「1位になれなかったけど、団体戦の本気の勝負でシズノに勝てた!」
神楽(中身は淡)は、この時、拳を握った右手を高々と上げながら立っていた。
まるで、
『我が生涯に一片の悔い無し!』
とでも言い出しそうな気配だ。
ただ、その数秒後、神楽は急に大人っぽい雰囲気に変わり、静かに席に腰を降ろした。少なくとも淡ではない。別の人格だ。
丁度この時、
「シズノに勝ったー!!!」
白糸台高校の寮では、淡が大声を張り上げて目を覚ました。周りからは、都合の良い夢を見ていたようにしか思えないだろう。
廊下まで響き渡ってくる淡の大声を聞いた麻里香とみかんは、
「「またアホの娘してる!」」
と毎度のことのように受け流していた。
さて、神楽の方だが………。
「久し振りね、雅恵ちゃん。」
この雰囲気………。
今度は、露子の霊が降りていた。もはや、神楽=露子が定番になっていると思われるくらいの頻度だ。
それにしても、本当に露子が降りてくるとは………。
予想はしていた………いや、そうなる前提でいたが、それでも実際に目の当たりにすると驚くものである。雅恵も慕も、一瞬、言葉が出てこなかった。
夢の中での出来事を除けば、雅恵と露子は、実に十年振りくらいの再会となる。
互いに色々と積もる話もあるだろう。この辺は、慕も状況を良く理解していた。
それで、神楽(露子)と雅恵には敢えて声をかけずに、阿知賀女子学院、新旧朝酌女子高校、粕渕高校メンバーで、勝手に個人戦に突入することにした。
まあ、適当に打ちたい相手と打つだけなのだが………。
とは言え、一応、慕は、麻雀協会(主にトシ)から依頼された仕事がある。
先ずは咲の成長度合いの確認。
それから玄、穏乃、神楽と言ったインターハイ個人戦上位者の力量を自分の目で見極めないといけない。神楽とは、さっき打ったばかりだが、透視能力が未確認だ。
雅恵と露子に悪いので、神楽の再確認は後回しにするが………。
ただ、慕からすれば、悠彗には神楽の存在を大会前に教えてもらいたかった。間違いなく神楽は、慕が悠彗に粕渕高校への赴任を依頼した真の目的………、
『島根県から誕生する魔物の発掘』
に沿う存在だ。その目的ゆえに、悠彗と閑無には粕渕高校と朝酌女子高校の二ヶ所に分かれてもらっていたのだ。
情報漏洩を懸念していたのだろうけど………。
「ねえ、はやりちゃん。松実玄ちゃんは、どうだった?」
「慕ちゃんの言うとおりかな。全員が勝ち星を狙う対局なら使えると思うけど…。」
「うん…。」
「でも、ただ玄ちゃんの足を引っ張りたいだけって人が面子にいると、1位は取れないだろうね。」
「やっぱりね。でも、使いどころを間違えなければ良いかな?」
「そうだね。で、慕ちゃんのほうはどうだった?」
「まさか、石見さんが生霊まで口寄せできるとは思わなかったよ。」
「えっ?」
「大星さんの生霊を降ろして、いきなりダブルリーチをかけてきた。」
「なにそれ。面白い!」
「やり方次第で凄い戦力になると思うよ。」
「そうだね!」
はやりの目がキラリと光った。
年を重ねるに連れて、はやりは狡猾さが増している感じがする。
いや、腹黒さと言うべきか………。
慕は、はやりが何か変な悪巧みをしていないか一瞬心配になった。
果たして、誰の生霊を降ろそうとしているのだろうか?
