろうが平気で捨てられる。

 この時、小蒔はツモってきた{3}を捨てた。しかし、

「カン!」

 この牌を狙っていた者がいた。

 咲は、この{3}を大明槓すると、嶺上牌で、

「ツモ。嶺上開花ドラドラ。5200の三本場は6100です。」

 華麗に嶺上開花を決めた。

 しかも、{9}を暗刻で持っており、タンヤオすら付かない。40符だが嶺上開花以外の和了り役の無い和了りだった。

 これで、一先ず照の連続和了を止めた。

 

 

 南一局、小蒔の親。

 連続和了を止められて、照の手の進みが遅くなった。

 怜は、ここがチャンスと踏んで三巡先を見た。

「(やっと行けそうやな。)」

 そして、

「ポン!」

 小蒔が捨てた{南}を鳴き、その二巡後に、

「ツモ! ダブ南ドラ2。2000、4000!」

 満貫をツモ和了りした。

 これで、小蒔の点数が3400点まで落ち込んだ。

 

 

 南二局、怜の親。

 今まで萬子一直線………殆どの局で萬子の清一色または純正九連宝燈一辺倒だった小蒔が、ここで混一色に方針を変えた。

 手を下げても良いから、一旦和了って点数を持ち直したいと言ったところだろう。

 まあ、それでも染める色は萬子なのだが…。

 小蒔は、順調にムダツモ無く字牌と萬子を重ね、

「ツモ。メンホン南北。3000、6000!」

 ハネ満をツモ和了りした。

 

 

 南三局、咲の親。

 照としては、ここで咲に和了らせてはならない。

 せっかく咲の点数が15000点を割っているのだ。ここで咲に和了らせたらプラスマイナスゼロをやりやすくさせてしまうだろう。

 むしろ照の立場からすれば、ここで第一弾の和了りを決め、そこから親での連続和了に持ち込みたいところだ。

 

 この時点で後半戦の点数は、

 1位:照 54600

 2位:小蒔 15400

 3位:怜 15200

 4位:咲 14800

 

 照は、ここを安手で良いから流した後、連続ツモ和了りで他家三人から8000点ずつ取れれば逆転優勝できる。

 例えば、ここでゴミ手をツモ和了りした後、オーラスで親倍をツモ和了りすれば、後半戦の点数は、

 1位:照 79700:+70

 2位:小蒔 6300:-24

 3位:怜 6900:-23

 4位:咲 7100:-23

 

 よって、前後半戦のトータルは、

 1位:照 +37

 2位:咲 +36

 3位:怜 -26

 4位:小蒔 -47

 となり、照は咲を逆転できる。

 

 当然、ここは何とかクズ手で良いから和了る。咲の親を流すと同時に、第一弾の和了を決める!

 照は、小蒔が捨てた{中}を、

「ポン。」

 鳴いて役を作り、その三巡後、

「ツモ。300、500。」

 中のみで和了った。

 

 

 そして、オーラス。

 照は、ここで稼いで逆転優勝を狙う。

 対する咲は、当然、止めに行く。

 ただ、この局で照は、咲からとてつもなく強大なエネルギーを感じ取っていた。

 忘れもしない。この感じはプラスマイナスゼロに向けた最終局で、いつも咲から放たれていた波動だ。

 

 咲は、序盤から、

「カン!」

 小蒔が捨てた{北}を大明槓した。そして、嶺上牌を取り入れて不要牌を切った。

 その二巡後、

「ポン!」

 今度は、照が捨てた不要牌、{南}を鳴いた。これで咲の手には南北の2翻が付いた。

 

 突然、照の手が進まなくなった。

 第一弾の和了りを決め、通常ならば、ここから手が加速して行くはずである。しかし、咲の放つプラマイゼロに向けた強制力が照の手に干渉し始めたのだ。

 

 そして、数巡後、

「もいっこ、カン!」

 咲が{南}を加槓した。嶺上牌をツモると、

「もいっこ、カン!」

 今度は{②}を暗槓した。続く嶺上牌で、

「ツモ!」

 嶺上開花を決めた。

 

 開かれた手牌は、

 {④⑤⑤⑥}  暗槓{裏②②裏}  明槓{南南南横南}  明槓{北横北北北}  ツモ{[⑤]}

 

「南北混一三槓子嶺上開花赤1。4000、8000!」

 

