「それでは、はーちゃん。また明日」
「うん♪おやすみ♪なー♪」
カチャッ
「……行っちゃった……う〜ん……やっぱり、なーがいないとヘンな感じ……」
「ずっと、一緒だったもんね……はーたちが、生まれた時から……ずっと……」
なーは……スカウトだったんだよね……?
えぇ。すました顔をして悩んでるところを、お持ち帰りされてしまいました。ぶい
「……」
私たちが……「双子」だから……オーディションで、採用してくれたの……?
う〜ん、半分当たりで、半分はずれかな
「……双子……か……」
凪との出会いは、本当に偶然だったんだ。だから、色んな意味で奇跡のユニットかもな。ははっ
「もし……あの時……なーじゃなくて、はーだったら、Pちゃんは……」
「……ううん。はーは、はー。なーは、なー。だもんね……」
「近くて遠い、すぐ隣にいる……楽しみも趣味も違くて……でも、どこか似ている……」
「もう一人の……「私」……そっか、そうだよね……」
「こうやって、なっていくんだよね。はーも頑張らなきゃ……だって……」
「……輝くアイドルに……なるだもん……絶対に……」
------------------------------------------------
「よし、着いたな」
「わ〜っ!ここが原宿!?」
「うん、今日はオフにしよう。だから、俺が原宿を案内するよ」
「ウワサには聞いてたけど……すっごくオシャレな街並!人!お店!さっすが、都会って感じ〜♪」
「都会は情報が多いですね。あと、はーちゃんが地元で見たことがないほど、生き生きしているな」
「ほらっ!Pちゃん!なー!早く早く!置いてくよ〜!」
「時は金なり、善は急げというやつですね。わかりみです」
「まあまあ、そう焦るなって。時間はまだ、たくさんあるんだからさ」
「うぅ〜……それは……そうだけどぉ……あ〜っ!」
「はーちゃん。どうしました?」
「クレープだあ!しかも、たくさん種類がある!」
「何だ、クレープに興味あるのか?それじゃあせっかくだし、食べていくか?」
「い〜の!?やった〜♪」
「P、いいのですか?」
「あぁ。好きなのを選んでくれ」
「それでは、お言葉に甘えて。ありがとうございます」
「ありがとう♪Pちゃんっ♪さ〜て♪ど・れ・にしようかな〜♪」
「これは、はんぶんこの流れですね。わかりみです」
「見て見て♪かわいくない?なーは、イチゴ以外選んでっ!」
「流石に、専門店だと種類が多いよな。メニューを見てるだけでも、お腹がいっぱいになりそうだ」
「そうですね。凪は今、決断を迫られています。これは一大事です」
「ははっ、大袈裟だな。でも、迷うのはわからなくもないぞ。これだけ種類が多いんだから」
「Pちゃんは、ここに来たことがあるの?」
「流石に、俺一人ではないけど…事務所のアイドルとは、何回か来たことがあるぞ。例えば仕事帰りとかな」
「そうなんだ〜。帰り道に、オシャレなクレープを食べながらお話……やっぱり、最先端だねっ!都会って!」
「……決まりました」
「おっ、決まったか。なーは、何を選ぶんだ?」
「そうですね。凪は、これにします」
------------------------------------------------
「う〜ん……美味し〜い♪はい♪なー♪」
「あむ……わぁお。あまくてすっぱい、恋の味ですね。それでは、はい、はーちゃん」
「ありがとう♪……ん〜♪なーのも、すごい美味しいね♪」
「ははっ。二人とも、本当に仲がいいんだな」
「えぇ。はーちゃんは、凪検定一級を持っていますので」
「はーたちは、いつも仲良しだしねっ♪」
「それはいいことだ。でも、一つ聞きたいことがあるんだが……なーは、クレープじゃなくてよかったのか?」
「はい。凪は、タピオカドリンクが飲みたかったので」
「何て言うか……なーはやっぱり、個性的だよな」
「……と言いますと……?」
「いや。飲みたかったなら、それでいいんだ」
「ただ、俺はてっきり、姉妹で違う具のクレープを選ぶと思っててな。想像の斜め上をいったっていうか……」
「凪は自分を曲げませんよ。ぶい」
「……ね〜ね〜!PちゃんPちゃんっ!はーは?ね〜!はーは!?」
「ん?どうしたんだ?急に」
「イチゴのクレープを選んだはーのこと、どう思った!?イケてるアイドルっぽい!?」
