月軍死すべし   作:生崎

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絡繰のいと

  色鮮やかな紅葉は作り物。山に流れる細川はただ柔らかなものでしかなく、景色は写真、生物は剥製、土の表面という脆いものに指を伸ばし、菫は指先に付いた茶色を擦る。指先に広がる茶色をつまらなそうに眺めたあと、手を振ってそれをこそぎ落とす。

 

「……幻想郷に来ても別に変わらんなぁ」

 

  人生とはなんであるか。偉い先生や、高名な学者が人生をあらゆるものに例えている。人生とは旅。人生とは物語。菫にとって例えるなら、人生とは劇である。喜劇でなく、悲劇でもない。それも終わりがなく、盛り上がりもなく、主演の菫以外頻繁に出演者が変わる。観客はおらず台本もない。演出家はおらず、もし監督がいたら即座にクビだ。菫が何をしても何も変わらず、永遠に人形劇は続いていく。

 

(つまらんわぁ)

 

  目で見れる。物も触れる。味も分かるし音も聞こえる。しかし、どうにも剥がれない離人感。何を食べても感動がない。音楽を聴いてもテンションは変わらず、何に触れても感触もない。自分は主演であり観客。いつも世界と自分の間に透明で分厚い壁がある。誰かに操られているんじゃないかというほど現実味がない。見えない糸が手足から伸びているんじゃないかという不安。操っているのは誰なのか。そんな存在はいないのだが、いてくれた方がまだマシだ。いれば少なくとも殴ることができる。

 

  現実味のない数百年が幻想郷に来れば変わるのではないかと、僅かに菫は期待していたが、別にそんなことはなかった。自然も、空気も外にいた時とそう変わらない。変わったのは、姿形の少し違う生物がいるくらい。妖怪だろうが、幻獣だろうが、神だろうが所詮形が違うだけ。結局また演者が変わっただけで、主演は変わらず。いつも通りだ。

 

「藤も櫟も、梓も菖も、楠も桐も、他のみんなはどうすんやろ」

 

  そんな菫にとってのいつも通りが、周りには全く違うらしい。終わりに向かって歩いている。これまで積み重ねた無意味を形にするために、平城十傑が歩んでいる。それを少し離れて眺めるのは菫ひとり。自分のありようと変わらない。終わりだ、夢だ、と口にするには、菫は長く生きすぎた。これまでいったいどれだけの平城十傑の当主たちと共にあったか。百人を超える当主たちのことを菫だけは覚えている。覚えているしかない。忘れることはできないから。

 

  岩倉は平城京の武器番であった一族だ。他の一族が技を磨く中、岩倉が邁進したのは己を武器とすること。それは武術のように、拳は金槌、蹴りは戦斧といった抽象的な意味ではなく文字通り。己の体を武器とする。そうすれば武器を手放し落としてしまう必要もない。だから骨肉を砕き、古い時代に使われていたヒヒイロカネと混ぜ溶かし、もう一度人の形に作り直す。記憶は頭の中のヒヒイロカネの液体金属に蓄音機のように刻まれ続け忘れてしまうこともない。そんな金属人形として完成したのが十二代目当主 岩倉 菫。平城十傑の中で誰より早く完成してしまったおかげで、誰よりも多くの無駄の中にいる。

 

「綺麗なんやけどねぇ」

 

  紅葉した妖怪の山は美しくはあるが、それだけ。生命の息吹は流れていても、それを感じることができない。一枚の写真、VRの世界を眺めているのと大差ない現実が、削れ過ぎて形を変えることもない菫の心を撫でていく。

 

  歳をとり過ぎるとどうも独り言が増えてしまうな、と頭を掻いて菫は指で削った地面を踏み付け足を進める。行き先なんて決めていない。漆と菫子の二人と一緒に幻想郷に来たはいいが、菫は全く共に行動する気はない。現代っ子二人と一緒に居てもただでさえ話は合わないだろうし、また、一人の方が菫は気に入っている。そもそも共演者がいなければ演者が変わることもないのだ。必要のない気遣いをしなくて済む方が楽でいいと歩く菫だったが、ガサリ、と近くの草むらが揺れ足を止めた。