「じゃあ、これから個人戦になるけど、折角だから、はやりは咲ちゃんと打ちたいな。慕ちゃんもどう?」
「いいけど、あと誰に入ってもらおうか?」
「悠彗ちゃんとかは?」
すると、たまたま近くにいた悠彗が、
「ヤダ!」
と即答した。
「えぇ!? どうしてかな?」
「さっき点数調整して遊ばれたから。これで、苦肉の策だって。東三局に入る直前に予告してたよ。」
そう言いながら、悠彗が、はやりと慕に対局の記録を見せた。
そこに記された点数………92900点が二人の-3900点が一人。
完全なオヤジギャグだ。
慕もはやりも、正直これには目が点になった。
毎度のこととは言え、こんな点数調整を偶然ではなく意図的にやれるところが凄い。
さて、悠彗が打たないとなると誰をメンバーに入れようか?
露子と化した神楽と雅恵の邪魔はしたくないし、晴絵にしようか?
どうしたものか。
すると、丁度この時、はやりの背後から声が聞こえてきた。
「私が入るよ。」
「えっ?」
奇特な人だ。
一部では悪魔のように言われている咲と卓を囲んでくれるとは…。
普通の精神構造ではない人間だろう。もしかしたら『奇特』ではなく、心が『危篤』状態かもしれない。
そんな失礼なことを考えながら、はやりが後ろを振り返ると、そこには無邪気な顔をした閑無の姿があった。
たしかに、怖いもの知らずの閑無ならチャレンジしそうだ。
「こんな機会、滅多に無いしさ。最強の高校生と打ちたいじゃん。それに、朝酌女子高校の監督としてチャンピオンの力量を知りたいなって思ってさ。」
うーん、やっぱり閑無らしい。
その、前に出てくる姿勢と性格は貴重だ。
「じゃあ、咲ちゃんに対局を申し込んでくるね。でも、どうせなら最高状態の咲ちゃんと打ちたいな。」
「そうだな!」
閑無は、そう答えながら、はやりに元気いっぱいの笑顔を向けていた。
純粋にチャンピオン咲の真の力を直接見てみたいようだ。
ただ、何となくだが、一方の慕は、このはやりの言葉の裏に、なにやら不吉なモノを感じていた。とんでもない余波を喰らいそうな………そんな予感だ。
その頃、咲はメールを打っていた。
当然、相手は京太郎だ。
LINEにすると、人の良い京太郎が仲間を増やしてしまうかもしれない。それでは、咲と京太郎の二人の遣り取りの場が失われてしまう。
それで、咲は敢えて個人ベースでのメールにしているようだ。
ここに、
「咲ちゃん、何してるのかな?」
はやりが声をかけてきた。
「メールです。」
「やっぱり、相手は噂の京ちゃんかな?」
「えっと………はい………。」
「で、京ちゃんとは、どこまでイッたのかな?」
「あの、まだ、私達、付き合っているわけでは………。」
「そんなゆっくりしてたら、はやりがもらっちゃうぞ!」
なんだか、このはやりの台詞は冗談に聞こえない。本気で十歳以上年が離れた京太郎を誘惑しそうで怖い。
それに、このオモチ。
玄が跳び付きそうなサイズだ。まあ、今回は対局に集中していてオモチにみとれるようなことは無かったようだが………。
ただ、京太郎なら一瞬で跳び付くのは必至だろう。容易に想像がつく。
「それはダメです!」
「即答だね。」
「当然です!」
「で、本題に入るけど、はやり達と打たない? 相手は、はやりと閑無ちゃんと慕ちゃん。三人とも彼氏無し独身だよ。」
「えっ? ええと、白築プロは彼氏がいるって噂ですけど?」
「それは慕ちゃんの叔父さんだよ。」
「えぇっ?」
「小学生の頃から同居していて、その叔父さんも独身だけどね。」
それは咲も初耳だった。
ただ、それなら何故、その叔父のことを慕は名前で、しかも呼び捨てで『耕介』と呼んでいるのだろうか?
