控室では、玄の三元牌支配の検証が続いていた。
東一局四本場、親は咲に代わってゆい。
今回も、晴絵、恭子、ゆいの手には三元牌が回らなかった。やはり、玄が全て揃えているようだ。
つまり、三元牌支配最終形は、和了れなかった場合は次の局に持ち越される。こうなると、咲のような化物でもない限り、玄に和了らせない方法は一つだけだろう。
「チー!」
ゆいが恭子に鳴かせ、
「ロン!」
そのまま、ゆいが恭子に差し込んだ。これで、場を進めたのだ。
東二局、恭子の親番。
さっきと同様に、ただ流すだけでは三元牌支配は、そのまま継続されるようだ。
「(なら、ゆい。分かってるな!)」
「(はい、コーチ!)」
恭子とゆいが、互いにアイコンタクトを取った。
この局は、
「ポン!」
恭子がゆいに鳴かせた。そして、
「ツモ。1000、2000!」
そのまま、ゆいに和了らせて場を流した。
決勝次鋒戦の相手には永水女子高校の滝見春と龍門渕高校の沢村智紀がいる。この二人なら、場を流して玄にトップを取らせないように動いてくるだろう。
他校にとって玄にトップを取らせることはタブーである。中堅戦で咲を破らない限り阿知賀女子学院の勝ち星二が決まると言っても過言ではないからだ。
一応、永水女子高校中堅の明星は、自らの能力で咲を破るつもりでいるが、彼女でも咲に勝てる保証は無い………と言うか難しいだろう。
ならば、永水女子高校にとっても龍門渕高校にとっても、下馬評どおり光にトップを取らせた方がマシと言える。
そう読んで、恭子とゆいは、春と智紀の共闘をシミュレーションしていたのだ。
********************
******************************
****************************************
玄は、昨日の検証対局のことを思い出していた。
東一局で親役満を和了っても、まだ対局は終わりでは無い。ここから逆転を狙って、とんでもない闘牌を見せるであろう人間………光が自分の上家にいるのだ。
東一局一本場、玄の連荘。
玄の手の中で{中}が重なって行く。白と發は来ないが、これは三元牌支配のための準備期間に入ったことを意味する。
昨日の検証対局のお陰で、玄は七回の三元牌支配が可能な状態に仕上げていた。普通に考えたら、恐らく七回も必要ないのだが………、物凄い念の入れようだ。やはり、光が相手だからであろう。
一方、光は、
「(この局は行けそうだけど、少し無理しなきゃならないみたいだね。)」
玄が大三元を和了ったことで支配力が弱まったのを感じ取っていた。ただ、前局のような強大な力ではなくなったとは言え、何か嫌な予感が拭えない。
「(準決勝の時とは違って、まだ支配そのものは消えていないんじゃないかな。だとすると、多分、次がある!)」
この時、光は、今回は2クール目があると考えていた。となると、次に大三元が飛び出す前に、前局の失点分をある程度取り返しておきたい。
どうやら、予想していた以上にキツイ戦いになりそうだ。
光は、初っ端から和了り役の縛りを2翻に上げ、力を指先に集中した。そして、
「ツモ。平和タンヤオドラ3。3100、6100!」
ハネ満をツモ和了りした。
東二局、春の親。
ここでの光の縛りは3翻。
「ポン!」
光は場風の{東}を鳴き、
「ツモ。東混一ドラ3。3000、6000!」
前局同様にハネ満をツモ和了りした。これで玄との差は15400点。次の和了り………和了り役4翻+ドラの和了りで追いつけそうな感じになってきた。
東三局、智紀の親。
ここで再び、玄の三元牌支配完全形が発動した。
光は、玄から強力なオーラが放たれているのを感じた。これは、まるで咲か照を相手にしているような雰囲気だ。
恐らく、この局は玄に持って行かれるであろう。しかし、トータルで勝つための情報をきちんと得ておきたい。
そう思いながら、光は玄を観察した。
八巡目、玄の手牌の中には、既に{白}が三枚、{發}が四枚、{中}が四枚揃っていた。そして、次のツモで一向聴になった。
「カン!」
先ず、玄は{中}を暗槓した。嶺上牌をツモって聴牌。
「もう一つ、カンです!」
続いて、玄は{發}を暗槓した。嶺上牌は{白}。当然、
「もう一つ、カンします!」
まるで咲のように玄が三連槓した。ここで副露されたのは{白}の暗槓。そして、次の嶺上牌で当然のように、
「ツモ。嶺上開花! 8000、16000!」
大三元を和了った。東場のみで、まさかの役満二回和了だ。
この和了りで、玄は光に大きな差をつけた。
