ポケットモンスターJ   作:ユンク

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襲撃

 仲良くなったヒトカゲに、紅斗君はピカチュウと一緒に尋問中。どうして倒れていたのかを聞いていた。

 俺はそれを傍で見守っていた。

 

「ピカ、ピカ、ピカッ!」

「うーん、友達を助けた?」

「ピカッ! ピーカ、ピッ!」

「カゲカーゲ」

「スピアー、かな? に襲われたの?」

「ピカ!」

「カゲ!」

 

 ピカチュウとヒトカゲはジェスチャーを交えて紅斗君に教えていた。

 俺にもなんとなくスピアーに襲われたことは分かったけど、まるで会話しているようだよな。

 俺もレア相手に会話してみるかな。

 

「それで、友達を逃がした? スピアーと闘って時間稼ぎをしたの?」

「カゲ!」

「ピカ、ピーカ、ピカッチュ、ピカピ」

「それで自分もなんとか逃げ切ったけど、その時にはボロボロだったんだね」

「カゲカゲ」

「ピカ」

 

 尚も会話は続く。ピカチュウと紅斗君の高レベルなコミュニケーションスキルによって、全容はあらかた把握することが出来た。

 要は、おやつとして仲の良いミツハニーから蜂蜜を分けて貰っていたんだけど、そこにスピアーが五匹やってきたと。どうやらスピアーは新しい巣を探していたようで、ミツハニー達の巣をよこせと言ってきた。それに怒ったビークインがスピアー達に戦いを挑んで、それを手助けする形でヒトカゲも参戦。ビークインはなかなか強かったそうで、スピアー四匹を相手取り辛勝だったそうだ。ヒトカゲもタイプ相性は良かった為に、飛び回るスピアー相手に苦戦しつつもひのこを一発当てることに成功し、そのあと追い打ちのひのこを二発当てて勝ったのだとか。

 しかし、そこからが問題だった。スピアーがいつの間にか呼んだ増援、その数約二十匹。流石に勝てないと判断したビークインはミツハニー達を逃がし、殿を務める事になった。それにヒトカゲも参戦し、結果、今に至ると。

 逃げている途中にビークインとは逸れてしまい、どうなったのかは分からないそうだ。

 

 よくもまぁ、こんなにも細かく分かったな。紅斗君ってエスパーだったりする? 俺は一割くらいしか分からなかった。

 

「ビークインとミツハニー達が心配だよね」

「カゲ……」

「ヒトカゲ、僕も付いていってあげるから、ミツハニーたちが元気にしている事を祈ろう。ね?」

「ピーカ」

「カゲ!」

 

 紅斗君たちで話は纏まったみたい……

 

「紅斗君、もしかしてヒトカゲ連れてあそこに行くつもり?」

「うん。ミツハニーたちが心配だから」

「分かったよ。俺もついて行く」

「海飛さんまで来なくても……」

「紅斗君を一人にすると無茶しそうだし、それに、俺は先生だよ? もっと頼ってくれ」

「……お願いします」

 

 なんか、物凄くキラキラした目で見つめられてる。これが憧憬の眼差しってやつか……大言吐いてしまったけど大丈夫かな、俺。

 

 

 

 

 という訳で、居ても立っても居られないと言った様子のヒトカゲを連れて、再び芥川上流へともどってきた。

 雨は幸い止んでいたので、川を渡るとヒトカゲの案内を頼りに森の中を進んでいく。

 ミツハニー達の巣に辿り着いた時には、そこはもぬけの殻になっていた。てっきりスピアー達が占拠している物だと思っていたのだが。

 そこから、ミツハニー達が逃げたと思われる方向に足を進めていく。起伏が激しい隘路を二十分程進んだ先に、ミツハニーが一匹いた。ヒトカゲが大声で呼びかけると、ミツハニーはそれに気づいて寄ってくる。

 

「カゲ!」

「ハニハー」

 

 なんというか、おっとりしているのは種族柄なのだろうか。間延びのした返事が返って来ると、ヒトカゲは少しの会話をして、ミツハニー達の新しい巣に案内してもらった。

 

 案内された場所にあった巣は、さっきの巣もそうだったけれども、直径五、六メートルはありそうなほどに巨大だった。そこにはビークインもいて、ビークインのスカートの様な巣からはミツハニーの子どもの様な小さい虫たちが出入りしていた。

 ビークインがヒトカゲに気付いて一言声を掛けた後にこちらへと視線を向ける。俺と紅斗君は自己紹介すると、ビークインも一つ、お辞儀をしてくれた。

 どうやら、スピアーからは逃げ切れたようで、ミツハニー達の蜜のお蔭で回復もしたそうだ。あれ、密にそんな効果ってあったっけ?

 安心した俺たちはヒトカゲによかったな、といって帰る事にした。帰る際に、ヒトカゲとミツハニーで何か話したのか、俺たちに蜜を分けてくれることになった。丁度水筒を持っていたのでそこに入れて貰った。

 ヒトカゲは帰りも俺たちの案内をしてくれた。そうして今は帰っている途中なのだが。

 

「なんというか、胸騒ぎと言うか……」

「どうしたの?」

「いや、気のせいか」

 

 俺はなぜか不安に駆られるようなそんな気持ちを抑えつつ、歩みを進める。しかし、少し開けた場所へと出た瞬間、俺は紅斗君を突き飛ばした。

 

「いたた、海飛さん?」

「ごめん、大丈夫? しかし、スピアーがこんなところで出て来るとは」

「う、そ……」

 

 俺は紅斗君を突き飛ばしたことを謝って、周囲に目をやる。先ほど、紅斗君を狙ってスピアーが攻撃をしてきたのだが、他にも大勢のお仲間がいたようだ。

 俺たちがどうするかと迷っている内にどんどんと数は増えていく。十、二十、三十、四十、五十……

 

「か、海飛さん」

「カゲ……」

 

 紅斗君とヒトカゲは俺にひっついて震えていた。そりゃそうだよな、俺だって手が震えてるもん。

 

「「「「スピッッ!」」」」

 

 どうやら威嚇をしてきているようで、正直、これだけの大きなスズメバチに囲まれて、気が可笑しくなりそうだ。

 

「はは、クッハッハッハ! いいねぇ、ええやん。前も! 後ろも! 右も左も! 上にまで! 最高だよ……本当に最高だよ! お前らほんまに最高やわ。いけ、レア。焼き尽くしたれ!」

「グルウォォォオオオン!」

 




狂乱すると関西弁が出ちゃう海飛君。スピアー達はレアかウェルダンか。
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