カチャッ
「プロデューサー……あけまして……おめでとう……」
「おっ、雪美か。おめでとう」
「うふふっ…♪雪美ちゃん♪あけましておめでとうございます…♪」
「楓さんも……おめでとう……」
「その着物、よく似合ってるじゃないか。とてもかわいいぞ」
「ありがとう……頑張った……甲斐があった……//」
「頑張った……?」
「……着付け……全部一人で……やったの……」
「えっ。その髪飾りから着物まで、全部一人でやったのか……!?」
「……うん……京都にいた時に……覚えた……」
「あ、そっか。そういえば雪美って、京都出身だったよな。流石は京娘といったところか」
「……プロデューサー……私……えらい……?」
「あぁ。偉いどころか、すごいじゃないか」ナデナデ
「……えへ……嬉しい……//」
「……む〜っ……」プクッ
「ん……?どうしました?楓さん」
「プロデューサーさぁん?私の着物も、どうですかぁ?」
「えぇ。楓さんも、もちろん……って!楓さんはさっきからずっと、俺と一緒にいるじゃないですかっ!」
「そうですけど……私の時より……雪美ちゃんの方が、沢山褒めてました……」
「いや……そんなことは……」
「そんなことあるんですっ。むぅっ……」
「プロデューサー……楓さんと、ずっと……一緒だったの……?」
「ん?あぁ、前から約束しててな。事務所で年を越して、これから初詣に行くところだったんだ」
「初詣……?」
「そうなの♪よかったら雪美ちゃんも、一緒に来る?」
「………うん……行きたい……」
「よし!雪美も加えて、さっそく初詣に行きますか!」
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「んしょ……んしょ……」
カランカラン……
(今年も……アイドルが無事に……活動出来ますように……)
「……」
(……それにしても……二人とも……すごい、集中してるな……)
「……」
「……終わった……」
「おっ、終わったか。雪美」
「うん……お願い事……叶うように……たくさん、祈った……」
「そうか。雪美の願い事が、叶うといいな。楓さんはどうですか?」
「……えぇ♪私も今、終わりました♪」
「二人とも、随分と集中してましたね。何をお願いしたんです?」
「……秘密……//」
「はい♪今年は楽しい「クリスマス」になるといいな〜って、お願いをしました♪」
「ははっ。新年早々……って……クリスマス……?」
「……じー」
「えっと……楓さん……?」
「……プロデューサーさんたちだけで、クリスマス会をしてたなんていいな〜。私も、参加したかったな〜」
「なっ……!し、しょうがないじゃないですか!楓さんはあの時、クリスマスに仕事が入ってたんですから!」
「むぅっ……みんなだけで、楽しんじゃって……ずるいですっ……」
「……私だって……「プロデューサーくん」と、みんなで……飲みたかったのに……」
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「楓さんは、大人気アイドルなんです。ですので、元日の今日だって休みを取るの、大変でしたよね?」
「……ふ〜んだ……」
「新年早々申しわけないですけど、明日はさっそく、新年初の生放送の収録を、よろしくお願いしますね」
「……プロデューサーさんにイヂワルをされたので、行きませ〜ん」
「ワガママはダメです」
「や〜で〜す。行きませ〜んっ」
「……楓さん……どうしたの……?」
「聞いて?雪美ちゃん。プロデューサーさんってば、私だけ仲間外れにして、イヂワルをしてくるんです……」
「ちょっ…!雪美に、変なことを言わないでください!」
「……プロデューサー……イジワルをするの……よくない……楓さん……かわいそう……」
「いや……あのな、雪美。楓さんはその日に、お仕事があってだな……」
「イジワル……ダメ……」
「だから……」
「ダメ……」
「……はい……」
「それとぉ……美優さんと「二人っきりで」随分と、お楽しみだったそうじゃないですか〜……」スッ
「ん?スマホ……?……ちょっ……な、何で、こんな写真がっ……!」
「そうですね……あえて言うなら、何でもお見通しだぞ☆って、言うところでしょうか♪」
「くそっ!あいつめ……いつの間に、こんな写真をっ……!//」
「……プロデューサー……どういうこと……?」
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「あっ、いや……これは……く、クリスマス会のあとに少しだけ、イルミネーションを見てただけなんだよ!」
