これからもマイペースに更新頑張りますのでよろしくお願いします。
今回の話で自衛隊が出てきますがあまり詳しくはないので、頭をからっぽにして雰囲気だけ楽しんでいただければなと思います。
私は一週間ぶり? 十日ぶり? に自宅へと帰って来た。
自宅と言っても仕事を行う官邸のすぐ隣にある公邸にだが。隣接しているにもかかわらず帰ることすら出来ないのが今の忙しさを物語っている。
「ふぅ、久しぶりに寛げる……」
「…………」
「誰だ!?」
背後に気配を感じて振り向くが誰もいない。背筋が凍りつくような思いをしながら残っていた酒を一気に流し込むと寝室へと急いだ。風呂に入る余裕すらない。こういう不気味な日には早く寝るに限る。この前、呑気に風呂へ入っている間に人の声が聞こえて来たのだ。誰もいない筈なのに。
この公邸は昔、官邸として使われていて、五・一五事件や二・二六事件の舞台になった場所であり、幽霊騒ぎが噂される場所でもある。私は体験済みなのでここに住む前にバカにしていたのが嘘の様に今ではいちいちビビりながら暮らしている。自宅に帰って来て休むことも出来ないとは……私邸に住むことも検討しようかな。
ザッザッザッザッ
「勘弁してくれ……」
私は布団に包まりながら耳を塞いだ。ここまでの強烈な現象は初めてだ。
軍靴の音が廊下を響かせてやってくる。誰もいやしないのに。
始めは葉が風に揺られて擦れるほどの音しかなかったものが、次第に耳を塞いでいても聞こえるほど大きくなってくる。その足音は扉の前に来ると忽然と消え失せた。
仕事と心霊現象に精神をすり減らされて、明日からどうにかなりそうだ。
「ガッ……」
「ひ、誰かいるのか?」
「ガ……」
掠れた音が部屋に響き渡るので問いただせば、掠れた返事が返って来る。流石にこのまま無視しして寝る訳にもいかないので、豆電球が照らす暗い部屋の中を見渡す。
「ひッ」
見なかったことにしよう。
私は珍しく寝過ごしてしまった。というより気を失っていたという方が正しいかもしれない。
朝7時に目を覚ますと、未だにそれは部屋の中に居た。何故か、こんな時間になれば起こしに来るであろう秘書も補佐官も来ない。
「ガ……」
「生き物なのか?」
「ガッ……」
不気味な黄色く何かを模した被り物を被っている得体のしれない生物は少しずつ近づいてくる。
私の少し手前で止まったUMAはただ私を見ていた。恐らくポケモンではないだろうか。これに似たような画像を資料で見た事がある。
「えっと、なんなんだ?」
「ガッ……」
どうやら何か用がある訳でもないらしく、部屋をくるりと一周すると消え失せた。なんなんだ。
気を失っていたお蔭か十分に睡眠はとれていたので支度をして官邸へと向かう。今日もやる事が多い。
航空自衛隊百里基地にて緊急スクランブルが発生していた。
「……高度49000
航空自衛隊の入間基地にある中部航空方面隊司令部では未確認飛行物体が太平洋上を飛行している事が確認されていた。
この情報は百里基地に直ちに送られ、スクランブルの指示をだした。また、首都へ進行するルートであるために、第一高射群第一高射隊のいる習志野分屯基地へも情報が送られた。
「
「
「
F-15Jへオペレーターからの指示が出される。どちらの声も緊張は見られない。
「
目標との距離も縮まり、残り125kmとなる。パイロットは若干の緊張の中、まだ見えない目標を晴れた青空の中で睨むように探す。
「
「
遂にレーダーへと未確認飛行物体を捉える事に成功した二機は更に距離を詰めて行く。
「もうそろそろ目視も出来る距離か?」
パイロットがキャノピー越しに青空を睨みつけるとそれは明らかになる。
「おいおい、
「
「そのままですよ。本物の龍だ。今そちらに画像を送ります」
中部航空方面隊司令部に送られてきた画像。そこには緑色の巨大な龍に酷似した生物が写っていた。
「
「分からないが、やってみ、ッ、攻撃を受けた! 幸い僚機ともに損害なし。これより機銃による威嚇射撃を行う」
「
緑の龍、レックウザは先ほどから纏わりついてくる灰色の虫に苛立っていた。ここはレックウザの縄張りではないのでこの虫たちの縄張りなのだろうと当たりをつけるが、鬱陶しい事に変わりはない。
空の王を自負しているレックウザにとっては、纏わりつかれるだけで自尊心を傷つけられる。
試しに、はかいこうせんをわざと外すように撃ってやれば驚いたのか離れて行く。いい気味だと思っていたのも束の間。今度は虫が攻撃をしてきた。
見た事のない技に驚くが、あの程度であれば傷もつけられる事はないだろうと、余裕の態度で空を飛び続ける。しかし、縄張りを犯しているのはこちらなのだから素直に退散しようかと、追いかけっこよろしく付いてこられるなら付いて来いと、速度を上げて急上昇してやった。
流石にあの虫どもも付いてこれなかったようで、黒い空と青い星の境目で満足げに島を見下ろした。
「ルォォオオ!」
如何でしたか? 英語を使えばそれっぽくなるという安易な考えですが、雰囲気は出ていたと思います。