咲-Saki- 阿知賀編入   作:おこそとのほもよろを

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前作では、世界大会は隔年の設定でしたが、本作では毎年の設定です。



七十五本場:メンバー選定

 憩は、何とか救助され、急いで病院に搬送された。

 大丈夫。死んではいない。一応、意識はある。

 ただ、腕と脚が『痛い』を通り越して痺れている。まるで、自分のモノでは無いような感覚でしかない。

 なんで私が?

 出かけなければ良かった?

 そんな気持ちにしかなれない状態だ。

 

 この時、染谷まこは、家の雀荘の手伝いをしていた。

 ふと彼女がテレビを見ると、テロップが流れているのが彼女の目に留まった。

「大阪で脱線事故じゃと!」

 この一言で、まこの能力が発動したのは言うまでもない。

 一瞬で夕方まで時間軸が進んだ。

 

 

 さて、咲達のほうだが、練習試合も終わり、阿知賀女子学院一同は、杏果の家が経営する温泉宿に宿泊していた。

 玉造温泉だ。

 

 この日は、はやりも慕も悠彗も閑無も、杏果の家に泊まることになった。

 久し振りの同窓会気分だ。

 

 咲との対局の後、慕は玄とも対局した。

 たしかに三元牌支配は破れる。

 しかし、誰にでもできることではない。これなら、玄は貴重な戦力として使える。

 そう慕は判断していた。

 

 それから、灼のほうだが、神楽にリベンジ勝負を挑んでは見たものの、やはり露子と化した神楽には太刀打ちできず、返り討ちにされた。

 しかし、以前の対局とは違って全力を出し切れた感じはある。

 少なくとも後悔の残る試合にはならなかったようだ。

 

「ところで、はやりちゃん。」

「へっ?」

 はやりが、フィナンシェを口にしながら慕の方を振り返った。このフィナンシェは、はやりが自宅の店から持ってきたものである。

「咲ちゃんから何をお願いされたの?」

「あれね。咲ちゃんに本気で打ってもらうために、咲ちゃんが1位になったらオモチのワンサイズアップを良子ちゃん達にお願いしてみるって約束したのよ。」

「「「「えぇぇ!? そ…そんなことできるの!?」」」」

 これは、咲でなくても興味がある。

 慕、悠彗、閑無、杏果の四人は、思わず、はやりの方に詰め寄ってきた。当然の反応だろう。

「できるかどうかは分からないけどね。一応、良子ちゃんとか小蒔ちゃん経由で、神様か妖怪かは知らないけどお願いしてみるってことにしたのよ。」

「じゃあ、もし出来たら次は私が…。」

「私が!」

「私が!」

「私が!」

 当然、最後にここで、

『どうぞどうぞ』

 とはならない。

 全員、この手の話が本当なら、あやかりたいところだ。

 

 それは、さておき、

「皆には色々協力してもらって、感謝してるよ。」

 慕が、改めて四人に礼を言った。

 これは、今回の練習試合のことだけではない。

 高校生雀士のレベルアップのため………、特に閑無と悠彗は、島根から出現するであろう超魔物の発掘と育成のために、敢えて朝酌女子高校と粕渕高校の二手に分かれて、双方の監督を務めてくれていたのだ。

 

 宮永照の出現から4年。

 今は、妹の宮永咲の時代になっているが、これを慕は5年前に愛宕洋榎と江口セーラの二人と卓を囲んだ時から予想していた。

 洋榎とセーラと麻雀を打ったのは、愛宕雅恵に麻雀指導のために呼ばれて千里山女子高校を訪れた時だった。

 

 その日、洋榎とセーラの二人は、たまたま千里山女子高校麻雀部に遊びに来ていた。まあ、洋榎が監督の娘と言うことで、何週間かに一回程度だが、麻雀修行の一環で来ていたようだ。

 ただ、この頃は、まだ二人とも、この高校が麻雀強豪校とまでは思っていなかったようだが………。

 二人は、まだ中学二年生だったが、高校生を相手に負けていない。年の割には結構麻雀が強かった。将来が非常に楽しみだった。

 そして、実際に慕は、洋榎とセーラと卓を囲むことになった。

 