 中膨れの待ち。しかも、待ち牌は{[⑤]}二枚のみ。嶺上牌を知っていなければ別の聴牌形に取るであろう。

 

 これで後半戦が終了した。

 以上の結果、後半戦の点数は、

 1位:照 47700:+38

 2位:咲 30300:±0

 3位:小蒔 11100:-19

 4位:怜 10900:-19

 咲が予定通りプラスマイナスゼロを達成した。

 

 よって、前後半戦のトータルは、

 1位:咲 +60

 2位:照 +5

 3位:怜 -22

 4位:小蒔 -43

 咲が絶対王者の照を破り、個人戦を征した。この日から、咲が絶対王者として女子高生雀士のトップに君臨することになる。

 

 

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 遠い鹿児島の地から、霞、初美、巴が小蒔のことを見守る中、今年のインターハイ団体戦決勝先鋒戦が始まろうとしていた。

 

 場決めがされ、起家が小蒔、南家が憧、西家が和、北家が純に決まった。

 この時、既に小蒔からは咲や光に似たような雰囲気………周囲の者達の心まで破壊しかねない超魔物独特のオーラが放たれていた。




おまけ

咲 -Saki-とユリア100式のクロスオーバーです。
四十五本場おまけの続きになります。
本作は、マトモに書くと余裕でR-18になります。そのため、R-18に突入しそうになった時点で染谷まこの時間軸超光速跳躍が発動します。
また、憧100式の発明者として阿笠博士に特別出演していただきます。一応、灰原哀と江戸川コナンもムダに登場させます。


憧 -Ako- 100式 流れ二本場:密着? 憧&京太郎

哀「本当に江戸川君はエロカワ君ね。」

コナン「仕方ねえだろ。でも、俺はお前と違って初めてだったし。」

哀「失礼ね。私だって初めてだったわよ。」

コナン「えっ?」

哀「そんな『嘘!』みたいな顔しないでよ。ホントなんだから。だから、ちゃんと責任取ってよね。」


コナンと哀は、その後も仲良く保健体育の実習をしているらしい。多分、十数年後には結婚することだろう。

一方、阿笠博士は、


博士「憧100式に逃げられるとはのう。もう少し、AIに学習させんといかんな。性『技』ばかり気を取られて、性『格』の方もきちんと造っておかんとな…。」


博士は、どうやら憧100式の改良型を造り出そうとしているようだ。

さて、憧100式はと言うと、自分を助けてくれた京太郎が一人暮らししているアパートに転がり込んで………先ずは、一晩泊めてもらうことにした。

京太郎は、長野から大学進学のために上京していた。
女友達の咲も、この近くに住んでいるらしい。


京太郎「いつまでも白衣一枚ってわけには行かないだろうからさ。俺のジャージで悪いけど…。」

憧「ありがとう…。」

京太郎「で、夕食まだって言ってたよね。」

憧「うん…。」

京太郎「今、俺んとこ、カップメンくらいしかないけど…。」

憧「べ…別に気にしないで…。」

京太郎「あとさ。さすがに男女二人きりはマズイと思ってさ。今日は俺、友達のところに泊まるからさ。」

憧「それは悪いわよ。」

京太郎「いや、別にイイって。」

憧「そんな、気を使わなくてもイイから…。転がり込んだのは私だし。」

京太郎「でも、一部屋しかないしさ。」

憧「別に、私は気にしないから。」

京太郎「(俺が気にするんだけどな…。)」

憧「それでね。カップメンって、私、食べたこと無いんだけど、どんな風に食べるの?」

京太郎「どこぞお嬢さんか?」

憧「別にそう言う訳じゃないんだけどね…。ただ、何も知らないだけ…。」

京太郎「お湯を注いで三分経ったら食べられる。」

憧「へー。便利な食べ物だね。」

京太郎「そんなんで感動されるとは思わなかったよ。」


早速、憧100式はカップメンを食した。誕生して初めての食事だ。
一口食べて憧100式が思ったことは…、


憧「(私、造り物のダッチ〇イフのクセに味が分かる。確かに美味しいわね、これ。)」


さすが阿笠博士が自分の持つ科学力の全てを注ぎ込んだと言うだけのことはある。味覚を持つダッチワイ〇だったとは…。


取扱説明書:憧100式は、オーナーから放出される種々体液の味を他の人のものとキチンと見分けるくらいの鋭い味覚を持っています。


京太郎「じゃあ、そろそろ、俺。シャワー浴びてくる。別にイヤらしい意味じゃなくてさ。」

憧「分かってるって。でさあ。一緒に入る?」

京太郎「何でそうなるんだよ!」

憧「(あれ? 私、いったい、なんでそんなこと言ったんだろう?)」


取扱説明書:憧100式は、自分から相手にHなことを求めて行く機能が付いています。


京太郎「じゃあ、さっさと浴びてくる。」


京太郎は、その後、五分程度で戻ってきた。
憧100式も、カップメンを食べた後で一応シャワーを浴びさせてもらったが………、ただ、何故かジャージを着ないで素っ裸で戻ってきた。