「どう思ったって……その……かわいいと思うぞ…?」
「あ〜っ!今、悩んだでしょ〜!それに、アイドルの特徴がかわいいって、普通すぎるよ〜!」
「いや……アイドルにとっては結構、重要な要素だと思うぞ?イチゴっていうのも、実に女の子らしいし」
「普通すぎて、ヤ〜ダ〜!何か、はーならではって、言うのはないの〜!?」
「う〜む……そうだな……強いて、言うなら……」ジー
「?」
「……他の同年代よりか……スタイルがいいとか…?」
------------------------------------------------
「スタイル……?ふ〜ん、そっか〜。へぇ〜」
「……何だよ……」
「確かに、スタイルには自信があるよ?はーの、一つの自慢ポイントだしねっ♪」
「……でも、まさか……Pちゃんが、そういう風に思ってくれてたなんて……えっち……//」
「はぁっ!?」
「美味しそうなクレープより、美味しそうなはーちゃんのことが、気になっていたのか。流石は、Pですね」
「ちょっ……そういう意味じゃねえって!ただ、はーの特徴を言えって言うから、仕方なくだな……!//」
「……えいっ♪」
プニッ♪
「なっ……!?はっ、はー!何だよ!急にっ……!//」
「んもう。さっきからPちゃんてば、なーのことばかり、見てるんだもん。だから……」
「……こうやって……はーの「個性」を、Pちゃんにアピールしていかなくちゃね♪ねね、どう……?//」
「別に、そんなことは……ていうか!どうも何もあるか!離れろっ!//」
「いやっ!えっちなPちゃんが、悪いんだも〜んっ♪」
「Pは、凪たちをそういう風に見てたのですね。いやーん」
「おい!誤解に誤解を重ねるな!」
「……でも……「キライ」じゃないよねっ……♪//」
「っ!……し、知るかっ…!//」
「ふふっ…♪照れてるPちゃんって、超かわいい♪」
「ったく……!はーはアイドルになったんだから、こういう誤解を招くようなことはだなっ……!//」
「……こんなこと……Pちゃん以外の、男の人には……しないよ……?」
「ん?どういうことだ……?」
「何でもないよっ。Pちゃんはやっぱり、Pちゃんなんだな〜って、改めて思っただけ。ね〜?なー」
「えぇ、そうですね。本当に、手のかかるPです」
「二人して……何なんだよ……一体……」
「ところで、Pちゃん。次は、どこにはーたちを、案内してくれるの?」
「うん……?あぁ、そうだな。でも、食べてからにしようよ。まだ、時間はたくさんあるんだし」
「それもそうだね♪……ん〜♪それにしても……本当にこのクレープ、美味し〜い♪」
「映えの聖地で、映える飲み物を飲みながら、凪自身の映えについて考える……エモいな」
------------------------------------------------
「う〜ん……」
「ねぇねぇ、Pちゃん♪Pちゃんっ♪どう?これ、似合う?」
「あぁ。とてもよく、似合ってるぞ」
「ありがとう♪じゃあ、これはキープして……なーは、これ着てみて!」
「凪は今、全力でマネキンをしています。貴重な、1/1スケールのJCマネキンです」
「ここのショップも、たくさん種類があるからな。ゆっくり選べるんじゃないか?」
「でも、Pちゃん。本当にいいの?クレープも、ご馳走になったのに……」
「なに、二人のアイドルデビュー祝いだ。気にしないで、好きなのを選んでいいぞ」
「わ〜いっ♪ありがとう♪Pちゃんっ♪う〜ん、これもいいなぁ〜……あっ、こっちも、なーに似合うなあ」
「あとで、はーちゃんのも選んであげますね。ナギ・コレクション開催です」
「ははっ。何だかこうしてみると、二人って改めて、双子って感じがするよな」
「えっ、そう……?」
「例えば、どういうところがですか?」
「いや、服を着せあってるところを見てると、顔つきから何まで、そっくりだな〜って思ってさ」
「「……」」
「ん…?どうしたんだ?二人とも」
「……あっちへ行こうぜ……久しぶりに…………キレてしまいました……」
「ふ〜ん……Pちゃんってば、そんなイジワルを言っちゃうんだ〜」
「……えっ、い、イジワル……?」
「Pには、ワックワクでドッキドキな、楽しいことをしてあげます。さあ、来てください」