 とにかく攻めるセーラに、守備の堅い洋榎。スロースターターの慕は、東場は若干マイナスだった。

 さすがにプロとして中学生相手に負けるわけには行かない。

 そこで慕は、

『鳥瞰!』

 能力の一つを披露した。全てを見通す力だ。

 

 その時、慕の目に映ったモノは………、慕が中学一年生の時の島根県大会個人戦五回戦で見た光景に類似していた。

 

 あの時、慕は、同年代のライバル達の姿を見た。

 ただ、その中に、まだ会ってもいない強敵の姿───小鍛治健夜の存在までもが見えていた。

 まさに予言だ。

 そして、今回も洋榎とセーラと同年代の強者達の姿が見えたのだ。

 

 宮永照を筆頭に、園城寺怜、辻垣内智葉、獅子原爽、姉帯豊音、小瀬川白望、荒川憩、神代小蒔、天江衣………当然、その当時は、まだ名前は分からなかったが………。

 

 その後には、ひときわ大きく輝く少女の姿があった。

 その少女こそ、宮永咲。

 

 また、彼女達の背景には、現在暮らしている町並みとか環境が見える。

 宮永照は、中央線沿線っぽい。西東京か?

 園城寺怜は、大阪だ。

 辻垣内智葉は、屈強な男達に囲まれている。ちょっと不安になる。

 獅子原爽の後には、洞爺湖が見える。

 荒川憩も大阪か…。

 神代小蒔は、巫女の衣装を身に着けている。宗教か何かをやっている家柄か?

 天江衣は家の中から一歩も出ない。薄暗い部屋の中で一人きり。

 姉帯豊音、小瀬川白望、宮永咲のバックには大きな山々が見える。

 

 咲の後ろに、元気ハツラツとした少女、高鴨穏乃の姿が見えた。

 この子は、赤土晴絵に麻雀指導を受けているっぽい。そんな光景が目に映る。

 そのさらに後ろには大星淡の姿が、そのまた、さらにその後ろには、宮永光の姿が見える。今、光は海外にいるようだ。

 

 そして、その遥か後方に、とても存在感のある少女がいた。

 石見神楽だ。

 彼女も小蒔と同様に、巫女の格好をしている。

 ただ、気になるは、神楽と共に見える風景………もしかして、これって石見銀山遺跡!!!

 この子、島根の子だ!

 …

 …

 …

 

 残念ことに、洋榎やセーラと同年代と言うだけで、厳密に何年生かまでは分からない。

 二人と同い年なのか、一つ二つ、あるいはもう少し年が違うのか………。

 ただ、この島根の子は、絶対に強い雀士に育てたい。自分達と同朋。もしかしたら、後輩になるかもしれない子だ。

 …

 …

 …

 

 その数日後、都内にて、慕は、このことをはやりに相談した。

 すると、はやりから、

「島根で麻雀を本気でやる子なら、越境しない限り朝酌か粕渕に行くんじゃない?」

 と言われた。

 自分でも思っていたことだが、たしかに、その可能性は高い。ただ、石見銀山遺跡の方だと地理的には粕渕側な気がするが………。

 でも、朝酌女子高校には寮があるから何とも言えない。意外と朝酌女子高校に来るかも知れない………。

 

 

 幸運なことに、朝酌女子高校には、閑無が大学を卒業してすぐに麻雀部の監督に就任していた。

 閑無は、株と仮想通過でシコタマ儲けているとの噂で、本当は働く必要が無いくらいらしいのだが、趣味で母校の麻雀部の指導をしてくれているとのことだ。

 また、杏果も、仕事の合間に非常勤で母校の指導に来てくれているらしい。

 これなら、その子が朝酌女子高校に来ても問題ない。閑無と杏果から、キチンとした麻雀指導が受けられるだろう。

 

 では、粕渕高校は?

