Fate/Drag Emperor ドラゴマ☆ゴセー 作:ギミ
sideイリヤ
[今日の運勢最下位は......ごめんなさい、かに座のあなた!]
[何をやってもうまくいかないかも?用事がなければなるべく家から出ないほうが吉!ラッキーカラーは
「うむむむむ.........」
私、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンは、歯を磨きながら、テレビから流れてくる占い番組に納得のいかない感情を抱いていた。
大空洞の一件から翌日のこと......。
私達は何事もなく再び日常を送っていた。
「コラッゴセイさん!朝起きたらちゃんと歯を磨きなさい!」
「えぇ...面倒いからいいじゃねえかそんなのさぁ」
「ダメです!!歯を磨かなければ朝食は抜きです!」
「うげっ...わ、分かったよ...」
そんな悟誠くんとセラのやり取りが廊下から聞こえてくる。
あはは、悟誠くんもよく怒られてるなぁ...
そんなことを考えつつ、私は学校に行くための準備をし始めるのだった。
◆◇◆sidechange◇◆◇
セラに怒られ渋々歯を磨き、最早諦めにも似た境地で、俺は学校へと向かっていた。
「なんて言うかさー...聞いてもいないのに朝から[あなたは最下位です]とか失礼すぎない?」
『そもそも運勢に順位付けてる時点でアレなんですがー』
「あぁ、そういやイリヤちゃんの星座、最下位だったもんなぁ」
こういうとこはまだ小学生だよな...あんなテレビの運勢にもここまで不機嫌になるんだから
「失礼過ぎるよね!そう言えば悟誠くんはどうだった?」
俺の方が気になるのかイリヤちゃんが問い掛けてくる。
「俺か?俺は末吉だったよ、周りの事に気をつけろって書いてあったかな」
「むぅ...私より良いじゃん」
その言葉に更に期限を悪くしたのかその頬を膨らませる。
その様子に俺は苦笑するしかない.......
『微笑ましくもイチャイチャなやり取りしてるところ悪いのですがー...お二人とも少し私の話を聞いてくださいませんかー?』
そんな少し不貞腐れたような、それでいてからかっているような様子のろくでなしステッキ『ルビー』の声に俺は意識を向ける。
「っとと、悪い悪い...。それとなルビー、俺は別にイチャイチャなんかしちゃいないからな?」
ここだけはキッチリ否定しとかねえとマズイからな...
『今の身長は大して変わらんのだから問題ないだろう?』
いやいやドライグ、そういう問題じゃねえだろ!?
『またまたご冗談をー♪と、話を戻しますと、さっきの占いなんて信じなくてもいいんですよ!お二人にはもっといい神託を授けましょう!』
・・・・・よし
「さあイリヤちゃん、遅くなる前にさっさと行こうぜ」
「うん、そうね...」
こうなった時のルビーは大抵禄な事をしないんだ。
そうなる前に逃げるのみ!!
『あっ!待ってくださいよー!せめて私のシークレットデバイス♯18『簡易未来事象予報』を見てくれないとー!』
後ろから声が聞こえてくるが無視だ無視!
そうして歩き続けていると、またルビーの声が聞こえてきた。
『もう仕方ありませんねー、とにかく始めますよー!まず一つ目!デデンッ!』
いやデデンじゃねえよ!!
『えーと、どれどれ?『頭上注意』』
「うごっ!!」
直後、俺の頭に凄い衝撃を受けた。
下を見れば人の頭ほどもある植木鉢が割れている。
「『.........』」
そんな俺の様子を呆然と見つめるイリヤちゃんとルビー。
たっぷり数秒、放心していたであろうイリヤちゃんが唐突に慌てふためきだす。
「ちょっ...!ごごご悟誠くんだだだだ大丈夫!!?」
「ん?何言ってんだイリヤちゃん。俺なら大丈...」
そこまで言いかけたところで視界が赤く染まる。
「あれ...?」
「いや!!それどう見ても大丈夫じゃないよね!?どう見ても重症じゃない!?というかこの植木鉢!?どこから落ちてきたの!?」
『むむむ......?これはいわゆるファフロッキーズ現象?』
なんだ?そのファプロズッキーニって......
「やめてよルビー!なんか怖い!またイタズラ仕込んでんじゃないのー!?」
『いえいえまさかー!あ、次の予報出ましたよー』
いや、そんなことより俺を引っ張り回さないでくれないか?イリヤちゃん......?
『えーと?『飛び出し注意』』
ズゴッッ!!
「ぐっおぉ.....ッ!!」
今度は全身に汲まなく鋭い衝撃が俺を襲った。
痛む身体を動かして、そちらを見ると俺にダンプが追突していた。
強いて言うなら無人だったのが救いだろうか......。
「ごっ悟誠くん〜〜〜〜ッッ!!!?」
「は、はは...悪い、イリヤちゃん...ちょっと寝る...わ」
もう俺にはそこまで意識を保っている事が出来ず、その場で意識を手放した。
◇◆◇◆sidechange◇◆◇◆
「ちょっ...悟誠くん!!寝ちゃ駄目だよ!!起きてってば!!」
全身を血塗れにした悟誠くんはその場に崩折れるように倒れ込む。
これは放っておいたら死ぬ...そんなのは素人である私にもすぐに分かった。
早く病院に連れて行かないと...けど、どうしたら......
けど、無理に動かすわけにもいかないし.......
「うぅ...こんな時どうしたら......」
パニックで頭が混乱しかけている。そんな時だった。
「ぐっ...あぁ...アァ?うるせえな、ちったあ静かに出来ねえのか?」
そこには先程気絶したはずの血塗れの悟誠くんが立っているのだった。
◇◆◇◆sidechange◇◆◇◆
生まれ変わりの意識が眠りに付いちまったから、仕方なく出てきてやったら護衛の娘がオレを見てやがった。
「おい、何見てんだオマエ」
「へ?え?え?ご、悟誠...くん?」
いきなり変わった事でパニクってやがるか、まあいい、今は好都合だ。
「チッ...突っ立ってねえでさっさと行くぞ、来ねえなら置いていく」
放心してる娘を無視して歩き出す。
チッ...流石に痛みやがる...まあそこまで酷いというわけでもなさそうだ、どっかで寝てりゃ治んだろ
「ちょ、ちょっと待ってよー!!」
ようやく我に返ったらしい娘が後を追ってくる。
さて、さっさと着きてえとこだが......
『どうやら悟誠さんは大丈夫そうですねー、あ、次の予報です『猛犬注意』』
「は?...なっなにっ...!?」
訳のわからん言葉に呆れて振り返ると、そこには言葉通りの暴れ狂う犬どもの姿が......
「おい!逃げんぞ!!」
「言われなくてもー!!!」
即座に猛ダッシュを開始するオレと娘の二人。
奴らは走り出したオレ達をギャンギャンと吠え立てて追いかけ回してきやがった。
クソッタレが...こんな状態でもなきゃ、こんな奴ら一捻りだってのによ!
「おかしくない!?おかしくない!?だいたいさっきからなんで注意法ばっかり......っ!!」
『まあコレそういうもんですしー』
「んなこと言ってねえでさっさと走れグズ!!」
「酷い!!悟誠くん今日はいつにも増して酷くない!!?」
そんなやり取りをしつつも、その後も謎の警報は続き...ガッコウとやらに着いたときには......
「ミ......ミユ......」
「よぉ......青い方の娘......」
青い方の娘がオレ達に気づいて驚の声を上げる。
「おはよう...そして...「グッバイ」」
最後のところだけ娘とハモる声を聞きながら、俺の意識は深い闇の中へと落ちていった。