「えへへ♪はーたちと、と〜っても、楽しいことをしようねっ♪」
「あっ、いや、その……悪かったよ……?」
「ダメ〜ッ♪Pちゃん、覚悟してねっ♪」
「ちょっ……ま、待て……」
「Pくんがクロに決まりました。オアソビを開始します」
「わ、悪かったってええええ!」
------------------------------------------------
「うぅ……どうして……俺が、こんな目に……」
「あははっ♪Pちゃんって結構、キュートな服が似合うんだね♪かわいい♪」
「Pには、アイドルの素質がありますね。どうも、P担当の凪です」
「頼む……スマホの、その俺の写真を消してくれよ……なっ?」
「やっ!Pちゃんが、はーたちにイジワルをしたんだし、はーたちも、Pちゃんにイジワルをしちゃうもん!」
「だから、そのイジワルって何だよ……」
「……凪たちは…変わってきています」
「えっ……変わってきてる…?」
「常に一緒だった、凪とはーちゃんが「アイドル」として、変化をしてきているのです。ねっ、はーちゃん」
「……例えば?」
「部屋は別ですし、それに朝食は、パン派の凪に合わせずに、はーちゃんは和食を選ぶようになりました」
「そこぉ!?」
「今までは、どれもこれも一緒でした。今はだんだんと、違いが出てきていますね」
「何がとは、はっきり言えないけど……確かに、変わってきてるのかもね……はーたち……」
「アイドルとして、自信を持ってくれるのは嬉しいけど……二人とも、何かあったのか?」
「ううん。はーたちは、いつでも仲良しだよ♪毎日、会ってるしね♪」
「えぇ。もちろんはーちゃんは、凪だけのアイドルです。ですが……」
「……アイドルになる前の凪たちとは、何かが違ってきている……そんな気がするんです」
「そうか。まあ、仲がよければ別にいいんじゃないか?いい変化なら、喜ばしいことだし」
「具体的には言えないけど……何かが変わってきてるのかな……?はーたち……」
「でも、一つだけ、確実に変わったと確信できることがあります……じー」
「ん?何だよ。俺をそんなに見つめて」
「……凪プロダクションに、Pという新しいアイドルが、来たということです」
------------------------------------------------
「???」
「……そうだね〜♪こんな「かわいい」Pちゃんと出会ってから、はーたちの日常って、激変しちゃったかも♪」
「ちょっ……だからその写真は、早く消せって!恥ずかしいからっ!//」
「しかし、本当によく似合っていますね。同じアイドルとして、嫉妬してしまいます」
「あっ!そうだ♪今度は、コスメも試してみようよ♪Pちゃんって童顔だから、もっとカワイクなれそうだし♪」
「同じって何だよ!あと、俺をおもちゃにするな!」
「ふふっ。少しずつ、慣れてきました。都会にも、アイドルにも、Pの扱いは、当然」
「扱いって……あのなぁ……」
「凪は、P検定一級を取得しました。ですので、Pの扱いなら朝飯前です」
「Pちゃんって、面白くていい人だよね♪あと、優しいっ♪」
「……褒めてるのか、貶されてるのか……」
「褒めてるんですよ。よーし、よしよし」
「えへへっ♪Pちゃん♪これからもよろしくねっ♪」
「凪たちがPをシンデレラにするのか、Pが凪たちをシンデレラにするのか、卵が先か、ニワトリが先か、これ以下に」
「……おーい。お前たちは、アイドルなんだぞ〜?少しは、自覚を持ってくれよ〜?」
「……おぉ、そうでした。Pのあまりのかわいさに、凪は我を忘れていました。凪たちはアイドルでしたね」
「おいおい頼むぜ?ったく……」
「あははっ♪それじゃあ、さらに仲良くなったところで……Pちゃんっ♪これ持って♪」
「ん?何だこれ」
「映えの聖地で、自撮り棒を託します。この意味がわかりますか?どういうことだ」
「自撮り棒……?」
「Pちゃんに買ってもらった、新しい服をゆーこちゃんに自慢するのっ♪だから、はーたちを撮って欲しいな♪」
「あぁ、親御さんに送る用か。それなら、自撮り棒でじゃなくて俺が直接、撮ってあげるよ」
「ダメっ!Pちゃんも、はーたちと一緒に映るの!」
------------------------------------------------
