Fate/Drag Emperor ドラゴマ☆ゴセー   作:ギミ

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三話目です…


魔法少女と龍の帝王

side悟誠

 

 

「んぎぎぎぎっ...!こっ...んなもん...ッッ!!だあぁっ!!」

 

受け止めていた巨大なエネルギー弾を気合いと腕力で握りつぶすと、俺は背後で呆然としている少女に向けて叫ぶ。

 

 

「何してる!早くここから撤退しろ!!ここは俺が食い止めておくから!」

 

 

「ぇ...ぁ...でも...」

 

 

「アイツはお前たちが相手できるような奴じゃねえ!!早くこの場から逃げろ!!」

 

 

「ッ!は、はいっ!」

 

尚も動こうとしないその少女に、怒号を飛ばす。

 

そこまで言ってようやく自身の現状を理解したのか少女は後方にいる仲間と思しき奴等の元へ走っていくとそいつら共々消えていった。

 

どうやら撤退していったらしい。

 

やれやれ、これでようやく気兼ねなく戦える......

 

見れば向こうも戦闘態勢を整えおえたようだ。

 

ドライグ、力貸してくれ

 

 

『あぁ、それは任せておけ、だが、まさかこんなところで再会することになろうとはな...』

 

あぁ、どうしてかは分からねえけど、アイツはここ置いといちゃいけねえ!

 

 

「お前はここでぶっ飛ばす!フリーザ!!!」

 

 

「ヴヴ...ッ!!」

 

そうして俺達は激突するのだった。

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

戦い始めて少しした頃、俺は奴にある違和感を覚えていた。

 

前に戦った時には感じ得なかったもの......。

 

そう、まるで機械と戦っているような...そんな感覚だ

 

 

『相棒、お前のその感覚は間違っていなさそうだぞ?』

 

どういうことだよ?ドライグ

 

 

『相棒も気づいていると思うが、今の奴はフリーザであってフリーザじゃない、以前戦った時のような悪意ある意思が感じられない、そうだな、言ってしまえば人形か』

 

人形...ってことはコイツはフリーザじゃねえのか。

 

 

『まあ、言ってしまえばそういうことだ』

 

なるほどな、だとしてもコイツは生かしておいちゃ絶対にいけねえ!人形だかなんだか知らねえけど決めにいくぞドライグ!!

 

 

『そうだな、準備は出来ているぞ相棒、容赦なく吹き飛ばしてやれ!』

 

ドライグの言葉を聞いて、俺はフリーザを蹴りあげ上空へと吹き飛ばす。

 

そのまま左手にエネルギーを集約させていく。

 

 

「喰らいやがれ!!ドラゴンショットォォッ!!」

 

左手に集められたエネルギー波が、籠手によって何倍もの威力に上乗せされ撃ち放たれる。

 

その巨大なエネルギー波は蹴り上げられたフリーザを意図も容易く呑みこむと、その姿を消し飛ばしていった。

 

 

「ふぅ、なんとか勝てたな」

 

 

『良くやったな相棒、以前の強敵をこうもあっさりと仕留めるとはまた腕を上げたようだな』

 

 

「サンキュードライグ、さてと、さっさと...ん?」

 

 

『どうした?相棒』

 

 

「いや、さっきのやつが立ってたとこに...コレなんだ?」

 

先程までフリーザが立っていた所に謎のカードが落ちていたのを拾い上げる。

 

 

『......何かのカードのようだが、それにしてもこの絵柄はいったいなんだ...?』

 

「見た感じ騎兵っぽいけど...なあドライグ、悪魔の駒(イーヴィル・ピース)に騎兵なんてあったか?」

 

 

『いや、騎兵なんてものはない、そもそもチェスにはそんな駒は存在しない』

 

 

「だよな...じゃあコイツはいったい...」

 

 

「それを聞きたいのはこっちの方なんだけど...」

 

不意に聞こえてきた声に振り向くと、そこには先程助けた少女仲間と思しき女性が立っているのだった。

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

あの後、簡単に俺達の事情を少女達に説明した。

 

俺の話を聞いた赤い服の女性は

 

 

「はぁ...つまりはこういうこと?アンタは『偶然』にもここに迷い込んで帰る方法を探していて『偶然』私達を見つけて助太刀に入ったと...そう言いたい訳ね?」

 

赤いツインテールの少女、遠坂凜の言葉に俺は黙って頷く。

 

 

「そう...で、私達を逃がしてアンタはアイツを一人で倒したと」

 

その言葉に俺は再度頷く。

 

そしてその様子に何故か、聞いてきた遠坂の方が頭を抱えていた。

 

 

なんで宝具を耐えるような奴を倒せるのよ

 

声が小さくてよく聞こえないからなんて言ってるのかさっぱりだ......

