ポケットモンスターJ   作:ユンク

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ポケモンバトル

 俺たちは今、市役所の中庭に出ている。

 

「いけ、レア!」

「ガゥ!」

「ズバッ!」

 

 やる気満々のレアに対峙するのはズバットだ。

 

「ほのおのうず!」

 

 ほのおのうずは正確にズバットを捉えて閉じ込めた。

 

「決めろ! かみくだく!!」

「グァ!」

 

 ほのおのうずにレアは突っ込むとズバットの翼を噛んだまま反対側からほのおのうずを抜け出してきた。

 

「ズバット戦闘不能! 勝者カイト!」

「やったな、レア!」

「ガゥ!」

 

 レアとハイタッチをすると、対戦相手に向き直る。

 

「全く敵わないですね」

「ズバットは空を飛ぶことが出来るアドバンテージがあるんですから、ほのおのうずに閉じ込められてしまってはダメですよ」

「なるほど、勉強になります」

 

 霧島さんはズバットをモンスターボールに戻し労わると、スマホを操作してポケットモンスターJのアプリにあるポケモンセンターに預ける。

 審判役兼撮影の大和さんと島風さんは今の様子をバッチリと撮っていた。

 

「カメッ! カメカメ!」

「スバッ」

 

 大和さんのゼニガメと島風さんのスバメは何やら興奮した様子で話し合っていた。

 霧島さんのポケモンたちは、俺が協力して捕まえたポケモンで、霧島さんのズバットと島風さんのスバメはレアとバトルして弱ったところをボールで捕まえた。

 大和さんのゼニガメは河原の石に躓いてこけていたところを優男全開で介抱。謎のコミュニケーション能力を発揮し、いつの間にか仲良くなっていて、ゲットしていた。こんなこともあるのかね。

 

「かめきち勝負したいのか?」

「カメカメ!」

「そうかそうか、海飛君、勝負してもらってもいいですか?」

「いいですよ」

「かめきち良かったな、勝負してくれるって」

「カメカメッ!」

「ははは、あんまり張り切ると空ぶるぞ」

「カメカメ、カメッ!」

「むっ、僕はちゃんと勉強したからね、指示はちゃんとだすよ」

 

 会話成立してるよ。この人たち。

 かめきちというネーミングセンスにはあまり触れないで上げて欲しい。

 

「あの、今度、どうやって会話しているのか教えて貰ってもいいですか?」

「気持ちですよ、気持ち」

「分かりました。いけ! レア!」

「ガァ!」

 

 気持ちなら、絆なら俺たちだって負けてないからな!

 

「行くよ、かめきち」

「カメッ!」

 

 霧島さんが審判の位置に着く。

 

「これよりノゾム対カイトの勝負を始める。……始め!」

「もえつきる!」

「アクアジェット!」

 

 炎と水がぶつかり合い水蒸気が生まれる。お互いの視界が遮られた中で指示を出さなければならない。

 

「レア、待機だ」

「かめきち! あわ! こうそくスピン!」

「なっ! 目の前にほのおのうず!」

 

 マジですか!? あわをこうそくスピンで飛ばしてきやがった。天才ってこういう人のことを言うんだろうな……

 こうそくスピンのお蔭で視界は晴れた。

 

「次はあてろ! ほのおのうず!」

「こうそくスピン!」

「ジャンプして上からフレアドライブだ!!」

「ガゥッ!!」

 

 こうそくスピンは直ぐに止まることが出来ない、そして横からぶつかれば弾かれるが真上から攻撃すればダメージは最小限で済み、地面に叩き付けることも出来る。

 

「カッ、カメ~」

「かめきち!」

「ゼニガメ戦闘不能! 勝者カイト!」

「あ、あっぶねー」

 

 初心者トレーナーに負けるところだった。これだから天才は……

 

「カメー、カメ!」

「かめきち?」

「この光って……」

 

 ポケモンの世界では見慣れた光景。そして、この世界ではまだ見られていない光景。

 

「カッメー!」

「おお! かめきち! でかくなったな!」

「このタイミングで進化なの? でも、こうそくスピン覚えるの進化レベルの後だった気がするな」

 

 カメールになったかめきちと大和さんは抱き合って喜んでいた。まさかの進化に霧島さんと島風さんも驚きを隠せないようだ。

 それもそうだ、今日、やっとレアの進化をお披露目する予定だったのだから。

 学者が進化を見たいと言ってから二日が経った今日、昨日には進化できたのだが、お披露目する関係上今日に取っておいたのだ。

 それまでの間、少し空いた時間を使ってズバット、スバメ、ゼニガメを捕まえたのが昨日の事。まさか一回バトルしただけで進化するとはな。

 

「今のが進化です。撮りました?」

「あぁ、なんとか撮れました」

「言ったとおりでしょう? 姿かたちが大きく、一瞬で変わるんです」

「神秘的と言いますか……」

「そうですね」

 

 実際、生で進化を見るのは俺も初めてなので興奮は隠せなかった。というか、通りで強かったわけだ。レベルじゃあ18レベルのレアと同じくらいじゃんか。

 

「かめきちのレベルって幾つなんです?」

「えっと、20レベルですね」

「たっか……」

 

 いきなり強いポケモンゲットしてるじゃないですか。しかもゲット方法が仲良くなったからというこれからの関係も心配ないくらいに理想的。これだから天才は……もうよそう。

 

「それで、バトル、することに何か意味があるんでしょうか? ポケモンが傷ついてしまいますし、この行為自体ポケモンの調査の名目で許可は貰っていますが決闘罪にあたります」

「もちろん意味はありますよ。ポケモンはどうして多彩な、強力な技を覚えると思いますか?」

 

 決闘罪なんて初めて聞いたが、許可は貰っているので問題ない。俺もポケモンが戦う意味なんて考えた事もなかったがバトル中のポケモンたちを見れば火を見るよりも明らかだ。

 

「分かりません」

「簡単ですよ。バトルするためです。ポケモンバトルはポケモンどうしのコミュニケーションであり、トレーナーとの絆を深める重要な役割を持っています」

「そんな事が、あるのでしょうか」

「えぇ、それにバトルした後のレアとかめきちを見てみてくださいよ、お互いを認め合ってる。ボクシングなんかの格闘技に似た物もあるのかもしれないです」

「なるほど、そのように報告しましょう。それに、ポケモンバトルはポケモンの強さや技の威力を知るのにいいツールになりますし、見ている方も白熱したバトルには燃えますからね。観光業にもなりそうです」

 

 ポケモンバトルの観光化、政府がそれを進めてくれるのなら願ってもない事だ。ポケモンバトルの大会が開かれれば、俺のポケモンマスターへの道も開ける!

 

 

 

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