今までのシリーズとは微塵も関係ないです。
偉大なる元ネタ様には及びませんが下品なだけです。
内容はいつも通り多角的にありえないです。
「悪い。遅れたか、ジーク?」
「いや」
ドアから顔を覗かせる赤毛の青年に、ジークと呼ばれたホムンクルスの青年が返す。
赤毛の青年はホムンクルスの青年を一瞥した後に部屋を見渡す。
部屋には机とその上に乗った見慣れない機器。今から始まることに必要なものだけが鎮座するそれは、部屋というよりただの空間に近かった。
後手でドアを閉め、その限りなく無機質な空間に入室する赤毛の青年。これでこの空間に存在するのは机と見慣れぬ機器、それと四人の青年のみとなった。
そう、中にいたのはホムンクルスの青年だけではなかった。赤毛の青年が視線を移す前に、彼を除いた二人が赤毛の青年に視線をやる。
赤毛の青年はその視線を受けて部屋の中央に歩むと、机の上にある見慣れない機器を見て僅かに眉を寄せる。
「これは?」
「音声認識機能付きのホログラム投影装置。今回のためにダヴィンチちゃんに作ってもらったんだ」
赤毛の青年の問いに白い独特の制服を着た青年が答える。
「なんだって? 立香。まさかそのダ・ヴィンチ、ちゃん? に今回の――」
「大丈夫だよ。題目は勉強会での使用ってことだからさ」
赤毛の青年の危惧を黒い制服を着た青年がほぐす。
「そっか、ならいいんだ……じゃあ、いつまでもぼっ立ちってのもなんだし、始めようか」
「っふふ……」
赤毛の青年の開催に黒い制服の青年が笑みを――いや、失笑する。
それは純粋な面白さからこぼれた笑いだったが、赤毛の青年はそうは受け取らなかった。
「へえ、余裕じゃないか白野」
白野と呼ばれた青年の失笑に、闘志を返す赤毛の青年。
それは今から始まる争いに向けた当然すぎる闘志だった。
しかし、それを受けて尚、白野と呼ばれた青年は面白げに笑っていた。
「いや、衛宮が『ぼっ立ち』だなんて上手い事を言うからさ」
「え……? ああいや! そういうつもりじゃないぞ!?」
「ぷっ、あははははは!」
誤解を弁解した白野と呼ばれた青年の言葉に、察した衛宮という青年が弁解する。
しかし、同じく察した立香と呼ばれた青年が笑い出すと、衛宮と呼ばれた青年はばつが悪そうな表情を浮かべる。
それを見てジークと呼ばれた青年が『ああ』と納得したような声をこぼし、言葉を紡ぐ。
「確かに、俺達は全員たっている。ダブルミーニングだな」
「だからそういうんじゃないって!」
弁解する衛宮と呼ばれた青年がムキになり、立香と呼ばれた青年の笑い声がそれを煽る。
そう、彼らは全員もれなくたっていた。平たく言えば全員勃起していた。
指摘、弁解、失笑、天然、勃起。この五つが入り交じるクッソ頭の悪い空気の中。しかし、その中において誰一人として1mm足りとも角度を落としてはいない。
それはこの四人の男としての矜持の証明でもあった。
――チンポ持久力バトル
此処ではなく何時でもないどこか。そこで一つの議題が持ち上がった。
――Fate主人公中、竿役全一は誰か?
このあまりにも低能度の高い議題に、しかし四人の男たちは笑いながらも一歩も引くことはなかった。
童貞を卒業し僅かにも熟れてきたと錯覚し始めている季節。その無根拠な万能感と優越感を意識している四人は、引くという考えすら思い浮かばなかった。
この四人に共通する程度の低い意識の高さは、天然気味ながら常識人であるジークすら『Apocryphaは群像劇だから作中俺のみが主人公というわけではない』という尤もすぎる正論すら棚の上に押しやった。
最初は誰も彼もが冗談めかしつつも己が君臨しようとしたものの、その誰も彼もが一歩も引かぬとお互いに悟ると議論はマジトーンで続行された。水辺の王様、傾国の女、邪竜、人理――多角的な観点から議論は白熱するも収拾はつきそうになかったが、限凸カレスコとNP50+の偉大さが身にしみている藤丸立香が一歩深く切り込んだ。
――継戦能力じゃない?
