キーンコーンカーンコーン
「ふぅ……終わりましたね……」
「……さて……今日のスケジュールはと……ふむ……」
「お〜いっ♪橘さ〜んっ♪」
「あっ、はい……何でしょう?」
「ねぇねぇ♪あたしたちと一緒に帰ろぉ〜♪」
「あぁ……はい、いいですよ。では、三人で一緒に帰りましょう」
「しっかし、11月になって急に寒くなったね〜。息がもう、こんなに白いよ〜」
「えぇ。マフラーが手放せない季節になってきました」
「甘くて温かいココアが恋しいよぉ〜…………それにしても……」
ワ~!ワ~!
「……男子は相変わらず元気ね〜。こんなに寒くても、あんなにはしゃいじゃってさ〜」
「うんうん。いくら学校が半日で終わったからって、さっそくあんなに校庭で泥んこまみれになってるし……」
「ほ〜んと、お子様だよね〜。泥だらけになってまで遊んで、何がいいのかしら」
「元気でいいじゃないですか。……私は少し、遠慮したいですけど……」
「ところでさ〜、橘さんって好きな人とかいないの?」
「えっ……好きな人……ですか……?」
「うん。例えば、あの男子たちの中にいたりとかしないのかな〜って思ってさ」
「好きな人…………」
ウェ~イ!クラエ~!カンチョ~コウゲキ~!
アッ!テメ~,ヤッタナ~!オレモシカエシシテヤルゼ!クラエ!ドロンコビ~ム!!
ウワッ!キッタネ~!ジャアオレモ,オマエニドロヲカケカエシテヤルゼ!ウリャッ!セリャッ!
キャッキャッ♪
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「……いえ……私は「アイドル」をしてるから、そういうのは……」
「あはっ♪そうだったね♪橘さんは今、アイドルをしてたんだよねぇ〜♪」
「いいなあ〜。アイドルってあの、歌って踊るかわいい女の子たちのことでしょ〜?」
「いえいえ、そんな。私はまだまだ、見習いの身ですので」
「またまた〜♪橘さんってかわいいし、クラスの大人気アイドルじゃない♪」
「だよね〜♪この前のバレンタインの時も、妙に橘さんの周りで男子たちがソワソワしてたしっ♪」
「えっ……そうなんですか……?」
「うんっ♪だから、あたしたちが男子から橘さんのことを守ってあげないとっ♪」
「そうだよ〜♪橘さんも女の子なんだから、本命の男子にチョコを渡したいもんね〜♪」
「それは……そうですね。でも……仮に渡すなら、私は少し……大人な人の方が…………っ……!」
「うん?橘さん、どうしたの?」
「……いえ……では、私は「お仕事」がありますので、これで失礼します」
「あっ、そうだったんだ♪じゃ、また明日ね〜♪橘さ〜んっ♪」
「アイドルのお仕事、頑張ってね♪」
「えぇ。では、また明日会いましょうね」
「うん、じゃ〜ね〜♪……いいなあ〜♪学校からそのままお仕事だなんて、いかにもアイドル〜って感じ〜♪」
「だよね〜♪しかも、スーツのお兄さんが車でお出迎えしてくれるとは、まさに「シンデレラ」だよね〜♪」
「……もしかして……橘さんが言ってた、噂のお兄さんってあの人のことかなぁ?」
「えっ?噂の……?」
「うん。前に少し、橘さんから聞いたことがあるんだ。「頼りなくて危なっかしい」お兄さんがいるんだって」
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「よぉ、ありす、お疲れ様。学校はどうだった?」
「…………橘ですっ……」
「うん?どうしたんだよ……?そんなに浮かない顔をして」
「……学校の校門前に、車で迎えにくるなんて聞いていません。一体、どういうことなんですか?」
「どういうことって……前に、ありすが言ったんじゃないか「迎えに来てくれたら、お話が出来る」って」
「それは……い、言いましたけど、突然だなんて聞いていませんっ!事務所から行くってお話でしたよね!?」
「ははっ。急に学校まで来て、ありすを少し驚かしてやろうと思ったんだ。そしたら、見事に驚いてくれたな」
「本当にもう……大人なのに、子供みたいなことをするんですね……。呆れてしまいます」
「悪かった。じゃあ、迎えに行くのはこれっきりにさせてもらうよ。ごめんよ、ありす」
「待ってください。私は「非礼」を注意しただけで「迎えに来た」ことに関しては怒っていません」
「……むしろ……その気持ちは嬉しいです。ですので、次からは私に一声を掛けてください。いいですね?」
「あぁ、わかりましたよ。じゃあ、まずは今日の予定の確認を……」
「スタジオで「ドレミファクトリー」のPV撮影ですよね?次に撮影後、そのまま雑誌のインタビュー付きで」