「……俺は……いらないんじゃないか?」
「JCと合法的に、一緒に写れるチャンスですよ。今だけは、通報しないでおいてあげます」
「いや、双子だけで撮りなって。ほら、綺麗に写してやるよ」
「……いや〜んっ!お巡りさ〜ん!Pちゃんが、イジワルしてくるよう!」
「ぴーぽーぴーぽー……どうも、凪ポリスです。今から、Pを逮捕します」
「えっ……?」
「さあ、自撮り棒を持つんだ。そして……」
ギュッ
「!?」
「凪たちと同行をしてもらおう。もちろん、拒否権はありません」
「あははっ♪Pちゃんタイホ〜♪」
「何で、俺が逮捕されなきゃいけないんだよ!つうか、二人して俺にくっついてくるな!//」
「Pちゃんは……はーたちと、写真を撮るの……イヤ?」ウルッ
「イヤだとか、そういうことじゃなくてだな……」
「……ふぅ。これは、はーちゃんとだけの、ヒミツにしたかったのですが……しょうがないですね」
「?」
「この「新しいアイドル」の写真をフレちゃんさんにも見てもらいましょう」
「おぉ♪ナイスアイディア♪」
「なっ……!ま、待て!そんなことをされたら…!」
(わぁお♪この新しいアイドルの子、かわいいねぇ〜♪)
(う〜ん、アタシだけで独占するのは、もったいないな〜……あ、そうだっ♪)
(事務所のみんなに、教えてあげよっと♪楽しいことは、みんなで共有しなきゃね〜♪)
(それじゃあさっそく、アイドルのみんなのところにぃ〜……れっつらごぉ〜♪)
「……さあ……一緒に、仲良く撮ろうぜ……」
「流石はP。話がわかりますね」
「じゃあ、撮ろうよ♪ほらぁ、Pちゃんっ♪もっと、寄って寄ってぇ♪」
「ちょっ……近いって……!//」
「よしっ♪いっくよ〜♪せーのっ、はいっ♪」
「「チーズっ♪」」
パシャッ♪
------------------------------------------------
カチャッ
「あっ♪Pちゃん、おはよ〜♪」
「おぉ、おはよう。はー……ん……?」
「んん〜?どうしたのっ?」
「いや……何でもないよ、ごめんな。ところで、昨日はどうだった?楽しんでくれたか?」
「うんっ♪すっご〜く、楽しかったよ♪」
「タピオカを飲んだり、クレープを食べさせてもらったり、あとは、かわいい服を買ってもらえたりして……」
「……とっても……と〜っても、ハッピーな時間をありがとうね♪Pちゃん♪」
「そうか、そんなに喜んでくれると、連れて行った甲斐があるよ」
「あっ、あとね♪ゆーこちゃんに写真を見せたら、かわいい服って、褒めてもらっちゃった♪」
「……やっぱり……あの写真を……ゆーこさんに、送ったのか……?」
「うん♪……真ん中に写ってる、素敵な彼氏さんは誰なのって、ゆーこちゃんが……気にしてたよ……?//」
「は?……彼氏?」
「あははっ♪ゆーこちゃん、公認だねっ♪」
「公認って……おい、はー……まさか……ゆーこさんに、変なことを吹き込んだりしてないよな……?」
「さぁ、どうだろうねっ♪それよりさ……Pちゃんは……なーのことを、どう思う……?」
「ん?なーが、どうかしたのか?」
「ちょっと、聞いてみたいだけ♪ねねっ♪どう思ってるの?」
「どう思うって……双子のアイドル?」
「そうじゃなくて。なー自身について、Pちゃんはどう思ってるのかな?」
「……う〜ん、まあ……色々と、個性的ではあるけど……そこが魅力の、不思議な女の子だと思うぞ?」
「……それって……アイドルとしてって、意味かな?」
「それしかないだろ。むしろ、それ以外あるか?」
「……そっか……そうだよね……Pちゃんはやっぱり、Pちゃんなんだよね……」
「?」
「ううん、こっちの話。それじゃあそろそろ、はーは行くねっ♪」
「そうか?ところで、何でそんなことを聞いたんだ?」
「ん〜……気分?女の子は気分屋なのっ♪じゃあねぃ〜♪」
「あっ、おい!……行っちゃった……」
「……」
「……P……ちゃん……」
------------------------------------------------
「う〜ん……はーも、なーと同じぐらい、不思議な奴だな……やっぱり、なんだかんだで双子だな」
「……ふぅ……せっかくだし、休憩でもするか……」
カチャッ
「さ〜て。今日は、何を飲もうかな〜っと……」
ドンッ!