――そうだな
インスタントに至上命題を共有した四人は、雌雄を決するべく割とあっさり勝負方法を決めた。
チンポ持久力バトルである。
◆目的
男性機能の継戦能力検証
◆参加者
衛宮士郎
岸波白野
藤丸立香
ジーク
◆試合形式
概念礼装回覧バトルロイヤル
◆使用機器
ダ・ヴィンチ謹製音声認識ホログラム投影機
デジタル表示分度器
◆ルール
一人ずつ男性概念礼装名を宣言し表示された画像を定められた時間直視すること
定められた時間中にまばたきや目をそらした時点で敗北とすること
回復能力も検証するため一巡終了後に女性概念礼装をランダムで表示すること
◆タイムスケジュール
概念礼装検討 00:05
概念礼装発表 00:05
直視時間 00:35
勃起角度確認 00:05
次巡準備 00:10
◆勝利条件
最後まで勃起していること
◆敗北条件
萎えてしまうこと
「準備はいいか?」
「ああ、まずは俺からだな」
ジークの問いに左腿にデジタル分度器をつけた士郎が返す。
どこに出しても恥ずかしい出で立ちとは裏腹に、士郎の表情は真剣そのものだ。
それもそのはず、これは男の戦い。社会的にはともかく、その先鋒を務めるにあたって男性的には相応しい姿勢だった。
(イメージするのは常に最強の自分)
何度繰り返したかもわからない言葉を士郎は心の中で繰り返す。
そう、まさしくこれは己との戦い。自分にだけは負けられないと固く誓う。
(
多方面からのクレームはまず免れないであろう詠唱。
意識するのは腕ではなくボクサーパンツの中。
締め付ける布の感触をまるでないかのように膨張しつつも『なんでさ』と二重に鎌首をもたげる己が剣を正中線に構え、衛宮士郎は堂々とホログラム投影機が鎮座する机に向かって歩を進めた。
・Round1(衛宮士郎)
衛宮士郎 180
岸波白野 180
藤丸立香 180
ジーク 180
「五百年の妄執」
「「「なにィーーーーッ!?」」」
ヴォン、と投影機の上に浮かび上がるは爺のような妖怪。
誰が知ろう。
この妖怪こそ誤算家の一。かのHFルートにおいてのみ活躍した、活躍の高低差が激しい痴呆老人ことマキリ・ゾォルケンである。
生き延びた年数は500、50年に一度体を取り替えれば稼働する不死とも思える肉体。取り替えるごとに稼働時間が短くなっていくその劣化ぶりは、さながら中古のエネループにも匹敵するとされる。そんなご家庭に役立つエネループとは真逆に、刻印蟲しか撒き散らさないその生き様は邪悪の一言。少なくとも宣言者である衛宮士郎が知る限り、ここまで悪影響を及ぼす登場人物は存在しない――!
「キッツ!」
――岸波白野60度ダウン
「なんでこればかり来るんだ……!」
――藤丸立香80度ダウン
「耐え切れ……!」
――ジーク70度ダウン
「ぐあァァーーーーっ!」
――衛宮士郎120度ダウン
「言った本人が!?」
「諸刃の剣にも程があるでしょ!」
Fate/StayNightの様式美とも言える悲鳴に驚愕する白野と立香。
その驚愕は使い回しを許さない個別収録の悲鳴に対してではない。それは新年早朝におみくじを引いている参拝客の真横で、ノリノリで丑の刻参りを行うに等しい自爆に対してだ。
「なるほど、流石は無限の剣製。諸刃の剣とはそういう……」
「だから……! そういうんじゃないって……!」
天然気味な反応を示すジークに息も絶え絶えに返す士郎。
想像を絶する脱力感に耐えているであろうその姿はまさに自業自得。これには赤い弓兵も一歩下がって双剣を突き出すだろう。
(甘く見ていた……! フィードバックを、顔見知りという威力を、3Dで投影されるホログラムを……!)
