「時間は余りあるから教えてやろう」
そういうとアルセウスは何故地球にポケモンを現させたのかを語り始めた。なにも神の気まぐれなのではなかったのだ。
「私は虚無と言って差し支えない場所にいつからか存在していた。私は何もない空間に飽いたのだ。そこで私の化身を作り上げた。それが、パルキア、ディアルガ、ギラティナだ。そいつらに私はそれぞれが司るものを与えた。空間、時間、反物質。そいつらの力と私の力を使って時の流れを生み出す重力を作りだした。しかし、それは強力すぎたためにギラティナの力で消し去った」
宇宙創成というとんでもない話を聞かされてるよな。
「そこで、空間を先に広げる事で重力を生み出しても耐えうるようにした。見事に成功し、空間という箱の中に、重力を利用した時間の流れを作り出すことが出来た。そして、私はその空間に物質を作り出した。様々なものをな。それらはやがて重力に引き寄せられて形作り始めた。私の作り上げた物質を重力が引き寄せ、膨大な熱エネルギーに変換させた。それらを重力は引き寄せ続け、やがて丸い熱の塊を作ったのだ。それが私たちの最初に作り上げた太陽となった」
そうか。
「後は同じように作っていき、やがてとある星が一つできた。そこに私は、私たちの様な生きる者を作り出そうとした。確かに成功したが、時間をかけすぎたために星の寿命が持たず、崩壊してしまった。その星を再現したものをまた作り直すと今度は短期間で作り上げ、ポケモンと呼ばれる者達、人間と呼ばれる者達がその星に暮らし始めた」
ふむ……
「寝るでない」
「いたっ!?」
「思念でも痛覚を刺激することは出来る」
理不尽すぎる。こっちは何も抵抗できないじゃないか。
「これが私たちの宇宙だ。宇宙と言うのは淵の知れぬ箱の中にある小さな箱の様なものだ。その小さな箱は無数に存在しており、その数だけ神がいて、それぞれを管理しておる」
「え、そうなの? 宇宙ってそんなにあるの?」
「あぁ、しかし、一つイレギュラーな存在があった。それがこの宇宙だ。この宇宙に神は存在しない」
「それって?」
「この宇宙の誕生は、終わりから始まった」
「え、えっと?」
「この前の宇宙が超新星爆発の複数同時発生や連続して起きるなど、まぁ、悲惨だった。そしてその宇宙はとうとう、宇宙ごと歪み始め、最終的に一点に収束した。そして、それは宇宙一つ分というエネルギーを貯め込んでいた。地球人が言うビッグバンとはこれの内包エネルギーが爆発した事によって引き起こされたものだ」
ふむふむ。半分くらいしか頭に入ってこないけど。
「この宇宙はそういう経緯で生まれたために、今もなお誰の制御も受けずに広がり続けている。そして、この宇宙は私たちの宇宙を侵食し始めたのだ。圧壊するのも時間の問題だった。だから私はポケモン達の保存をした。人間達も保存はしたが、既に地球には私の作った人間に似ている者がいたからな。余計な混乱を招かないようにポケモンだけにした」
「ポケモンだけでも大分混乱してますけどね!?」
「案ずるな。デオキシスに頼んで地球は調査済みだ。一番ポケモンの住みやすそうな国を選んだ」
「デオキシス?」
「ロシア、だったか。そこに隕石が落ちた事があっただろう? あれはデオキシスだ。途中で爆発したせいで一年ほど再生に時間が掛かったとぼやいていたが。ともかく、念入りに調査を済ませ、この宇宙で私がどれほどの権限を持っているのか調べ終わったのが、2019年頃だ」
あれはデオキシスだったのかよ! てっきり2020年を境にポケモンが現れたと思ったけど、その前から既にいたんだな。
「しかし、お主も気付いているだろう?」
「なにが?」
「ポケモンの種類が少ない事にだ」
「確かに、まだ、三百種類くらいしか見つけられてなかったな」
「それはポケモン達の生態系を考えて、出現させる種類を限定したからだ。将来的には他の国にも出現させる予定ではあるが……」
「何か問題でも……あ、あれか」
「そうだ、密輸だ。デオキシスに見張ってもらってはいるんだがな。火星を住める星にする事を優先するべきかもしれない。幸いにもポケモン達は私が滅びない限り保存はずっとできる。しかし、伝説になるほどの力を持っている者たちはそう長く管理できないのでな、日本に解き放った」
それって、不味いと思うんだけど。
「カイオーガとグラードンは?」
「坊の岬沖にカイオーガ、阿蘇山にグラードンがいるな。どちらも眠っておるから安心しろ」
「全く安心できないんですが」
「他の伝説ポケモン達は各々が好きな場所で過ごしている。暴れるようなことはないだろう。それと、伝説のポケモン達には私から命令して働いてもらう事もあるから覚えておけ」
「カイオーガとグラードンも?」
「あの戯けどもにこの私が何か頼むとでも思っておるのか?」
「いや、ないです」
急に不機嫌オーラを出すアルセウス様。不機嫌になるだけでこんなにも威圧感があるだなんて流石神様は違うなー。苦しいんでそろそろ機嫌直してください。
ていうかここまで不機嫌になるなんて、一体あいつらは何をしたんだか。
「もう時間もあまりないから話はここで終いだ。また呼ぶこともあるかもしれんが、基本的にはないと思え」
「はい。こちらは好きにさせてもらいますよ」
「私の機嫌を損ねない程度にな」
「はいはい」
そこで意識は途切れて、また眠りに誘われた。