咲は、完全に耕介のことを、少し(?)年が離れた慕の婚約者だと思っていた。
「…。」
「と言うわけで、これから京ちゃんを賭けて打とう!」
「ですから、それはダメです!」
「じゃあ、咲ちゃんが三人に勝ったら、咲ちゃんの胸のサイズをワンサイズ上げるってのはどうかな?」
「えっ? そんなこと、できるんですか?」
「(食いついた!)」
「でも、どうやって?」
「良子ちゃん………戒能プロね。良子ちゃんって、有珠山の獅子原爽ちゃんが使ってたカムイみたいなのをたくさん使えるのよ。」
「そ…そうなんですか?」
「それに、永水女子の関係者だし。なので、神頼みか妖怪頼みか判らないけど、サイズアップしてもらえるよう頼んでみるから。」
「でも、京ちゃんを賭けるのは…。」
「まあ、それは無しにしてあげるから。」
「本当ですか?」
これは、咲にとって好条件だ。
勝てばオモチワンサイズアップ(かもしれない)、負けても失うものは無い。ノーリスクハイリターンと言えよう。
当然、受けない理由は無い。
「分かりました。」
と言うことで、咲、はやり、慕、閑無の四人で打つことに決まった。
ルールは、インターハイ個人戦と同じ。25000点持ちにした。
赤あり、責任払いありだが、ダブル役満以上は無い。
場決めがされ、起家が閑無、南家がはやり、西家が咲、北家が慕になった。
早速、閑無がサイを回した。
この時、慕は、いつに無く咲の気合が入っていることを感じ取っていた。
昨年、ボストンで開催された世界大会でも、ここまで気合が入っていただろうか?
少なくとも、世界大会前の合宿では、ここまでの雰囲気は見せていない。それだけは断言できる。
東一局、閑無の親。
まだ、慕のスイッチは入っていない。穏乃と同じで怖いのは通常後半だ。
はやりは、先ずは早和了りで咲にも慕にも差をつけようとした。
しかし、
「リーチ!」
いきなり咲がダブルリーチをかけてきた。
この予想していなかった展開に、
「(ちょっとそれって、大星淡ちゃんとか片岡優希ちゃんじゃないんだから!?)」
と、はやりは思った。
いくらオモチサイズが賭かっているとは言え、意図的にダブルリーチがかけられるなんて到底思えない。
そして、次巡、
「カン! ツモ! 嶺上開花!」
咲が嶺上牌で和了った。
「ダブリーツモ嶺上開花タンヤオドラ3。4000、8000。」
しかも倍満。
ダブルリーチがかかった時点で、ある程度の予想と言うか、覚悟はしていたが、実に不条理極まりない麻雀である。
特に、こんな和了りで親を流された閑無は不幸である。ただ、顔が固まるだけだ。
東二局、はやりの親。ドラは{②}。
ここでも、はやりは早和了りを目指して効率重視の打ち回しを心掛けた。しかし、何故かムダツモが多い。
まだ、卓上に風は吹いていない。慕が他家に不要な風牌を掴ませる能力は発動していないはずだ。
これは、単なる偶然か?
それとも、咲の能力によるものだろうか?
