Fate/Drag Emperor ドラゴマ☆ゴセー 作:ギミ
犯人出ません...
side切嗣(ナレーション)
「たいしたことないわ。全身打撲
つまらないわね...。次来るときは、半死半生の怪我をしてきなさい」
「いや仮にもそれが動けない男子生徒に言うことか!?!?」
私立穂郡原学園 小等部の保健室にて、保健医、カレン・オルテンシアの言葉に見た目は子供、中身は大人の孫悟誠はツッコんでいた。
「その怪我の割にはタフね...。なんとも診察し甲斐のない子...」
「丈夫って言ってくれません!!!?というか、タフなのはいい事なんじゃ...それにしても無いおっぱいだなぁ...」
刹那、ナイフが悟誠の頬スレスレを飛んで行った。
「言うのは勝手だけれど、次は首から上が飛ぶと思いなさい...」
「あ、あははは......」
乾いた笑いしか返せない悟誠を見て、カレンはカーテンを閉めるとどこかへ行ってしまった。
「こっわぁ...危うく首から上がオサラバするとこだった...」
「いや、あんなこと言えば誰だって怒ると思うよ?」
「うん、こればかりはイリヤに賛同する...」
冷や汗をかく悟誠に我が娘、イリヤと美遊がジト目で答える。
「いやぁ...ははは...つい...な...」
これには悟誠も苦笑するしかない......
「......けど、悟誠、身体は大丈夫なの?」
「そうだよ、ルビーの予報にことごとく被害にあってたのって悟誠くんだもんね」
美遊の問いにイリヤも乗っかり問いかけてくる。
「平気平気!こんなんでも鍛えてるんだぜ?」
「そう?なら、いいんだけど...。けど、無理はしないで...?」
「お、おう...気をつけます...」
心配そうな美遊の言葉には流石の悟誠くんも頷かざるを得ないらしい。
「身体...といえばイリヤの方は大丈夫なの?」
「え?うん。私は特に怪我とかはしてないかな」
「ううん...そっちじゃなくて......昨日のこと、あれから体調に変化はない?」
「え?あー......」
唐突な問いに気の抜けた返事を返すイリヤ。
思い返すのは昨日起きたイリヤ分裂事件......。
「なんだったのかねぇ、あれ...幻覚とかじゃないよね?」
「現時点ではちょっと判断できない...。姿はイリヤそのものだったけど...中身はなんなのか...」
「ホント不思議だよな、感じられる気もイリヤに酷似してたし」
最後の悟誠の言葉に、そうなんだ...。と、2人が納得する。
「呆然もしてるうちにダッシュで逃げちゃったしねぇ...」
『逃げ足の速さだけはイリヤさんそっくりでしたね』
「ちょっちょっとルビー!」
そんな会話の最中でさえもカレイドステッキのルビーは茶々を入れてくる。
「はは、それに気になることもある...」
「...?何かあった?」
「あぁ、あの黒イリヤちゃんが逃げてった時、一瞬だけ目が合った気がしたんだ」
「あの速度で逃げる子を捉えきれてたの悟誠くん!?というかそれホントなの!!?」
「あっがぐっがぁ...い、イリヤちゃん揺らすな...俺ケガ人...」
「イリヤ落ち着いて...。それより、何か心当たりはない?あの黒いイリヤの...」
「んー...ないない。あるわけないよー」
「そう...」
そこで話が途切れる。そのタイミングを知ってか知らずかまたもルビーが口を挟む。
『まーなんにせよ、早くなんとかすべきですねー。正体がどうあれ、イリヤさんとまったく同じ顔のコスプレ少女が野に解き放たれた訳ですから』
「ほんとだよ!誰かに見られたらぜったい誤解されるー!」
「そうか?別にいいんじゃないか?イリヤちゃんなら何着ても似合いそうだけど」
「〜〜ッ!!///そういうことじゃないんだよぉ!!」
「あがぐげがぁ...ッ!!ゆ、揺らすなぁ〜...」
悟誠の言葉に再び悟誠をガクガクと揺らすイリヤ。
「ねぇ、いっそ探索願いとか...!」
イリヤがパッとその手を離して悟誠がベッドに倒れたその時だった。
(ドゴッギュルルルルルルッ)
「うがげっ...あっちゃちゃちゃぁっ!!」
窓を突き破り飛んできたサッカーボールが悟誠の顔面に激突した。
「............」
「............... 」
「...っだぁ!死ぬだろが!!」
「いや死ぬよね普通!!!!!?」
イリヤちゃんのツッコミの直後......。
(パアンッ)
「......(ビクッ)」
「.........(ビックゥッ)」
悟誠の顔面に飛んできた紙がクリーンヒットする。
「ご、悟誠くん...?」
「ご、悟誠...?」
「......
悟誠くん...せめて顔の紙は取ってから話さないかい...?