本編では賛否両論な頑なさを発揮していたが、今回ばかりはマジで間違っていたと自責する衛宮士郎。
今まさに体は無限の剣でできてはいても、海綿体は無限の血流ではできていなかったということをライヴで実感していた。
(凄まじい自爆。だが、俺達のダメージも軽微ではない……)
(出典はFate/StayNight……顔見知りか)
(この中で一番の軽症は……白野さんか!)
そんな本編ストーリーでもお目にかかれない自爆を他所に、他三人は決して楽観視はしていなかった。
ジークはダメージの多寡を、白野は自爆の理由を、立香は彼我の差を冷静に分析していた。
(思い出すんだ……! ラブラブカリバーンを! 金の湯船を! 万力のような締め付けを……!)
そして、士郎も決して諦めようとはしていなかった。
・Round2(岸波白野)
衛宮士郎 60
岸波白野 120
藤丸立香 100
ジーク 110
(なるほど。これは無闇に振ればいいというわけではないんだ。
礼装自体の破壊力もあるけど、身近にいるからこそダメージが大きいんだ)
白野はこの僅かな時間の中で戦略を練り直していた。
事前に練った戦略は確かにあるが、実地での効果を見て再考せざるを得なかったのだ。
宣言とは一方的に攻撃できるものではない。それは自分を含めて例外なく降りかかるものであると実感していた。
フィードバックがある以上、士郎の自爆も決して他人事ではないのだ。
(衛宮は自滅寸前……あれじゃしばらく回復は無理だろう。
と、なれば残るは二人。そして先のターンで学んだ有効打とくれば……!)
「風雅たれ」
「「その手があったかッ……!」」
ヴォン、と投影機の上に浮かび上がるは第二部ヒロインと名高いゴルドルフ・ムジーク。
このラーメン二郎を擬人化してスーツを着せたかのような男は、奇しくも先の爆心地を生き残った立香とジークに関係する人物である。
正確に言えばジークとは面識がないはずだが、その容姿は祖先である不屈のゴルドを母体にしたホムンクルスとも見れるレベル。
R-18タグを付けて検索をしようものなら、圧倒的大惨事を巻き起こすであろうお肉の錬金術師である……!
「クッ!? ぐうっ……まだだッ!」
――衛宮士郎20度ダウン
「記憶に新しすぎるー!」
――藤丸立香60度ダウン
「すまない……腹パンしてすまない……」
――ジーク60度ダウン
「……よし」
――岸波白野増減なし
(やっぱりそうだ! 似てるだけでも効果が大きい。絵柄はキツいけど事前に身構えてさえいれば妄想で相殺できる!)
ちら、と他三人を眺める白野。
「この場ではふわとろカルボナーラって単語が意味深すぎるんだよォー!」
「すまない……いや本当マジですまない……」
(効果大。今後はこの身内攻めプランで行こう。直接的なつながりが少ないEXTRA出身の俺だからこそ出来る!)
一人勝利を確信する白野。
しかしそれは決して思い上がりではなかった。何せ具体的な数値として結果が出ているのだから。
まして低下した角度というものは気軽に戻せるものではない。実際には数値以上に開きが発生するものと白野は見極めていた。
・Round3(藤丸立香)
衛宮士郎 40
岸波白野 120
藤丸立香 40
ジーク 50
(まずい。まだRound3なのにもう死に体だ……!)
藤丸立香は焦燥にかられていた。
さもありなん。Round1の自爆めいた攻撃からさらなる追撃、その追撃者である岸波白野とは大差をつけられていた。
しかしそれでも立香は勝利を諦めてはいなかった。
(身内攻めなんて味な真似を……だけどね、白野さん。それはオレの得意技でもあるんだ……!)
交友関係の広い自分は弱点をつかれやすい、にも関わらず今回の形式は自分に有利。
交友関係の広さという弱点以上に、カードプールを知り尽くしている有利があると立香は考えていた。
Fate/Grand Order出身は伊達ではない。倉庫拡張は完全に済ませて概念礼装はすべて保管している。
知識量の豊富さと現役マスターだからこそ出来ること。的確な概念礼装宣言が出来るのは自分だけなのだと立香は確信していた。
(そのまま返すよ。そう、5秒ちょっとで臨機応変にカードを出せるのはオレだけだ!)
