眠い。眠い。浮かれすぎて昨夜はほとんど眠れなかった。空が白みはじめたのがカーテンの隙間から窺えるようになると目が覚めきってしまった。
一方、レアは俺の布団の中でぐっすりと眠っている。
「レア、起きろー、朝だぞ」
「グァ、ァーゥ」
大きな欠伸をして、レアはベッドから飛び降りる。俺も欠伸がつられて出てしまい、背伸びをして体をある程度ほぐすと二階の自分の部屋から階段を下りてリビングへと向かった。
「おはよう」
「おはよー、そこにあるパンでも食べといて」
「分かった」
チョコクロワッサンを迷わず選ぶと袋を開けて頬張る。
「ガウ!」
レアが俺の脚の周りを回りはじめたのでお腹が空いているサインだと分かったが、ドッグフードは家にはないしどうしたものか。
「ん~、お、あった」
例のアプリのポケモンセンターを選択するとポケモンフーズが購入できるようだったが、ポケマイルが5必要と書かれている。
「少し散歩しようか。悪いけど飯は散歩の後な」
「ガウッ」
残念といった風にレアは鳴くが早速玄関に向かって走っていった。
慌ててクロワッサンを詰め込み、服を着替えると玄関に向かう。そこでは遅いと少々不機嫌にレアが尻尾を揺らしていた。
「悪い悪い」
レアに謝りつつずっと保管していたリードをつけようとするが……あれ? リードする必要ない気がするな。だってモンスターボールあるし。
という事で、リードはなしで散歩に出かける事にした。
「あんまり離れるなよー」
「ガァ!」
元気よく返事をするレアに遅れないようついて行きつつ、街の様子を見てみる。
空を見上げればポッポやオニスズメが飛んでいる。道路沿いにはジグザグマやヤブクロンにデルビルなんかがいる。
得体のしれないものが闊歩している事に恐怖しているのか人の姿は少なく、すれ違う人も足早だ。
「もうたまったかな」
アプリを開き、マイルを確認すると8マイル溜まっていたので、ポケセン画面に移動し、ポケモンフーズを購入。バッグの画面に移動しポケモンフーズを選択すると飛び出してきた。
「おっと、これがポケモンフーズか。容器は貸し出してくれるみたいだし、飯にしようか」
「ガゥ! ガゥ!」
嬉しそうに俺の周りを跳ねるレアにお座りといえば、素直に座る。
ポケセンの画面にある貸出品の中から容器を選んで容器を出現させるとそのなかに先ほどのポケモンフーズを袋から取り出して入れる。
「待て……よし」
「ガゥ、ハゥ、アゥ」
がっついて食べる様子をみるに相当お腹が空いていたようだ。悪い事をしたなと思い、一撫で。
ポケモンフーズは一日分あるようであと2食分は大丈夫そうだった。ポケモンフーズをスマホのバッグ画面に翳せばぱっと消える。
当たり前の様に使っているが一体どうなっているのやら。アイツが作ったということはアレが関わっているんだろうか。
「ガゥ!」
「食べ終わったか? レア、ちょっとバトルしてみないか?」
「ガーウ!」
「お、じゃあ、早速ジグザグマとしてみようぜ」
レアはやる気満々の様なので小道に居たジグザグマの前に出る。
「いけ! レア!」
「ガゥ!」
「グッ!」
レアが吠えるとジグザグマも戦闘態勢に入った。
それをみて、取り敢えず無難な技で攻める事にした。
「ひのこ!」
レアはひのこをジグザグマに放つが避けられてしまう。
「避けてかみくだく!」
「ガァア!」
ジグザグマが体当たりをしてきたのでレアは避けてジグザグマの横っ腹にかみくだくを命中させた。
ジグザグマは瀕死のダメージを負ったようで、そのまま逃げて行った。これで戦闘は終わりなのだろうか。ゲームだと野生のポケモンと闘った後どうなるかまでは分からないから多分これで勝ったのだと思う。
「よくやった!」
「ガゥガゥ!」
やっぱり強力な遺伝技を覚えているお蔭で大分戦闘が楽な気がする。それにレアの元々の動きもいいからこのレベル帯では無敵じゃないだろうか。
「もう少し戦ってみるか?」
「ガゥ!」
今度はデルビルを発見した。おそらくこの街で見たポケモンのなかで一番強いのがデルビルだろう。
デルビルはあく、ほのおで、特性にはもらいびがあったはず。
「レア、いけ!」
「ガゥ!」
「グルルル、グルァー!」
ん? 今のはもしかして技か?
「レア、かみくだくだ」
「ガゥ!」
「グァ!」
レアがかみくだくを当てるために近づこうとしたところに霧のようなものが放たれた。ええと、あれはスモッグか。マイナーすぎて分かりにくい。
「離れろ!」
間一髪で避けてスモッグが晴れたところを見計らい再度かみくだくをあてる。今度は上手くあたったが耐えられてしまう。
耐えきったデルビルはたいあたりで反撃してきた。たいあたりの割に威力が高くレアが足元まで飛ばされてくる。
「レア! 大丈夫か!?」
「ガゥ」
「よし、デルビルの手前にほのおのうず!」
デルビルとレアの間にほのおのうずを作り、視界を遮る。
「レア、あさのひざし」
視界が遮られてデルビルが動かない間にあさのひざしを使って回復をしておく。体力が回復し元気になったところで攻撃に移る。
「ほのおのうずを突っ切ってかみくだくだ!」
レアはほのおのうずに飛び込んでいく。俺からはほのおのうずがいまだに邪魔をして視界が遮られているがデルビルの驚いたような声と悲鳴が聞こえたので、レアは上手くやったようだ。
「ガゥ!」
「よくやったな!」
ほのおのうずが消えると、レアが駆け寄ってくる。その向こうにはデルビルは既にいなかった。多少苦戦したが無事勝利出来たので、うりうりと撫でまわしてやる。
嬉しそうに尻尾を振る姿はやっぱりかわいい。
「いったん家に帰ろうか」
「ガーウ」
バトルを終えて家へ帰る途中にステータスを確認したところレベルが11に上がっていた。
この調子でどんどんレベルを上げていきたいし、あるのか分からないがほのおのいしが欲しいところだ。
「あった」
アプリのショップにほのおのいしありました。五千マイルかよ……