「おっ、流石はありすじゃないか。しっかりとスケジュールを確認してくれてたんだな」
「当たり前です、私はプロのアイドルですから。これくらいのことは当然です」
「そりゃ、頼もしいな。なら、今更説明はいらないな。じゃあさっそく向かおうぜ」
「はい。では、改めて送迎をお願いします」
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「……よしっ、みんな揃ってるな。今日はよろしく頼むぞ」
「「「はぁ〜いっ♪」」」
「せんせぇ♪今日も、よろしくお願いしま〜す♪」
「よろしくな!プロデューサー!オレ様の華麗なシュートを決めてやるぜ!」
「プロデューサーちゃま♪本日は、わたくしたちをしっかりとエスコートをしてくださいまし♪」
「あの……プロデューサーさん……今日は、よろしくお願いします……」
「あぁ。みんなよろしく……ん?そういえば千枝。その千枝の髪飾り、新しく変えたんだな。似合ってるぞ」
「ええっ……!?あ、ありがとうございます……。でも、よく分かりましたね?」
「当たり前だろ。千枝は俺の大切なアイドルだしな。気が付かないわけがないよ」
「た、大切……えへへ……♪わ、私もその……少し……失礼しますね♪」
「えっ……?」
「……これでよし……うふふ♪プロデューサーさんのネクタイが、少しずれていましたよ♪」
「おっ、ありがとう。千枝は将来、いいお嫁さんになれるだろうな」
ナデナデ
「あうっ……そ、そんなことはっ……//」
「むっ……ねぇ、せんせぇ!かおるも、ピン留めをひまわりに変えてみたんだよぉ〜!?」
「プロデューサーちゃま!千枝さんだけではなく、わたくしだってリボンを新調しましたのよ!?」
「ちょっ……!わ、わかったから、そんなに押しかけてくるなって!少し落ち着けっ!!」
「……えへへ……「プロデューサーさん」の……お嫁さん……♪」
カチャッ
「失礼するわ……あら、何かとても賑やかね」
------------------------------------------------
「ん……?おっ、奏じゃないか。お疲れ様」
「あ〜っ♪奏お姉ちゃんだ〜♪こんにちは〜♪」
「こんにちは。みんな、お疲れ様。ふふっ、仲が良くて微笑ましいわね♪」
「ところで、奏はどうしてここに来たんだ?」
「そうね、別のスタジオでCMの撮影をしてたのよ。……まさか……忘れてたわけじゃないわよね?」
「っ……あ、あぁ!もちろんさ!ただ、その……子供たちの相手をしてて、少し多忙だったっていうか……」
「んもう、しょうがないんだから。ダメよ?「大切な」オトナのレディのことをを忘れちゃ」
「……オトナ……あの……奏さん?一つ、聞いていいですか……?」
「うん?どうしたのかしら?ありすちゃん」
「えっと……奏さんみたいな、オトナのお姉さんになるには……どうすればいいでしょうか……?」
「あっ……それ……千枝も聞きたいです」
「う〜ん、そうね……特に意識してることは…………あっ、そうだ♪」
「……ねぇ……あなたはどう思うかしら……プロデューサー♡」
ムニュッ♡
「……っ!?」
「んあ……どうしたんだよ?急に、そんな顔を真っ赤にしてよ」
「突然、そんなにお顔を赤くして……もしかしてプロデューサーちゃま、風邪を引いてしまいましたの?」
「い、いや……ていうか、奏……お前っ……何をしてるんだよっ……!//」
「さぁ〜?「オトナ」に聞いた方が早いとおもったのよ♪ねっ♪オトナになるには、どうすればいいのかしら?」
「……答えてくれるまで、絶対に離れないんだから……♡オトナのレディを忘れた罰よ……♡」
「わぁ〜♪奏お姉ちゃんってば、楽しそ〜♪かおるもやる〜っ♪」
「えっ……?……きゃっ……!?」
「うわっ!?か、薫っ……!?」
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「ねぇねぇ♪お仕事の前に、みんなでおしくらまんじゅうをしようよ〜♪」
「えっ……?おしくらまんじゅう……?」
「うんっ♪みんなでぎゅ〜っとして、お仕事のために元気になろうっ♪」
「おっ!サッカーの試合前の、円陣みたいなもんか!よし!その話、ノった!うりゃあっ!」
「……ち、千枝も……プロデューサーさんから、元気を分けて欲しいな……え、えいっ……!」
「わ、わたくしは、そんな……子供じみたことなんて……」
「……でも……プロデューサーちゃまがどうしてもって言うなら、しょうがないですわね!失礼しますわ!」
「ほら〜♪ありすちゃんも、早くおいでよ〜♪」