「うわっ!?す、すみませんっ……!」
「……」
「……って……なーか……?」
「おうおう、どこに目つけてんだぁ。と、いたいけなJCに、このようなセリフを言わせる気なんですね」
「いや……それより……どこか、怪我をしてないか?大丈夫か?」
「えぇ、大丈夫です。豆腐の角に頭をぶつけても、傷一つつかない、この凪ボディーを甘く見ないことだな」
「どれ、一応気になるから、俺にも見せてみろ、ほら……ん?」
「……P?どうしたのですか…?」
「いや……何でもないよ……」
「変なPですね……今、変なヤツに、変なヤツ呼ばわりされたくないと思いましたか。わかりみです」
「ふぅ。その調子なら、大丈夫そうだな」
「それでは、仕切り直しましょう……わお。これは偶然ですね。ちょっと、そこでお茶しない?ヘイヘイ」
「……何か……俺に、用があるのか?」
「おぉ。だいぶ、Pも凪の扱いに長けてきましたね。Pにも、凪検定一級を差し上げましょう」
「そりゃあ、どうも……」
「それはさておき、はい。凪はPに用があってここにやって来ました。ですが……」
「……ここでは…少し話にくいので、凪について来てください。それとも、手を繋ぎながら行きましょうか?」
「別に、いいけど……って!繋ぐかっ!!」
------------------------------------------------
「ふぅ。着きました」
「ずいぶん、遠くまで来たな……で、俺に、何の用だ?」
「……単刀直入に、聞きたいことがあります。Pは、はーちゃんのことを、どう思っていますか?」
「えっ……?はーのこと……?」
「はい。そのままの意味です」
「……姉妹揃って……同じことを聞くんだな……」
「姉妹……ですか……?」
「さっき、はーと出会ってな。その時に、なーのことをどう思うかって、聞かれたんだよ」
「はーちゃんと……それで、Pは何て、答えたのですか?」
「いや、まあ……個性的ではあるけど、そこが魅力なアイドルだって、答えたぞ」
「個性的……」
「なーってほら、他のアイドルとは違う、独特の雰囲気があるだろ?あ、別に、悪い意味じゃなくてな」
「その、独特な雰囲気に魅力を感じて、なーをスカウトしたんだ。だからこれからも、はーと頼むぞ」
「……P……」
「……」
ギュッ
「……ちょっ……!?き、急に、何だよっ!?//」
「……ねぇ、P……ちゃんっ……」
「一体、どうしたんだよ……なー……えっ……も、もしかして……」
「……」
「……「はー」……なのか……?」
------------------------------------------------
「いいえ、ネギです」
「ちょっ……えっ……?」
「……って……そこは凪だろって、ツッコんで欲しいな……なんて……♪」
「はーが、なーで……でも、あの時のはーは……ど、どういうことだっ……!?」
「……前に、Pちゃんと原宿に遊びに行った時に、こう言ってたよね「顔つきからなにまでそっくり」って」
「あ、あぁ……確かに、言ったな……」
「だから、はーとなーでお互いに、髪型と服装を入れ替えてみたの」
「入れ替えてって……何でわざわざ、そんなことを……」
「……Pちゃんの気持ちが、知りたかったの……ねぇ、Pちゃんは何で、はーだってわかってくれたのかな?」
「何でって……近くで目を見て、なーとは違うと思ったからだが……」
「あははっ♪目を見て違いに気づいてくれるなんて、ちょ〜ロマンティックだねっ♪でもぉ……」
「……Pちゃんが、はーだって見破れたのって……実は「コレ」で……なんじゃないかな……?//」
ムニュッ♪
「ちょっ……はー!?お前……一体、何をっ……!」
「うふふ…♪Pちゃんはコレがぁ、だ〜いすき、だもんねっ…♪」
ムニュムニュ♪
「くあっ……や、やめろってっ……!//」
「はー、知ってるよ……♪えっちなPちゃんは、コレで……はーだって、わかってくれたことをねっ……♪」
「お、お前は……アイドルなんだぞっ……!こんなことを、するもんじゃ……//」
「今は……Pちゃんだけの、アイドルだよぉ♪それにぃ……はーは、Pちゃんの「一番」になりたいなっ……♪//」
「い、一番……?」
「えへへ……♪このまま、はーの「個性」で、Pちゃんの頭の中をいっぱいにしてあげるっ……♪//」
「ばかなことはやめろっ……!これ以上は、他のアイドルどころか……なーにだって、顔向けが……」
「……イヤッ!言わないでっ!!また、なーと比べて……そんなに、なーのことが好きなのっ!?」
「……っ……!」
------------------------------------------------
「なーなーって、なーのことばかりっ!なーだけずるいよっ!!」
「好きって……一体、何を言ってるんだ……?」