 このことを、はやりから聞いた悠彗───当時、都内の大学院修士二年生───が、

「面白そうじゃん。今は、通販で何でも(オタク趣味のものも)買えるし、もともと島根も好きだしね。」

 と言って、粕渕高校への赴任を決めてくれた。

 そして、悠彗の赴任から五年目に、その子───石見神楽が入学してきた。

 多分、慕達以来の、島根のスター選手へと成長してくれるだろう。

 

 このことは、ここにいる五人の中でしか話したことが無い。熊倉トシにさえ話していない内容だ。

 

 

 慕のスマートフォンからバイブ音が聞こえてきた。

 メールが来たのだ。送り主は、さっき話題に出ていた戒能良子からだ。

 早速メールを開くと、

「ええと、神代小蒔ちゃんは、決勝の副将戦のみOKか。」

 慕が、こう呟いた。

 これに、

「それって何?」

 閑無が食いついてきた。好奇心旺盛な彼女らしい。

「今度の世界大会のことだよ。」

「へー。」

「去年、神代さんは、霧島神境の姫として日本を離れることが許されないって言って代表を辞退したんだけどね。」

「ああ、あったねぇ。」

「でも、今回は決勝戦だけ出てくれるって。」

「またまたぁ、勿体ぶった感じがするなぁ。」

「本当は、日本を離れられないってことらしいから仕方が無いんだけどね。」

「でもさあ、今日の練習試合も、そのメンバー選定を視野に入れてるわけだろ!」

「まぁね。」

「で、結局、メンバーはどうなるんだ?」

「うーん。まだ決定じゃないけど、W宮永、天江衣、荒川憩、神代小蒔、大星淡、石見神楽、松実玄、高鴨穏乃…。今のところは、この辺が候補かな。」

「妥当なとこだな。そこからレギュラー五人と捕員二人を決めるってことか。」

「そうだね。でも、まぁ、まずは七名を選出して、その後に合宿を行ってレギュラーと捕員を決めるんだけどね。」

「なるほどね。」

「ただ、私達に頃と違って、今は、一校二人までって暗黙のルールあるから…。」

「そんなルールあるんだ。」

「うん。権力のある人が、自分の学校の生徒だけでメンバー構成しないようにとかね。」

「なるほどね。」

「なので、穏乃ちゃんは、今年は見送りになるかもしれないけど…。」

「でも、そのルールって変だと思うけどな。一説では、宮永光が宮永咲と同じ高校に行く可能性があったって話じゃん。」

「そうらしいね。」

「もし、そうなった場合、自動的に松実玄が落とされるってことになるだろ?」

「たしかにそうなるね。」

「それじゃ、強い選手を出せなくなることもあるわけじゃん。やっぱ、そのルールは、どこかで変えた方がイイって。」

「…。」

 閑無の意見は正しい。

 他にも同じことを考えている人が、当然いる。

 この暗黙のルールは、来年、ある人の発言がきっかけで無くすことになる。

 

「それにしても、その九人の中の………、ええと、口寄せされたのも含めると、五人が今日集まったってことか。」

「そうだね。」

 丁度この時、慕達がいる部屋のテレビからは、大阪で起きた列車横転事故のニュースが流れていた。

 大変なニュースだが、まだ、ここにいる五人にとっては他人事の事故だった。まあ、それが普通だろう。

 なので、派手に身を乗り出してニュースを見る気配は無かった。まあ、気にはなるので普通には見ていたが………。

 

 しばらくして、今度は、慕のスマートフォンの呼び出し音がなった。

 メールではなく、電話だ。

 しかも、電話の主は、熊倉トシだ。

 このタイミングで、なんだろう?