東四局、光の親。
光は、またもや玄の支配力が弱って行くのを感じた。東一局の直後と雰囲気が似ている。ならば、ここで稼がせてもらう。
幸運なことに親番だ。
今回も、光は2翻スタートで行くことにした。ただ、念のためリーチだけはかけないようにする。万が一、大三元に振り込んだら取り返しが付かないからだ。
この局、光の手は平和形に伸びて行った。そして、
「ツモ。平和タンヤオドラ3。6000オール!」
親ハネをツモ和了りした。
東四局一本場。
ここで光は、
「ポン!」
自風であり場風でもある{東}を鳴いた。これで2翻が確定した。そして、
「ツモ! ダブ東三色ドラ3。6100オール!」
ここでも親ハネをツモ和了りした。
問題の東四局二本場。
ここで光は、東一局や東三局と同じ空気を玄から感じ取った。
東四局と東四局一本場は、玄が攻撃してこない局………、つまり光が和了って差を縮めるチャンスであった。
しかし、ここで再び玄が攻撃態勢に入っている。
「(どうやら、二局おきに大三元支配が来るみたいだね。それと、準決勝を含めて大三元を和了る時に、必ず三元牌全てを暗槓していた………。)」
もし、三元牌による三槓子が能力発動条件の一つであるならば、それを潰してしまえば良い。
今度の光の和了り役は4翻。ならば、試してみよう。
「ポン!」
光は、今回も{東}を鳴いた。そして、次巡で春が捨てた{②}を、
「カン!」
大明槓した。別に、光には嶺上開花で和了る能力は無い。ただ、今回の嶺上牌は有効牌だったようだ。それを取り込んで{①}を捨てた。
そして、そのさらに数巡後、
「カン!」
光が智紀の捨てた{北}を大明槓した。咲と同じ選択をしたのだ。これで、玄は三元牌全てを暗槓することができなくなった。
残念がる玄の表情を見て、光は確信した。
「(やっぱり、三元牌の三槓子が必要みたいだね。さすがに、カンを毎回二つ作るのは咲じゃなきゃできないけど、でも、一応糸口は掴めたかな?)」
一方、玄の手牌は、その数巡後には十枚が三元牌で占められることになった。これでは身動きが取れない。
そして次巡、十一枚目の三元牌ツモってきた。そして、嫌々切った牌で、
「ロン。ダブ東対々ドラ2。18600!」
玄は光に振り込んだ。
これで、光は玄を逆転してトップに立った。
東四局三本場。
ここでも光は、
「カン!」
オタ風の{西}を春から大明槓した。とにかく、玄の三元牌による三槓子を許さない状況に逸早く進めようとの魂胆だ。
続いて光は、
「カン!」
智紀が捨てた{①}を大明槓した。これで、玄は三元牌の三槓子が出来なくなった。
それでも玄の手牌には三元牌が揃ってゆく。そして、十二枚目の三元牌をツモって来た時、仕方なく、
「カン!」
玄は{中}を暗槓した。ここで新たに示されたドラ表示牌は{⑨}。つまり、光の{①}の明槓が、全てドラに変わった。
そして、嶺上牌をそのままツモ切りしたところ、
「ロン。ダブ東混一チャンタドラ4。24900。」
光に振り込んでしまった。
この段階での中堅戦の順位と点数は、
1位:光 172100
2位:玄 100100
3位:春 63900(席順による)
4位:智紀 63900(席順による)
玄は、初っ端に和了った親役満の分を、ほぼ全て光に奪われたことになる。
しかし、玄は、まだまだ意気消沈していなかった。それどころか、次は絶対に和了ると自身にカツを入れていた。
東四局四本場。
ここでも光は、
「カン!」
春が捨てた{三}を大明槓した。しかし、たとえ大明槓でも、毎回二つ作るのは困難だ。今回は、さすがの光も二つ目の槓をできずにいた。
「(やっぱり、この方法は咲じゃないとムリだな…。)」
光がそう思っていた矢先、
「カン!」
玄が{中}を暗槓した。そして、嶺上牌を引くと、
「もう一つ、カンします!」
{發}を暗槓した。玄は、次の嶺上牌を引くと、
「もう一つ、カンなのです!」
最後の三元牌、{白}を暗槓した。
これで、もし玄が嶺上牌で和了れなければ四開槓が成立する。しかし、光には、その希望すらないことが分かっていた。
今、玄から感じるオーラは咲に匹敵する。玄が嶺上牌に触れた時点で、
「(ここまでか…。)」
光は手牌を伏せた。
「ツモ! 嶺上開花! 8400、16400です!」
今回も玄は、嶺上開花で大三元を和了った。
まだ、22000点以上、光に点差をつけられているが、もう一回大三元を和了れば玄は光を追い抜ける。
玄は、この和了りで舞い上がることなく、気合いを入れ直した。
