今日からはパートナー選びか。
実は既にポケモンを持っていた五人の他に、講座中に三人がポケモンをゲットしているから、参加者105名の内、パートナー選びに参加するのは97人だ。そのため、16人ずつを六日間に分けて行う。
何処でポケモンを捕まえるのかと言うと、川と、森と、岩場もある高月市高ヶ
芥川が近くに流れており、山に入れば森はあるし、採石場もあるのでポケモン探しにはもってこいな場所だ。
「えっと、先ずは、三つくらいの会社で使ってる採石場と砕石場、採るのと粉砕の方ね。そこに向かって、いわ、じめん、はがね、といったタイプのポケモンを探します。このタイプの希望者はいます?」
たぶん国が用意したマイクロバスに揺られながら五人が手を上げる。因みに俺が話している横では紅斗君が車窓を眺めていた。付いて来たいというので付いてくるか? と言ったらありがとう! となって、付いてきた。二匹目のポケモンを考えているのだとか。
手を挙げた三人の内、自衛官の人が一人。自衛隊はタイプの違うポケモンで揃えて、様々な事態に対処できるようにとの事だから、タイプを被らせる事が無いようにこちらも配慮しないといけない。
それに、今回の行先は俺にとってもありがたい。なんせ、イワークを捕まえてからまだ一度しかモンスターボールから出せていないのだ。図体はデカいし、最近は講習して家帰って寝るという繰り返しで忙しかったからな。
イワークを一回出した時は大人しかった。俺がいきなり攻撃したことを誤れば許してくれたし、あのゴツゴツとした頭の上にも乗せて貰った。そんなイワークだから、外に出してやれないことをすまなく思っていた。
今日は存分に遊ばせてやるつもりだ。
約4、50分間車に揺られ、今は無人となっている採石場にやってきた。人間の代わりに居たのは、いわ、じめん、はがね、なんかのタイプである。山が近いからかむしやくさタイプのポケモンもちらほらと居る。
パートナーを捕まえに来たと言うが、野生のポケモンであるためにこの子がいい! といって簡単に捕まえられるわけじゃない。
バトルする必要がある場合は俺か、紅斗君にさせるつもりだ。紅斗君にはバトルの経験も積んでもらいたいし。
剥き出しになった山肌の麓でポケモン達を刺激しないようにバスから降りて話をする。
「捕まえたいポケモンをここから目視で探してください。野生のポケモンなので危険ですからくれぐれも近づかないでくださいね。講習で分かっていると思いますが、ちっちゃいポケモンでもライオンとかトラより強いですから」
この場にいるポケモントレーナーは俺と紅斗君だけである。ばらけられたらカバーが出来ない。
「あと、俺のポケモンを紹介しておきますね。出てこい」
「がぁ~」
「イワー」
「ウインディのレアは知っていると思いますけど、こっちはイワークの……名前は考え中です」
「ィワ」
落ち込まないでくれよ。ちゃんと考えるからさ!
バスから降りて並んでいた皆はイワークを見上げて固まっている。そりゃそうだよね、なんせデカいもん。
手を叩いて皆を正気に戻すと、見える範囲でどのポケモンに、パートナーとなって欲しいかを決めてもらう事にする。
ポケモンたちはこちらを警戒しているのか遠巻きに見ている。
五分程見ているとひとりが手を挙げた。
「あのポケモンがいいです」
自衛隊の人が指を差した先に居たのは……ヨーギラス!?
寧ろ俺が欲しいくらいだわ。
「わ、わかった」
ヨーギラスがいる事に動揺しつつもレアとヨーギラスの元へ行く。因みにイワークは剥き出しの山肌をクライムして遊んでいる。
「そこのヨーギラス、少しバトルをして貰うよ。しんそく」
通り魔もいいところだが、仕方ない。一応声かけたから戦闘態勢には入っていたけど、しんそくからのきしかいせいであっさり撃沈。モンスターボールを投げてゲットした。
「はい、ヨーギラスです。捕まえるまでは俺がしましたが、さっきも言った通り、捕まえた後の関係は自分たちで築いてください」
「ありがとうございます」
俺がするのはあくまでも捕まえる事だけ。良好な関係を築くことが出来るかはその人次第だ。万が一、ポケモンがトレーナーに危害を加えるようなことがあれば、俺が止めて、野生へ返すことにはなっている。
結局、後四人がそれぞれ、ダンゴロ、サンド、サイホーン、ディグダを選んだ。どれも進化前のポケモンなので問題なく捕まえられた。俺の捕獲劇を見ていた野生のポケモンたちは臆病なものは逃げ、呑気な奴は遊び、戦いたそうなやつは爛々とこちらを見ている。
俺は今回のパートナー探しで一つ計画していたことがある。
「紅斗君、バトル、しよっか」
「えっ?」
「座学はしたけど実技はしてないでしょ? 皆にもポケモンバトルを見てもらいますね」
「今ここでするの?」
「そうだよ。急にごめんね。イワーク、出番だよ」
「イワー」
「分かったよ。出ておいで、ピカチュウ!」
「ピッカ!」
崖を登ったり下りたりして遊んでいたイワークを呼び戻し、紅斗君はボールからピカチュウを出す。両者が出そろい、空気が変わる。
急な展開について行けない人も中にはいたが、ドッキリだとでも思って見ていてほしい。
「誰か審判お願いします」
「では、私が」
自衛隊の人が名乗り出て、審判の位置に着いた。
「手加減はしないよ」
「僕だって。ピカチュウと特訓していたから、絶対に勝つよ!」
「ピィカ!」
どうやらやる気満々のようだ。審判に目配せすると、一つ頷く。
「それでは、クレト対カイトのポケモンバトルを行います……バトルスタート!」