春季大会は、秋季大会と同じで赤ドラ4枚入りでダブル役満以上ありのルールだった。ただし、単一役満でのダブル役満は認められない。
大明槓からの嶺上開花は、インターハイとは違って責任払いではなくツモ和了りとなる。また、本大会では、二家和(ダブロン)、三家和(トリロン)が認められていた。
風越女子高校控え室では、レギュラーメンバーと補員、それから監督の久保貴子が、テレビモニターを通じて対局の様子を見ていた。
先鋒戦が始まる。
一回戦は先鋒戦、次鋒戦、中堅戦、副将戦、大将戦それぞれが半荘一回での点数引継ぎ制であった。半荘二回ずつになるのは二回戦からとなる。
「(それにしても、いきなり和の高校と当たるとはのぅ…。)」
風越女子高校副将の染谷まこは、心の中でそう呟いた。
インターハイ終了後、彼女のところに風越女子高校から引き抜きの話がきた。
一年生トリオが転校することになり、前部長も引退。実質、女子部員は一人へと逆戻りするところに来たスカウト。
それで彼女も転校を決めた。
彼女の能力。
それは、時間軸の『超高速跳躍』。
その能力の凄まじさに、『超光速跳躍』と言う人もいる。
「役満直撃! 白糸台高校渋谷尭深選手の大三元が炸裂したぁ! 天童大附属高校のトビで試合終了! Aブロック一回戦第一試合は、白糸台高校が一位、風越女子高校が二位で二回戦進出を決めました!」
まこの能力のお陰で、いつの間にか試合が終了した。
その日の午後に、Bブロック一回戦が行われた。
「午後は咲達の試合じゃ。これも見ておかんと…。」
まこが観戦席でそう呟いた。
次の瞬間、
「出たぁー! 四槓子字一色! しかも連槓からの嶺上開花! 阿知賀女子学院チャンピオン宮永咲選手の親のダブル役満ツモで、まさかの三校トビで試合終了! 阿知賀女子学院がぶっちぎりの一位、新道寺女子高校が二位で二回戦進出を決めました!」
まこの能力が再び発動し、こちらも一瞬で試合が終了した。
松庵女学院の大将、多治比真祐子は、咲のいる宿敵阿知賀女子学院と牌を交わすことなく姿を消すこととなった。まあ、咲に次ぐ魔物と称される穏乃と戦わずに済んで良かったのかもしれないが…。
ちなみに、一部のコアなファンは、失禁事件の再来を勝手に期待していたが、それが実現せずに残念がっていたらしい。
その日の夜、尭深は40度の高熱を発した。気管支炎を発症したのだ。
二回戦は明後日。さすがに、それまでに試合に出られるようになるとは思えない。補員に交代してもらう以外に方法はない。
尭深は、
「誠子ちゃんを呼んできてくれないかな…。」
淡と和に咳き込みながらそう言った。
翌日、午前中にCブロック一回戦が二試合行われ、臨海女子高校、九州赤山高校(鹿児島県)、三箇牧高校、苅安賀高校(西愛知)が二回戦進出を決めた。
また、その日の午後にDブロック一回戦が二試合行われ、龍門渕高校、朝酌女子高校(島根県)、東村山女子学院(西東京)、千里山女子高校が二回戦に進出した。
大会三日目。朝からAブロック二回戦とBブロック二回戦が同時に開催された。
Aブロック二回戦は、白糸台高校、風越女子高校、姫松高校、館山商業高校(千葉県)の四校により行われた。
一方のBブロック二回戦は、東白楽高校(北神奈川)、射水総合高校(富山県)、阿知賀女子学院、新道寺女子高校が激突した。
先鋒戦から大将戦まで前後半戦で行われるため、終わるのは大抵夜になる。
風越女子高校先鋒は吉留未春だった。対する和は、相変わらずエトペンを抱えての登場だった。これがあったほうが落ち着いて自分の麻雀が打てる。
清澄高校元部長、竹井久の発案だ。これが、今でも継続されている。
ちなみに姫松高校はエースを中堅に置くのが伝統となっている。中堅は近畿大会と同様に現エースの上重漫がエントリーされていた。副将に前エース愛宕洋榎の妹愛宕絹恵の名前があった。絹恵のポジションは、近畿大会とは変わっていた。
場決めがされた。
起家は館山商業高校先鋒、南家は未春、西家は和、北家は姫松高校先鋒になった。
東一局。
この立ち上がりの局で、運の良し悪しがある程度決まるだろう。ここでは牌効率の良い和が早々に聴牌し、
「リーチ!」
攻めに出た。
一発ツモにはならなかったが、数巡後、
「ツモ! 2000、4000です!」
リーチ平和ツモ赤1裏1の満貫を和了った。
東二局、未春の親。
当然、未春は連荘を狙う。門前に拘る必要はないし、クイタンドラ3が見えていた。しかし、
「ロン! 5200です。」
館山商業高校先鋒が、和に門前タンヤオ一盃口ドラ1を振り込み、未春の親は流れた。
東三局、和の親。
和は、早々に、
「ポン!」
{白}を鳴いた。連荘狙いだ。しかし、
「リーチ!」
五巡目で未春がリーチをかけた。