 

  そちらに顔を向けた菫だったが、特におかしなものはない。ただ草木があるだけで、何もないように見える。が、その木の根元の落ち葉が二箇所不自然に凹んでいるのを目に留めると、くすくすと小さく笑みを零した。

 

「誰かは知らんけど、頭隠して尻隠さず、やね」

 

  揺れた木に向けて言葉を投げるが、特に返事は帰ってこない。見つかっていないと思っているのか。それとも言葉に詰まったのか。どちらでも菫は構わなかったが、知らず識らず不可視の観察者に張り付かれるのは面白くなかった。

 

  小さくため息を吐いて首元に手を置く。ガチリッ、という音に合わせて、菫の背中の制服がめくり上がり、背骨の両脇から長い鉄の筒が二つ、肩の上まで筒に繋がった腕が伸びてせり上がった。それと同じく背中から伸びるのは二つの鉄の爪。四つの凶器を背後で振るい、一歩草木に向けて足を出す。キリキリ唸る歯車の音が鳴き声のように森の中に木霊した。

 

「悪いけど、ぼくは月軍じゃなくても容赦せんよ? かぐや姫も月軍もあんまり興味なくてなあ。吹き飛びたいか、切り裂かれたいか。どっちでもええよ」

「ひゅい⁉︎」

 

  変な息の吸い込みをして、草木からずるりと少女が這い出て来た。空間から浮き上がってくるように、パチパチっ、と小さな紫電を周囲に振りまき出て来た少女に、菫は首をこてりと傾げる。出てき方が普通に隠れていた出方ではない。溶け込んでいた風景から突如出てきた少女は、宝くじのコイン削りで削り落とした銀紙のように浮かび出てきた。

 

  リュックサックを背負った青い髪の少女。河城にとりを見下ろして、背後の四つの凶器を肩を回すように菫は捩る。あわあわと口をふやけさせて尻餅をつくにとりの前に菫が屈めば、びくりと少女は両肩を跳ねさせた。そんな姿が可笑しく、菫は小さく笑ってしまう。

 

「待った待った! 外来人のお兄さん! 私悪い妖怪じゃないよ! 私は河童! 人間たちの盟友さ! ほら安全安心!」

「別になんも聞いてないんやけどね、そんな怖がらんでもええのに」

「いや……、だって外来人でしょ?」

 

  怯えた様子のにとりに、菫は困ったように肩を竦めた。外来人だからなんだと言うのか。所詮よそ者の人である。そんな菫の見識は正しい。外来人。幻想郷に来たならば、幻想郷のルールを無視して食べてしまっても構わない妖怪達の素敵なおやつ。振って湧いたご馳走。であったのだが、ここ数日でそんな外来人の意味は百八十度変わってしまった。

 

  曰く博麗の巫女の結界を斬った。曰く鬼と殴り合って引き分けた。曰く風よりも速く走り、曰く破壊すらその手に掴む。異変解決者に穴を穿ち、蓬莱人を殴り、盗みを働き、一度来た月軍を追い払ったと。

 

  控えめに言っても化け物である。人のくせに人の枠組みから大きく外れた例外がずらずら何人も。その誰もが背格好は似通っている。人里に貼られている手配書然り。若い男女で、学生服という服に身を包んだ者達。人相書きの出回っている椹や、菫子と同じような服を着ている菫はまさにこの今幻想郷に流れている情報に一致し、そしてなんかもう見た目からして色々とおかしい。陽の光によって地面に映し出された菫の影は、大きな蜘蛛のようにも見える。

 

「そ、それで外来人のお兄さんは……、あーっと、人間?」

「変なこと聞くなぁ、どう見たってせやろ」

「で、ですよねぇ」

 