「はい、白築です。」

「大変なことになったよ。」

「どうかしたんですか?」

「実はね………。」

 電話を聞く慕の表情が次第に暗くなって行く。少なくとも、宜しくない情報が来ているのだけは間違い無さそうだ。

 

 電話を切った慕に、閑無が、

「どうかしたのか?」

 と聞いてきた。

 互いに神妙な顔をしている。

「今日、大阪の電車脱線事故があってね。」

「さっき、ニュースでやっていた奴だな。」

「あの列車に、荒川憩ちゃんが乗ってたらしいのよ。」

「「「「えぇ!?」」」」

 四人の驚愕の声。

 一転して列車事故が他人事から本人事になった。

 厳密には、女子高生世界麻雀大会メンバー選定に直接かかわる慕以外の四人は、本来関係無い話かもしれない。

 しかし、少なくとも慕が関係する以上は、全員が本人事のように捉えてくれる。

「電車が横転した時に下側にいて、何人もの人の下敷きになったらしいの。」

「死んでないよな!?」

「命に別状は無いって。」

「そっか。」

「でも、手足を骨折して、世界大会には出られないらしいのよ。」

「それじゃ、いきなり戦力ダウンってことかよ!」

「そうなる。明日の夕方にメンバー選定の会議があるんだけど、全員が憩ちゃんを外す前提で案を考えなくちゃいけないから、事前連絡が来たってことみたい。」

「…。」

「それと、このことは、まだ内密でお願い。」

「お…おぅ。」

 早かれ遅かれ、憩が列車事故に巻き込まれたことは報道されるだろう。しかし、今、ムリに広める話でもない。

 この話は、今日のところは慕達から晴絵達にも伝えられることは無かった。変に情報を流して、折角の島根旅行の雰囲気を壊させたくなかったからだ。

 

 

 この頃、咲は部屋でテレビを見ていた。

 京太郎似の俳優が演じる主人公が、咲に似た女優と最後に新世界でのアダムとイブになると言うストーリーの映画である。

 巷では、思い切り駄作と言われているが…。

 また、その映画の中で、池田華菜に似た人が恐竜に殺される。

 それもあってか、咲としても、一度見てみたいと思っていた作品らしい。

 

 

 一方、霧島神境では、小蒔、霞、春、良子、明星が大浴場で汗を洗い流していた。

 この場に玄が居たならば、間違いなく大欲情していたことであろう。オモチベーションが一気にマックスまで上がりそうだ。

「小蒔ちゃん、今回は世界大会の出場を受ける気なのね。」

 こう言ったのは霞。

 霧島神境にいる者達は、姫である小蒔には、大抵敬語を使う。

 ただ、霞だけは別である。小蒔に対して敬語を使わない数少ない人間だ。

「正式に話が着てからの話ですが…。最強の神様が、どうしても戦いたい人が居るそうですので…。それで、決勝の副将戦だけ出させていただきたいと思います。」

「そんなに強い人なの?」

「宮永咲さんと同じレベルだそうです。」

「それは超化物ね。」

「はい。超化物です!」

 そう答えながらも、小蒔は嬉しそうだった。神の喜びを代弁しているのだろう。

「去年はボストンだったけど、今年は何処でやるのかしら?」

「ソウルだそうです。」

「近いのね。」

「はい! 地理的にも日本に近いので宜しいかと…。」

 小蒔は、霧島神境の姫として、日本に侵入しようとする邪悪な者を霊的に排除する使命があった。

 それもあって、前回のボストンの世界大会は出場を辞退したのだ。

 しかし、今回は韓国のソウルで開催される。

 小蒔の本拠地である九州に非常に近い。

 ならば、海外にいても、自分の使命………霊的な監視を放棄せずにいられそうだ。それで、今回は出場可能と判断したのだ。

 とは言え、自分の使命が最優先である。よって、小蒔は、どうしても最強神が戦いたい決勝戦のみの参戦で良いなら受けると良子に返答していた。

 

 

 翌日、麻雀協会の会議室に、熊倉トシや白築慕達が召集され、世界大会出場メンバー選定に関する会議が開催された。

 今年のインターハイ個人戦成績は、以下の通りであった。

 

 1位:宮永咲

 2位:天江衣

 3位:荒川憩

 4位:宮永光

 5位:神代小蒔

 6位:大星淡

 7位:石見神楽

 8位:松実玄

 9位:高鴨穏乃

 10位:原村和

 11位:石戸明星

 12位:十曽湧

 13位:南浦数絵

 14位:鶴田姫子

 15位:片岡優希

 16位:新子憧

 

