Fate/Drag Emperor ドラゴマ☆ゴセー   作:ギミ

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おまたせ致しました......。


イリヤちゃん、分裂です!

side遠坂

 

 

最後のクラスカード、バーサーカーとの戦闘から一ヶ月。

 

私達は大師父へと連絡を取っていた。

 

 

「―――――ええ...はい......え?地脈の正常化...ですか?」

 

 

『そうじゃ、地脈を乱しておった原因のカードはお前たちによって回収されたが...。あれから既に二週間余り...』

 

『いまだに回復には至っておらんのじゃろう?』

 

 

「はい...」

 

「虚数域への穿孔は閉じたので自然回復するはずですが...」

 

 

『そうならんということは狭窄しているか、栓ができたか...あるいはその両方じゃ』

 

更に大師父は続ける。その内容は予想外のものだった。

 

『龍穴から高圧縮魔力を注入し地脈を拡張しろ』

 

その言葉に私達は驚愕を隠せない。

 

 

「ちょ、ちょっと待ってください!そんなの数十人規模で編成する大儀式じゃないですか!二人でどうしろって...『何を寝ぼけておる。 お前達には ステッキを貸しておるじゃろう』」

 

ビックゥッ!!

 

思わず肩が跳ね上がった。その肝心のステッキはイリヤと美遊が持っているのだから

 

 

「え?えー...?あー........ハイ...」

 

 

『アレ にはろくでもない精霊がついとるが無限の魔力供給が可能な特殊魔術礼装じゃ』

 

『 とにかくそれで魔力を地脈に打ち込めば良い、できるな?』

 

 

「え...ええー!出来ますとも!」

 

 

『 念を押しておくが......』

 

『 ステッキは使い方を誤れば極めて危険な兵器と化す。厳重に管理し、誰の目にも触れさせぬのが好ましい。ましてや一般人を巻き込むなど言語道断じゃぞ』

 

その言葉に頬が引き攣るのを感じた。

 

 

「なっ...な――にを仰るんですか大師父ー!!あああ当たり前じゃないですか!わかっていますよー!」

 

「 どーんとお任せ下さいあははははー!!」

 

そんなやり取りをしたあと通話を切ると......。

 

 

「......あの三人を迎えに行くわよ」

 

それだけを交わし、私達はおもむろにルヴィアの運転手が運転する車に乗り込むのであった。

 

その数分後、歳上でありながら後輩にシバかれるなど思いもせずに......

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆sidechange◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

いきなり車内に連れ込まれた俺は有無を言わさず連れ込んだ張本人達をシバいていた。

 

二人の頭には大きなたんこぶが一個ずつ出来ている。

 

 

「ったく...。今日はこのくらいにしといてやるけど、次はないからな?」

 

 

「ハイ...スミマセンデシタ(わ)...」

 

たんこぶを擦りながら謝る二人。

 

コレ、下手すりゃ誘拐の容疑で捕まるからな...ホントに気をつけさせねえと

 

 

「それで、俺達を拉致した理由は?」

 

 

「痛たぁ...えぇ、急で悪いけど、任務(しごと)よ」

 

あぁ、まあそうだろうなとは思ってたよ。

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

「うーん...結局のところ...こういう権力関係は変わってないわけね」 

 

 

『イリヤさんも(りん)さんの言うことなんて聞かなくていいんですよー?』

 

 

ルビー(あんた)が私の言うこと聞けば全部解決するのよ!」

 

 

「あはは...」

 

そんな簡単なもんじゃない気もするけどな......ん?

 

 

「おーい、二人ともそれ以上先に行ったら......」

 

ズボボォッ!!

 

言いかけた直後、二人が盛大に縮んでいく。

 

 

底なし沼だ―――!!!

 

 

 

「なんでこんなところに致死製のトラップが―――!?」

 

「沈むっ!しずむーっ!」

 

 

「だっ大丈夫ですかルヴィアさん!」

 

 

「あだだだだ!?なんで髪を引っ張るんですの美遊(ミユ)―――ッ!!?」

 

ズブズブと底なし沼に沈んでいくのを必死に藻搔く遠坂と、美遊ちゃんに自慢の縦ロールを掴まれ、引っ張られているルヴィアを見守る。

 

おおー凄い速さで沈むしずむ...

 

 

「そんなとこで見てないでさっさと助けろアホ―――ッ!!」 

 

「悟誠くんも見てないで手伝って――!!!!」

 

あ、やっぱそこに気づいちまったか、仕方ねえなぁ......。

 

仕方なく俺は二人の救出を決行したのだった。

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

二人を底なし沼から救出して少し進んだところ......。

 

俺達はとある洞穴の中へとやって来ていた。

 

 

「わぁ...すごい大空洞...こんなところがあったんだ」

 

 

「ホントデカイな...。ここまでのものには中々お目にかかれねえんじゃね?」

 

感心したように空洞を見渡すイリヤちゃんと俺。

 

 

「道中危うく死にかけたけどね...」

 

『開始早々おマヌケなデッドエンドでしたねー』

 

 

「うぅ...(ワタクシ)の縦ロールがゆるふわカールに.....」

 

『愛され系ですね』

 

 

「すみません...」

 

各々が書く感想を述べている。まあルヴィアに関してはよく似合ってると思うけど......

 

 

「それも別にいいんじゃねえの?それはそれでよく似合ってるぜ?」

 

 

「なっ...」

 

いや、そんなので顔真っ赤にされてもな......