しかも、鳴こうにも、はやりの打ち方を熟知している慕と閑無は、安易に鳴かせてくれない。甘い牌を切ってこない。
これでは、はやりの手が全然進まない。
そうこうしているうちに、
「カン!」
閑無が捨てた{⑨}を咲が大明槓した。
場には{⑧}が既に四枚出ており、{⑨}切りは仕方が無いところではあるが…。
咲は、嶺上牌をツモると、
「もいっこ、カン!」
{9}を暗槓した。
そして、次の嶺上牌をツモると、
「もいっこ、カン!」
さらに{九}を暗槓し、三枚目の嶺上牌をツモると、
「ツモ!」
当たり前のように嶺上牌で和了った。
開かれた手牌は、
{一①②③} 暗槓{裏九九裏} 暗槓{裏99裏} 明槓{⑨横⑨⑨⑨} ツモ{一}
「ジュンチャン三槓子三色同刻嶺上開花ドラ1。16000です。」
しかも、また倍満だ。
この和了りは、閑無の責任払いになる。
これで閑無の持ち点は1000点になった。
たった二局で、いきなりこれだ。
閑無は、
「(こんな人間を相手に、華奈はよく耐えたな。)」
先に行なった団体戦で、中堅として戦った華奈に申し訳なく感じてきた。
これでは、100000点持ちでトバされても仕方が無いだろう。自分でさえ、たった二局で24000点を失っているのだ。
それに、同じ『カナ』でも、朝酌女子高校の『森脇華奈』は、風越高校の『池田華菜』ほど図太くない。
後で華奈を褒めてあげようと、つくづく思った。
現段階での点数は、
1位:咲 57000
2位:はやり 21000
3位:慕 21000(席順により3位)
4位:閑無 1000
慕も、はやりもプロとしての意地がある。
次は咲の親番。ここで、役満をツモ和了りできれば逆転できるが、正直、それを狙うのは、さすがに厳し過ぎる。
ならば、今は共に閑無以外からの出和了りを狙うしかない。
とうとう卓上に、うっすらと風が吹いた。
慕のスイッチが入ったのだ。
はやりは、
「(まだ東二局が終わったばかりなのに、やっぱり来ちゃったか!)」
さらに自分が勝つ条件が厳しくなったのを肌で感じていた。
東三局、咲の親。
はやりも閑無も、慕の能力が発動した今、序盤のツモ牌が風牌中心になることは百も承知だ。
ただ、オタ風牌は対子になるが刻子にならない。一応、アタマには使えるが、大抵はドラや赤牌のそばの対子も持っており、そちらの対子を優先して残すことになる。
加えて、肝心の自風や場風は滅多に対子にならない。なので、一向に風牌が使えない状態が続く。
ちなみに、オタ風混一色でないと殆ど和了れない悠彗の場合は逆らしい。慕のスイッチが入ると、オタ風が各一枚しかこなくなり、場風や自風が優先してくるそうだ。
風牌を処理し、続いて三元牌や19牌を処理して行く。
その最中、
「ポン!」
慕が捨てた{7}を咲が鳴いた。そして、その次巡、
「ポン!」
さらに咲が、閑無が捨てた{中}を鳴いた。
慕の支配下では、いくら咲でも手が伸びない。
しかも、下手に鳴いても苦しい形にしかならないはず。だから鳴けないと、はやりも閑無も思っているのだが、咲には何らかの打開策があるのだろうか?
その数巡後、
「カン!」
咲が{中}を加槓した。
そして、嶺上牌を引くと、
「ツモ!」
嶺上開花で和了りを決めた。
開かれた手牌は、
{一二三68西西} 明槓{中中横中中} ポン{77横7} ツモ{7}
まさかの嵌{7}待ちだった。
はやりも閑無も、慕の支配下で鳴いたところで、こんな苦しい聴牌形にしかならないから鳴かないのに、咲は、それを逆手にとって和了れるようだ。
ただ、さっきまでのように倍満とまでは行かないようだ。やはり、慕の強力な支配がある以上は、咲でも高い手を作るのは困難なのだろう。
「中嶺上開花。1600オールです。」
とは言え、これで閑無のトビで終了となった。
「じゃあ、瑞原プロ。例の件、期待はしていませんが一応お願いします。」