「ミラクル求道者」
「「「てへぺろがむさうざッ!」」」
ヴォン、と投影機の上に浮かび上がるはボリュームダウンキーに手を伸ばしたくなる筋肉体、臥藤門司。
チャンポン宗教家として名高い破戒僧。そのの言動の鬱陶しさには定評があり、かの魔性菩薩としても名高い殺生院キアラにすら「話が通じない」とまで思わせた程だ。その無軌道な言動の根拠。それは、本当にチャンポンされているのは宗教なのか、アルコールなのか、ひょっとしたら葉っぱなのか――
「この程度!」
――衛宮士郎増減なし
「マナプリ行きさ……!」
――藤丸立香増減なし
「大した体躯だな」
――ジーク増減なし
「うあっ……! クッ!」
――岸波白野40度ダウン
(そんな!? むささ、ウザさ、入手難度、そのどれもに優れた一手だったはず……!)
ピンポイントな概念礼装宣言。
しかし、岸波白野がつけた大差を覆すには足りなかった。
そう、藤丸立香は見誤っていた。コンディションが変われば増減値も変わるということを。交友関係が狭いからこそ、意識外からの不意打ちが難しいということを。
(甘い。ある程度予想はしていたさ……!)
(確実に、確実に刺さると思った……いや、刺さってもあの程度だなんて……っ!)
立香の焦燥は先の比ではない。
渾身の一撃に耐えられた上に、他二人にダメージを与えることすらできなかった事実が次の起死回生の案を曇らせる。
白野に一矢報いようと焦った結果に、立香は自分の角度を維持することしかできなかった。
・Round4(ジーク)
衛宮士郎 40
岸波白野 80
藤丸立香 40
ジーク 50
(岸波の一強か)
勝敗が見え始めたこの状況でも尚、ジークは冷静だった。
(岸波は後に回すしかないな。RoundEXでの回復を待ってからでないとどうにもできそうにない。
ここは身内攻めの効果に頼り、各個撃破が望ましいだろう)
岸波を除いた二人を一瞥する。
いつでも脱落させられる角度だからといって放っておくこと自体が間違い――
自分のターンまでに萎えさせられては元も子もない。まずは頭数を減らしてダメージを抑えて耐久戦を仕掛ける。そして回復を見込めるRoundEXを上手く使うのが上策だとジークは判断した。
(求められるのは確実に通る宣言。そしてこれまでに御老体、肥満体、筋肉体と続いている……ならば)
「出発進行!」
ヴォン、と投影機の上に浮かび上がるはピンクは淫乱の血統を正しく持つ、性癖の開拓者アストルフォ。
可愛らしく見える容姿とは裏腹に、文字通りに『イチモツを抱える』正真正銘の男。
R-18タグを付与し検索したFate初見者は数知れず。ついているはずがないものがついていて驚愕した初見者も数知れず。聖女が目を隠す程の立派なモノは、東洋の剣豪に『結局のところ全部ホモでは……?』とまで言わしめる名刀。このピンクトラップ、たとえ初見でなくとも騙されるは必定――!