「………よくない……」
「えっ……?」
「美優さんは……アイドル……だから……プロデューサーと……二人きり……よくない……」
「ぐっ……そ、それはっ……!」
「それに……プロデューサーは……みんなのプロデューサー……だから……」
「……もっと……私たちを……見てくれなきゃ……ダメ……//」
「はい……反省しま……ん……?」
「そうですね♪美優さんのことばかり、構うのはずるいですっ♪」
「……今……反省するって……言った……?」
「あ、あぁ……そのつもりだが……」
「今の言葉、しっかりと聞きましたよっ♪ねっ♪雪美ちゃん♪」
「うん……私と楓さん……しっかり聞いた……//」
「えっと……二人とも……?」
「あのね、雪美ちゃん「男に二言はない」って言葉を、知ってるかな?」
「にごん……?」
「うん♪大人の男の人はね、一度言ったことを、最後まで守らなきゃいけないって決まりがあるの♪」
「そうなんだ……」
「ちょっ……!か、楓さん……!?」
「だから、プロデューサーさんは「オトナ」のお兄さんだから、きっと、最後まで反省してくれますよ♪」
「……プロデューサー……かっこいい……//」
「……あ〜!あそこに、甘酒がありますよっ!二人とも、飲みたいよな!?ちょっと、もらって来ますねっ!」
「あっ……逃げた……」
「もうっ、本当にプロデューサーさんは、イヂワルなんですからっ」
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「あっ、すみません。甘酒をもらってもいいですか?」
「はい。どうぞ……って……プロデューサー!?」
「おっ、拓海じゃないか。どうしたんだ?こんなところで」
「ぷ、プロデューサーこそ、ここに、何をしに来やがったんだよ!!」
「何をしにって……年が明けたから、初詣に来たんだが?」
「ちっ……!新年早々、みっともねえ姿を晒しちまったぜ……」
「何がみっともないんだよ?」
「……どうせ……アタシのこの、巫女姿なんて似合わねーって、内心バカにしてやがるんだろ……」
「何でだよ。拓海の巫女姿、とてもかわいいぞ」
「ふんっ、くだらね〜お世辞はいらね〜よ。ったく……胸糞わりいぜ……」
「お世辞じゃないって。本当に似合ってるぞ?」
「……じゃあ……証明してみろよ……」
「えっ?証明……?」
「だ、だから、その……男なら……こ、行動で表してみろって……言ってるんだよ……//」
「行動って、急に言われてもなあ……どうすればいいんだよ……?」
「なあ……初詣のあと……予定とか、あるか……?」
「あと……ううん。特になかった気がするけど……どうした?」
「それじゃあよ、その……あ、アタシと一緒に……//」
「プロデューサーさ〜んっ!」
「……ん……?」
「プロデューサー……急に走っちゃ……ダメだよ……?」
「雪美ちゃんの言う通りですっ。はぐれたりしちゃったら、どうすんですかっ」
「うっ……す、すみません……」
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「……楓さんに……雪美……?」
「あっ……拓海……明けましておめでとう……」
「明けましておめでとうございます♪拓海ちゃんも、初詣ですか?」
「おめでとうございます。いえ、駄賃稼ぎに巫女のバイトをしてるんです。年末年始は、何かと金欠なもんで」
「拓海……かわいい……♪」
「はぁっ!?ゆ、雪美!?」
「巫女装束、とても似合ってますよ♪今年の神社は、拓海ちゃんのおかげで大盛況ですね♪」
「楓さんまで……!一体、何を言ってるんですかっ!//」
「ほら、拓海。みんな、かわいいって言ってくれてるじゃないか。だから自信を持てよ。な?」
「……何なんだよ……ったく……調子が狂うぜ……//」
「ところで……プロデューサー……またなの……?」
「ん?何がだ?」
「……また……女の子と……二人きり……」
「……あ”……?「また」ダァ……?」
「ふ〜ん。美優さんの次は、拓海ちゃんですか〜。プロデューサーさんてば、全然反省してませんね〜」
「だから、誤解を生むようなことを言わないで下さい!俺はただ、たまたま拓海と出会っただけですっ!」
「……おい。ちょっと、面を貸せや……アタシが厄を払ってやるよ……新年を祝ってな……」
「そうですね〜♪プロデューサーさんはこの際、厄払いをしてもらった方が、いいかもしれませんね♪」
「私も……楓さんと同じ……考え……」