そう言いながら、咲が、はやりにペッコリンと頭を下げた。
「えっ? そ…そうだったわね。一応、頼んでみる。」
対するはやりは、何時もの『計算されたブリッ娘口調』まで頭が回らない状態だった。
それだけ、最後の咲の和了りが衝撃的だったようだ。点数の高低ではない。慕の支配下で和了りに向かえる力を見せ付けられて、純粋に凄いと思っていたのだ。
一方の慕は、
「去年より、また強くなったかな。」
咲の成長を感じ取っていた。
しかし、まだ慕の宿題は終わりではない。直接自分も玄と打って三元牌支配を実体験しなければならない。
トシからの依頼だ。
「じゃあ、次は松実玄ちゃんと打たないと。」
慕が、こう言うと、
「「私はパス!」」
はやりと閑無が声を揃えて辞退してきた。
さすがに咲との対局で、二人とも精神的に疲労したようだ。
「じゃあ、悠彗ちゃんと杏果ちゃんはイイかな?」
この慕の依頼に、
「気乗りしないけど、了解。」
渋々だが悠彗がOKしてくれた。
それと、もう一人、
「しょうがないわね。閑無があんなだし、私が打ってあげる。」
杏果が打ってくれることになった。
本当に人が良いと言うか、面倒見が良いと言うか、彼女は彼女で奇特な人間である。この性格は、小学生に頃から変わらない。
本当に有り難い存在だ。
…
…
…
その日の夕方、憩は一人、電車に乗っていた。
友人達と久し振りに出かけた帰りだった。
突然、電車が激しく上下に揺れた。しかも、ガタガタ言っている。どうやら脱線したらしい。
そして、急に電車が斜めに傾いた。憩のいる方が下側だ。
その数秒後、そのまま電車は横転した。
憩の上に、何人もの人が流れ込むように乗りかかってきた。
完全に憩は下敷きになった。
動けない。
「(痛い。苦しい………。)」
まだ意識はある。
死んではいないようだ。
しかし、このままでは息が出来ない。
「(頼むから、どいてぇ!)」
そう言いたいところだが、声が出ない。
声を出せるほどの息が吸えていなかったのだ。
おまけ
憧 -Ako- 100式 流れ十七本場 オモチに賭けたPOOP
公園のブランコに座っていた憧125式ver.ヤエに、玄は、食事を食べさせて欲しいと言われた。
ただ、玄にとって、憧125式ver.ヤエは単なる不審者でしかない。
それに、雰囲気が妙に横柄だ。気に入らない。
憧125式ver.ヤエ取扱説明書。
1.本機種は、王者の風格を持っています。ただ、奈良県王者レベルであり、全国区の王者ではありません。
2.当然、全国区の魔物の力量はありません。
3.やたらと『王者』という言葉にこだわります。
玄「(なら、無理難題を叩きつけて諦めさせるのです!)」
玄「見たところ、オモチサイズはAのようですが?」
ヤエ「まあ、一応デフォルトでは、そうなっているが…。」
玄「では、そのオモチサイズを一気にGくらいに成長させてみてください。それが出来たら食事を提供します。」
ヤエ「なんだ、そんなことか。」
憧125式ver.ヤエの目が光った。
すると、次第に胸が大きくなり、Gカップに変貌した。人間業ではない。
もっとも、人間では無いが…。
憧125式ver.ヤエ取扱説明書
4.天木じゅんが実写版で小走やえ役を演じたことにより、本機種はAカップからIカップまでオモチサイズを自由に変えられる機能が自動的に搭載されました。言葉でリクエストするだけで自動設定します。
5.基本的に、憧105式ver.淡の準備満タン機能と同じです。
玄「これは凄いのです。」
ヤエ「Iカップまでなら変換可能だ。」
玄「和ちゃんのKカップとか、霞さんのKカップ超えの超特大サイズには敵いませんが、とてもスバラなオモチなのです!」
ヤエ「(そんな化物がいるのか?)」
玄「それで、一つやってほしいことがあるのですが…。」