 なお、この順位付けは、その後の国民麻雀大会での活躍を考慮しても、大きく変わるものではなかった。

 この順位を元に、合宿参加する七名を選出することになる。

 

 先ず、このうち、1位から5位までをAグループ、6位から9位までをBグループ、10位から12位までをCグループ、13位以下をDグループと分けられた。

 これは、この場にいたほぼ全員が納得していた。

 各グループ間では力の差があり、基本的にAグループ全員をメンバー候補として選出し、残りをBグループから選定する流れとなった。

 但し、荒川憩は列車事故で、残念ながら大会参加できない。また、神代小蒔は事情により決勝戦のみの出場とする。

 

 現状ではCグループやDグループからムリに選ぶべき名前は無いだろう。

 強いて言えば、石戸明星だが、彼女を入れるためにAグループやBグループから落すべき名前は無い。

 

 9位の高鴨穏乃は、団体戦での活躍が考慮されたが、やはりインパクトが弱かった。

 彼女の本当の強さは、戦った者にしか判らない。画面を通して見ているだけの評論家には、中々伝わらないところがある。

 むしろ、松実玄のドラ支配や三元牌支配、大星淡の連続ダブルリーチの方が派手な分、会議に招集された殆どの者達には強く印象に残っていた。

 さらに、その上を行く派手な人間───嶺上開花や四槓子を和了る咲や、これまでに何回も天和を見せている優希がいる。

 それらを引き合いに出されたら、当然、穏乃は評論家達から見て見劣りするだろう。

 まあ、優希の場合は、南場で失速するので世界大会のメンバーには選びにくいところはあるが…。

 もっとも、その失速が無ければ、Dグループからでも優希を選出する意義が出てくると、誰もが思うところだろう。

 

 穏乃のことに話を戻すが、インパクトの弱さに加えて、一校から二名までの選出が基本となる暗黙ルールが考慮される。

 もっとも、今年で最後になるはずのルールだが………。

 それで、残念ながら穏乃は、本大会メンバーから外されることとなった。

 

 憩が欠場で、穏乃を外すとなると話は簡単である。

 言うまでも無い。メンバーは以下の通りとなった。

 宮永咲、宮永光、天江衣、神代小蒔、石見神楽、大星淡、松実玄

 

 この七名を召集し、今度の土日に合宿が行われることになった。

 場所は大阪。

 これは、招集される七名全員………特に咲と玄の交通の便を考慮してのことだった。




おまけ


憧 -Ako- 100式 流れ十八本場 変態決定


久「これで300億円くらいになるかしら?」

玄「随分と資金が貯まったのです!」


久HT-01は、コンピューター………と言うか、ハッキングにも精通していた。
彼女は、よりによって500億円を超える仮想通過を不正入手し、それを闇サイトで別の仮想通過との交換を行っていた。

当然、不特定多数を相手に遣り取りする。小口に切り分けて交換するのだ。
その際、久HT-01は自分の入手した仮想通過を半額にして話を持ちかけた。
相手側も、得するのだから、それに応じてくれた。

不正入手した分は、あっと言う間に別の仮想通過に置き換わり、それをこれから換金して行く。
最初に不正入手した分から、価値として半分になるが、これで足が着かなくなる。
非常に手際も良い。