館山商業高校先鋒と和は降りた。しかし、姫松高校先鋒は勝負手なのか、降りずに突っ張った。そして、数巡後に、
「リーチ!」
姫松高校先鋒が追っかけリーチをかけた。
未春と姫松高校先鋒のめくり合い勝負。ただ、どちらにも軍配は上がらなかった。
流局…。
これで和の親は流れ、未春と姫松高校先鋒が館山商業高校先鋒と和からノーテン罰符として1500点を各々受け取った。
東四局、流れ一本場。親は姫松高校先鋒。
2000点のリーチ棒供託のあるこの局は、
「ポン!」
和が積極的に鳴いて出た。明らかに場に出た2000点狙いだ。そして、
「ツモ! 600、1100!」
{發}のみの一本場を和が和了った。
南入した。
親は再び館山商業高校先鋒。
未春としては、そろそろ和了りが欲しいところ。六巡目で聴牌し、そのまま、
「リーチ!」
即、リーチした。{横②}切り。
すると、和が、
「チー!」
一発を消した。晒されたのは{横②③④}。
そして、未春の安牌である{北}を捨てた。
次巡も和は{北}を捨てた。アタマを落としたのだ。
そして、その次の巡目で、
「ロン! タンヤオドラ2。3900です。」
館山商業高校先鋒が捨てた未春の安牌である{②}で和が和了った。それも、{②}単騎待ち。和は、{②③④}の出来面子から鳴いたのだった。
南二局、未春の親。
今度は、早々に姫松高校先鋒が、
「リーチ!」
先制リーチをかけてきた。
この局は、三家とも降りた。結局、姫松高校先鋒は和了れずに流局した。
南三局、流れ一本場。和の親番。
ここまで和了ったのは和のみ。このままではパーフェクトゲームになってしまう。
未春が五巡目で聴牌したが、役無しだった。そこで、
「リーチ!」
何でも良いから和了ってパーフェクトゲームを潰したい。それで、ここでも攻めに出た。すると、
「リーチ!」
二巡後に姫松高校先鋒が追いかけた。さらに次巡、
「リーチ!」
館山商業高校先鋒も追っかけリーチをかけた。三人リーチだ。
和は、突っ張らずに降りた。非常に上手で綺麗な降り方をする。
結局、この局は流局し、和が三人にノーテン罰符を支払った。
オーラス、流れ二本場。姫松高校先鋒の親。
とにかく和のパーフェクトゲームを潰したい。それが和以外の三人の共通認識だった。
「チー!」
一方の和は、特にパーフェクトゲームを意識していなかった。ただ、3000点のリーチ棒供託狙いで攻めに出ただけだ。そして、数巡後、
「ツモ! タンヤオのみ。500、700です。」
和が和了った。
見事、和がパーフェクトゲームを達成して前半戦が終了した。
現在の各校点数は、
暫定1位:白糸台高校 120600
暫定2位:姫松高校 98700
暫定3位:風越女子高校 96400
暫定4位:館山商業高校 84300
咲と憩の二人が同時に暴れた近畿大会決勝戦と比べると、余り点数は動いていない。しかし、これが一般的な麻雀対局での点数だろう。
憧は、観戦席でこの対局を見ながら、
「(最近、いきなり100000点削るとか見ていたから感覚が麻痺してきたわ。これが、普通の麻雀の点数だよね?)」
と内心思っていた。
それから10分後に後半戦が開始された。
場決めがされ、今度は和が起家、館山商業高校先鋒が南家、姫松高校先鋒が西家、未春が北家になった。前半戦とは席順がガラっと変わった。
東一局、和の親。
さすがに後半戦も和にパーフェクトゲームをやらせるわけには行かない。
未春は、
「ポン!」
自風の{北}を一鳴きした。さすがに、今の状況を考えると二鳴きがどうこう言っていられないとの判断だ。そして、数巡後、
「ツモ! 500、1000!」
未春は安手だが、待望の初和了りを決めた。
東二局、館山商業高校先鋒の親番。
この局は、
「チー!」
早々に姫松高校先鋒が仕掛け、
「ツモ! 1000、2000!」
そのまま早い巡目で和了った。こちらも、これでヤキトリ回避だ。
東三局、姫松高校先鋒の親。
後半戦で和了りが無いのは、和と館山商業高校先鋒の二人。
この局は、七巡目で和がダマで聴牌した。しかし、聴牌気配を感じたのか、他家は攻めずに降り出した。そして、数巡後、
「ツモ! タンヤオ平和一盃口ドラ1。2000、4000です。」
ダマの出和了りで7700点だった手を、和がツモ和了りした。
東四局、未春の親番。
ここに来て、今までツキが無かった館山商業高校先鋒に良い手が入った。そして、
「リーチ!」
勝負をかけた。
他家は、一先ず一発回避で現物切り。しかし、館山商業高校先鋒が、ここで先鋒戦一番の和了りを見せた。
「ツモ! リーチ一発ツモタンヤオドラ3。3000、6000!」
これで館山商業高校が4位から3位に順位を上げた。
南入した。