  どう見たって化け物だよ! と思いつつも、にとりは確かに菫から人の匂いを感じた。ただしそれはごく僅か。錆び付いた血のような鉄の匂いに包まれて、ほんのちょっぴり香る程度。人とは姿形が違っていても、人であることに間違いもない。菫を観察し、恐れから少しずつ興味へと移り変わってゆくにとりの目の色を見て、菫は展開していた凶器を背中に納める。凶器さえ納めて仕舞えば、菫の見た目は外の世界のどこにでもいる学生に戻る。

 

「それで? ぼくになんか用なん?」

「あはは、いやぁ、用なんて別に」

「じゃあ今手ぇ伸ばしてるスイッチは押さなくてもええな」

「そりゃもちろん!」

 

  敵意のなさそうな顔のくせして目敏いな! とにとりは慌てて腰の後ろにぶら下げていた警報機から手を遠ざけ両手をあげた。相手は外来人。見た目が恐ろしくなくなったからといって、何をしでかすか分かったものではない。盛大に貧乏くじを引いてしまった今をにとりは恨む。

 

  ここ数日、急に降って湧いた問題ごとで妖怪の山はてんてこ舞いだ。外来人が来たと思えば、天狗を殴り、捕縛から脱走。月軍を名乗る一団に絡まれ、しかもどういうわけか鬼までやって来た。最初にやって来た外来人も未だ消息が掴めず、月軍にぶっ壊された家屋の修理などで、河童は馬車馬のように働かされている。勿論にとりも例外ではない。そんな中、外来人を見かけたら報告するようにと回覧板が回って来たが、どうせ会わないだろと、にとりが高を括っていた矢先でのこれである。

 

  鍵山雛に厄祓いでも頼もうかと思いつつ、だが、アーキテクトとしてのにとりの側面は、菫に興味を抱き目が離せなかった。これが他の平城十傑ならば話は違うのだが、菫の背中が気になってしょうがない。そんな恐怖と好奇心の混ざったにとりの顔に、菫はつまらなそうに首を傾げた。そんな顔を向けられたことも数多く慣れてしまった。

 

「そんなに見つめんで欲しいわ。ぼくはどっかの誰かと違ごうて女の子に見つめられても嬉しくないし」

「ああごめんよ。私は技術畑の妖怪でね。どうしても気になるんだ。お兄さんは発明家? それとも鍛冶屋とか?」

「ほー、妖怪なのに技術屋とは珍しいねえ。さっきの急に出て来たのも君の作品か?」

「そうなんだよ! 私特製光学迷彩スーツ! いいでしょ!」

「光学迷彩? そりゃまたえらいもんやね」

「でしょ!」

 

  相手が恐ろしかろうと、自慢の子を褒められて悪い気はしない。胸を張り、左腰のツマミをにとりが回せば、パチパチ音が鳴りにとりの姿が薄れていく。幻想郷の意外な技術力の高さに菫は素直に感心した。そんな菫に満足した顔をにとりは返す。

 

「それ空気中の水分つこうてるん? エレキテルで集めてそれで光を屈折させてるんやろ」

「お! お兄さん話せるくち? この凄さを分かってくれる奴があんまりいなくてさあ。折角作ってもそれじゃあね」

「まあ普段使わないような技術には目がいかんもんや。必要にならんとそれが凄かろうとな。で? 河童ちゃんは何してるん? わざわざ姿隠して、かくれんぼかいな。ハイレベルやね」

「ああいや、私はちょっと気晴らしに」

 

  誤魔化すように、にとりは頭を掻いた。あまり人に言えることではないから。外の世界のブラック企業なみにツンケンしている天狗に嫌気がさし、つい光学迷彩スーツまで使い任された仕事から脱走してしまった。

 

  月軍の武器の調査。妖怪の山に侵攻して来た偽月軍の所持していた武器の回収が済んだはいいが、どういう仕組みなのか天狗たちにはさっぱりであった。そこで手先の器用な河童たちのところまで流れて来たのだが、技術格差の壁はぶ厚い。いろんなところでたらい回され、結局流れ流れて河童の中でも一等おかしいものを作るにとりのところまで流れ着き、数日奮闘した結果、にとりは大きく両手を上げたというわけだ。