「……わかってるよ。なーと比べてはーは、個性が薄いってことぐらい……」
「個性?いや、そんなことはないと思うぞ……?」
「ううん、いいの。生まれた時から、なーとはーは二人で一つだったからね。わかってるんだ」
「テストでいい点をとっても、習い事を頑張っても、何をしても、なーと比べてはーは……って言われてたの」
「まぁ、なーはテストも習い事も頑張らないタイプだから、だいたいはーが勝つし、褒められてたんだけどね」
「双子あるあるって言うのかな?それに、なーはその分、何でもそつなくこなせるって言うか……」
「はーより、少しでも出来た日があったら、なーは周りの人にすごい褒められてたの。ずるいよね、色々と」
「……比べられる……か」
「あ、でも、勘違いしないで。比べられることが嫌ってわけじゃないの。なーのことも大好きだし。ただ……」
「はーは、はーが一番好きだもん。だから、みんなには、はーのことを好きになって欲しいと思ったんだ」
「……」
「……しょーじきさ。なーとふたりっきりのユニットだって聞いた時は、ちょ〜っとだけ複雑だったの」
「はーは、はーのことを好きになって欲しいのに、横になーがいたら、これまでと同じじゃない?」
「だから、Pちゃんの双子でアイドルユニットって考えもわかるんだけど、少しだけ、んーって思っちゃった」
「そうか……」
「……ふふっ、はーってホント、わがままだよね」
「アイドルとしてだけじゃなく、はー自身のことも、もっと見て欲しいと思ってるなんて……」
「……」
「ねぇ、Pちゃん……?改めて……聞かせて欲しいな……はーのことを、どう思う……?」
「どう思うって……それは……」
「……「いい」答えが欲しいな……なんて……♪//」
------------------------------------------------
「あ〜っ!Pちゃ〜ん!な〜!!」
「!?」
「んもう。探しちゃったよぉ……って……ええっ!?は、はーが二人いる!?どういうことなのっ!?」
「……「なー」……だよな……?」
「……」
「……ふぅ。どうやら、もう「はーちゃん」である必要はなさそうですね。ミッションコンプリートです」
「えへへっ♪入れ替わり作戦、成功だねっ♪」
「は……?ミッションって……どういうことだ……?」
「もうお気づきかと思いますが、はーちゃんと相談して、少しお互いに、入れ替わってみたのです」
「本当は、なーが来てからネタバラシしようと思ったんだけどね♪予想外に早く、バレちゃった♪」
「流石は、凪たちのPです。これでもう安心して、はーちゃんを任せられますね」
「待てよ……ということは、ここまでのことは全部……」
「うん♪なーと連絡を取り合いながら、Pちゃんを誘導したのっ♪」
「情報通信技術の、進歩の速さは恐ろしいものです。いや……真に恐ろしいのは、凪たちの仲のよさか……」
「どうだった?声色から容姿まで、入れ替わっても全然、違和感がなかったでしょ♪」
「まんまと、双子のお遊びに付き合わされたということか……ったく……人騒がせな双子だな……」
「でも、お互いにどういうことを話したのかまでは、聞いていません。はーちゃんと、何を話したのですか?」
「あ〜!はーも、Pちゃんとなーが何を話したのか、聞きたい聞きたい聞きた〜いっ♪」
「それは……知るかっ!もう忘れちまったよ!」
「え〜っ!そんなことを言わずに、教えてよ〜!」
「……さっさというんだな。Pにも、かぞくがいるだろう…」
「物騒なことを言うな!と・に・か・く!忘れたものは、忘れたんだっ!」
「むぅ〜……Pちゃんのイヂワル……」
------------------------------------------------
「それより……入れ替わりごっこもいいけど、何か大切なことを、忘れてないか?」
「大切……あっ……そうでしたね……とても大切なことを、忘れていました……」
「……はーと、なーの初めてのデビューライブ……だね……」
「その通り。間近に迫ってるんだから、しっかりと頼むぞ?」
「凪とはーちゃん……いえ、アイドルとしての、初めの大きな一歩。ですもんね」
「あぁ。このライブは、はーと、なーの「miroir」が主役のライブなんだ。だから、バッチリと決めてくれよ」
「えへへ……♪そうだったね♪頑張ろうっ♪なー♪」
「えぇ。お空にいってしまったPのためにも、頑張りましょう。はーちゃん」
「おい!勝手に俺を殺すなっ!」
「ところで……Pちゃん?さっきのことを、忘れちゃったならぁ……」
プニッ♪
「……もう一度、思い出せる方法を……はーは、知ってるんだけどナ〜♪なんてっ……♪」
「ばっ、バカ!変なことをしてる暇があったら、ライブに向けてレッスンをしろっ!//」
「エ〜!Pちゃんってば、ノリわる〜い!」
「P、どうしたのですか?」