「……えっと……私は、そういうことは……」
「ほらっ、早く来なさいな♪……でないと、わたくしたちだけで「独占」してしまいますわよ♪」
「むっ……わ、わかりましたよ!私もやればいいんですよね!?では……し、失礼しますっ……!//」
「ちょっ……こ、これは流石に……近すぎだって……!//」
「わ〜いっ♪たっのし〜いっ♪まるでかおるたちぃ、せんせぇと奏お姉ちゃんの子供みたいだね〜♪」
「なっ……!こ、子供っ……!?」
「子供はい〜っぱい、いた方が楽しいからね〜♪パパはせんせぇで、ママは奏お姉ちゃんだぁ〜♡」
「っ……子供扱いしないでください!私はもう、大人の女性ですっ!」
「そうですわよ!わたくしだって、オトナのレディーなんですの!失礼なことを言わないでくださいまし!」
「そ、そうよ……!子供だなんて……。別に……私はそこまでっ……//」
「さぁ〜♪かおるたちで、楽しい「ドレミファクトリー」を作っちゃおう♪せ〜のっ♪」
「「「「お〜し〜く〜らまんじゅう、押されて泣くなっ♪」」」」
「あうっ……//」
「うあっ……//」
(……細身に見えて……プロデューサーって……意外と逞しいのね……//)
(……くっ……か、奏の……「柔らかいもの」がっ……!//)
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「じゃあ、せんせぇ♪かおるたち、行ってくるね〜♪」
「オレたちの活躍を見ておいてくれよ!絶対だぞ!」
「プロデューサーさん……その……ずっと、見守っていてくださいね……//」
「プロデューサーちゃま!しっかりと、わたくしたちを見守っててくださいまし!」
「あぁ。みんな、頑張ってきてくれ」
「……」
「……ん?どうしたんだよ、ありす」
「……お仕事を頑張って来ます……ですので……「私も」見守っててくださいね……?」
「うん?あぁ、もちろんだ。ありすも頑張って来てくれ」
「えぇ。では、行って来ます。奏さんも、私に色々と教えてくださりありがとうございました」
「……えっ……?う、うん……ありすちゃんの力になれたのなら……光栄だわ……」
「「……」」
「ふぅ……。相変わらず、子供たちは元気いっぱいだな」
「そ、そうね……ねぇ……プロデューサー?その……さっきのことは……気にしなくていいからね……?」
「ん?さっきのこと……?」
「ほらっ……薫ちゃん達が言ってた……赤ちゃ…………じゃなくて!「子供」のことよ……//」
「子供……おっ、そうか。そういうことか」
「わ、私たちはまだ……そういうのは早いと思うし……。アイドルとプロデューサーなんだから……ねっ?//」
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「あぁ、そうだな。薫たちや「奏も」まだ子供なんだから、俺が見守ってあげないとな」
「……ちょっと?それって、どういうことかしら?」
「何って……そのままの意味だよ。子供らしくてもいいじゃないか。事実、奏はまだ子供なんだしな」
ナデナデ
「むっ……またそうやって、私を子供扱いをして……何よ……」
「……さっきまで密着されて、散々デレデレしてたくせに…………プロデューサーのえっち……」
「はあっ!?い、いや……あれはだな…………ていうか!そもそも、あれは奏が悪いんだろっ!?//」
「はいはい。プロデューサーくんも、お年頃の「男の子」だしね。……じ、じゃあさ……そのっ……」
「……今なら誰も見てないし……オトナの、甘くて艶やかなリップは……いかがかしら……?//」
「っ……!またお前はそういうことを……ば、馬鹿なことを言ってないで、さっさと仕事に戻れ!//」
「……ふふっ……本当に、からかい甲斐があるんだから……♪じゃあ、私はそろそろ戻るわね♪」
「あぁ……頑張ってきてくれ。頼んだぞ」
「えぇ♪それじゃあね♪…………えいっ♡」
チュッ♡
「なっ……!?」
「……うふふ……♪今は、これでお預けね♡…………「続き」を待ってるわよ♪じゃあねっ♡」
「ちょっ……!お、おい!奏っ!…………全く……本当、あいつは一体……何がしたいんだよ……」
「ねぇ!せんせぇも来てよ〜!」
「プロデューサーちゃま〜!?しっかりと見守っていただかなくては、困りますわよ〜!?」
「……っ……あぁ、ごめ〜ん!今行くよ〜!……ま、いいか……。今度会ったら、説教だな……//」
「……しちゃった……♡今夜は……耳の火照りが、収まりそうにないわね……♡」
------------------------------------------------