 

「気晴らしなあ」

「そういうお兄さんは? なにしてるのさ」

「ぼくぅ? さあなあ、何してんのやろ」

 

  幻想郷に来たのは、僅かな期待があったから。普通とは違う世界なら、普通にあらゆるものが鮮明になると期待して。だがそれも一刻も掛からず終わってしまった。何してるかと聞かれても、特に答えることもない。

 

「なにそれ、お兄さん幻想郷になにしに来たの?」

「うーん、観光?」

「なにそれ」

 

  あまりに気の抜けた菫の答えににとりも流石に呆れてしまう。

 

「外来人の人たちって月の神様と戦うために来たんじゃないの? 新聞にはそう書いてあったけど」

「ぼくはもう戦いなんて死ぬほどやったからなぁ。関ヶ原も世界大戦も。他のこともそうやし。河童ちゃんは戦う気なん?」

「いやぁ、私だってやだけどさ。家が火事になってなにもしないのもおかしいじゃん」

「そりゃそうや」

 

  敵の狙いは幻想郷。幻想郷に居る限り逃げ場はなく、幻想郷から逃げたところでいずれは戦うことになるかもしれない。笑う菫を訝しみにとりは頭を指で掻きながら、背中のリュックを背負い直した。最初こそ驚いたが、菫のやる気なさげな雰囲気に毒気が削がれていく。そうなると残るのはあまりある好奇心。にとりは薄く笑いながら、胸の前で緩く手を合わせた。

 

「お兄さんが悪い人じゃないってのは分かったからさ。さっきの背中の教えてよ。どういう作り?」

「どうもこうも、ぼくは全身が武器なんよ。ほれ」

 

  少女の疑問に、別にそのくらいなら黙る必要もないと菫が右手の指を鳴らせば、キリキリと小さな歯車の音と共に右肘から刃が伸びる。左足を踏み込めば踵から。武器を携帯しているのではなく体が武器。物騒な菫の体ににとりの口端が固まった。

 

「……体だけは戦う気満々だね」

「手放そうにも手足取らなあかんからね。不便やほんと」

「自分で作ったの?」

「半分はな。もう半分は先代や。こう河童ちゃんみたいなエネルギー装置でもあれば格好ええんやけど、無骨であかんわ」

 

  カラカラとなんでもないように笑う菫であるが、技術屋だからこそ、にとりはその凄まじさが分かる。カラクリなら当然にとりも嗜んでいる。有名なカラクリである茶運び人形や、弓曳童子を作ったのも一度や二度ではない。菫の体から聞こえる音から歯車の音と当たりはつくが、それにしたって菫の動きは滑らか過ぎた。生物と比べても遜色ない。

 

  半分は自分で作ったという菫の技術力に小さく頷き、にとりは笑みを浮かべたまま、パシリっと手を打つ。

 

「ねえお兄さんなにもしてなくて暇ならさ、ちょっと手伝ってくれない? お兄さんの腕をかって頼みたいことがあるんだけど」

「んー? ぼくに? 変な子やね。聞くだけ聞くけど」

「今月軍の武器の調査をお願いされててさ。分かんないからって渡されても私だって分からないし。お兄さんなら分かるかなって」

「月軍の武器? そらまた、面倒そうやね。なんで僕に頼むん?」

 

  菫の問いに、にとりは肩を竦める。なんでもなにもない。

 

「だってお兄さん平城十傑って外来人じゃないの? 今いる外来人てその人たちって話だし」

「まあそやけど、ぼくらそんな有名なん? 嫌やなぁ」

「いや、あんなに目立つことばっかやってて有名にならない方が変でしょ」

 

