Fate/Drag Emperor ドラゴマ☆ゴセー   作:ギミ

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少しお待たせしました

φ(゜゜)ノ゜⌒☆サンワ

|_-)Ξ


はじめての撤退

side悟誠

 

 

その日の夜、オレ達は再び外に出ていた。

 

オレが着いてきた理由は言わずもがな、四人の護衛だ。

 

あの後詳しく聞いてみたところ、どうやら遠坂達はクラスカードなる不思議なカードを回収しにイギリスの時計塔とか言うところから一時的に帰国していたらしい。

 

ルヴィア曰く、そのクラスカードというのは本来、現実世界には存在し得ない。その世界に連なるように存在する鏡面の世界、鏡面界というところにあるらしい。

 

俺がいたのはその鏡面界とのことだった。

 

 

エミヤさん...なんてとこに人を落としてくれてるんだ.....。

 

そして現在のオレ達はといえば......

 

 

『いやー完敗でしたねー...歴史的大敗です』

 

 

そう話すイリヤスフィールちゃんの変身アイテムであるステッキ。カレイドルビーだ。

 

「ちょっと!どういうことですの!?カレイドの魔法少女は無敵なのではなくて!?」

 

 

『わたしに当たるのはおやめくださいルヴィア様』

 

そう言いながらルビーの妹であるカレイドサファイアことサファイアをミョンミョン伸ばして八つ当たり気味に聞いていたルヴィアだったが、ルビーの蹴り(『ルビーちゃんサミング!!』などと言ってたがステッキに蹴りなんてあるのか疑問だが)某大佐よろしく目潰しを喰らって地面をゴロゴロと転がり回っている。

 

だが、これにはイリヤスフィールちゃんもルヴィアの意見に賛同だったらしく、ステッキについての説明を受けていた。

 

そう、オレ達は現実世界に戻ってきていた。

 

先程のルビーやルヴィアの言葉通り、戦略的撤退である。

 

サファイアの接界(ジャンプ)で鏡面界に突入したオレ達だったが、それより早く相手は準備を整えていたのだ。

 

その時のものがこちら......

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

接界したオレ達が最初に見たのは、空一面を覆うほどに展開された魔方陣だった。

 

その光景を見てイリヤスフィールちゃんが一言呟く

 

 

「何アレ...?すごい数...」

 

 

「ねぇルビー、これって...」

 

 

『そのようですねどうやら向こうは...』

 

 

ルビーがそこまで言ったところでオレ達にレーザーのような細い線がいくつも降り注ぎ......

 

 

『準備万端だったようです』

 

そう言いきる前に魔方陣から物凄い数の魔力砲が一斉射された。

 

 

 

「きゃあッ!?」

 

降り注ぐ魔力砲にイリヤスフィールちゃんが悲鳴をあげる。

 

 

「野郎...容赦ねえな...ルビー。ちょっと力貸すぜ」

 

 

『はい?』

 

 

「へっ...?」

 

 

 

魔力障壁を貼っているルビーに手を添え、オレは展開展開していた神器で溜めていた力をルビーへと譲渡する。

 

 

赤龍帝の贈り物(ブーステッド・ギア・ギフト)!!」

 

『Transfer!!』

 

そんなオレにとってはとても聞きなれた機械音声が籠手から発され、ルビーへと倍加された力が譲渡される。

 

 

『おぉぉおおぉっ!?なんですかこれ!!スゴく力がみなぎってきますよー!でも、これなら!!』

 

なにやら大興奮のルビーだが、すぐに調子を取り戻して何かをやりだした。

 

すると、オレ達を覆っていた障壁が少し大きくなり余裕ができた。

 

何をしたのかと疑問に思っているとルビーが話し出した。

 

 

『何故だか知りませんが、上限が上がったので領域を少し拡張と、後は障壁強固に回しました!今の私に叶う奴はいませんよー!!』

 

どうやら結界の強度に殆んどを回したらしい。

 

道理で先程まで壊されそうだった障壁が魔力砲をモノともしていない。

 

そして攻撃が止み、ルビーが障壁を解除する。

 

ふと隣を見てみると、障壁を突破されたルヴィアと美遊ちゃんの姿があった。

 

その格好は衣服は焼き焦げ、少しだけ露出のした肌が見えていた......。

 

攻撃を受けたというのに美遊ちゃんは毅然とした表情で驚くべき行動を見せた。

 

 

「最大全速、シュートッ!!」

 

そう、反撃にでたのだ!!