「「「ありがとうございました〜♪」」」
「みんな、お疲れ様。よく、頑張ってくれたな」
「うんっ♪かおるね〜、すっご〜く楽しかった〜♪」
「そうだね……千枝も、みんなと一緒に楽しくお仕事が出来て……よかったです……♪」
「ま、わたくしにかかれば、この程度のことなら朝飯ですわ♪いかがでしたか?プロデューサーちゃま♪」
「うん。みんな、しっかりと頑張れてたぞ。ありがとうな」
「まあ、当然のことです。私たちは、プロのアイドルですからね」
「へへん!どうだ!オレたちの活躍っぷりは!カッコよかっただろ!」
「あぁ。とっても「かわいかった」ぞ、晴」
ナデナデ
「なっ……!お、おい!何だよ急に!ていうか!かわいい言うな!オレは、カッコいいアイドルなんだぞ!?」
「そういえばそうだったな。じゃあ、頭を撫でるのをやめるよ。悪かったな」
「っ……いや……待て……。そ、その……なんだ……えっと…………」
「……今だけは、許す……。だから、オレ……あ、アタシの頭に、そのまま手を置いててくれ……//」
「あ”〜!晴ちゃんってば、いいなあ〜!せんせぇ!かおるたちも頑張ったんだよぉ〜!?」
「そうですわ!晴さんだけ不公平ですっ!わたくしたちにも、敬意を払うべきですわ!!」
「……あの……プロデューサーさんがよろしければ……千枝のことも……撫でて欲しいです……//」
「わわっ!?わかったから!少し落ち着けっ!元気なのはわかったから!なっ!?」
キャッキャッ♪
「……」
------------------------------------------------
「今日はありがとうね〜♪じゃあ、晴ちゃん♪あいお姉ちゃんが寮で待ってるし、そろそろ戻ろうか♪」
「あぁ、そうだな。今日は頑張ったから、もうお腹がペコペコだぜ!またな!プロデューサーっ!」
「うん、二人ともお疲れ様。寮で美味しいご飯を食べて、しっかりとくつろいで休んでくれ。じゃあな」
「……さて、桃華はお迎えの人が来て、千枝は親御さんと一緒に帰宅したし……俺たちもそろそろ行くか」
「えぇ、そうですね。行きましょう」
「今日も、仕事を頑張ってくれてありがとうな、ありす」
「いえいえ、当然のことをしたまでです。これでも私はプロなので」
「……それより……私たちがお仕事をしている間に、奏さんと何をしてたんですか?」
「ん……?あぁ、そりゃ……って!何で急に、奏が出てくるんだよ!?」
「撮影してる時に、少し見えたんです。何やら、二人で楽しそうにしてましたね?」
「いや……あ、あれはだな……!その……少し、雑談をしてたんだよ……あはは……」
「なるほど。「頭を撫でながら」雑談をするなんて、随分とロマンティックなんですね」
「うぐっ……そ、それはっ……!」
「ふぅ。全く……皆まで言わなくてもわかりますよ。プロデューサーさんは、プロデューサーさんですからね」
「……それに……同じ、女の子同士ですので……」
「えっ……?」
「いえ、こっちの話です。では、私の家までこのまま歩きましょう。ですので……」
ギュッ
「……しっかりと、私のことを見守ってください……手を繋ぎながら……」
------------------------------------------------
「では、お見送りをしていただき、ありがとうございました」
「気にしないでくれ。それより、今日は頑張ってくれてありがとう、ありす。家でゆっくり疲れを取ってくれ」
「はい、そうさせてもらいます。プロデューサーさんも、夜道には気をつけてくださいね」
「あぁ、ありがとう。じゃあ、また会おうぜ。明日はせっかくのオフだし、休んでくれ」
「えぇ。本日はありがとうございました……あ、プロデューサーさん。最後に一つ、いいですか……?」
「うん?どうした?」
「あの……よければ、私にも……その…………をしてくれても……いいんですよ……?」
「?」
「……やっぱり、何でもないです。足を止めてしまい、すみません」
「そうか?まあ、何かあったらいつでも言ってくれよ。じゃあ、俺はこれで帰るよ。またな」
「えぇ。さようなら。……ふぅ。今日も無事、一日がを終わりましたね」
「さて…………「ご飯は、冷蔵庫にあるからね」ですか。どうやら、今日も遅いみたいですね」
「……私も……本当は…………ん?これは、何でしょう……?」
「ふむ……どうやら、スケジュール帳みたいですね。プロデューサーさんの名前が書いてあります」
「もうっ……こんなに大事な物を落としちゃって……仕方がありませんね。今から……」
