一話辺りの文字数は少ないです。大体二千から三千文字を目安にしています。
ストックは少ないので出来次第投稿していきますが、更新頻度は遅いです。
プロローグ
異質な空間で向かい合う者たちがいた。
一方は日本にならどこにでもいそうな普通の青年。
もう一方はこの異質な空間の主であり、圧倒的な存在感を放っていた。
異質な空間の主はごく普通の青年に対して何かを語りかける。
その言葉を聞いた青年は驚くような表情をする。
青年は異質な空間の主を知っているようで名を呼ぶ。
青年は困ったように話しかけるが主は微かに笑うだけ。
やがて、主は口を開くと何かをいい、青年は光に包まれた。
「精々私を楽しませてくれ」
主は微かに笑うと消えた。
「ワン!」
「ちょっと待てって!」
「ワンッワン!」
黄色に近い毛色の地毛に黒い線の様な模様が入ったなんとも珍しい犬が俺の前を走る。
時々振り返りながらワンワン吠えるので少しイラつくがこっちを心配している様なので怒りをぶつける事はできない。
心配するならスピードを落とせと言いたいが。
こいつは賢いのでこっちの言う事は何となくだが分かってくれる。
「はぁはぁ、今日はちょっとテンション高いな」
「クゥーン」
尻尾を振りながら、息を切らしている俺のところまで来ると心配そうにこっちを見上げる。
「大丈夫……もう少し走るか!」
「ワンッ!」
少し遅れたが紹介しよう。
この黄色の毛並みに黒い線の模様が入っている特徴的すぎる犬はレア。
珍しいからレア。実に安直だと思う。
レアは俺が産まれる3年前から飼われているので名前は両親が付けた。
そして俺は
今年で8歳になる。
中身は30歳越えているけど。
どういうことかというと、こことは別の日本で大学をでて社会人になってという普通の人生を歩んでいたのだが、気付いたら今いるこの日本で赤ん坊から再スタートである。
こことは別の日本と言ったのは、今いる日本とはところどころ違うからだ。
まず、俺は前の世界では1992年生まれで最後の記憶では25歳だったのだが、こっちの世界に産まれて来た時は2008年と時間がずれていたのだ。
世界がずれているのに些細なことかもしれないけど。
そして、前の世界とは違うところも多い、お菓子の名前が違っていたり、総理大臣が違ったり、教科書も前世界とは少し違っていた。
しかし、大まかな歴史は変わっていないようで江戸時代には鎖国しており、ヘンリーが黒船を率いて開国をせまり、なんやかんやあって太平洋戦争を経験しぼろぼろの状態から高度経済成長期を経て、今の日本がある。
ヘンリーってだれやねんと思わず突っ込んでしまったが。
なによりもポケットモンスターが無かった。
これには衝撃を受けた。どうして、他の有名なゲームやアニメなんかは前世界と殆ど変らないのに、ポケモンがないのか。
ポケモンは小学校のころからやっていて大人になってからもやっていた。
三値を知り、厳選を始め、ダメ計をし……面倒だったから殆どしてないけど。というかもう忘れてしまったが、とにかく大人になっても飽きる事は無かった。廃人って言うほどでも無かったけど。
とにかくショックだったのだ。
この平行世界の日本で前世の知識がるので周りよりも少し有利に生きているが、特にこれと言って目立った物は無い。
前が平凡だった為にこちらでも平凡な暮らしを送っていた。
「わ…しの…ま……しのた……お…えを別…世…に…る。…02…ね…が…ター…だ。精々私を楽しませてくれ」
またこの夢か。初めて見たのは8歳の時、あれ以来日に日にこの夢を見る回数が増えてきている様な気がする。
「んぁ、ふぁあ、眠い」
俺は今年で10歳になる。
今日、小学校は休みですっかり老いぼれてしまったレアのそばにいてやる事にした。
「随分と老けたな、レア」
「クゥーン」
レアからは弱弱しい鳴き声が返って来る。
犬を飼っている以上は別れの時は必ずやって来る。
いつも傍にいたこいつにもだ。
「最後まで一緒にいてやるからな」
そういうと、レアがすり寄ってくる。
俺の気持ちを感じたのだろうか。
2019年12月31日
レアのいない2度目の年越しを迎える。
「5、4、3、2、1、0!」
テレビ番組で恒例のカウントダウンをしていた。
「明けましておめでとう海飛」
「明けましておめでとう海飛ちゃん」
「明けましておめでとう、父さん、母さん」
そして、また一年が過ぎたよ……
「……レア」
「ワン!」
「え!?」
今レアの声がした気がする。
俺は急いで、玄関に向かう。
「海飛?」
「どうしたの?」
父さん達の声を背に、玄関までたどり着いた俺は玄関扉を開けた。
するとそこにいたのは黄色の毛並みに黒い線の模様が入った犬に近い生き物だった。
「ガゥ!」
「うわ!」
犬に似た生き物は俺を見ると一直線に飛び込んできて、俺を押し倒した。
「いった……おもいって」
「クゥーン」
俺を押し倒したそいつは心配そうに俺を見下ろす。
この反応に、この毛色に黒い線の模様。
「もしかして……レア、なのか?」
「ガゥガゥ!」
正解だと言わんばかりに尻尾を激しく振り、俺の顔をなめてくる。
どうしてレアが……いや、こうしてまた逢えたんだ。深くは考えないでおこう。
それにしてもだ。
「どうして、お前、ガーディにそっくりなんだ?」
「ガゥ?」
そう、レアはガーディになって帰ってきた。
それも色違いのガーディとして。
2020年、日本はポケモンと共に歩み出す。
もう一話本日中に投稿します