「誰彼構わずに、アイドルをたぶらかす不浄な色情魔を、シメ……お祓いしてやる……」
「厄……?色情魔……?どういうことだよ……?」
「いいから来い!てめェは目を離すと、見境がねぇからな!特別に、スペシャルなのをくれてやんよ!!」
「ちょっ……!そんなに、引っ張るなって!おいっ!!」
「うるせぇ!悪霊退散邪念必減煩悩滅却だ!!オラァッ!!」
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「……甘酒……美味しい……//」
「えぇ♪と〜っても、美味しいですね♪」
「ってて……ったく……何だったんだよ……拓海のヤツ……」
「んもう、プロデューサーさん?拓海ちゃんも、女の子なんですからね?ダメですよ?」
「ダメって……それは、こっちのセリフですよ……酷い目にあわされたんですから…」
「巫女のクセに、お祓いに使う棒で俺をバシバシ「お清め」してきたし……罰当たりなヤツだぜ、本当……」
「……罰当たりなのは……プロデューサー……拓海……とても悲しんでた……」
「悲しんでたって……むしろ、急にこんなことをされた、俺の方が悲しいんだけど……?」
「プロデューサー……やっぱり……何も反省してない……」
「もう一度言いますっ。拓海ちゃんは「女の子」なんですよ?だからもう少し、乙女心を理解してくださいっ」
「拓海が……乙女……」
「……何か……言いたいこと……ある……?」
「……いえ、何もないです……」
「それじゃあ、プロデューサーさんっ。次はどこに行きましょうか♪」
「次ですか?う〜ん……初詣も済んだし……事務所に戻りますか?」
「……ということは……あとは特に、予定がないってことなんですね……?」
「まあ、そうですね。新年を無事、気持ちよく迎えれて初詣も済みましたし、今のところはないですね」
「そうですか……♪それでは、雪美ちゃん♪私たちが乙女心を教えてあげましょうか♪……えいっ♪」ギュッ
「えっ……?」
「そうだね……プロデューサーは……ペロより目が離せない……悪い子だから……見守らないと……」ギュッ
「乙女心……?ペロ……?……って……ま、待ってくださいって!」
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「は〜い♪着きました♪」
「……到着……♪」
「二人とも……着物は、もういいんですか……?」
「そうですね♪着物もいいですけどやはり、普段着が一番ですっ♪」
「うん……普通が一番……」
「ならいいんですけど……それで?一旦事務所に戻って、着替えてきたわけですが、ここは何処なんです?」
「ここは……氷の迷路……」
「氷の迷路……?」
「はい♪冬季限定の、氷で出来た迷路なんです♪結構、スリルがあるって評判なんですよ♪」
「へぇ〜。これ、全て氷で出来てるのか……すごいな……」
「出られなくて、ヒヤっとするかもしれませんね♪氷の迷路なだけにっ♪ふふっ♪」
「……入る前から、飛ばしてますね……楓さん……」
「それじゃあ……みんなで……行こ……?」
「えっ?俺も行くのか?」
「当たり前じゃないですか♪プロデューサーさんも、一緒ですよ?」
「私……プロデューサーと楓さん……三人で……迷路に行きたい……」
「そうか?それじゃあ、せっかくだし……行きますか?」
「は〜い♪行きましょ〜う♪」
「……プロデューサー……一つ……お願いがあるの……いい?」
「何だ?雪美?」
「私たちと……ずっと、一緒に……いてくれる……?」
「あぁ、もちろん。俺は、二人と常に一緒いるよ」
「……そう……嬉しい……//」
「うふふっ……♪頼りにしてますよ……♪」
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「……あれ…?この道って、通ったっけ……?」
「いや……でも、さっきは行き止まりだったし……新しい道に、来たのか……?」
「……ふぅ……つい、ノリと勢いで、迷路に入ってしまったが……」
「結構、入り組んでるな……辺り一面、氷で出来てるから、幻想的で綺麗は綺麗だけど……」
「ていうかこれ、本当にアトラクションなの……?マジな迷路じゃん……」
「目印になりそうなものもないし……道も結構、入り組んでて複雑だし……」
「う〜む……どう進めばいいか、悩んじゃうな……なあ、雪美はどう思う……」
「……」
「……って、あれ?雪美……?楓さん……?」
「……まさか……お〜い!雪美〜!楓さ〜ん!」
「やばっ……入る前に、常に一緒だって言ったのに……雪美たちとはぐれてしまったのか…?」
