Fate/Drag Emperor ドラゴマ☆ゴセー 作:ギミ
sideイリヤ
《力そのものは別に悪いものじゃない...その力を使う本人がそれを決めるんだ》
悟誠くんの言っていた言葉を頭の中で反芻する。
「はぁ...」
湯船に浸かり小さくため息を吐く。
悟誠くんはそう言ってたけど、やっぱり怖い......
けど、少し落ち着いて考えるようにはなった。
「使う人によって変わる...かぁ」
「イ」
「リ 」
「ヤ」
「ちゃーん!」
え?こ、この声は...まさか.....!?
「お ひ さぁ~!!」
ちょっ...ちょちょちょっ...!?
「マ、ママ!?」
「うん!ただいまイリヤ♪」
なんでいるの!? 仕事は!?
「あら何これ?お風呂でおもちゃ?イリヤもまだまだ子供ねー」
「い、いやーそれほどでも...」
物に擬態してるルビーを持って言うママ
く、屈辱だけどバレるわけにはいかないし......
「長旅で疲れちゃったわー...ひさびさに一緒に入りましょうか」
・・・へ?
「ええっ...ちょっとママ!?」
「ほら、つめてつめて」
「ちょっ...」
ちょっ...私の話聞いてぇぇぇぇぇ!!!
◇◆◇◆◇◆
「はぁ~...やっぱりお風呂は落ち着くわねぇ...」
「......」
結局、私の抵抗むなしくママと一緒に入ることになってしまった。
「ず、ずいぶん急な帰宅だね、ママ...」
「んんー?私が急に帰ってきたら何かまずいことでもあるのかにゃー?」
「いやぁ...別に...」
いきなりすぎて驚いたってだけだし......
「ま、一時帰国よ。仕事が一段落ついたから私だけ帰ってきたの
「そ、そうなんだ...」
お父さんは帰ってきてないんだ......。
「だから今はこうしてつかの間のスキンシップを......」
大きくなった?などと言いながら私の胸を触ってくるママ。
というか、いくらママでも
「ちょーっと過剰じゃないかな?これ......」
「何言ってるのよ、いいじゃないママなんだから♪」
そういうことじゃないってば!!
そんなことは気にせずママは続ける。
「ねぇ、留守の間なにか変わったことあった?」
変わったこと?
「えっ?ううん、別に...」
あ、いや、一つあったかな?
「またまたー!あったでしょ?すっごーく変わったことが二つも!」
「えっ...ええっ!?えっと...」
「ほら、いつの間に増えてたもう一人の子よ」
もう一人の子って......
「悟誠くんのこと?」
「そうそう!ゴセイくん!元気そうな良い子だったわねー」
「う、うん...」
嬉しそうに話すママだけど私は少し暗くなる。
悟誠くんは気にして無さそうだったけど、私は悟誠くんを傷つけちゃったんだ......
守ろうとしたその手で......
「ねえイリヤ、私思ってるんだけど、ゴセイくんを家で引き取ろうと思うの」
「....え?」
え?ママ、今何て言ったの?
悟誠くんを家で引き取る?ということは悟誠くんがウチの家族になるってこと...だよね
「あの子には家族が必要なのよ、そうじゃないといつか壊れてしまうわ」
「ママ...」
そう話すママはとても真剣な顔をしてた。
「だから、今日からあの子は家の一員よ、イリヤも仲良くしてあげてね」
「う、うん...」
あんなことがあった後なのに、仲良くできるのかな......
そんな私の心配を他所にママはそれより!と続ける
「二つ目の変わったことだけど、アレよアレ!ほら、ウチの目の前に建った豪邸!」
あ...そっち?
一瞬魔法少女のことがバレたかと思ってドキッとしちゃった......
「ちょっと見なかったうちにあんなのが建っちゃうなんてねー!一瞬帰り道間違えちゃったかと思ったわ」
景観変わりすぎーと笑っているママ。
「あはは...」
アレは確かに驚かないわけないよね......
「セラから聞いたけど、イリヤのクラスメイトが住んでるんですってね」
「――...」
うっ...その話か......