南入した。
南一局、玄の親番。
再び玄の支配が弱まった。しかし、これは三元牌支配完全形に向けての準備期間に過ぎないことを光は悟っていた。
明らかに準決勝の時とは違う。準決勝では一回しか出来なかったことを、たった一晩で連発できるように、玄は、さらなる進化を遂げてきたのだ。
さすが恭子と晴絵に支えられたチームだ。
次に玄の支配が最大になるのは、恐らく南三局だろう。光は、そこまで力を温存することにした。
この局では、春が、
「ポン!」
とにかく、
「チー!」
鳴きまくった。そして、
「ロン。タンヤオドラ3。7700。」
満貫級の手を春は智紀から出和了りした。
南二局、春の親番。
さっきの満貫和了りで、春はさらなる勢いをつけたいところだ。しかし、玄と光の支配が弱まっている今、動けるのは春だけではなかった。
「ロン。タンピンドラ2。7700!」
前局でのお返しとばかりに、智紀が春から直取りした。
結局、東四局四本場終了時点と変わらない点数で南三局を迎えることになった。
再び玄の支配力が上がるのを光は感じた。
南三局、智紀の親。
当然、光も玄を抑えるべく対抗する………かと思いきや、光は、様子見に出た。
今までは、玄に三元牌での三槓子を作らせないために大明槓を仕掛けていたが、この局では、そう言った動きをまるで見せなかった。
諦めたのだろうか?
春も智紀も、ここで役満を和了られては大変なことになる。
「カ…カン!」
仕方なく、春は智紀の捨て牌を大明槓した。
一方の智紀は、飽くまでもデジタルな打ち方主体で展開してゆく。当然、大明槓を仕掛ける気配は無い。
春は、二つ目のカンを何とかして作りたかった。しかし、そう安々と大明槓が出来るわけでもない。予め暗刻が出来ているところに、誰かが四枚目を捨ててくれなければならないからだ。
ポンしてから加槓するのもありだが、その場合は四枚目を自力でツモってこなければならない。
そうこうしているうちに、
「カン!」
玄が{中}を暗槓した。そして、嶺上牌を引くと、
「もう一つ、カンなのです!」
{發}を暗槓した。玄は、次の嶺上牌を引くと、
「もう一つ、カンですのだ!」
最後の三元牌、{白}を暗槓した。
これで、もし玄が嶺上牌で和了れなければ四開槓が成立する。状況は、東四局四本場の時と同じだ。しかし、
「ツモ! 嶺上開花! 8400、16400です!」
ここでも玄は、嶺上開花で大三元を和了った。
この段階での順位と点数は、
1位:玄 165300
2位:光 147700
3位:春 47500
4位:智紀 39500
玄に光を抜いてトップに立った。あとは、オーラスをノミ手で良いから蹴ることができれば、玄は、あの光を相手にトップで折り返すことが出来る。
当然、玄の志気が高まった。
しかし、対する光は落ち着いた表情をしていた。全て予定どおりと言いたげな顔だった。
そして迎えたオーラス。
玄の支配が弱まる局でもある。光は、これを待っていた。
「ポン!」
この面子の中で最も守りの弱い玄の捨て牌を鳴き、
「ツモ。タンヤオドラ4。4000オール!」
中盤に入る前に、光は親満をツモ和了した。
そして、
「一本場!」
光は連荘を宣言した。
オーラス一本場。
光は、三元牌支配の弱点が、準備期間の存在とドラが玄に一枚も行かない状態であることの二点と考えていた。
赤牌が入っているので、槓ドラ、裏ドラを除外しても、ドラは全部で八枚になる。一枚でもドラが行かないプレイヤーが一人いれば、その分、自分のところにドラがくる確率が上がる。
ドラが三枚揃えば満貫なる。それで、オーラスとオーラス一本場で、計二回の親満以上を和了りを決めれば良いと考えていた。
ここでも光は、
「ツモ。タンピンドラ2。4100オール! ここで和了り止めします。」
親満を和了り、次鋒前半戦の終了を告げた。
これで前半戦の順位と点数は、
1位:光 172000
2位:玄 157200
3位:春 39400
4位:智紀 31400
最後に光が玄をまくり、トップで折り返すことになった。
ただ、前半戦だけで四回の役満を和了り、あの怪物光と、ここまで善戦した玄の戦い振りは、審査員達の目に強く焼き付いたことだろう。
休憩時間に入った。
玄は、急いで控室に戻ると、
「美由紀ちゃん! ちょっと、今だけ私のワガママを聞いて欲しいのです!」
そう言って美由紀(宇野沢栞妹)を背後から抱きしめた。
「オモチベーション維持なのです!」
「キャッ!」
そして、玄は、両手で美由紀の胸を触り出した。堪能していると言うべきか?