「う〜ん……楓さんがついてるから、大丈夫だとは思うけど……アイドルたちだけじゃ、心配だな……」
「それに……もしものことがあったら……」
「……とにかく探そう。ここで待っていても、しょうがないしな」
「とりあえず、元きた道に戻るか……」
「……えっと…元きた道って、どっちだったっけ?」
「こっち?それともここからだっけ?」
「いや、あっちからだったか?それとも……これは想像以上に、大変そうだ……」
「こうしてる間にも、彼女たちは……必ず、見つけ出すからな。待っててくれ……雪美……楓さん……」
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「う〜ん……結構、歩いたな……」
「迷路自体はそこまで、大規模ではないはずだし、距離はそんなに離れてないはずなんだが……」
「……くそっ…どこにいるんだ……二人とも……!」
「まさか……いやいや、そんなことはないはずだ……もし……そうなってしまったら……俺……ん?」
コツコツ
「何だ……?何か、音がするぞ……?それに、何やら小さな影が、こっちの方に……」
「……プロデューサー……?」
「っ……!雪美……?雪美なのか!?」
「……プロデューサー……やっと……見つけた……」
「雪美っ!大丈夫か!?変な目に合わなかったか!?」
「うん……大丈夫……迷路で迷ったら……カベに手をあてて進むと……出られるって……教わってたから……」
「そうか……とにかく、無事でよかったよ。本当に、ごめん。色々と、不安だったよな?」ギュッ
「……あっ……少し……不安だった……だけど……手をぎゅっとしてくれたから……今はとても安心……//」
「俺も、安心したよ。もう離さないからな」
「……えへ……暖かい……♪ねぇ……プロデューサー……私……いい子……?」
「あぁ。よく泣かないで、一人でここまで来れたな。偉いぞ」
「……それじゃあ……いい子にしてたから……ご褒美……欲しい……」
「ん?ご褒美……?何が欲しいんだ?」
「うん……一つ……私のお願い事を……聞いて欲しいの……あのね……このまま私と……」
「……やっぱり……今はダメ……まだ……お願い事を……とっておく……」
「ははっ、何だよそりゃ。遠慮せずに言ってみな?」
「……ダメ……//」
「そりゃ、残念だ。ところで、楓さんはどうしたんだ?一緒じゃないのか?」
「最初は……一緒に歩いてた……でも……楓さんとも……途中で……はぐれちゃった……」
「そうか……それじゃあ、楓さんを探しに行こうぜ。一緒にな」
「うん……」
------------------------------------------------
「なあ、雪美。どこらへんで、はぐれちゃったんだ?」
「私も……いつ間にか……楓さんがいなくて……困っちゃった……」
「雪美もか……この氷の迷路って、少し目を離すと迷ってしまうぐらい、入り組んでるよな……」
「楓さん……心配……」
「あぁ。俺も、同じ気持ちだよ。だから早く、楓さんを探してあげような」
「……そうだね……ところで……プロデューサーって……楓さんのことを……どう思ってる……?」
「えっ?どう思ってるって……アイドル?」
「そうじゃなくて……楓さん自身について……どう思ってるの……?」
「う〜ん、そうだな〜。ダジャレとお酒が好きな、綺麗なお姉さんだと思ってるぞ?雪美はどうなんだ?」
「……楓さんは……すごく綺麗な……オトナのお姉さん……それに……すごく優しい……」
「でも……ライバルとも……思ってる……楓さんは……強敵……」
「ライバルか。まあ、アイドル同士で、お互いを見つめ合うことは悪いことじゃないしな。その調子で頼むぞ」
「……うん……頑張る……」
「……クスン」
「ん……?雪美?どうしたんだ?」
「何が……?」
「いや、今……すすり泣く声が、聞こえたような気がしたんだが……」
「えっ……私……じゃないよ……?」
「……この声は……プロデューサーさんっ……?」
「あっ!か、楓さんっ!俺ですよ!大丈夫でしたか!?」
「……プロデューサーさぁんっ!」
「うわっ!?ちょっ……急に、抱きつくだなんて……//」
「プロデューサーさん……私……怖かったです……」
「三人だったのに……いつの間にか、私一人になってて……とても心細くて……クスンッ」
「……楓さん……心配をかけてすみません。これからはずっと、一緒です」
ギュッ
「あっ……プロデューサーさんっ……はい……ありがとうございます……♪.//」