取扱説明書:憧100式は、シャワーを浴びると臨戦態勢に入ります(Hな意味で)。


京太郎「お…。おい。服着ろよ。」

憧「えっ? あっ? うん…。」


一先ず、正気を取り戻した憧100式は、さっきのジャージを着た。


憧「(私、どうしたんだろ? なんか、記憶が飛んだみたいになっちゃって…。)」

京太郎「じゃあ、俺。明日大学あるし、そろそろ寝るからさ…。」

憧「はーい。」


しかし、憧100式は全然寝付けないでいた。
もう夜遅いのに、ドンドン目が冴えて行く。
まるで、これからが自分の活動時間帯であるかのように…。


取扱説明書:憧100式はオールナイト設定のため、基本的に夜行性です。


憧「(ヤバイ。なんだか私、変…。)」

憧「(Hしたい…。)」

憧「(どうしよう、これ…。なんだか、私が私じゃなくなるみたい…。)」


取扱説明書:機能確認のため、憧100式は起動後、速やかにお使いください。


憧「(ああ、もうダメ。京太郎、ゴメンナサイ…。)」


憧100式はジャージを脱ぎ捨てると、京太郎の上にまたがった。そして…、


まこ「これ以上はマズイじゃろ!」


時間が飛んだ。
既に事後になっていた。


京太郎「(マズイよ、俺。今日知り合ったばかりなのに、まさか、この娘とヤっちゃったなんて…。でも、結構かわいいし、このまま恋人にってありなのかな?)」

憧「あの…、ゴメンね。なんか私の方から…。」

京太郎「いや、俺のほうこそ…。実は、初めてだったんだけどね…。」

憧「偶然ね。私も初めてだったんだけどね(これで、京太郎がオーナーか)。」

京太郎「(それは嘘っぽいけどな)でさあ、こういうことしちゃってから言うのもなんだけどさ、俺達恋人に…。」

憧「それはムリかな。(私、人じゃないからね、恋『人』はさすがに…)」

京太郎「えっ?」

憧「でも、ヤりたい時は、何時でもシていいからね!」

京太郎「それって、セ〇レってこと?」

憧「ああ、ちゃんと言ってなかったわね。あのね…。」


憧100式が京太郎の手を取った。そして、先ず、京太郎の手を京太郎の胸に当てさせた。
京太郎の激しい鼓動が手に伝わってくるのが分かる。


憧「京太郎の心臓の音、するでしょ?」

京太郎「そりゃ、当然だろ。」

憧「でもね…。」


憧100式が京太郎の顔に両手で触れ、そのまま京太郎の耳を自分の左胸に当てさせた。
京太郎は、憧100式の胸に当たって一瞬喜んだが、その後、違和感を覚えた。
心臓の音が聞こえないのだ。
代わりに、モーター音のようなものが聞こえる。


京太郎「なんだ、これ?」

憧「実はね、私、人間じゃないのよ。今日、完成したばかりの…。」

京太郎「ロボット…。」

憧「ええとね。製作者に言わせると、私はAI搭載の人型性欲処理具、自律型ダッ〇ワイフの憧100式…。」

京太郎「へっ?」

憧「つまり、私は大人の玩具なの!」

京太郎「えぇー?」

憧「でね。初めて使った人が私のオーナーになる仕組みになっていて…。これが取扱説明書。一応、渡しとく。」

京太郎「…。」

憧「なので、これからも末永くお使いください。」

京太郎「オーナーって、俺が?」

憧「そうよ。私は、京太郎専用の玩具になったんだからね。」

京太郎「玩具って…。」

憧「あと、私は人間じゃないので、私との交わりは童貞喪失としてカウントされないから! その辺、勘違いしないでね!」

京太郎「(なんか、この展開に付いて行けない…。)」


何はともあれ、オーナーを見つけた憧100式でした。



続く
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