「なんていう子なの?」
「ミ......ミユ...」
「ミユちゃんかー、転校生なんだよね、友達にはなれた?」
「.........うん」
なれた...のかな?
「ね、どんな子?」
「どんな...って...えっと...ミユは――」
どうしよう、どう言ったらいいのかな?
「ミユは――なんていうか、静かな子...。必要なことしか喋らないし...て言うか、喋ることにあんまり慣れてないのかも」
「ふーん」
「あっでも運動も勉強もすっごいんだよ!」
まあ、運動に関しては悟誠くんの右に出る人はいないと思うけど
「なんでも出来る子なのね」
ママの言う通りだ......
「うん、なんでも出来る...ミユはね、なんでも一人でやろうとするんだ」
きっと今は悟誠くんと一緒に戦ってるんだろうな......
今も戦ってるだろうミユ達を思い浮かべる。
「みんなでやろうと決めたことから私が逃げた時も...全然責めなかった」
ミユどころか、悟誠くんは私にあんな話までしてくれた。
きっと、私のことを心配してだったんだと思う......
「最初からそうだった...最初からミユは私のことなんてアテにしてなかった。一人でやるのが当たり前......そういう顔してた...」
悟誠くんが来てからは少しだけ変わったみたいだったけど、それでも......
「ミユ達はすごいよ、ミユ達ならきっと...私がいなくても大丈夫...」
そうだ...きっとそうだ、私の力なんてなくても、ミユは強い、悟誠くんだって、物凄く強い。
私なんかがいたらきっと足を引っ張るだけだから......
「本当にそう思う?」
「えっ...?」
「だってあなた、全然
うっ...け、けど......
「ほんとは心配でしょうがないんでしょ?」
「それは...」
そんなことしたって......
「それなら手伝ってあげればいいだけじゃない、どうしてそうしないの?そんなに――」
「自分の力が怖い?」
えっ...どうしてママがそのことを?
「マ...ママ...?今なんて...」
「...鍵が開いちゃってるわね、10年間も溜めてた魔力がほとんど空だわ、随分盛大に使っちゃったのね...こんなに早く解けるとは思ってなかった」
「なにを...言ってるの...ママ...?」
分かんないよ...なにを言ってるの...ママ?
「きっと驚いたわよね、今までの
間違いない...ママはこの力についてなにか知ってるんだ。
「ママ...知ってるの...?」
「だったら教えて!あの力はなに!何なの!?なんで私があんな......」
「............」
急に静かになった、何か教えてほしい...
しかし出てきた言葉は......
「さぁ?」
そう言ってとぼけておちゃらけたママの顔だった
「ちょっ...!?!?」
えっ!ここまでいっておいて!?!?
「あ、あからさまにすっとぼけないでよママ!」
「えーと、ほらアレよ、[それは自分で気づかねば意味がないのだ...]とか[今はまだその時ではない...]みたいなっ!」
「なにそれー!?」
そんなので納得できるわけ!?
「あーもー!反論禁止!!」
「DVッ!?」
いきなりチョップが飛んできた!イタイよ!?
「とにかく!私が言えることはひとつ」
「
「いや、えっと...悟誠くんにも同じこと言われたなーって...」
「えーっ!先に言われてたの...ちょっとショック......」
落ち込むように肩を落とすママだったけど、すぐに気を取り直して口を開いた。
「まあ、何はともあれ、あなたにはそのまま前に進んでほしい」
「進むって...?」
そう聞くとママは少し困ったように笑って
「逃げ出したんでしょ?」
「みんなでやらなきゃいけないことからあなただけ逃げたんでしょ?ミユちゃん達...だったかしら?」
「あなたにとってその子達は...どんな存在なの?」
そんなの、そんなの...決まってる!
「ミユは...ミユ達は...」
「友達!!」
そうだよ、友達が戦ってるのに私はこんなことしてて......
こうしちゃいられない!すぐに二人を助けにいかなくちゃ!!
「ママ!ありがとう!!私先に出るね!!」
それだけ言って私はお風呂から上がった。
待っていて!ミユ、悟誠くん!すぐに助けに向かうから!
決意を胸に、私は二人が戦っている現場に走るのだった