南一局、ここでも館山商業高校先鋒が、
「ポン!」
和が切った{南}を早々に鳴き、
「ツモ! ダブ南ドラ1。1000、2000!」
ツモ和了りを決めた。
これで館山商業高校が2位に浮上した。
南二局、連続和了りを決めた館山商業高校先鋒の親番。
ここで館山商業高校先鋒に連荘させてはならない。完全にツキが回ってしまう。
未春は、和から、
「ポン!」
早々に切られてくる{中}を鳴いた。手牌には{[⑤]}が2枚にドラが1枚ある。これを和了れれば大きい。
待ちは{白}と{⑤}のシャボ。ここに、館山商業高校先鋒が{白}を切ってきた。
当然、
「ロン! 8000!」
これを逃さずに未春が和了った。
南三局、姫松高校先鋒の親。
姫松高校としては3位から、どうにかして順位を上げたいところ。
しかし、親の時に限って手が重い。連荘を狙うには少々厳しい。
一方、和は{①④⑦}待ちの平和手をダマで聴牌していた。{④⑦}ならタンヤオがつく。
ここに館山商業高校先鋒が{⑦}を切ってきた。すかさず、
「ロン! タンピンドラ2。7700です。」
和が和了った。
オーラス。未春の親。
未春は、このまま2位を死守、できれば1位の和をまくりたい。配牌は、四向聴。しかし、ツモが噛み合わない。
一方の姫松高校先鋒は、五向聴だったが、カンチャンが連続して埋まり、六巡目には平和ドラ1を聴牌できた。
そのまま、即、
「リーチ!」
捨て牌を横に曲げた。
一発ツモには、ならなかったが、数巡後、
「ツモ!」
姫松高校先鋒が和了った。しかし、裏ドラは乗らず、
「1300、2600!」
5200点の和了りに留まった。
とは言え、これで姫松高校は2位に浮上した。
現在の各校点数は、
暫定1位:白糸台高校 128000
暫定2位:姫松高校 99400
暫定3位:風越女子高校 93800
暫定4位:館山商業高校 78800
結果的に前半戦と順位に変化は無かった。ただ、前半戦に比べて、各校の点差が少しずつ開いた。
「「「「ありがとうございました!」」」」
対局後の一礼をすると、和は急いで対局室を出て行った。それは、未春に話しかけられるのを避けているかのようにも見えた。
清澄高校麻雀部を解体してしまったことに対する罪悪感が、彼女にそうさせているのかもしれない。
和が控室に戻ると、
「おかえりー! トップだよ、やったじゃん!」
そう言いながら淡が和を出迎えた。まるで自分の事のような喜び方だ。
みかんと麻里香も、
「すごーい! 前半戦、パーフェクトゲーム!」
「やったジャン!」
と言いながら和とハイタッチした。この美女四人組は意外と仲が良いようだ。これで和の気持ちも和らいだ。
「じゃあ、次は私だね。」
「頑張ってください。」
「勿論! じゃあ、行ってくる!」
みかんは、そう言うと控室を後にした。
その後姿を五人の少女達が見守っていた。
控室には、レギュラー組の和、淡、麻里香の他に、誠子と、もう一人の少女がいた。この五人だ。
このレギュラー組以外の二人が白糸台高校の補員として登録されており、どちらかが尭深の代わりに出場することになる。
今日も尭深は、熱が40度を超えており、寮のベッドで静かに寝ていた。恐らく、この試合の中継も眠っていて見ることはできないだろう。
おまけ
咲「今回は、大喜利コーナーにします!」
全員:嫌な顔をしながら拍手。
咲「これからは、各お題につき一名、私が良いと思った回答を出された方に座布団を進呈します。」
全員:拍手
咲「過去の問題につきましては、『…むに…て…から』は、原作で今後出てくると思われます正解を当てた方に、正解者がいない場合は、正解に最も近かった方に咲-Saki-の重要なイベントに参加していただくことと合わせて座布団を進呈したいと思います。
それと、この〇〇で✖✖?は、『この登場シーンでザコ? 犯罪だわ!』を回答された愛宕洋榎さんに座布団を進呈したいと思います。」
洋榎「うちか? 有難く頂戴するで!」
咲「三問目の『インド〇〇〇〇スクール』は、正解者の憧ちゃんに座布団を進呈します。」
憧「やった!」
咲「では、今日の御題です。咲-Saki-の色々な場面の台詞を改変して面白おかしくしてもらうと言うものです。何かありますでしょうか?」
爽「んー、じゃあ例えば、阿知賀編第18局での清水谷さんの台詞、
『ここに怜を感じる』→『これが怜のマ〇汁!』
とかでイイの?」
咲「アウトです。R-18に移行するつもりはありませんので、エロネタは余りキツ過ぎないようにお願いします。」
霞「では、『ここに怜を安置する』なんてどうかしら?」
咲「それならOKです。」
怜「OKやない! 遺体を安置するみたいで嫌や!」
初美「なら私は、咲-Saki-17巻の5ページからですよー!