さすがに恭子は、これを止めさせようとしたが、
「待ってください。」
咲が恭子を止めた。
「信じられませんが、美由紀ちゃんに抱きついたことで玄さんのパワーが上がっているんです。」
「へっ?」
咲の魔物カウンターの正確さは、恭子も身をもって知っている。
昨年インターハイ準決勝戦では、それでネリーや爽が何か仕掛けてくるのを、恭子も事前に察知できたからだ。
「多分、二~三分で済むと思います。」
「…。」
「でも、それ以上は、ただのセクハラです。」
「わ…分かった。」
この時、美由紀は、まるで背筋が凍るような何かを背後に感じていた。
少なくとも、それは玄のセクハラ攻撃によるものではなかった。咲が新入部員全員を洗礼とばかりに失禁させた時の雰囲気と似たモノを、この時の玄から感じ取っていたのだ。
まさに今、玄が超魔物の域に達しようとしている。
三分が過ぎた。
急に玄が、
「オモチオモチ…。」
と呟き出した。ここからは、単なるセクハラだろう。
「セクハラやめぃ!」
晴絵が、玄の頭をハリセンで叩いた瞬間だった。
おまけ
咲 -Saki-とユリア100式のクロスオーバーです。
四十九本場おまけの続きになります。
今回は、マトモに書くと余裕でR-18になります。そのため、R-18に突入しそうになった時点で染谷まこの時間軸超光速跳躍が発動します。
憧100式の発明者として阿笠博士に特別出演していただきます。灰原哀と江戸川コナンも登場しますが、この二人はストーリー上、特に登場する意味は全くありません。
憧 -Ako- 100式 流れ六本場 腹へる住人
哀「エロカワ君。そろそろ学校に行かないと。」
コナン「別に小学校の授業なんてヒマなだけじゃんか。」
哀「そうだけど、一応ね。」
コナン「俺は、学校より哀との〇〇〇〇のほうがイイ!」←〇〇〇〇はスゴロクです
哀「あのね。」
コナン「今日も、これから二十四時間耐久〇〇〇〇にチャレンジしてみないか?」←〇〇〇〇はスゴロクです
哀「もう、毎日そればっかりなんだから…。」
コナンと哀は、〇〇〇〇の合間に保健体育の実習をしているらしい。
〇〇〇〇は夜通しになることが多い………いや、ほぼ毎日夜通しのようだ。
小学生の身体には、徹夜は正直キツイはずなのだが、哀が発明した眠気覚ましが良く効いて24時間闘えるようになっている。
一方、阿笠博士の研究室中央に置かれた回転ベッドの上には、またもや一人の美しい女性が裸で仰向けに寝かされていた。
今回も、その女性は博士の科学力の全てを結集したニュータイプのカラクリの類いであった。飽きもせず、よくまあ造るものだ。
その名も、憧108式ver.姫子。
憧105式ver.淡からの更なる改良型だ。
博士「さすがに、二度も金的攻撃を食らったからの。今度は、あんな乱暴なことはしないようにAIを学習させてみたんじゃが…。これで巧くイってくれんかのぅ…。」
博士が、憧108式ver.姫子の胸を触った。毎度の如く、これがオンスイッチらしい。
ただ、あくまでもオンスイッチであってオフスイッチの機能は無い。これも毎度のことである。
姫子「うーん。あれ? どうして私、裸? ちょっと誰よ、あんた?」
取扱説明書:憧108式ver.姫子には、標準語‐方言切り替え機能が付いています。相手の言葉に合わせて方言が自動設定されます。
博士「ワシは、君の発明者。阿笠博士じゃ。」
姫子「発明者って、私は造られたの?」
博士「そう。君は人間では無いんじゃ。ワシの科学力の全てを注ぎ込んで造り出した…。」
姫子「(もしかして、サイボーグ?)」
博士「AI搭載の人型性欲処理具、自律型ダッ〇ワイフ、憧108式ver.姫子じゃ!」
姫子「なんなのそれ?」
博士「機種名は憧108式ver.姫子じゃが、普段の名前は憧と呼ぶと100式と間違えるでの。それで、憧105式ver.淡の時と同じく姫子と呼ぶことにする。」
姫子「サイボーグ戦士じゃないの?」
博士「ダッチ〇イフ!」