「もう、雪美と楓さんの手……絶対に離しませんよ。さあ迷路から出ましょう、三人で」
「……プロデューサーの手……暖かい……//」
------------------------------------------------
「ふう……なんとか、出れたな……」
「予定とは、少し違ってしまいましたが、みんなで無事に出れましたね♪」
「そうですね。雪美と楓さんが無事で、本当によかったです」
「……いつもは優しいのに……急に、凛々しくなったりするんですから……本当に……ずるいです……//」
「ん?どうしました?楓さん」
「いえいえ♪何でもないですよ♪それよりっ♪さっきのプロデューサーさん……とても、素敵でしたよっ♪//」
「そんな。アイドルの安否を心配するのは、当然のことですから」
「ねぇ……プロデューサー……分かってくれた……?……乙女心を……」
「乙女心……?」
「……さっき……迷路で……私たちとはぐれた時……どう思った……?」
「どうって……二人のことで、頭がいっぱいになったけど…?」
「……私たちも……同じ気持ち……それも……ずっと前から……」
「初詣の時に、言ったじゃないですか。乙女心を、教えてあげますって」
「そういえば、言ってたような……でも、迷路と乙女心って、何の関係があるんだ?」
「女の子はですね、想ってる人に対していつも、必死なんですよ?さっきの、プロデューサーさんみたいに」
「俺は男だから、乙女心はわからないけど……でも、確かにあの時、二人を探すのに必死になってましたね」
「……初詣の時も……拓海は……プロデューサーのことで……頭がいっぱいだった……」
「……でも……他の女の人と……二人きりでいたことが……わかって……拓海……すごく悲しんでた……」
「少し、想定外でしたけど……どうです?「一番」でいたいという、必死な乙女心をわかってくれましたか?」
「要は、その乙女心って言うのは、俺がアイドルたちに対する、思いってことでいいんですか?」
「……プロデューサーの……?」
「あぁ。アイドルたちは、俺の大切な存在だ。常に「一番」のトップアイドルを目指して欲しいと思ってる」
「だから俺も、日頃からアイドルたちのことで、頭も胸もいっぱいだ。そういうことなのか?」
「むぅ〜……プロデューサーさんはやっぱり……何もわかってないですっ……」プクッ
「……他のみんなより……プロデューサーが……一番……強敵……」
「えっ?何か、違うの?」
「知りませんっ。とにかく今度、拓海ちゃんに謝っておいてくださいね?女の子は色々と、繊細なんですから」
「はぁ……わかりました……」
「わかればよろしいです♪それでは……事務所に戻るまで……二人で、独占しちゃおうか♪」ギュッ
「うん……今は……私と楓さん……二人だけの……プロデューサー……//」ギュッ
「ちょっ!?二人して、急に何だよっ!そんなに、密着をしてきて……!//」
「ふ〜んだ♪プロデューサーさんがその気なら、こっちもこうしちゃいますも〜んっ♪」
「……大丈夫……プロデューサーは……いつも私と一緒……ふふっ……//」
------------------------------------------------
カチャッ
「ただいま帰りました♪」
「……ただいま……」
「あっ!プロデューサー君に、雪美ちゃんに、楓ちゃんじゃない♪あけおめ〜♪」
「あけましておめでとうございます♪今年も、よろしくお願いしますね♪」
「早苗さんと清良さんも、事務所に来てたんですね。あけましておめでとうございます」
「今年もよろしくねっ♪ところで……三人で、どこかに行ってたの?」
「えぇ。三人で、初詣に行ってきたんですよ。ですよね?雪美、楓さん」
「うん……三人で……初詣に行ってきた……」
「はいっ♪今年もいい年になるように、お参りをして来ました♪あと、氷の迷路にも、行って来たんですよ♪」
「氷の迷路って……あの、冬限定のアトラクション?」
「えぇ♪結構、本格的な迷路でしたよ♪ねっ、雪美ちゃん♪」
「うん……楽しかった……」
「あの迷路は、かなり複雑だって聞いたことがあるけど……大丈夫だったんですか?」
「少し……はぐれちゃったけど……いい思い出になった……//」
「うぐっ……!」
「えっ……はぐれた……?」
「……そうですねぇ〜。誰かさんが、私たちを置いて行っちゃったんですよぉ〜」
「あっ、いや、その……」
「……プロデューサー……?置いて行ったとは……どういうことなんですか……?」
「そ、それはですねっ……色々と、深いわけがあって……!」
