「さて、ポケモンのアプリでもダウンロードするか」
俺は最近買って貰ったスマホからストアを開き、ポケモンで検索してみた。
すると、一件だけヒットした。
前世では何件も出て来たというのに、この世界にポケモンという概念は存在しないんだと一つだけポツンとあるアプリに寂寥感が込み上げてくる。
「ポケットモンスターJ?」
一つだけ表示されているアプリはアイコンがモンスターボールのポケットモンスターJというアプリだった。
Jってなんだ? と思いながらダウンロード画面へと進む。
特にこれといった紹介文などは無かった。
「ダウンロード完了っと」
そう時間がかからずにダウンロードを終えると、インストールが終了。
早速、モンスターボールのアイコンをタッチしてアプリを起動させた。
シンプルなモンスターボールの壁紙に、名前の入力欄がある。
「名前って本名……じゃなくてもよさそうだな」
ゲームの時の様にひらがなかカタカナかアルファベットでしか打てなくなっている。
文字数も6文字までのようだ。
「うーん、ま、カイトでいっか」
ゲームの主人公の名前を打ってみようかとも思ったがやめておいた。
名前の入力が終わると、いくつかの項目が出てきた。
ポケモン、ポケモン図鑑、ポケモンセンター、ショップ、バッグ、トレーナーパス、メールとある。
「ポケモンは手持ちのポケモンの状態を見れるのか、レアが表示されてるな」
レアのレベルは10と少し高かった。
特性はもらいび。
性格はやんちゃだった。
そして覚えている技は、かみくだく、あさのひざし、ほのおのうず、フレアドライブ、もえつきる……ひのこ。
「おまえ、どうしたんだ?」
思わずレアに聞いてしまった。
だって、技を6つも覚えているし、レベルにあってない技を覚えているとなると合計5つも遺伝技を覚えていることになるし、最後のひのこだけまともなはずなのに浮いているし。
「ガァ?」
「まぁ、強いからいっか」
不思議そうに見てくるレアを取り敢えず撫でておく。
次にポケモン図鑑を開くと、みつけた数1、捕まえた数1と表示されている。
レアのことだろう。
次にバッグを見てみると中には何も入っていなかった。
「バッグの中にはどうやって入れるんだろうか」
モンスターボールを手に取ってバッグの画面にかざしてみる。
すると、モンスターボールが淡く光ると、消えてしまった。
「おお!」
その後、モンスターボールを9個収納した。
ポケモンセンターはポケモンたちの体力を回復してくれるようだったが、回復には1時間程、時間が掛かるらしい。
ショップはモンスターボールなどをポケマイルで買えるようだった。
次はトレーナーパス。
名前はさっき入力したカイトの文字が表示されている。
名前の下にはIDNo.000001と表示されている。
IDは登録した順番で決まるのだろうか。
図鑑は1匹
おこづかいは0円
今手に持ってないから0円なんだろうけど、見てると悲しくなる。
試しに財布を持ってみると2000円になった。
どうやって認識しているのだろうか。
おこづかいの下にはポケマイルが0と表示されている。
ポケマイルは100歩、歩くと1マイル溜まるようだ。
モンスターボールの値段が100マイルと考えるとモンスターボールを買うのに1万歩歩かなくてはならない計算になる。
「結構大変だな」
ここから東京まででどれくらいの歩数を稼げるだろうか。
そんなことを考えながらスマホの画面を消すと、明日に備えて寝ようとしたが遠足前のワクワクしたような浮ついた気分になりなかなか寝付けなかったのでリビングに降りてニュースを見る事にした。
どの番組も新年あけてそうそうにパニックになっていた。
「お、海飛。なんか大変なことになってるで」
「ニュース見てみ、新種の生物発見報告が続々と、やって」
「そうやな。お? ピカチュウじゃん」
父さんと母さんがテレビに釘付けになっていた。ニュースにはどこからともなく現れたポケモンたちが映されていてあの代表的なポケモンであるピカチュウも映っていた。
その一方で。
「大変です! 線路の上を牛の様な生物が走っています!」
「うわぁ、ケンタロス……危ないなぁ。もしかして交通機関マヒするんじゃないか」
交通機関がマヒするのは予想済みだったがやはり使えないとなると山を越えたりするのはきつそうだ。これじゃあ東京まで行くのに一週間はかかるんじゃないだろうか。
「って、市役所にいけばいいのか!」
うん。わざわざ東京に行く必要もなかった。市役所に行けば話は国のトップに伝わるだろう。
しかし、直接話した方が良い気もするので東京にはいくつもりだった。
問題は旅費なのだが。
「お父様。お母様。旅費を頂きたいのです」
「なんや。いきなり。本気で東京行く気なんか?」
「はい。今ニュースに映っているのはポケモンという生き物で、レアもガーディという種類のポケモンになって帰って来たんだよ」
「ぽけもん? なんでそんな事知ってんねん」
「それは、かくかくしかじかで」
取り敢えず前世の話をしてみた。
「信じられへんやけど」
「海飛ちゃんそれほんま?」
「うん、だから、ポケモンの事は詳しいから取り敢えず偉い人に話をすることにした」
「偉い人って言ってもなぁ。分かった。お父さんもついて行くわ」
「ありがとう」
そういう訳で理解あるお父さんとお母さんのお蔭で無事に旅に出れそうだった。
それにしても、理解が良すぎるよな。