玄は、憧125式ver.ヤエにペンを2本渡し、POOP(Pen-Oppai-Oppai-Pen)をリクエストした。
天木じゅんがやっていた奴だ。
知らない人は検索して欲しい。
ヤエ「では………」
まず憧125式ver.ヤエが、一本目のペンを胸の谷間に挟んだ。
そして、さらに同じ歌詞を歌いながら、二本目も挟んでいった。
これには、玄も大喜びだった。
玄「すばらしい逸材なのです! 是非、私の家に来てほしいのです!」
ヤエ「では、食事を?」
玄「はい! 喜んで提供させていただきます! それで、あなたの名前をまだ聞いていなかったのですが。」
ヤエ「私の名は憧125式ver.ヤエ。AI搭載の自律型ダッチ〇イフだ。」
玄「ダッチ〇イフ?」
ヤエ「そうだ。人間ではない。精巧に作られたダッチ〇イフだ。性的な要求になら何でも答えてあげられる。」
玄「(人間で無いのなら、このオモチサイズの変化も納得が出来るのです!)」
玄「(それにしても、科学が、ここまで発達していたとは知らなかったのです!)」
玄「(ただ、これは、とんだ拾い物かもしれないのです! 毎日、オモチベーションがマックス状態になれるのです!)」
ヤエ「私のことは、ヤエと呼んでくれ。で、君の名は?」
玄「松実と言います。」
ヤエ「マツミさんか。」
この時、憧125式ver.ヤエは、『マツミ』が玄のファーストネームだと勘違いした。
『松美かな?』
とか思っていたようだ。
一方の玄は、これがきっかけでAI搭載の自立型ダッチ〇イフに興味を持ってしまった。
オモチを自分の好みのサイズに変換できるのは魅力的だ。
もう、お分かりであろう。この出会いが『ハヤリ20-7』創製に向けての第一歩であったことは言うまでも無い。
つまり、69年後の努力家達が憧125式ver.ヤエを現代に送り込んだことは、AI政権の掌の上の出来事に過ぎなかったのだ。
全人類の人間童貞化・人間処女化に向けて、大きな一歩が踏み出されたことなど、この時、コナンも哀も想像つかなかった。
玄の組織を潰すどころか、後の玄に、ハヤリシリーズ製作と言う野望を持たせるきっかけを作ってしまった。
まあ、コナンも哀も、69年後のことなど、どうでも良いだろうが…。
それよりも、コナンと哀にとっては、自分達の69のほうが大事だ。
コナン「博士。帰ったぞ!」
哀「どう? 楽しめた?」
博士「4時間近くの超ロングバトルじゃったわい!」
コナン「でも、光彦の姉ちゃん。二日に一回は来てねえか?」
博士「月水金日と、週4回来ておるぞ。」
コナン「それで、家に帰るのは毎回夜九時過ぎだろ?」
博士「まあ、そうじゃな。」
コナン「それで、よく親に帰りが遅いって怒られねえな。」
博士「ワシのところで勉強していると言うことにしているからの。」
哀「でも、Hなことばかりしていてちゃ、成績なんか上がらないでしょ?」
博士「それは、既に手を打ってある。実はの、このスイッチを押すと、押した人間はテストでケアレスミスをしなくなるんじゃ。」
コナン「まあ、それだけでも点数は上がるな、一応。」
博士「朝美ちゃんは、そそっかしくての。大抵、一科目で10点から20点はケアレスミスしていたんじゃ。それで、このスイッチを押させたら一気に成績が上がったわけじゃ。」
コナン「一科目平均15点とすると、5教科で75点か。結構大きいな。」
哀「たしかに、学内順位も相当上がったでしょうね。」
博士「そうじゃ。勿論、両親の前では、ワシのところで勉強して成績が上がったと言うことになっておる。」
哀「でも、これからも成績を少しずつ上げなきゃならないでしょ?」
博士「当然、次の手も考えておるわい。」
コナン「でも、博士。孕ませたりしねえでくれよ。」
博士「それも大丈夫じゃ。ワシは極度の無精子症じゃからの。」
…
…
…
さて、憧125式ver.ヤエだが、玄のアパートに上げてもらい、食事を取っていた。