「ちょっと……あたしたちに、そのわけを聞かせてくれるかしら?ねっ、プロデューサー君♪」
「……はい……」
------------------------------------------------
「……というような、感じで……雪美たちと、氷の迷路ではぐれてしまいまして……」
「もう!ダメじゃない!プロデューサー君が、しっかりと雪美ちゃんたちを、見てあげなきゃっ!」
「女性たちを置いてけぼりにするのは、関心しませんね……何かがあってからでは、遅いんですよ……?」
「……面目ないです……」
「二人とも、寒かったでしょう?今、蜂蜜生姜湯を作りますから……あとで一応、お熱も計りましょうね」
「ありがとうございます♪」
「……ありがとう……」
「さて♪プロデューサーには……お仕置きかしら♪」
「っ……!?お、お仕置き……ですか……?」
「はい♪あっ、心配しないでください♪すこ〜し、キュッ♪とするだけなんで♪」
「それじゃあ、あたしは、少しシメるだけにしといてあげるわ♪覚悟しなさいね♪」
「きゅっとされちゃうんですね♪「キュート」な清良さんに……ふふっ……♪」
「あっ……あぁっ……」
「うふふ♪痛くないですから……動かないでくださいね〜♪」
「置いていかれた、乙女の心の痛みよりかは痛くないから、安心しなさい♪さぁ〜♪行くわよ〜♪」
「……みんな……ダメ……」
「えっ……雪美ちゃん……?」
「ゆ、雪美っ……!」
「プロデューサーは……私と結婚する……大切な人……だから……ひどいことをするの……ダメ……」
「……は?」
「……ねぇ〜、プロデューサーくぅんっ♪ちょ〜っと、お姉さんとこっちに来ようか♪」
「うふふ♪プロデューサーっ♪少し……大切なお話があるのですが……♪」
「ちょっ、さ、早苗さんっ!清良さんっ!ま、待って下さい!誤解ですっ!」
「誤解じゃない……あの時……約束してくれた……「お願い事」を……聞いてくれるって……//」
「……あの時……?あぁ。確かに約束はしたけど……別に、そういう意味じゃ……」
「それに……言っておかないと……プロデューサーを……お姉さんたちに……取られちゃうから……」
「ん?どういうことだ……?」
「……私……わかる……みんな……プロデューサーのことが……好き……」
「えっ……!?ゆ、雪美ちゃん……?急に……どうしたの……?//」
「あ、あははっ……雪美ちゃんは一体、何を言ってるのかなぁ〜……//」
------------------------------------------------
「……好き……?」
「みんなは……すごい仲良し……それに……プロデューサーの……ことばかり……見てる……」
「あらっ♪雪美ちゃんてば、よく見てるんですね♪」
「……あのな、雪美?確かに、俺たちは仲良しだけど、そういう意味はないと思うぞ?」
「……そうなの……?」
「うん。大人になると、色々なお付き合いがあるんだ。ましてや、アイドルだとな」
「みんなは大人のお姉さんだから、そこら辺はしっかりとしてるんだよ。そうですよね?みなさん」
「えぇ……確かに、大人になると……色々とありますが……」
「……手を離さないって言われたら、すごく……ロマンティックな気分に、なってしまいますよね…?//」チラッ
「そ、そうねっ……!オトナになると、色々とあるのよっ!」
「……で、でも……プロデューサー君が、どうしてもっていうなら……いいかな〜……なんて……♪//」チラッ
「私も……大人やアイドルである以前に、一人の女性ですので……」
「……「心のケア」はいつも……怠っていませんよ……?//」チラッ
「な?雪美もいずれわかるようになるよ。でも、雪美は、人気アイドルなんだから、今を頑張ってくれよ」
「うん……頑張る……じゃあ……結婚はまた今度……もうひとつの……お願い事を……聞いてくれる……?」
「ん?何だ?」
「……連れて行って……欲しい……場所が……あるの……」
「行きたい場所があるのか?それなら、別にいいけど……どこに行きたいんだ?」
「ふふ……まだ……言えない……//」
「何だよ、言ってみなって。あ、そうだ、せっかくだし、みなさんも一緒にどうですか?」
「……あ〜、ごめんねー。あたしたちで、これから飲みに行く約束をしてたの」
「えぇ♪前から、早苗さんと清良さんで、約束をしてたんですよ♪」
「はい……ですので、プロデューサーと雪美ちゃんの二人で、行って来てください♪」
「えっ?そうなんですか?それじゃあ、雪美……二人で行くか?」