姫子「加速装置を使ったり、空を飛んだり、手からミサイルがでたり、視力や聴力が異常に発達してたりして、悪と戦う『正義の味方』じゃないの?」
博士「まぎれも無くダッチ〇イフじゃ! まあ、これも毎回言っているが、強いて言えば『性技のみの方』じゃわい!」
姫子「そんな…。」
博士「これが取扱説明書じゃ。」
姫子「それじゃ、私は売られるの?」
博士「売るつもりは無いから安心せい! ワシも、細かいところは忘れてしまうかもしれんので書きとめたメモみたいなもんじゃ!」
姫子「じゃあ、私は…。」
博士「ワシの下の世話のために造ったんじゃ。じゃあ、早速。」
姫子「これも天命ですか?」
博士「そうじゃ!」
姫子「では、ちょっと、その前にシャワーを浴びさせてもらえますか?」
取扱説明書:憧108式ver.姫子は、姉妹機である憧100式や憧105式ver.淡と同様にシャワーを浴びると臨戦態勢に入ります(Hな意味で)。
博士「そうじゃな。その方がワシの相手もしやすいじゃろう(臨戦態勢に入るからの!)」
姫子「では、少々お待ちください。」
そう言うと、憧108式ver.姫子は、何故か取扱説明書を持って博士の家の浴室に入っていった。
憧100式や憧105式ver.淡とは違って、憧108式ver.姫子は、博士への金的攻撃を仕掛けなかった。
彼女に搭載されたAIは、金的攻撃をしないよう博士が学習させていたためだ。
それから小一時間が過ぎた。
憧108式ver.姫子は中々浴室から出てこなかった。
痺れを切らした博士が浴室の扉を開けると、すでに、そこには憧108式ver.姫子の姿は無かった。どうやら、浴室の窓から外に逃げ出したらしい。
結果的に、今回も博士はAIの学習に失敗したようだ。
一方、憧108式ver.姫子は、タオルを身体に巻いていたが………、さすがにこの格好で外を出歩くのはマズイ。
一先ず、近所の家の庭に干してある洗濯物を拝借した。
姫子「ゴメンナサイ。きっと、後で返しに来るから。」
そして、憧108式ver.姫子は、この街から姿を消し、例によって憧100式や憧105式ver.淡と同じ街に逃げ込んだ。結局、姉妹機ゆえに同じパターンに落ち着くようだ。
憧108式ver.姫子もまた、憧100式や憧105式ver.淡と同じように公園のベンチに座り、取扱説明書を読んでいた。
姫子「オーナー…、インプリンティング機能…。NTR機能…、それから百合機能って、これなに?」
取扱説明書:憧108式ver.姫子は、本シリーズ初の百合機能を搭載しています。インプリンティング機能発動の際、女性の指を使うことにより百合機能は発動します。指の形状記憶と指紋認証によりオーナーを判断しますので、全ての指を順に五秒間ずつ挿入してください。
博士「ワシには百合機能は必要無いんじゃが、後々商品化する時のことを考えてのぉ。敢えてジェンダー選択可能な機種の開発にも挑戦してみたんじゃ!」
取扱説明書:なお、姉妹機である憧100式や憧105式ver.淡では、同様のことをしても百合機能は発動しません。
姫子「それにしても、おなかがすいたな…。ダッ〇ワイフなのに、なんでおなかがすくんだろ?」
取扱説明書:憧108式ver.姫子も、他の姉妹機同様にエネルギーは普通に人間と同じ食生活で問題ありません。ロボ〇タンAを用意する必要はありません。
憧108式ver.姫子は、公園を後にした。
気が付くと、あるアパートの前に来ていた。憧100式と憧105式ver.淡が転がり込んだアパートである。
結局、姉妹機ゆえか、同じ選択をするようだ。
彼女が、アパートの二階に上がった。
最初の部屋、201号室からは、
京太郎「憧! 俺、もう…。」←腹が減ってる
憧「イイよ♡ 京太郎♡」←ご飯を作ってあげるの意味
その隣の部屋、202号室からは、
淡「もう、俺君ったら早いんだから!」←夕飯を食べるのが早いの意味
俺「仕方ないだろ!」←それだけ腹が減ってた
姫子「中良さそうで羨ましい…。」←仲良さそうではない?