 

首を傾げていると先程助けた少女が声を掛けてきた。

 

 

 

「あ、あの!さっきは助けてくれてありがとうございました!」

 

そう話す少女は大したケガもなさそうだ

 

 

「気にしないでくれ、それよりも怪我がなくてよかったよ。それだけが心配だったんだ。無事でよかった」

 

そう軽く微笑んで頭を撫でてやる。

 

 

「えっえっと...あのぅ...」

 

途端に顔を真っ赤にして口籠ってしまう

 

ってやべ!なんつーか、娘や悟天と同じような感じでやっちまったけど流石に不味いよな......。

 

 

「あっと悪い...つい癖で...。嫌だったろ?」

 

 

「ぇ...あっいえその...イガイトワルクナカッタトイイマスカナントイイマスカ...うぅ...」

 

顔を更に真っ赤にさせて俯いてしまった。

 

あちゃぁ、こりゃ相当怒らせちまったかもな......

 

と、そこに

 

 

「アンタねぇ...小学生相手に止めなさいよ...それより、貴方名前は?」

 

半ば呆れたような顔をして口を出してきた遠坂が、ふと思い出したとようにそう問いかけてきた。

 

 

「あぁ、そう言えばまだ名乗ってなかったな。俺は孫悟誠、まあ、どこにでもいる普通の人間だ」

 

 

「孫悟誠...今時珍しい名前ね、日本人っぽいのに、もしかして中国人?」

 

おいおい、中国人って......

 

 

「いくらなんでもそれはねえよ、俺は根っからの日本人さ」

 

まあ、正確にはサイヤ人だけど、そこは言わなくてもいいよな?

 

 

「日本人でその名前なんだ。アンタの家系って変わってんのね」

 

 

「は、はは...そうかもな...」

 

実はこの世界の人間じゃありませんって言っても信じちゃくれないんだろうなぁ......。

 

 

「まあそれはいいわ、それよりあなた、悟誠って言ったわよね?あなた、いったい何者?」

 

先程とは打って変わり、遠坂の雰囲気が変わった。声音も真面目なものになっている。

 

 

「何者ってのはどういうことだ?」

 

 

「言葉通りよ、普通の人間は宝具の攻撃を受け止めるなんて出来るはずない。ましてやる英霊を倒すなんてことはありえないわ」

 

そんなこと言われても出来るんだから何とも言えねえんだけど......

 

 

「......言えないのね、まあいいわ、それじゃあ質問を変えるわ、どうして私達を助けたの?」

 

 

またおかしな質問だな。

 

 

「そんなの決まってるじゃねえか、困っている奴がいるなら助けるのは当たり前だろ?」

 

って、えっ?なんでそこでそんな呆けた顔してんだよ?

 

まあ、本来の理由は別にあるけど、言えるわけもねえし、このくらいが妥当なとこだろ。

 

 

「はぁ...盛大なお人好しね...いいわよもうそれで...」

 

再び頭を抱える遠坂。少しして再度顔を上げると

 

 

「悟誠君、悪いけどここまで関わってしまった以上、あなたはもう無関係ではいられないわ。本来なら記憶を消すなり改竄するなりしないといけないんだけど、英霊相手に生身で戦えるくらいだし、しばらく私達に付き合ってもらうわよ」

 

うわぁ...有無を言わさぬ命令だなぁ、まあいいけど

 

 

「あぁ、構わないぜ?」

 

俺が思いの外あっさりと了承したからか、遠坂は怪訝そうな顔を浮かべる。

 

 

「やけに物分かりがいいわね...普通ならもっと嫌がると思うのだけど」

 

 

「そりゃいやに決まってるさ、けど拒否権なんてないんだろ?なら抵抗したってしょうがないし、やるだけ無駄ってもんだ」

 

俺のその言葉に遠坂も納得したようで『ま、それもそうね』と、言及してこなくなった。

 

 

「ともかく、これからはお前達に協力するよ。精々大船に乗った気でいてくれよな!」

 

 

「大した自身ね、その船が泥ぶねじゃに事を祈るわ」

 

 

「こ、これからよろしくお願いします!悟誠さん!!」

 

こうして、俺の新たな生活が幕を開けた。

(悟空)さん、(チチ)さん、俺、もう少しこっちで頑張ってみるよ。

 

いつか、そっちに帰るから、その時まではもう少しだけ待っててくれ

 

 

――――――――頑張ってこいよ、悟誠!オラ達もっともっと強くなって待ってかんな!!――――――

 

ふと、俺の耳にそんな父さんの声が聞こえたような気がした。


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