ポケットモンスターJ   作:ユンク

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大きな相棒

 さて、どこから探したものか。ヒントとしては空を飛ぶポケモンという事くらいしか分かっていない。空を飛ぶポケモンならポッポやスバメとかだろうか。

 

「リ、リ、リー」

「ガゥ」

 

 すっかり仲良くなったのか、コリンクは元気に歌いながら歩いているし、レアもそれに合いの手を入れている。微笑ましい光景だな。

 コリンクは森の奥の方に向かって行っているのだが、そちら方面に行ったきり帰ってこなくなったのだろうか。

 

「コリンク、友達ってどんな奴なんだ?」

「リ? リィリ! リッリッ」

「あー、そうか、そうか」

「リィ!」

 

 なるほど。さっぱり分からん。

 

 気を取り直して進む事十分。そこそこ奥に来たのだが、この辺りからポケモンのレベルが少し高いように感じる。そして血の気も多いような気がする。

 

「ほのおのきば!」

「ガゥ!」

 

 さっき襲ってきたのはオオタチ。どうやら森の奥ではレベルの高いポケモンが多く、進化をし始めている野生のポケモンも居るみたいだな。だからコリンクは探しに行きたくても行けなかったのか。

 となると、探している奴はそれなりに強いポケモンだという事になるよな……

 

 更に進む事二十分。とうとう帰れるか不安なくらい奥に来てしまった。頼もしい相棒がいるからそこまで不安ではないけれど。やはり、森の奥地と言うだけあって不気味な雰囲気を漂わせている。

 

「ロォォ!」

「ブソッ」

「なんだ?」

 

 ポケモンの鳴き声が聞こえたと思った次の瞬間、前方で大きな音を立てて木がへし折れた。嘘だろ? 野生のポケモンにもうそこまでの強さの奴がいるってのか?

 どうやら戦いの最中らしく、大きな音がいくつも聞こえてくる。

 

「リー!!」

「あ、おい! まさか、今戦っている奴らのどっちかが探してる奴なのか? レア、追いかけるぞ!」

「ガゥ!」

 

 いきなり飛び出していったコリンクを追いかけて、走ってみれば、直ぐに開けた場所にでた。開けた場所は元から開けていたというよりは、戦いによって開けたと言った方が正しい。なんせあっちこっちに木が倒れていた。

 そして、その倒木でギミックチックになっているフィールドでは、軽々と動き回るアブソルと空を飛んで攻撃の機会を窺っているトロピウスが。

 確かに、こいつらは強い。もともと進化がないために、低レベル帯では上位に入るくらいには強い。トロピウスは1レベからリーフストームという強力な技を覚えているし、それ以外にもはっぱカッターやかぜおこしといった、なかなかに強い技を覚えている。

 努力値上げや、群れバトルに秘伝要因として優秀で重宝していた奴で、よく手持ちに入れていた。

 一方のアブソル。こちらも強い。特にきょううんの特性はつじぎりと合わせると急所に当たる確率が跳ね上がる。ふいうちも強力で、きょううんで急所に入ればごっそりと体力を削ってくれる。メガシンカもでているポケモンなだけに、俺も使ったことがある。なによりも見た目がかっこいいよな。

 

「ロォォ!?」

「ブソッ!」

 

 空中を旋回していたトロピウスは突然不可視の攻撃が命中して墜落して行く。そこへ追い打ちをかけるようにアブソルはつじぎりを命中させた。急所に入っていれば大ダメージは確実だ。あのアブソル、ハッキリ言って強い。つじぎりを覚えているあたり30レベルはいっているだろうし、トロピウスをみらいよちで墜落させるなんて戦いにも慣れている。

 トロピウスには武が悪い。

 問題のコリンクだが、どうやらトロピウスが友達らしくそちらに駆け寄っていく。空を飛べるのはトロピウスだしな。さて、俺的にはアブソルをゲットしたいところなんだが、先ずはコリンクとトロピウスを助けないとな。

 

「レア、あいつらを守れ」

「ガゥ!」

 

 レアは倒れて動けなくなったトロピウスと、寄り添っているコリンクを庇うように立つ。俺はアブソルが次にどのような行動をしてくるのか、見ていたのだが予想外の事が起きてしまう。

 

「ハァアアアアアアアア!!!」

「う、な、なんなんだよ!」

 

 一拍、アブソルが息を吸い込んだと思えば強烈な不協和音を周囲にばら撒いた。思わず地面にうずくまって、耳を塞ぐ。いったいなんなんだよ。こんな最悪な技なんかあったか?

 まるで命を削るような……うた?

 ほろびのうた、か!?

 

「やばいやばいやばいやばい!! メガシンカ!!」

「ガゥ!!」

 

 最悪だよ! さっさと蹴りをつけてしまわないとこの現実に於いてどれくらいの時間で最期を迎えるのか全く分からない!

 頼むから頑張ってくれ!

 

「しんそく!! フレアドライブ!!」

 

 しんそくがもろにヒットした! 体勢を崩してるとこにすかさずフレアドライブがヒット!

 

「ええで! その調子や! しんそくで決めたれ!」

「ガア!!」

「ブソッ!?」

 

 た、助かった……あのまま気付かんと普通に戦っとたら死んでたかもせえへんやん。ほろびのうたの実態はよう分からんけど、あんなもん聞かされて無事でいられるとは思えへんわ!

 はっ、関西弁がつい出てしまった。ま、まぁともかく助かってよかった。コリンクも無事に友達と再会できたことだし。一件落着かな。

 アブソルが逃げていったのは残念だけど。

 

「ほら、薬だぞ」

「ロォ」

「リー」

 

 さて、おやつにでもしますか。幸い、きのみは沢山あるから交流も兼ねてコリンクとトロピウスの事を知りたい。出来れば仲間になって欲しいからな。

 


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