「な、何でもない!とにかく!事務所に戻ろうぜ!ほら、早く行くぞ!!//」
「んもう……Pちゃんてば、照れちゃって……かわいい♪」
------------------------------------------------
「……」
チラッ
「……うっわ〜……お客さんがすっごい、いるよ〜……緊張する〜……」
「おぉ、これは壮観ですね。色々とりどりのサイリウムが、幻想的に輝いています」
「ヤバい、心臓バックバクになってきたよ。緊張もだけど、テンションもおかしくなってきたかも」
「はーちゃんがバグってますね。凪は……わかりません」
「普段のありのまま?それとも、少しアレンジした、はーのどっちがいいかなぁ?」
「凪は今の……アイドルのはーちゃんが、本物のはーちゃんだと思います」
「……自分らしいってやつ……?」
「えぇ。凪自身も、今のアイドルの凪が、本物の凪であると確信しています」
「……そうだね!なーみたいな変な子は、目立って面白がられるべきなんだから!」
「では、目立ちまくって売れまくっちゃいます。そしたら、はーちゃんよりもっと、褒めてもらえるはずです」
「……Pに……」
「……やっぱり……なーも、なんだね……」
「はーちゃんは……言うまでもありませんね」
「はーたち、本当に変わっちゃったね……なーは、はーのこと……キライになっちゃった……?」
「そんなことはないですよ。はーちゃんはPと同じぐらい、大好きです。凪に、二言はありません」
「そっか……でも、はーも、なーのことが大好きだよっ♪Pちゃんと同じぐらいにっ♪」
「……ふふっ。やはり、凪たちは似た者同士ですね」
「うんっ♪だって、十四年間、一緒に過ごしてきたバディだもん♪似ないはずがないよ♪」
「ですね。それでは、はーちゃん、手を……」
「……うん」
「はーちゃんには、凪がついています。それに……今は、Pもいます。恐ることは、何もありません」
「そうだね♪これからもよろしくねっ♪なー♪」
「えぇ。よろしくお願いします。はーちゃん」
「それじゃあ……行こうか♪」
「そうですね、行きましょう」
「「せーのっ!」」
------------------------------------------------
「……はぁ〜。無事、終わったぁ〜……」
「真っ白に……燃え尽きました……白いのは、凪の髪の毛だけですが」
「はー、なー。初ライブ、お疲れ様」
「あっ、Pちゃんっ♪お疲れ様♪」
「P、お疲れ様です」
「何事もなく、無事に終わってよかったよ、しっかりと歌って踊れてたぞ」
「緊張しすぎて、どうにかなっちゃいそうだったけど……と〜っても、楽しかったよ♪」
「ははっ、それはよかったな。ほら、喉が乾いただろ?ドリンクだ」
「わぁ〜♪ありがとっ♪Pちゃんっ♪」
「ほら、なーも飲みな」
「えぇ……ありがとうございます……」
「ん?なー、どうかしたか?」
「……P。あとで、少しお時間をもらってもいいですか?」
「ん……?別に大丈夫だけど……何か、あったのか?」
「えぇ、何かありました。まさに、なにかんがえてるの。です」
「???」
「それではお待ちしています。では、後ほど」
「あっ、あぁ……」
「ん〜?Pちゃん、なーがどうかしたの?」
「あっ、いや……何でもないよ。気にしないでくれ」
「そう?なら、いいんだけど?」
「……」
------------------------------------------------
「よぉ、約束通りに来たぞ。ここでよかったのか?」
「P、お待ちしてました。すみません、お時間をもらってしまって」
「気にするな。で?何の用なんだ?まさか、また「はー」じゃないだろうな」
「えぇ。正真正銘、凪度100%の凪です。安心してください」
「そうか。なら、安心だな」
「それでは、言いますね……あの時の、お願い事を……今、使っていいですか……?」
「お願い事……?あぁ。あの時、凪の部屋で交わした約束か」
「はい。合法的に、JCである凪の部屋に入って、Pが凪と交わした、お願い事です」
「……何か、おかしい気がするが……まあ、そうだな。凪と交わしたもんな。それで?何が欲しいんだ?」
「…………給料三ヶ月分のものをください」
「……は?給料……三ヶ月……えっ……?」
「もちろん、Pならどういう物か、わかりみですね?」
「……いや……全然わかりみじゃないんだが……色々な意味で……」
「ふぅ、しょうがないですね。それでは、三ヶ月分のボーナスをください」
「ん?……ボーナス?」
「えぇ。ライブを成功させて、興行収入がたくさん入ったはずです。それと、物販も大盛況でしたよね?」
「……あぁ……ボーナスか。そうか、そうだよな〜……あはは……」
「で?何がいいんだ?豪華な食事や服とか?あっ、年頃の女の子なら、コスメとか美容品とかもよさそうだな」