「……うん……行く……//」
「うふふ♪かわいい「プチマドモアゼル」と楽しんできてくださいね♪ぷ「ちっと」だけ羨ましいですけど♪」
「ただし、ヘンなことしようとしたら……執行猶予なしの、実刑に処するからね♪おイタはダ・メ・だ・ぞ♪」
「何を言ってるんですか!そんなことはしませんって!」
「……みんな……ありがとう……」
「それじゃあ。あたしたちも、そろそろ行くね〜♪今年もよろしく頼むわよっ♪」
「えぇ。今年もよろしくお願いします」
「……お願い……します……じゃあ……プロデューサー……行こ……?」
「おぉ、そうだな。それじゃあ、行くか!」
------------------------------------------------
「へぇ〜……これはすごい……」
「……ここの写真館……私のお気に入り……」
「たくさんの猫の写真が、展示されてるな。特に、黒猫が多いな」
「……ペロのお友達……たくさんいる……だから……お気に入り……♪」
「ははっ。確かに、これだけいれば、寂しくないよな」
「うん……寂しくない……でも……」
「……今日は……プロデューサーも……いるから……もっと……寂しくない……//」
「おっ。俺も、猫たちの仲間にしてくれるのか?」
「……猫たち……プロデューサーと……私を……祝福……してくれてる……//」
「それは嬉しいな。にしても、落ち着くよな〜、ここ。この猫の置物だって、随分とリアルで……」
ニャー
「うわっ…!?」
「……ペロ……おいで……」
「えっ……ぺ、ペロ…!?何でここに…!?」
「……ペロ……連れてきちゃった……♪」
「びっくりさせないでくれよ……置物が、動いたと思ったじゃないか……」
「……少し……いたずら……してみたかった……えへ……//」
「全く……」
「じゃあ……プロデューサー……しばらく……一緒にいよ……?」
「そうだな。せっかくだし、写真を見て回るか。結構な種類の猫が、飾られてるしな」
「……言葉は苦手……でも……写真は……心が伝わる……だから楽しい……」
「苦手?そんなことはないと思うぞ?ライブの時とか、しっかりと歌って踊れてたじゃないか」
「そう……?私……よく歌えてた……?」
「あぁ。雪美は、頑張りやさんだしな。いつもありがとう」ナデナデ
「……ふふっ……暖かい温もりが……写真より……伝わってくる……♪//」
「おっ、上手じゃないか。でも今は、猫たちの写真を楽しもうぜ。ペロも一緒にな」
「そうだね……でも……いつかは……プロデューサーにも……」
「……ううん……やっぱり……何でもない……さあペロ……行くよ……」
ニャー
------------------------------------------------
「ふぅ……だいぶ、見回ったな。少し休憩するか?」
「うん……休憩……する……」
「ちょうど、ここに椅子があるな。ほら雪美、先に座りな」
「……プロデューサー……先に座って……ペロを……だっこしてるから……あとがいい……」
「そうか?では、お言葉に甘えて、先に座らせてもらうよ」
「うん……それじゃあ……ペロはここで……私は……こっち……」
チョコンッ
「……あ、あの……雪美さん……?」
「何……?」
「ペロに、席を用意してあげるだなんて、優しいじゃないか。でもな……」
「……雪美さんは、ちょっと……席を間違ってるんじゃないですかね……?//」
「何で……?プロデューサーの……膝の上……座りやすいよ……?」
「いや……座りやすいとか、そういう問題じゃなくてだな……//」
「私が……膝の上にいるの……イヤ……?」
「そんなことはないぞ、むしろ嬉し……じゃなくて!雪美は女の子なんだぞ!?」
「こういうことばかりしてたら、将来、悪い人に変なことをされちゃうかもしれないんだ」
「だから……もう少し、雪美と俺は、距離感を考えようぜ……なっ……?」
「……プロデューサー……悪い人……」
「えっ……お、俺がっ……!?」
「あの時……迷路に入る前に……ずっと……一緒にいてくれるって……お約束したのに……嘘をついた……」
「うっ……それは……」
「……オトナの……お兄さんなのに……お約束を……破った……」
「……わかったよ……男は知らんが「俺に二言」はないよ」
「……っ……!……本当……!?」
「あぁ。約束を守らないのは、よくないことだしな。俺に出来ることで、何か雪美にお詫びをさせてくれ」
「それじゃあ……けっこ……」
「それはダメ。そんなことより、イチゴのケーキとかどうだ?雪美も食べたがってただろ?」