なんだか、憧108式ver.姫子には御盛んな男女の会話に聞こえたようだ。
姫子「もう、動けない…。」
憧108式ver.姫子は、そのさらに隣の部屋のドアに背中からもたれかかると、そのまま座り込んだ。
そして、まるで死んだように動かなくなった。
取扱説明書:憧108式ver.姫子はエネルギーが一定量以下になるとスリープモードに入ります。
夜の十時を回った。
そのアパートの住人が戻ってきた。今までアルバイトしていたのだ。
自分の部屋のドアにもたれかかって眠る憧108式ver.姫子の姿を見て声をかけた。
哩「どうかしたの?」←上京してきて、一応、標準語で話す努力をしている
哩「眠っているみたいね。この顔、私のタイプだわ。」←異性に興味なし
哩「一旦、部屋の中に入れて寝かせて…。」
その部屋の住人………哩は非常に親切な人だった。
憧108式ver.姫子を、一先ず自分の部屋で寝かせることにした。
哩は、憧108式ver.姫子が握り締めている取扱説明書に目が行った。
哩「なんだろ、これ?」
哩は、憧108式ver.姫子の手から取扱説明書を取り上げた。
そして、その中身を開いて見て驚いた………が、本気にする訳なかった。
AI搭載の自律型ダッチ〇イフ?
そんなものが常識的に考えて、今の世の中にあるはずが無い。
哩は、憧108式ver.姫子が、自分で設定した人物になりきって、遊び半分で取扱説明書を持っているものだと思った。
まあ、痛い趣味だなと…。
哩「百合機能? これは、ちかっと面白か!」←何気に少し方言が出てきている(間違ってたらゴメンナサイ)
取扱説明書:憧108式ver.姫子は、胸を三回揉むことでスリープ常態から目覚めます。ただし、スリープ解除後は、速やかに食事をお与えください。
哩が半信半疑で憧108式ver.姫子の胸を揉んだ。
すると、まるで冗談のように憧108式ver.姫子が目を覚ました。
姫子「おなかすいた…。」
哩「ああ、ちょっと待っててね。(本当に起きるとは思わなかった)」
取り急ぎ、哩は冷凍食品を温めた。
哩自身はバイト中に賄いを食べてきたし、この時間から無理に食べようとも思っていなかったので夕飯の用意はしていない。
一応、パンを買っていたが、これは明日の朝食分だ。
哩「おまたせ。」
姫子「ありがとう。では、いただきます。」
哩「それにしても、憧108式ver.姫子ってなんなの?」
憧108式ver.姫子が食べながら答えた。
姫子「これが私の正式名称のようです。」
哩「はぁ?」
姫子「私は、ある科学者によって造られたAI搭載の人型性欲処理具、自律型ダッ〇ワイフ、憧108式ver.姫子。」
哩「そぎゃん設定になりきって遊ぶのは痛くなかか?」←方言が出てきた
姫子「遊びじゃなかとです!」←標準語‐方言切り替え機能による
憧108式ver.姫子が哩の顔に両手で触れ、そのまま哩の耳を自分の左胸に当てた。
哩は違和感を覚えた。心臓の音が聞こえず、代わりにモーター音のようなものが聞こえてくる。
哩「なんなの、これ?」
姫子「ですから、私は人間じゃなく、ダッチワ〇フなんです。今日、完成したばかりの…。」
哩「本当だったの?」
姫子「はい…。」
哩「じゃあ、百合機能と言うのも?」
姫子「お望みとあれば…。」
まこ「ここからはマズイじゃろ!」
まこの時間跳躍のお陰で大事な場面はすっ飛んだが、これで憧108式ver.姫子は、無事にオーナーを見つけることが出来た。
続く