 

まさかそんな行動に出ると思ってなかったオレは驚愕する。

 

しかし、放たれた攻撃は奴に届くことなく途中で弾かれてしまう。

 

 

「なっ...攻撃を弾いた!?!?」

 

 

「あれは...魔力指向制御平面(まりょくしこうせいぎょへいめん)!?まさかこれほどの規模で...!」

 

遠坂とルヴィアが驚きの声をあげる。

 

しかし相手は特に気にした風もなく何かを詠唱を始めた。

 

なんだ?何を始める気だ?

 

自身が圧倒的に有利なこの好状況で考えられることとすれば...まさか!!

 

 

『あぁ、相棒の考えているとおりだ、どうやら奴はここで俺達を仕留めるつもりらしい』

 

マジかよ!?それは絶対に駄目だ!!

 

 

「お前達逃げろ!!アイツ止めを指しに掛かってる!!」

 

その直後オレ達の周りに巨大な竜巻が生成される。

 

まるでオレ達の逃げ道を塞ぐように多い尽くしている。

 

実際そうなのだろう、上空では奴が更に詠唱をはじめている。

 

 

「えっ...たっ...竜巻!?」

 

 

「まずっ...閉じ込められた!」

 

 

「んなこといいから早く撤退しろ!!上のアレが見えねえのか!!」

 

 

「え...?うえ?」

 

そうして二人が上を見上げる。

 

 

「う...えぇぇー...」

 

そんなことしてる場合か!!

 

 

「こっこれはもしかしなくてもDie(ダイ)ピンチ?」

 

 

「完全に詰みですねーこれは」

 

 

「悠長に話してる場合かー!!!」

 

 

「てててっ...撤退ですわ撤退ーッ!!」

 

 

「何でもいいから早く逃げろって!!」

 

クソッこうなりゃ仕方ない...(スーパー)サイヤ人と禁手(バランス・ブレイカー)の併用で抑えるか?

 

そんなことを考えていると

 

 

『反射路形成!鏡界回廊一部反転!』

 

ルビーの声が聞こえてくる。

 

ようやく準備始めやがったのか?遅えよ!!

 

奴は準備を整えつつある。放っておけばいつ撃ち込まれてもおかしくない!

 

 

「おに...悟誠さん!!こっちに!!」

 

うおっ!?なんだいったい!?!?

 

イリヤスフィールちゃんの声が聞こえた途端に後ろに引っ張られ俺は呆気にとられる。

 

次の瞬間、視界の景色が変わった。

 

破壊など欠片も見えない景色に、殺気や重圧など何一つ感じない穏やかな雰囲気。

 

どうやら、現実世界に帰ってこれたらしい......,

 

そうして最初に戻るってわけだ......。

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

「まるで要塞でしたわ...あんなの反則ですわよ!」

 

 

『もう魔術の域を越えてましたね、そりゃ並の障壁じゃあ相殺しきれないわけです』

 

 

まあ私達の場合はなんとか凌げましたけどねー...と、ルビーは続ける。

 

 

「ビックリしたよ...」

 

イリヤスフィールちゃんも驚きを隠せなかったみたいだな

 

 

『あれは現在のどの系統にも属さない呪文と魔方陣でした。恐らく失われた神代(かみよ)の魔術と思われます』

 

ん?カミヨ?かみよってなんだ?

 

 

「えっと、なんなんだ?その、カミヨ...ってのは」

 

 

純粋な疑問を口にしたところ、遠坂やルヴィア、ルビーとサファイアまでがオレを見る。

 

 

あたかも『何で知らないのコイツ』といった顔でだ。

 

 

「え?な、なんだよその顔...」

 

二人と二本の反応に困惑していると、左腕の籠手が点滅し、ドライグが話し掛けてきた。

 

 

『相棒も聞いたことくらいはあるだろう、ギリシャの英雄達や神達の話を』

 

 

「ギリシャの...って、あのヘラクレスとかが出てくるアレか?」

 

 

『あぁ、その想像で合っている』

 

 

「へぇー、あの辺りがそのカミヨってのか...って、なんて顔してんだお前ら」

 