「……」
――衛宮士郎20度アップ
「……」
――藤丸立香30度アップ
「……」
――岸波白野20度アップ
「待ってほしい」
――ジーク増減なし
「……ああ! 皆、正体を知らないんだな。一見可愛らしく見えるかもしれないが――」
「知ってるよ。男だろ?」
「立香? 支離滅裂な男根に見えるが?」
自分の常識が非常識に塗りつぶされつつあるジーク。
しかし、これこそが現実。これこそが常識。ジークを除いた三人の角度が上がったことが何よりの証明だった。
「知ってもいける」
「どういうことなんだ……教えてくれジャンヌ……」
あの股間についているヒポグリフを見ても同じことが言えるのだろうかと困惑するジーク。
知っても尚いけるとまで言わしめたカルマは、天然であろうと常識人すぎるジークには荷が重かった。
性癖開拓という闇が無遠慮に広まるこの瞬間、ジークは思わず『ジル・ド・レェもこのような感覚だったのか』と現実逃避を始める。
「何故だ……彼は男なんだぞ……一見可憐に見えてもついているんだぞ……」
「……いや、ほら……その、さ。もういいだろ! さ、次行こう、次」
・Round EX
衛宮士郎 60
岸波白野 100
藤丸立香 70
ジーク 50
「ようやく一巡したね」
「ああ……そうだな……」
立香の安堵の声に未だショックが抜けきらないジークが返す。
『可愛ければ何でもいいんじゃないかな』という深淵への誘いを秘め、立香は女性限定概念礼装の設定を始めた。
(しかし、まずい。これはまずいぞ……)
ジークの容態もまずいが、それ以上に角度の大差を憂う士郎。
まだ一巡したばかりだと言うのにこの惨状。ここからの巻き返しは至難だろうと、短い時間で起死回生のプランを練り始める。
(あまり布面積の少ない礼装は来ないでほしいものだけど)
対して、一強状態のせいか余裕のある白野。
ジークのメディックぶりは計算外だったが、それでもまだ大差ではある。だが、ここで更に他三人の角度が上がってしまえば意味がない。他三人とは真逆に、余裕のある焦りを白野は感じていた。
「じゃ、ガチャるよ」
返答を聞かずにRound EX分の女性限定概念礼装ガチャを始める立香。
投影される光の粒子。それに色が付きはじめ、明確な形を描き出した。
股間のメシアが今ここに映し出される。
――魔性菩薩
それはまさしく聖女だった。
愛おしげに地球を胸に抱く、楚々とした尼装を着こなす女。
しかし、その慈愛に満ちた顔の中には隠しきれぬ淫靡さが。下がり眉と僅かに紅潮した頬がさらにそれを彩っている。
隠しきれないのは表情だけではなかった。この上なく主張する豊かすぎる胸。地球を抱き左乳房がやや盛り上がっている上半身、左頭部には男根を意味する魔羅の角、圧倒的地球規模のパイズリ一歩手前を暗示するその姿。
それはまさしく性女だった。
「うわっ……凄いなこりゃ」
――衛宮士郎50度アップ
「躰は文句なく凄いんだけどね……」
――藤丸立香30度アップ
「確かに」
――ジーク50度アップ
「ヴォエ!」
――岸波白野100度ダウン
「うわぁ!?」
「なんでさ!?」
あまりにもスピーディーな嘔吐に驚く立香と士郎。
なりふり構わず吐瀉物を撒き散らす白野。
それはまるで胃が爆発したかのような見事なマーライオンぶりだった。
胃の内容物はおろか臓器すら戻しているかのような迫力。脳にきて、腹にきて、最後は脚にくるトラウマ三段活用を示した白野は、受け身を取れるべくもなく崩れ落ち、したたかに床に頭部をぶつけ痙攣をはじめた。
「ゲボォッ! オヴォッ、オロロロロロ!」
「まずい! 血の気が完全に引いている!」
勃起した四人の青年を内包した部屋はあっという間にドン引きムードに。茶番がベクトルを変えて惨事に変貌する。
その主要人物は今もなお痙攣しながら吐瀉物を撒き散らす。
吐瀉物に塗れるのもためらわずに慌てて介抱に移るジーク。それに続く二人の青年。
それはこのクッソ頭の悪い男の戦いの終焉を現していた。平たく言えば全員萎えていた。
――女性限定概念礼装
誰もがプラスになると考えていたボーナスステージ。
それもそのはず、何故ならFateに存在する女性にハズレなど存在するはずもない。
全て見目麗しい女性しかいないのであれば、このステージは港に止めてある乗用車を破壊するに等しいステージのはずだった。
だが、ここに例外が存在する。
具体的に言えば天敵という項目が存在する。
殺生院キアラ。
この名こそマテリアルにデカデカと天敵に位置されている女の名。
誰の天敵と言うまでもない。岸波白野以外の誰が存在するというのか。
(甘かったのは、俺……意識外の不意打ちが、こんなにも……効く、とは)
白野の嘔吐感が鎮まっていく。
いや、鎮まっていくのではない。薄れていく。吐き気も、意識も。
だがそれがありがたいと白野は思った。先の嘔吐感から逃れられるなら安いものだと思った。
霞んでいく意識に逆らわず受け入れる。
(なんでこんなことやってたんだろ)
上から放出しても賢者タイムは訪れるのか。そう白野は意識を失う前に思った。
しかし、奇しくもそれは白野を含めた四人全員が思っていたことだった。