  それは自分は関係ないと菫は思うも、結局平城十傑である限り一括りにされてしまう。人ではない人、平城十傑。そう言うのなら自分が一番その呼称にはあっているかと渋々菫は納得する。だが、それでにとりに協力するかどうかはまた別の話。どうしようか一瞬考え、即座に断ろうと答えを弾き出して口を開こうとした瞬間、

 

  ビィィィィ‼︎

 

  と、にとりが腰に付けている機械の一つからけたたましい音が鳴った。何事かと目を丸くした菫がにとりに聞くよりも早く、にとりは慌てて音を発した機械を掴む。

 

「わ! わ! こちらにとり! 一体なに……はあ⁉︎ 間欠泉センターが大破⁉︎ 地下から吹っ飛んだってなにそれ⁉︎ 今? いやあ今はちょっと……えへへ、あ、ちょっと電波が! あぁあぁあぁ」

 

  そう尻すぼみに声を落としてにとりは通信機のスイッチを切る。何も言わずに立っている菫に愛想笑いを浮かべてにとりは顔を向けるが、次の瞬間にまた別の通信機が鳴り、「なんなの⁉︎」とにとりは乱暴にもう一つの通信機を掴んだ。

 

「はいはい! こちらにとり‼︎ え?……えっ⁉︎ 外来人が妖怪の山に出た! 鬼と一緒に⁉︎ 天魔様のところに向かってるって、いやそんなこと言われても!」

 

  通信機に叫び返すにとりの目が菫に向けられたが、菫は苦笑を返すことしかできない。また「電波がぁぁ‼︎」と叫びながらスイッチを切るにとりの腰の通信機がまたひとつ鳴り、腰から通信機を全て引っこ抜くと、にとりはそれを地面に叩きつけぶっ壊した。落ち葉の上に転がった機械は薄い白煙を上げてパチリッ、と火花を散らす。肩で呼吸をするにとりの肩に菫は優しく手を置いた。

 

「大変そうやね」

「いやお兄さんたちのせいでしょ⁉︎ なんで他人事⁉︎」

「いや、ぼくはなんもしてへんのやけど」

 

  がっくりと肩を落とすにとりだが、その肩はすぐに再び跳ね上がった。空気を揺らがす轟音が遠くから響いてくる。そして視界の上部を僅かに掠めて遥か上空を横切る閃光。その光を死んだ目でにとりは見つめながら、無気力に頭をがしがし掻く。

 

「なんなのこの急な世紀末状態は。月軍来る前に幻想郷滅ぶんじゃ……。あの光、太陽の畑の方から? またお兄さんの知り合い?」

「さてなぁ、ぼくに聞かれても。それで? 河童ちゃんはどうするん?」

「どうするって……」

 

  間欠泉センターにも妖怪の山にも他の場所にも行きたくはない。どこに行こうとろくなことがないことが分かってしまう。目の前にいる菫のことをちらちら眺めながら、ひとり頷く。

 

「平城十傑のお兄さんが一緒なら安全? やっぱり協力してくんない? こうなったらもう(ラボ)に引きこもろうかなって」

「ぼくぅ? なんで?」

「少なくとも今は妖怪と見れば退治してくる巫女や、盗み癖のある魔法使いくらいには頼りになりそうだからさ」

「それは……」

 

  なんとも業の深そうな者たちと並べられ、菫は言葉に詰まってしまう。お願いと、手を合わせてくるにとりに菫はため息を零し、どこも安全そうではない状況では、ついていった方がいいかと決めた。

 

「まあええか。協力しよ河童ちゃん」

「おっけー! よろしく、お兄さん。あと私は河童ちゃんじゃなくて河城にとりね」

「にとりちゃんな。ぼくは岩倉 菫や。ほなよろしく」

 

  にとりと菫は握手もそこそこにその場を離れた。妖怪の山から響いてくる轟音から逃げるように足を動かす。必要なのは戦いではない。まだ。




どうでもいい設定集①

十八歳 梓。 菖。 藤。

十七歳 楠。 桐。 椹。 櫟。 漆。

十六歳 梍。

骨董品 菫。

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