「……むぅ……また……子供扱いして……私もう……お姉さん……」
「はいはい、雪美はかわいいアイドルだからな。今後も、頑張ってくれよ〜?」
「じゃあ……今から……約束して……?私が……楓さんみたいな……オトナのお姉さんに……なっても……」
「……いつまでも……一緒に……いてくれる……?」
「あぁ、もちろんだ。でも、雪美がその時まで、アイドルを続けてくれてたら、だけどな」
「……ふふ……お約束……だよ……♪」
------------------------------------------------
「約束……?」
「プロデューサー……にごんはないって……言った……だから……」
「……これで……プロデューサーと……私……結ばれた……//」
「ははっ。何で、俺なんだよ。その言葉は将来、雪美の隣にいる、素敵な人にだろ?」
「ふふっ……そうだね……ねぇ……プロデューサー……は……はっ……」
「?」
「……はっぴぃ……にゅう……にゃあ……なんて……//」
「おっ、上手いじゃないか。はっぴぃにゅうにゃあ。雪美」
「………えへ……//」
「さて、新年を改めて祝ったところで……雪美?そろそろ、俺の膝から降りてくれないか……?」
「……何で……?」
「いや〜…少し、恥ずかしくなってきたし……この絵面はアイドルとして、色々とよくないと言うか……//」
「……ヤダ……約束した……だから……私がいいって……言うまで……降ろしちゃ……ダメ……」
「……ワガママは、よくないと思うぞ〜…?」
「今の私……悪い子……だから……問題ない……」
「ぐっ……まじかよっ……!//」
「それに……ペロ……その席……気に入ってるの……」
「そうなのか?ペロ?」
ニャー♪
「ほら……ペロも……気に入ってるって……言ってる……」
「……ゆ、雪美は、猫と喋れるんだな〜……そうか〜、すごいな〜……あ、あはは……」
「プロデューサー……これからも……ううん……ずっと……私と一緒に……いてね……?」
「あぁ、もちろんだ。プロデューサーである俺、そしてアイドルである雪美。お互いに、頑張っていこうな」
「うん……よろしく……じゃあ……今はしばらく……こうしていようね……」
「……ペロが「雪美ちゃん、膝から降りて、ボクを構って欲しいにゃあ」って、言ってるぞ?にゃんて……♪」
「ペロ……そんなこと……言ってない……だから……ずっと一緒……♪」
「くっ……!//」
「……ふふっ……プロデューサーの膝……すごく暖かい……♪」
------------------------------------------------
「お〜い、雪美〜?」
「……zzz」
「ふぅ……まだ起きないのか……ぐっすりだな、こりゃ。途中から返事がないし、何となく察したが……」
「閉館の時間になっても、起きないとは……しょうがない。とりあえず、事務所までおぶって帰りますかねぇ」
「……ふふっ……イチゴのケーキ……あ〜ん……♪」
「おいおい。新年早々、もう初夢か……?全く……無防備なヤツだぜ……」
「……美味しい……?そう……よかった……♪」
「……何だよ……何だかんだ言って、寝顔は年相応の女の子じゃないか。口では、お姉さんぶってたけどさ」
「しんこんせいかつ……楽しいね……♪ねぇ……今度は……私にも……ちょうだい……♪」
「新婚……って、おい!夢の中では、雪美はもうお嫁さんなのか……!?」
「……あまくて……美味しい……♪まるで……イチゴとケーキ……今の私たち……みたい……♪」
「……前言撤回。年不相応だな、雪美は……さっきもだけど、十歳の小娘が結婚だなんて、早すぎだっつうの」
「それより、もっと普通の女の子らしく、友達と遊んで、勉強をして、青春を謳歌して……」
「……アイドル活動を楽しんだりして……たくさんの、素敵な思い出を作るのが、優先だろ……?」
「これからも……ずっと一緒だよ……♪……えへ……//」
「まあ……楽しそうな夢を見てそうだし、別にいいか……でも……そうだよな……」
「いずれ、雪美にも……素敵な人が出来て、そして……」
「……zzz」
「……よし!俺も雪美に、楽しくて素敵な思い出を、たくさん作ってもらうために、頑張らないとな!!」
「だから、これからもよろしくな。雪美。その時が来るまで、一緒に歩んでいこうぜ」
「オトナのお姉さんと……オトナのお兄さん……すごくお似合い……だから……」
「これから……楽しいこと……「素敵」なこと……いつも二人で一緒に……分け合いっこ……しようね……」
「……プロデューサー……♪//」