玄は独り暮らししていた。
しかも、何故か美穂子と同じアパートだった。そこには、久HT-01が同居している。
向かいのアパートには、憧100式、憧105式ver.淡、憧108式ver.姫子、憧110式ver.マホが暮らしている。
もの凄い偶然である。
マホ「マホは、全然出番が無いのです。」
姫子「私も、出番がもらえなか…。」
まこ「マホは、ネタとして危なすぎるんじゃ! あと、姫子は、予定外の登場じゃったから仕方がないじゃろ!」
姫子「予定外って?」
まこ「クロスオーバーの元になっとる『ユリア100式』では、最初のダッチワイフがユリア100式、2体目が機能向上させたユリア105式、3体目が成長機能付きのユリア108式なんじゃ。」
姫子「それって、こっちの世界では憧、淡、マホの順じゃなかと?」
まこ「そうじゃ。それに、アメリカから2体のダッチワイフが日本上陸するんじゃが、1体目はインプリンティング機能のないやつなんじゃ!」
マホ「それって、久HT-01ですか?」
まこ「こっちの世界では、それに当たるじゃろな。それと、もう1体は上半身が女性で下半身が男性の…。」
姫子「絹恵じゃなかと!」
まこ「ネタとしてはそうじゃ!」
まこ「さらに、ユリア100式では最後に究極のダッチワイフ、ユリア1000式が登場することになっとる。」
マホ「それが、こっちではヤエさんですね。」
まこ「どっちかと言うとハヤリ20ー7じゃろ。まあ、いずれにしてもユリア1000式は未来から来るわけではないんじゃが…。」
姫子「ええと、私に該当する機種は?」
まこ「ない!」
姫子「えっ? じゃあ、私の存在って?」
まこ「百合機能と言う言葉を使いたかっただけじゃ!」
まあ、それはさておき。
この日、美穂子はアルバイトが入っていた。
アパートに戻ったのは夜11時過ぎだった。
美穂子「ただいま…。」
久「あっ!」
美穂子「えっ?」
そこで美穂子が見たものは………。
洋榎「あら、帰ってきたのねん…。」
一糸まとわぬ姿の久HT-01と愛宕洋榎であった。
洋榎は、美穂子の大学の同期である。
これは、間違いなく久HT-01の浮気現場である。
インプリンティング機能も貞操観念もない久HT-01にとって、浮気は日常茶飯事となっていた。
洋榎「じゃあ、うちは帰るで! 修羅場は見とうないんでな!」
洋榎「ほな、サイナラ~!」
そう言うと、洋榎は、服を抱えて窓から逃げていった。
美穂子「久さん。これで何人目ですか!?」
久「10から先は覚えてないわ。」
美穂子「ちょっと待ってください。そんなにしてたんですか?」
久「嫌なら出て行くわよ。私を囲ってくれるアテだったらいくらでもいるし、AVに出てもイイかしら? いくら中○しされても安全だしね。お金になるし。」
美穂子「それは止めてください。」
久「AVに出るをかしら?」
美穂子「AVに出るのも、ここを出て行くのもです!」
美穂子「久さんがいなくなったら、私…。」
久「(チョロイわね。)」
呼び鈴「ピンポーン!」←誰か来た
玄「おじゃましますのです!」
美穂子「あなたは松実さん。もしかして、あなたも久を狙っているのですか?」
玄「それは無いのです! オモチが大きく無い人は、私のテリトリー外なのです! (むしろ福路さんの方が私のテリトリーなのです!)」
美穂子「では、いったい何の用ですか? こんな時間に?」
玄「久さんに、例の件の進捗を聞きにきたのです!」
美穂子「やっぱり久を狙ってるんじゃ?」
玄「違うのです。Hの対象にはなっていないのです!」
美穂子「じゃあ、何なんですか?」
玄「私達は、この日本を変えるために立ち上がった同志なのです!」
玄の組織のボス松実玄と、黒の組織によってAI学習を施された危ないダッチワ〇フの久HT-01は、既に繋がっていた。
ただ、飽くまでも性的ではなく、交流関係として繋がっていた。
続く