『照!? どうした!』
『殺った…』
『?』
『妹を殺ったんだ。でも、何をしていたのか、なんにもわからなかったよ…。なんにも。』
こんなんでいいですかー?」
咲「いいですけど…私を殺さないでください。」
セーラ「安置とか殺ったとか、死ぬネタが好きやなぁ、永水は。」
洋榎「ほな、咲-Saki-17巻の19ページからや!
『宮永…お前、援交はできるのか?』
『ん…。できるっちゃできるけど…小学校の頃から売ってない。』
『それなら昔売ってたとしても今は蜘蛛の巣張ってるな。残念だ。』
『弘世』
『監督』
『どうだい。援交にはなじんだか?』
『今日2日目なので…来週からです。』
これでどうや!」
咲「完全にアウトです! どうもエッチなほうに行きがちですので御題を変えます。その前に、この御題での座布団進呈は、石戸霞さんの『ここに怜を安置する』にしたいと思います。」
霞「有難うございます!」
咲「では、次の御題です。名前を入れ替えて別の意味にしてください。自分の名前でも他人の名前でもイイです。」
憧「つまりアナグラムってことね。
じゃあ、私から。こんな名前がイイです。
『菊川怜』入れ替えると『若く綺麗』!」
優希「じゃあ、私は自分の名前で行くじぇい!
『片岡優希』は『浴衣を買う気』だじぇい!
別に、こういう名前がイイとか悪いとかは関係ないけどな!
あと、『お』が『を』に変わってるのは大目に見てほしいじょ。」
全員「(いきなりアコスvsタコス!)」
姫子「なら、私の名前は『秘めたるコツ』で。」
哩「なら、私の名前は『流浪マズイし』か!」
豊音「私の名前は『姉と寝たいよ』になるのかな?」
白望「殺せ我がシミ……だる…。」
華菜「池田華菜を逆から読むと中田ケイか…。名前になってる!」
咲「(じゃあ、叩かれ役のオリキャラには、中田ケイって名前をつければイイってことだよね?)」
全員「(あとで絶対出てくるな。池田クラスのやられ役オリキャラとして!)」
咲「ええと、ちょっと脱線しますが、実写版での池田さん役は、
いけだかな→〇けだ〇な→たけだれな
こうやって決まったのではないかと勝手に想像しております。」
華菜「それで理解できたし! 華菜ちゃんに全然似てないし、華菜ちゃんの魅力を演じるには、彼女では役者不足だと思っていたし!」
全員「(いや、役不足の間違いだろ! むしろ、もったいない使い方してるぞ!)」
咲「まあ、別にどうでもいい話ですけどね。
では、次、何方かいませんか?」
塞「じゃあ、こんな名前は、意外にヤバイかもってやつ。
『たけむらたつや』逆から読んだら『ヤッたらムけた』!
小学生とか絶対名前を逆から読むじゃん。その時に、なんか言われそう!
本当にある名前だし!(例:競輪選手の竹村達也さん、騎手の竹村達也さん)」(全国のたけむらたつやさん、ごめんなさい)
玄「昴月蘭(こうづきらん)って名前があったら可哀想なのです!
英語の時間は、『RANKOUZUKI』と呼ばれてしまうのです!」
爽「卯月蘭子も同じだね!」
咲「やっぱりエッチなほうにシフトしてるので、この御題は、ここまでにします!」
全員「(そう言うつもりじゃなかったんだけど…。)」
咲「座布団進呈は、優希ちゃんの『浴衣を買う気』にしたいと思います!」
優希「やったじょ!」