「……やっぱり、やめておきましょう。姿がもう見えませんし、後日、事務所に届けに行ってあげましょう」
「本当……目が離せない人なんですから……うふふ……♪」
------------------------------------------------
チュンチュン……。
「……さて……オフの日だというのに、事務所に来てしまいました」
(全く……これも、プロデューサーさんが悪いんです。大事なスケジュール帳を落とすだなんて)
(アイドルを管理する立場として、失格です。もう少し、しっかりしてくれないと困ります)
(いつもそうなんですから……目が離せなくて……危なっかしくて…………誰にでも優しくて……)
(……ふぅ……。私がしっかりとついてあげてないとですね……本当、しょうがない人なんですから♪)
カチャッ
「プロデューサーさん、おはようございま……っ……!?」
「おっ、ありすじゃないか。おはよう」
「……ありす……おはよう……」
「え、えぇ……おはようございま…………って!一体、あなたたちは何をしてるんですかっ!?」
「いや……何って……なあ、雪美?」
「うん……。ただ……私は、プロデューサーの膝の上に……座ってるだけだよ……?」
「こんな感じで、言っても聞いてくれなくてな。ところで、ありすは今日オフだろ?どうしたんだ?」
「……はっ……!そうでした……はい。これ、プロデューサーさんのですよね?」
「ん……?あっ、俺のスケジュール帳じゃないか!どこで拾ったんだ!?」
「昨日、送ってもらったあとに、私の家の前で落としたのを見つけたんですよ」
「でも……気づいた頃には、もう帰ってしまってたので、後日事務所で渡そうと思ったんです」
「そうか……通りで探してもないと思った……。悪いな、ありす。わざわざ届けてもらって」
「……プロデューサー……ありすと一緒に……お家まで帰ったの……?」
「ん……?あぁ。昨日、ありすたちとお仕事があったんだ。それで、ありすの家まで一緒に帰ったんだよ」
「そう……なんだ……」
「送ってくれたのは嬉しいですけど、ダメじゃないですか。こんな大事なものを落としちゃ」
「ありすの言う通りだ。俺もしっかりしないとな」
「全くもう……頼みますよ?…………そんなでも……私の大切な「パートナー」なんですから……//」
「……」
------------------------------------------------
「……ねぇ、プロデューサー……?一つ……聞いていいかな……?」
「うん?どうした、雪美?」
「プロデューサーが……私のパパとママと仲良しさんなことって……何ていうの……?」
「えっ?親御さんと……?どういうことだ……?」
「えっと……私とプロデューサーが……付き合ってることを……パパとママが知ってるってこと……」
「う〜ん……まあ、その言い方は少しどうかと思うけど……強いて言うなら「家族公認の仲」ってところかな」
「かぞく……こうにん……?」
「そうだ。雪美をアイドルにスカウトした時に、雪美のパパとママに、一緒にご挨拶をしに行っただろ?」
「だから、二人は雪美がアイドルになったことを知っている。それが「公認」って言うんだと、俺は思うぞ」
「そうなんだ……♪私たちは……パパとママの……公認……♪」チラッ
「むっ……」
「……ん?おっと。さて、そうこうしているうちに、そろそろお迎えの時間だ。雪美を車で、家まで送るよ」
「……やだ……。もう少しだけ……このままがいい……」
「えっ……ゆ、雪美……?」
「プロデューサーの膝の上……とても居心地がいい……。だから……まだ、お家に帰りたくない……」
「っ……!わ、ワガママはダメですよ!雪美ちゃんっ!!」
「まあまあ、そんなに怒るなって。なあ、雪美。雪美は素直ないい子だろ?」
「俺は、いい子な雪美と「ずっと」一緒にいたいんだ。だから一旦、降りてくれないか?」
「ずっと……うん……わかった……。だけど……今、言ったことは……約束……だからね……?」
「あぁ、もちろんだ。これからも一緒に頑張っていこうぜ。ほら、ありすも送っていくよ。二人とも行くぞ」
「……えっ……?あっ、は、はい……では、よろしくお願いします……」
------------------------------------------------
「本日も、雪美をありがとうございました。また、よろしくお願いします」
「いえいえ、こちらこそ。今日も、雪美はとてもいい子でしたよ。なっ?雪美」
「うん……。だって……プロデューサーと……「約束」をしたから……私……いい子にしてた……♪」