「それらの物を買うのにも、マネーが必要ですね?ですので、凪はマネーを所望します」
「さ、最近のJCは……現実的で進んでるな……は、はは……」
「冗談ですよ。それでは、はい、給料三ヶ月分の物をください」
「えっ……は?」
「その顔は、どっちが冗談だったのか、わからなかったと言う顔ですね。安心してください」
「前者が凪ジョークです。後者が……Pと凪が交わした「お願い事」です」
「いや……確かに、何でも聞くとは言ったけど……自分が何を言ってるのか、わかってるのか?」
「凪は分かっているつもりです。ですが、あくまでつもりですので、Pの口から説明してください」
「説明って……それは……」
「それは……何ですか?」
「……さあな。わからないから、なーの「凪ブラリー」を開いて、俺に教えてくれないか?」
「……凪ブラリーに、そのような意味は載っていません。ですので、凪にもわかりません」
「そっか。それじゃあ、俺もわからないから、その三ヶ月分とやらは当分お預けだな。あー、残念だ」
「Pはイジワルです。閻魔大魔王に舌を抜かれるレベルで、イジワルです」
「おぉ、それはおっかない。それじゃあ、舌を抜かれる前に、とっとと戻ろうぜ。はーのいる場所にな」
「……」
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「はー。待たせたな」
「はーちゃん。お待たせしました」
「あっ!Pちゃん!なー!んも〜!二人で、どこに行ってたの!?はー、探しちゃったんだからね!?」
「悪い悪い。ちょっと、なーと話し込んでてな」
「えっ?なーと、何を話してたの?」
「ここなら、泣いても喚いても誰も来やしねえぜ、ぐへへ……と、Pに美味しくいただかれそうになりました」
「ちょっ……!?へ、変な誤解を生むようなことを言うな!」
「……P〜ちゃ〜ん?」
「違うって!ただライブについての話をしてただけだって!」
「……ふ〜ん……」
「何だよ、その目は……」
「……ま、わかってるけどね〜。色んな意味で「お人よし」なPちゃんが、そんなことを出来るわけないし〜」
「そうですね。砂糖とメープルシロップとスクラロースとタウマチンを煮詰めた物ぐらい、お人よしです」
「つまり、Pのお人よしさは、物体Xということですね」
「何だか、よくわからないが……俺ってそんなに、お人よしなのか?」
「やっぱり、自覚がないんだ……んもう、しょうがないなあ〜♪Pちゃんは〜♪」
「……じゃあ……これからも、はーたちが「見守って」あげないといけないね♪……えへへ♪」
「そうですね。Pは、凪プロダクションに所属する、売れっ子アイドルなんです」
「……ですので……しっかりと「大切」だという自覚を、持ってもらわなければいけませんね……ふふっ♪」
「何だよ。姉妹揃って、ご機嫌じゃないか。何かいいことでもあったか?」
「うん♪初ライブが大成功したしね♪それにさっき、すっご〜くいいことがあったのっ♪ねっ、なー♪」
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「えぇ。ありましたね、はーちゃん」
「面白そうだな。俺にも教えてくれよ」
「ダメっ!これは、はーとなーの、二人だけの乙女なヒミツなのっ!」
「どうしても知りたくば、この凪を倒して行くんだな。ただし、凪はチートを使わさせてもらいます」
「そりゃ、残念だ。でも、相変わらず仲がいい双子だな」
「うん♪だって、はーとなーは、いつでも仲良しだもんっ♪」
「そうですね。はーちゃんと凪は、一心同体です。それは、今後も変わることはありません」
「ですが……一つだけ、変わったことがあります。それは……」
「……「一心」の中に……Pという新たな存在が、加わったということです」ギュッ
「あははっ♪そうだねっ♪だから、これからも頼りしてるぞっ♪」ギュッ
「えっ……俺も?えっと……ありがとう……?」
「それじゃあ、そろそろ打ち上げ会場に行こうよ♪はー、お腹空いちゃった♪」
「打ち上げ……あ、そうだった。そろそろ時間だったな」
「腹が減ってはアイドルが出来ぬ、と言いますしね。凪の中限定ですが」
「行くのはいいけど……このまま三人で、手を繋いで行くのか……?」
「当ったりまえだよ〜♪さぁ、行こうよっ♪Pお兄ちゃん♪」
「お兄様、兄上、兄者……やはり、Pが一番しっくり来ますね。さあ、P。行きましょう」
「なんか、恥ずかしい気がするが……まあいいか。ほら、行くぞ」
「これから……どんなことが、待ってるのかな……?」
「どんなことがあっても、はーちゃんとなら乗り越えていけます。だって……」
「近くて遠い……すぐ隣にいる……」
「楽しみも趣味も違う、チグハグだけど、でも、付かず離れずな……」
「「「バディ」ですもんね・だもんねっ♪」」