Fate/Drag Emperor ドラゴマ☆ゴセー 作:ギミ
side悟誠
アレから数日......。
士郎は学校を休み結界を破る術を探っている。
あの時助けて貰った神父の所に通う事も多いようだ......
結果はといえば...今の現状からみてわかる通り進展はない......。
オラが結界を破ろうといえば、それは猛反対される。
『気持ちはありがたいけど、兄さんに負担は掛けたくない...コレは俺に任せてくれ』
可愛い弟にそうまで言われてしまっては、オラも強くは出らんねぇ......。
はは...だからオラ、悟飯の時もアンナコトになっちまったんだろうな......
『────』
この世界に来てから、ドライグの声も聞こえてこなくなった......。
あるのは左手の赤い篭手だけ...今ではただの飾りだ。
「......ドライグ、もう...おめえはそこにはいねえんか? オラ、もうおめえと強くなることはできねえんかな...」
ふと、そんな呟きが漏れる......。
あちらにいた時からずっと共に戦ってきた相棒だ、こんな形で別れになるだなんて思いもしなかった......。
────また、オラに話し掛けてくれよ、強くなるために相談に乗ってくれよ...紅蓮の赤き龍帝────
オラのそんな思いも虚しく、篭手は何の反応も示さない......。
「......本当に、オラひとりになっちまったなぁ...」
アレだけ追いつきたかった父は死に、共に戦ってきた仲間たちや弟は殺された......。
オラ自身も最後は死んじまったけど、あん時に行ったあの世じゃなくてこっちに迷い込んだ......。
「って、何しょぼくれてんだオラは!! こんなんじゃ美遊を助けらんねえぞ!!」
頬を叩いて奮起する。
そうだ、気落ちなんてしていられない......。
オレは、孫悟空の...あの太陽のような男の代わりになると決めたんだ!!
例え世界が変わろうとそれは変わらない
そんなことをしていると、玄関が開く音がした。
「兄さん、ただいま......」
「お、お邪魔します......」
ふと、そんな声が聞こえ、玄関まで顔を出す。
「けえってきたんか士郎、あり? そっちの子は誰だ?」
「あぁ、兄さん。前に話しただろ? 桜だよ。桜、紹介するよ、こっちは俺の兄さん、
「この人が先輩の...はっ初めまして!! 私、間桐桜って言います!!」
桜...桜...えーと......。......あっ!!
「あぁっ...!! おめえが前言ってた部活の後輩かぁ!! おめえこんな可愛い後輩がいたんか? 士郎のくせにやるじゃねえかぁ!!」
「なっ...違うからな!?桜は別に...」
「か、可愛いだなんて...そんな......」
「桜...?」
ん...?案外コイツ士郎に気があったりするんか?
「はははっ、初めましてだな、オラ、
「いえ、私も先輩に良くしてもらっていますから!!」
いい子じゃねえか、士郎にもこんな子がいたんだなぁ......。
「ったく、俺ご飯作ってくるからな。兄さん、桜を居間に案内してやってくれ」
そうぶっきらぼうに言って士郎は奥へと歩いていった。
「仕方ねえなぁ...。桜、こっちだ」
「あ、はいっ!!」
仕方なく士郎の言葉に従いつつ、オラは少女を居間へと案内するのだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「わぁ...おいしそう...!!」
少女を案内して少し...。食卓に並んだ料理を見て少女が声を漏らす
「それにこんなに沢山...。やっぱり先輩は凄いです!! お料理の腕も
「そうだぞ!! 士郎の料理は世界一うめえんだ!!」
「やめてくれ、そんな大したもんじゃないぞ、ていうか兄さん、世界一は言いすぎだ、俺より料理の美味いやつはいくらでもいるだろ」
んな事ないと思うけどな......。
「...まさか先輩のおうちでごはんをご馳走になれるなんて、しかも、お話に聞いてたお兄さんにまで会えて......」
「その...悪いな、最近学校に行けてなくて......」
士郎がバツが悪そうに言う。
「いえ、そんな...!! 心配でしたけど...ご病気とかじゃなくて良かったです。ただ...」
ん...? ただ...?
「ひとりで弓を引いて、ひとりで下校するのは、ちょっとだけ...寂しかったです」
そう言って少女は寂しそうに微笑む。
「.........」
「士郎、おめえダメじゃねえか! こんな可愛い後輩にこんな顔させちゃぁ...男が廃るぞ」
「!! 兄さん!!」
「おっと、さーて、いっただっきまーす!!」
「ったく...」
その様子を少女は微笑ましいものでも見るように見守っていた。
◆◇◆◇◆sidechange◇◆◇◆◇
夕食も食べ終わり少しして......。
俺は桜を見送りに玄関先まで来ていた。
「もうだいぶ暗いけど...送っていかなくていいのか?」
「大丈夫です。今日は本当にありがとうございました。先輩のお料理、とっても美味しかったです」
桜が笑顔で頭を下げてくる。
「...ごめんな、まだしばらく学校には行けないと思うけど、桜さえ良かったらまた家に来てくれ」
「......嬉しいお誘いですけど、これが最後です」
そんな気を遣わなくてもいいんだけど......
「遠慮しなくていい。兄さんも喜ぶと思うし、俺も...その...桜が来てくれた方が......」
「最後なんです」
「私だって...本当は...もっと先輩と居たかった。学校に行って、部活をして、一緒に帰って、『また明日』って......」
「ただそれだけの事が私にとっては宝石でした」
「さく...ら...?」
何を...言って......
「でも、それももう終わり──」
「聖杯戦争が始まりました」
そう話す桜の手には一枚のカードが握られていた。
◆◇◆◇◆sidechange◇◆◇◆◇
おせえなぁ士郎のやつ、気配は玄関から動いてねえ見てえだし、送って行ってるっちゅうわけじゃねえみてえだし......
そんな事を思いながら、オラは使った皿を洗っていた時だった。
ガランッ!!ガランッ!!
んっ!? この音は士郎が作った敵を知らせるヤツだ!!
「お前は...誰だ!?」
慌てたような士郎の声も聞こえてくる......
オラは洗う手を止め、すぐさま玄関の方へと向かった
◆◇◆◇◆sidechange◇◆◇◆◇
「そうだよ、僕こそが間桐家の正式な後継者、名前は間桐...マトウ──」
「.................................なんだっけ?」
桜との話の最中に乱入してきたソイツのことを桜は『兄さん』と呼んだ......。
「まァいいか、とりあえずこいつら殺せば、何か思い出すさ」
狂ってる......
桜の兄を名乗るその男は紐を巻き付けた探検を鎖鎌のように振り回しながら近づいてくる。
「ひっ...」
桜から、悲鳴にも似た声が漏れる。
その直後、男は振り回していた紐の短剣を高速で投擲してきた。
「
桜が落とした傘を慌てて強化しようとするが、それよりも早く短剣が俺達に迫る......。
このままじゃ...!!
来るべき痛みを覚悟し、俺は固く目を瞑る。
......だが、いつまで経っても痛みは来ない。
不思議に思っていると、男の困惑したような声が聞こえてくる。
「なっ...なななっ...なんなんだよオマエェ...!!」
「あっ...あなたは...!!」
桜の驚いたような声も聞こえてきて、俺は目を開ける。
「......無事か?おめえたち」
そこには短剣を指先で受け止め男を睨み俺達の前に立ち塞がる兄さんの大きな背中だった