「ははっ。これからも、お互いに頑張っていこうな。では、私はこれで失礼させてもらいます」
「またね……「私の」……プロデューサー……」
「あぁ。また会おうな、雪美。ふぅ……よし、車のキーはっと……あったあった」
カチャッ
「よぉ、待たせたな。ありす」
「いえ、大丈夫ですよ。電子書籍で本を読んでましたので。では、送迎をよろしくお願いします」
「あぁ。それにしても、改めて礼を言わせてくれ。手帳を届けてくれてありがとうな、ありす」
「気にしないでください。でも、気をつけてくださいね。アイドルとプロデューサーは一蓮托生なんですから」
「一蓮托生……その通りだな。そんなに難しい言葉を知ってるだなんて、ありすは物知りじゃないか」
「いえいえ、そんな。それより……プロデューサーさんは、その…………」
「……雪美ちゃんのことを……どう思っているんですか……?」
「ん?どう思ってるって……いきなりなんだよ?」
「いえ、その……雪美ちゃんも……「女の子」なんですよ……?」
「女の子って……あのなあ……。ありすは一体、俺のことを何だと思ってるんだ?」
「そんなの決まっています。「ヘンタイ」で「ロリコン」なプロデューサーさんです」
------------------------------------------------
「躊躇せずに言ってくれたな……ふぅ。ま、別に今更、どう思われててもいいけどさ」
「みんながしっかりとアイドル活動をしてくれれば、俺はそれで満足だし」
「……あ、ちなみにさ、ありすって好きな人とかいるのか?」
「なっ……!と、突然、何を言い出すんですか!?」
「いや、ありすも年頃の女の子だし、そういう人とかいるのかなって思ってさ」
「べ、別に、私は……それに、同年代の男子って、何だか子供っぽい人ばかりですし……」
「……どちらかといえば……少し、落ち着いてる「大人」な人の方が……いいですね……」チラッ
「ははっ、そうか。まあ、ありすもまだまだ「子供」だし、いろんな考え方があるよな」
「むっ……そうやってまた、私を子供扱いして……。でも、私にはまだ、そういうことは関係がありません」
「おっ、そりゃ頼もしいな。流石はありすだ」
「プロですから当たり前です。……で、ですけど……その……このまま帰るのはなんですし……」
「……よかったら……このままどこかに、私を連れて行ってくれませんか……?」
「ん?どこか……?」
「えっと……もしよろしければ……このまま一緒に、どこかに行ってみたいなと思いまして……ダメですか?」
「いや……俺は、ありすがいいなら別にいいけど……どこに行きたいんだ?」
「本当ですか!?……では、そうですね……二人っきりで……ゆっくり、お話し出来る場所がいいです……//」
「お話しか……う〜ん…………あ、じゃあ、あそこに行ってみるか」
「何か、思い当たる節があるんですか?」
「あぁ。ではさっそく、車を動かすよ。シートベルトをしてくれ」
------------------------------------------------
「お待たせしました」
「わぁ〜……♪」
「おっ、来たな。じゃあ、さっそくいただこうか」
「……はい……♪それにしても……覚えててくれたんですね……ここを……」
「まあな。前に、ここの牧場に仕事で来た時にそれ、気に入ってただろ?」
「そうですね……ここのイチゴソフトクリーム……とっても美味しかったんです……♡」
「ははっ。あの時のありすって今みたいに、純粋に目を輝かせて喜んでたもんな。普段もこうだといいんだが」
「むっ……私は、そんなではありません。ただ、一人の女性としてですね……」
「はいはい。かわいいなあ、ありすは」
ナデナデ
「なっ……!あっ、頭を撫でないでくださいっ!//」
「何でだよ。少しぐらい、いいじゃないか。そういう背伸びする姿も魅力的でかわいいぞ」
「……むぅ〜」
「でも……よかったよ。こうして、ありすと一緒に仲良くアイスを食べられるようになってさ」
「何せ、ありすと初めて出会った時は「大声で呼ばれそう」になったわけだしな」
「……だから……俺ってもしかして……少しはありすに信用してもらえたとか?なんて」
「っ……う、自惚れないでください!私はまだ、プロデューサーさんを信用したわけではありません!」
「ははっ、そうかそうか。それは残念だ」
「ですけど……悪い人じゃないっていうのはわかりました……なので……」
「……お近づきの印……もとい、日頃の感謝の印として……私が……あ、あーんをしてあげます……//」