黒の組織で学習した久HT-01ならではである。
本当に極悪なダッチ〇イフだ。
いや、この場合は、ダッチ〇イフは関係ない。単なる極悪ロボットだ。


玄「さすが、玄の組織の大蔵大臣なのです!」←不正に入手したことを知らない

久「まあ、私は私の理想郷を創ることが目的で協力してるってだけだけどね。」

美穂子「理想郷って?」

久「決まってるじゃない。ハーレムよ!」

美穂子「ちょっと、それって!?」

久「でも、一番近くには美穂子を置いてあげるわ!」

美穂子「…。」


こう言われても、美穂子は納得できない。浮気をすると公言されているわけだから当然であろう。
しかし、別れを告げられるのはもっと嫌だ。
それで何も言えないでいた。


玄「それと、もう一つお願いがあるのです。」

久「何かしら?」

玄「AI搭載の自律型ダッチ〇イフについて調査して欲しいのです!」

久・美穂子「「!!!」」


久HT-01も美穂子も、久HT-01がAI搭載式自律型ダッチ〇イフであることを玄には話していなかった。
そもそも他人にムリに話す必要は無い。

基本的に、久HT-01は単なる浮気性の人間として暮らしていた。
いちいち周りにAI搭載式自律型ダッチ〇イフであることを説明するのも面倒だし、変に騒がれてマスコミに取り上げられ、注目されても困る。
なので、正体は可能な限り伏せたいのが正直なところだ。


玄「今日、憧125式と言うのに出会いました。オモチの大きさをAカップからIカップまで自動調整できる優れものです!」

久「125式?(最新型が完成したのかしら?)」

玄「そうなのです! 125式なのです!」


久HT-01は、自分の元となった憧シリーズの存在を知っていた。
100式から123式ver.絹恵までは、既に完成されていることも、それらの持つ機能についても知っていた。
そして、125式の製作が開始されていたことも…。
ただ、それらの設計図までは久HT-01の頭の中には入っていなかった。

久HT-01の頭に記憶されている設計図は、自分自身の設計図のみだった。自己メンテナンスのために必要だからだ。

それともう一つ………、


久「(オモチサイズを変えるって、準備満タン機能かな? あれって、私には憧れの機能なのよね。)」


久HT-01には、準備満タン機能が搭載されていなかった。ハニートラップ専門なら、むしろ搭載されていた方が良いようにも思うのだが…。
準備満タン機能は、アガサ博士の趣味に合わなかったようだ。


久「105式じゃないのね?(準備満タン機能は、105式に搭載されているから一応確認しておかないとね。)」

玄「125式です! 間違いないのです!」

久「ver.は分かる?」

玄「ver.ヤエと言っていました!」

久「(ver.淡じゃないってことか。)」

玄「その設計図を入手できたら面白いと思うのです! オモチベーション維持活動に大変貢献できるはずなのです!」

久「(そう言えば、オモチ教団だったわね、玄の組織って…。黒の組織の下部組織って聞いたけど、目的からして中味は殆ど独立してる感じね。)」





さて、その頃、憧110式ver.マホは、近所の小学生男子達と遊んでいた。
一応、憧110式ver.マホは一太をオーナーにしていたが、やはりジェンダーレス機能の無いダッチ〇イフである。自然と男性のほうに寄って行く。
当然、女性のほうには近づいて行かない。飽くまでも憧110式ver.マホの興味の対象は男性だけだ。

また、憧110式ver.マホは、かなり可愛らしい容姿に作られていた。それこそ、哀や歩美よりも顔立ちが整っている(そう言う設定です)。
こんな娘と遊べるなんて、小学生男子達にとっては嬉しい限りである。
しかも、小学生男子特有の下品ネタにも決して引くことがない。むしろ、そう言ったネタに、楽しそうに反応してくれる。
それもあって、彼らは憧110式ver.マホのことを、自分達の遊び仲間として喜んで迎え入れていた。


少年A「ちょっと小便したくなった。」

少年B「俺も!」

少年C「じゃあ、ここで立ちションしちゃおうぜ!」


彼らは、憧110式ver.マホの前で一斉に立ちションを始めた。一応、壁に向かっており、憧110式ver.マホには背を向けていたが………。
勿論、こういった状況でも憧110式ver.マホが引かないのを知っての行動である。