気付いたら、それを見ていた四人が凄い顔で俺をみていた。

 

 

「ご、悟誠さん...今その籠手喋らなかった?」

 

イリヤスフィールちゃんが顔を引き攣らせて聞いてくる。

 

 

「え?あぁ、そういや紹介がまだだったっけ、ドライグ、挨拶頼む」

 

 

『あぁ、お初にお目にかかる...俺はドライグ、ドライグ・ア・ゴッホという。籠手に宿った龍帝だ。孫悟誠の相棒をしている』

 

その挨拶に食いついたのは意外にも美遊ちゃんだった。

 

 

「ドライグ...?セィニ... 孫さんも私達みたいに巻き込まれたの?」

 

ん?巻き込まれた?どういうことだ?

 

 

「いや、コイツは俺が産まれた時から一緒だよ。まあ、コイツに気づいたのは大分大きくなってからだったけど」

 

 

「そう...ですか」

 

それきり美遊ちゃんの質問は止み、代わりにサファイアが問いかけてくる。

 

 

『ドライグさんに質問です。あなたは私達のような魔術礼装なのですか?』

 

聞かれてるぞ?ドライグ

 

 

『まあ、似たようなものだ、詳しいことは言えんがな』

 

 

『なるほど、ありがとうございます』

 

 

「と、こんなもんでいいだろ、それより今はアイツをどうにかしねえと」

 

そこで思い出したように遠坂が口を開く。

 

 

「そうね、確かにあの魔力反射平面も問題だわ、アレがある限りこっちの攻撃が届かない」

 

 

『攻撃陣も反射平面も座標固定型のようですので、魔方陣の上まで飛んでいければ戦えると思いますが』

 

ん?そんなことでいいのか?

 

と、思っていると横にいたイリヤが

 

 

『あ、そっか飛んじゃえばよかったんだね』

 

その声に見てみると、イリヤスフィールちゃんが宙に浮かんでいた。

 

流石は魔法少女だな、飛ぶのなんて朝飯前なのか

 

 

『いや、どうやらそういうわけではないらしいぞ?』

 

え?なんでだ...?

 

 

『小娘達を見てみろ』

 

そう言われて遠坂達を見てみると、またも凄い顔(おおよそ女性がするべきでない)をしていた。

 

 

「ちょっ...なんでいきなり飛べるのよ!!」

 

そんな遠坂の問いにイリヤは不思議そうに答える

 

 

「えっ?魔法少女って飛ぶものでしょ?」

 

その言葉にまたも二人が凄い顔へと変わる。

 

その顔は言葉には出ていないがこう言っていた。

 

 

《なんて頼もしい思い込みー!?!?!?》

 

 

「くっ...負けていられませんわよミユ!あなたも今すぐ飛んで見せなさい!ミユ!」

 

遠坂チームに先を越されてか、ルヴィアが美遊ちゃんに言う、が......

 

 

 

「人は...飛べません」

 

またもや凄いことになるルヴィアの顔。

 

まるでゴーンッ!!という擬音が聞こえてきそうな程だ。

 

 

「そんな考えだから飛べないのですわ!来なさい!明日までに飛べるよう特訓ですわ!」

 

 

「あう...」

 

 

「覚えてなさいトオサカリンーッ!!」

 

ガッシリと美遊ちゃんの襟首を掴むとそんな捨て台詞を吐き捨て、去っていってしまった。

 

って、オレは?

 

 

『完全に忘れられたな...』

 

うそだろぉぉぉぉ!?!?!?

 

 

「やれやれ...今日はとりあえずお開きね、明日は丁度学校も休みだし私も色々戦略練ってみるわ。それと...」

 

遠坂がオレを見ていう。

 

 

「あんたはどうするの?ルヴィアの奴行っちゃったけど」

 

 

「あはは...どうしたものかと...」

 

諦め混じりにそう返すと、何かを察したのか遠坂がため息をついて言った。

 

 

「はぁ...仕方ないわね、イリヤ、悟誠くんをあんたのとこで泊めてあげなさい」

 

えっ...?

 

 

「へっ...?」

 

 

「「えぇぇぇえぇぇえっっ!!」」

 

その夜、オレとイリヤスフィールちゃんの絶叫が夜の街に響き渡るのだった

 

 

 

 

 


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