------------------------------------------------
「何だよ、今更。そのアイスはありすのなんだから、遠慮すんなって」
「……い、いいですから!私のプロデューサーだって自覚があるなら、食べてください!」
「わかったよ。なら、もらわないわけにはいかないな。じゃあ、もらうよ。あ〜ん」
「……どうですか……?美味しいですか?」
「……あぁ、美味しいよ。よし、今度は俺のもやるよ。この前の、バレンタインのチョコのお礼も兼ねてな」
「なっ……!べ、別にあれは、義理チョコなんですからね!?変な勘違いをしないでください!」
「そんなことわかってるよ。じゃあ、ありすのスプーンを借りるぞ。ほらっ、口を開けな」
「うむむ……本当にもうっ……で、では、せっかくですのでお返しをいただきますっ……あ〜ん……」
「どうだ、美味しいか?」
「……はい……美味しいです……。プロデューサーさんからもらったので……特に……♡」
「「……」」
「……私たちって……周りからどういう風に思われてるんですかね……?//」
「えっ?どういう風って…………仲の良い親子とか……?」
「むっ……親子……?」
「あぁ。微笑ましくて、かわいい我が子にアイスを食べさせてる、父親と娘みたいで……むぐっ!?」
「うふふ……♪どうです?美味しいですか?「お兄さん」♪」
「むぐっ……お、おい!急に、何をするんだよっ!!」
「「オトナ」のレディに向かって娘だなんて、失礼にも程があります。せめて、そこは「兄妹」ですよね?」
「オトナって……わかったよ。なあ、妹よ?このイチゴのソフトクリーム、美味しいよな?」
「はい♪美味しいですね♪お兄さんっ♪このまましばらく、アイスを楽しみながらお話をたくさんしましょうね♪」
------------------------------------------------
「あの、ご馳走様でした。とても美味しかったです」
「それはよかった。ありすが喜んでくれて何よりだよ」
「うふふ……♪お話がすっかり弾んでしまって、もう夕方になってしまいましたね♪」
「ははっ、そうだな。楽しい時間はあっという間だ。すっかり日が暮れてしまってるな」
「……こうして並んで歩いてる私って……周りから、どういう風に見られてるんですかね……?//」
「えっ?だから、親……」
「……♪」
「……き、兄妹に見えてるんじゃないか……?あはは……」
「よろしいです♪…………あの……ところでプロデューサーさん、一つ……いいですか……?」
「うん?どうした、ありす」
「えっと……もし、私が仮に今……好きな人がいるとしたら……プロデューサーさんはどう思いますか……?」
「えっ……好きな人……?ありすに、好きな人が出来たのか?」
「で、ですから!仮にって言ってるじゃないですか!どう思うのかって、聞きたいだけですっ!」
「う〜ん……突然、何とも返事に困ることを聞いてくれるな……」
「……」
「…………まあ……それは……ありす次第なんじゃないか?」
「えっ……私次第……ですか……?」
「あぁ。俺もアイドルのプロデューサーである以上、これ以上は何も言えない」
「だけど……公には言えないけど、応援させてもらうよ。ありすの「大切な時間」をな」
「プロデューサーさん……」
「…………」
------------------------------------------------
「あ〜あ、ありすは将来、どんなアイドルになってくれるんだろうな」
「この、夕空の最初に輝き始めた、一番星になってくれるのか今からとても楽しみだ」
「……そうですね。プロデューサーさんの期待に応えて見せますよ。私はプロのアイドルですので」
「目指した以上は一番星になりたいです。素敵な歌声を、ファンの方や様々な方にも届けていきたいです」
「ですので…………私が大人になるまで……待ってくれますか?」
「あぁ。ありすが、立派な大人のお姉さんになったら盛大に見届けてやるよ。その「大切な人」と一緒にな」
「大切な人……はい、よろしくお願いします♪……では……私から「誓い」をさせてもらいますね……♡」
「えっ、誓い……?…………んっ!?」
「……♪」
「「…………」」
「…………ふふっ……これが、私の答えです……♡」
「……ぷあっ……なっ……あ、ありす……?」
「約束……しましたからね……♡大人になったら「大切な人」と一緒に見届けてくれるって……♪」
「大切って……ちょっ……お前……これがイタズラなら、流石に説教だぞ……?」
「何かがわからないで、私がこんなことをすると思ってるんですか?」