少年D「マホは、こんなこと出来ねえだろ?」

マホ「できません。」

少年E「チ〇コついてねえもんな!」

マホ「でも、マホには別のものが装備されています!」


憧110式ver.マホが、少年達の前でスカートを捲り上げた。
ちなみに、この世界にはパンツと言う概念が存在しない。


少年A・B・C・D・E・F・G「「「「「「「おおぉ!」」」」」」」


少年達は、生まれて初めて自分達とは違う機能のモノを目の当たりにした。


少年F「マネキンみたいにツルツルってわけじゃないんだな!」

少年G「ちょっと触ってイイか?」

マホ「イイですけど、やめた方が良いと思います。」

少年A「どうして?」

マホ「マホは、もう一太お兄ちゃんの専用機だからです!」

少年B「専用機?」

少年C「意味分かんねえな。」

少年G「ちょっと触るぞ!」


男性なら、その部分に興味を持って当たり前であろう。
しかも、憧110式ver.マホは非常に容姿に優れている。だったら、なおさらのことだ。

少年Gは、憧110式ver.マホのイケナイところに手を触れた。
すると、突然、彼の身体に激しい電流が流れた。
絶頂の意味の電流では無い。本気で感電したのだ。


取扱説明書
1.NTR機能またはスワッ〇ング機能を発動させない限り、本機種の股間に触れたオーナー以外の男性は感電します。


少年G「なんだこれ? 体中が痺れたぞ!」

少年C「そう言えば、前に父ちゃんが、シビ〇フグが女性の股のところと関係あるようなこと言ってたっけ。」

少年D「ってことは、これがシビレ〇グってやつか!」

少年E「多分そうだぜ!」

少年F「おお! シビ〇フグ! シ〇レフグ!」


誤った性知識が植えつけられた瞬間だった。
彼らは、女性のイケナイ部分に触れたら感電すると思い込んで………いや、脳内に刷り込まれたに違いない。


少年F「じゃあさ、マホが俺らのに触ったらどうなるのかな?」

少年A・B・C・D・E・G「「「「「「!!!」」」」」」


この何気ない一言が、まだ彼らにとって開いてはならない青春の扉を開けてしまった。
少年達は、憧110式ver.マホの前に一列に並んでズボンを脱いだ。
これはこれで、どんなことになるのか、彼らは非常に興味があった。
想像しただけで、何故か興奮してきた。しかも、身体が臨戦態勢に入っている。
まあ、小学生の彼らには、臨戦態勢の意味は分からないだろうが………。


少年A・B・C・D・E・F・G「「「「「「「よ…よろしくおねがいしまーす!」」」」」」」


取扱説明書
2.本機種は、超高速の手技であっという間に絶頂状態にさせることが出来ます。大変刺激が強いので、使い過ぎに注意してください。

3.特に刺激になれていない方やお子様はご注意ください。


マホ「手だけですよ。他のところでなんてのは無しですからね!」


他のところと言われても、少年達には意味が分からなかったのだが…。

憧110式ver.マホが、順番に少年達の血流増加したところに、ほんの一瞬f…、


まこ「やっぱり、これマズイじゃろ! 次回からはワシが飛ばす!」


そして、次の瞬間、


少年A「あべし!」

少年B「ひでぶ!」

少年C「たわば!」

少年D「うわらば!」

少年E「へげえ!」

少年F「どぉえへぷ!」

少年G「イッてれぽ!」


予想通り、少年達は、順に瞬殺されて行った。しかも、豪快だ。
彼らにとって、これが何なのか意味が分からない。
ただ、今までにない感覚に、彼らは右拳を高々と上げて言った。


少年A・B・C・D・E・F・G「「「「「「「我が生涯に一片の悔い無し!」」」」」」」


それで、次の日以降も、


少年A・B・C・D・E・F・G「「「「「「「よろしくおねがいしまーす!」」」」」」」


彼らは再び憧110式ver.マホに、毎日、同じ遊びをリクエストし………、


まこ「じゃから、これ以上はダメじゃ!」


この少年達にも、いずれ彼女が出来るだろう。
しかし、ここまで激しい物理的刺激を得ることは出来ないのではないだろうか?
彼らの人生は、狂ってしまったかもしれない。

ところで、憧108式ver.姫子のほうだが…。


姫子「あっ♡! あっ♡! あっ♡!」

まこ「ダメじゃ! これは載せられん!」


まこに強制シャットアウトされた。
さすが、煩悩の数が式番についているだけのことはある。
憧108式ver.姫子は、丁度、哩と一対一の勝負中だったようだ。



続く
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