 

おっぱいは大きいけど、下手に手を出したら18号に夢で殺されそうだし......

 

って、イリヤちゃんに美遊ちゃん?どうしてそんな顔で俺を見るの?やめろ!脛を両側から蹴らないでくれ!!

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

「やれやれ...ちゃっちゃと終わらせて帰るわよ」

 

ようやく落ち着いた凛が持参した大荷物から長い棒のようなナニかを取り出した。

 

驚くイリヤちゃんを他所に、凛はナニかを振りかぶる。

 

「よい...しょっと」

 

ドンッと音を立て、ナニかを地面に突き立てると、ルヴィアと凛はそれを中心に魔法陣のようなものを描き始める。

 

やがてナニかを中心に描かれた魔法陣をみて、凛が口を開いた。

 

 

「よし、地雷針設置完了、さあ、イリヤ、美遊。頼むわよ」

 

 

「「はい!」」

 

二人がナニかを中心に互いに向き合うようにステッキを構え、魔力の注入を開始する。

 

 

「充填率20......40......」

 

ルヴィアが魔力充填率を口頭で教えてくれる。

 

意外と早いんだな、もっと時間が掛かるものと思ってたんだが......

 

 

「いけるわ...出力そのまま維持!」

 

凛の言葉通りに二人が出力を維持したまま充填を進めていく。

 

 

「60......75......90......100......!110......!115......!120!!」

 

「Öffnen!!」

 

(ズドンッ!!)

 

魔力のエネルギーがナニかを伝って地面へと流れ込んでいく。

 

暫くの間地鳴りがしていたが、やがて収まり、辺りは静けさを取り戻した。

 

 

「えっと...これで終わりなのか?」

 

 

「ふぅ...一応はね。効果のほどは又改めて観測しなきゃいけないけど...」

 

へぇ、こんなもんで終わりなのか。

 

これ、俺いる意味あった?

 

 

「作業は終了、早く帰りますわよ。こんな血の底、長居するものでは...」

 

と、ルヴィアが言いかけた時だった。

 

ふと、地底深くから莫大な気が競り上がってくるのが察知した。

 

 

「――!!ちょっと待って、これは .....!」

 

凜の言葉の直後、ナニかを指した地面の根元が割れ、エネルギーの本流が溢れ出した。

 

 

「きゃあっ!?」

 

 

「くっ...!!」

 

 

「危ねえ!二人とも!!」

 

瞬時にち地を蹴り二人を抱きかかえ少し離れたところに置く。

 

 

「ちょっ...!?悟誠くん!!一体どこ触って―――!!?」

 

今はそれどこじゃないからイリヤちゃん!!

 

イリヤちゃんに返事をせずに、降ろすとすぐに凜達を助けるために走り出す。

 

 

「ノックバック!?うそ...出力は十分だったはずよ!?」

 

 

「まずい...来ますわ!!」

 

 

「「逆流............ッ!!」」

 

先程までより強い勢いで溢れ出したエネルギーの奔流が大空洞を覆うほど噴き出した。

 

その勢いに巻き込まれた岩が凜達のところに降ってきていた。

 

マズイ!!このままじゃ二人が巻き添えに!!!!

 

そんな時だった。俺よりも早くその前に現れる影が...。イリヤちゃんだ。

 

イリヤちゃんは遠坂のスカートのポケットからカードを抜き取ると自然な動きでその呪文を唱え出した。

 

 

「クラスカード『アーチャー』夢幻召喚(インストール)!!!」

 

先程のフリフリ衣装から露出度の高い衣服へと着替えたイリヤちゃんが片手に魔力を集めナニカを出現させる。

 

うほっ、期待出来そうな良いおっぱいだ!

 

 

『そんなときでは無いだろう相棒...』

 

ドライグの呆れ声を聞きつつ俺はイリヤちゃんが何をするのか興味深げに観察する。

 

片手に光の盾を出したイリヤちゃんは飛来してくる岩を押し留めていた。

 

けど、どこか様子がおかしい...。不審に思って見ているとイリヤちゃんが急にグラついた。

 

その拍子に光の盾が消え、押し留めていた岩が降ってきていた。

 

ッ!マズイ!!あのままじゃイリヤちゃん達が!!

 

 

「仕方ねえ!!ハアアァァァァッ!!」

 

一気に超サイヤ人2になり、飛来する岩を殴り、蹴り飛ばしていく。だが、数が多い......。

 

 

「くっ...波ああァァァァアアアッッ!!」

 

気を一気に高め、薙ぎ払うようにエネルギー波を撃ち放つ。

 

エネルギー波は岩を消し飛ばし、砂煙を巻き起こす。

 

舞い上がった砂煙は俺達全員を包み込んだ......。

 

やがて煙が収まると、そこには......

 

 

「ふぅ、大丈夫か?イリ...ヤ...ちゃ...ん?」

 

そこには先程の褐色肌のイリヤちゃんと、いつものフリフリ魔法少女衣装のイリヤちゃんがいるのだった。

 

 

「え...いったい何が?え?分身...?」

 

 

「.........ッ!!」

 

 

「はぁ...!?何それ!?」

 

 

「これは...どういう...」

 

これに一番驚いたのはイリヤちゃん自身だろう。

 

この日を境に彼女は......。

 

 

「「え...............??」」

 

二人になってしまったのだから......。


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