「私だって、もう「一人の女性」なんです。一回きりの「初めて」をイタズラなんかでするわけがありません」
「流石に、この意味はいくらプロデューサーさんでも……わかってもらえますよね?」
「……」
「「誓いのお返し」は……大人になるまで待ちます。今の私はアイドルであり、社会通念上、女子ですから」
「これが、私の一方的な想いだとしても……その間に、他の人を選んだとしても……後悔はありませんので」
「っ……」
「……さっ、ほら。ボサッとしてないで、そろそろ帰りますよ。車まで、手を繋ぎながら」
「これからも、ずっとこうして私の手を引いて、シンデレラのお城にエスコートしてくださいね♪……王子様♪」
------------------------------------------------
カチャッ
「おはようございます。今日は、とても良い天気ですね」
「……格好……?うふふっ……♪どうです?この振袖、似合いますか?」
「ふふっ……ありがとうございます♪流石ですね。そうです。私は、今日から立派な「大人」です」
「……あっ……今、笑いを堪えましたね?全く、いつまでも子供だと思わないでください」
「正真正銘の、大人のレディーになったんですから、失礼ですよ。相変わらず、デリカシーがなさすぎです」
「……でも……ここに来るまで……思えば、色々なことがありましたよね」
「楽しかったこと、嬉しかったこと、辛かったこと、悲しかったこと……本当に色々とありました」
「でも……この窓からの景色は変わりませんね。あの出会った時から今日までずっと、何もかも、そして……」
「……私の……「この気持ち」も……。全く……いつまで待たせる気なんですか……?」
「こういうのもなんですが、私って、とてもモテるんですよ?今まで、色んな人に告白をされたんですから」
「でも、申し訳ないですが、その度にお断りをさせていただきました。私はアイドルですからね」
「本当……あなたは酷い人です。勝手に期待させて、勝手に想わせて」
「……勝手に……今日まで待たせて……。さては所詮、子供の言うことだって思っていましたね?」
「そんな、変に取り繕おうとしたって無駄ですよ。あなたのことは全てお見通しなんですから」
「ふぅ……ま、いいでしょう。私はそんな一面も含めて、あなたのことを好きになったんですからね」
------------------------------------------------
「では……大人になった今、改めて言います。あなたのことが好きです、大好きです」
「この想いは、あの頃から一切変わったことはありません。出会ったあの頃から、ずっと」
「……ですので、このまま……「誓いのお返し」を私に……って、してくれるわけがありませんよね」
「あなたは奥手で、際限なく優しい方ですからね。今になっても、私のためにと断ってくるでしょう」
「ですが……その優しさ故に、きっとたくさんの「涙」を見せてきたはずです」
「目の前にあるのに、手が届かないもどかしさ……真綿で締め付けられるような、切ない心の痛み……」
「……本当、罪作りな人です。ですから……改めて「もう一回」私から誓いをさせてもらいます」
「これは、私の身勝手な行為です。ですので……拒否するなら、堂々と拒否をしてください」
「今は優しさなどいりません。それに、どんな結果であろうとも……覚悟は出来ていますので……」
「では……いきます。あなたのことが……ずっと、大好きでした……ん…………」
「……」
……チュッ♡
「……ふふっ……♡受け入れてくれたということは……そういうことだと受け取って、いいんですよね……?」
「…………嬉しいですっ……あれ……?何で私……泣いてるんだろ……」
「嬉しいはずなのに……クスン……涙が溢れ出始めて……ヒック……」
「もうっ……違う意味で、私を泣かせてどうするんですか……どれだけ待ったと思ってるんですかっ……」
「ずっと、待ち続けて……私が勝手に、空回りしてるんじゃないかと不安になったり……」
「もしかしたら、私も「涙」を流すことになるのかと思ったり……とても心細かったんですよ?バカっ……」
「でも、もう我慢しなくていいんですよね……?このまま、あなたの隣にいてもいいんですよね……?」
「アイドルとして……そして「一人の女性」として……二人三脚で、ずっと一緒に…………」
「……うふふ……♪長年、私を待たせた分……もう絶対に、離さないんですからっ♪」
「覚悟してください……♡これから一生、そばにいてもらいますからね……プロデューサーさんっ♡」