Fate/Drag Emperor ドラゴマ☆ゴセー 作:ギミ
side悟誠
突如登場したバゼットにオレたちは固まる......。
「っ......お、おや...あなた方は...」
.........バゼットの奴も固まったていた。
そして数瞬の硬直のさなか...場は動いた。
「バッ......バゼット!?」
「まっ...また出たわねバサカ女!!」
「てててっ...!!転身しなきゃ!!ルビー!!......あれ?ルビー!?......いない!?なんでー!!!?」
「......また来たのかよ前任者サン?」
美遊ちゃんは驚き、クロは謎のポーズを取りながらバゼットに向き、イリヤちゃんは転身するために相棒たるルビーを呼び出していた
そんなふうにイリヤちゃん達(イリヤちゃん以外)はフルボッコにされた時の経験からか、すぐさま臨戦態勢に入っている(イリヤちゃんはルビーがおらず失敗...)
しかし、それを見ていたバゼットは肩を落として......
「......さすがに子供にそこまで警戒されると、少し傷つきますね...」
と言った。よく言うぜ...イリヤちゃんたちを散々痛めつけてくれた癖に......。
だが、ですが...とバゼットは続け
「安心しなさい、ここであなた達とやり合うつもりはありません」
「オレは続きをやってもいいんだぜ?」
オレはまだコイツを許しちゃいねえ...イリヤちゃんたちを傷付けてくれやがったことは絶対に許さねぇ......
「......話を聞かない人ですね、私を許さないのは勝手ですが、今私はやるわけにはいかないのです。なにしろ、今の私は......
───ただの!アイスキャンデー屋さんですからッ!!───」
・・・・・・・・は??
いや......えっと...?
〘〘〘〘.........なにそれ〙〙〙〙
その時、オレはイリヤちゃん達と思考がシンクロした気がした......。
そんなことは知らず、バゼットは話し出す
「先日の戦闘行為で発生した被害の修繕費用なのですが、何故か協会を素通りして私の所に請求が来まして。カードを止められて、路銀も完全に尽きました」
うわぁ...何故かの辺りに心当たりがありすぎる......
(ルヴィアさんだ───)
(エーデルフェルト...恐ろしい子っ!!)
あの顔は同じようなことを考えてるな......?
「ですが、大した問題ではありません...」
そして静かに目を瞑り、まるで覚悟をしたかのように瞳を開き......
「金など日雇いの仕事バイトで繋げばいい、その気になれば道端の草も食べられる!!」
「いや、さすがに道端の草はやめよとこうぜ...?」
いくらなんでも腹壊すぞ......
「野宿しようとしてた悟誠には言われたくないと思う...」
うぐっ...美遊ちゃんのツッコミが鋭いぜ......。
だが甘いな、オレは何もこんな町の中で野宿しようって訳じゃない、辺境の山へ行ってやるつもりだったからな!!
『今は競ってる場合ではないだろう...』
と、そうだった!!
というより、コイツ......
((((なんか、ダメっぽい───!!!?))))
またまたイリヤちゃんたちとシンクロした気がする......
「この前とキャラ全然違くない!?」
「状況も言動も...心做しか顔つきまでダメっぽく見えるよ...」
「これが...封印指定執行者...?」
「そんなことよりも武道大会みたいなとこ行けば一発だろうに...」
「「「それはない(わ)、悟誠(くん)」」」
へっ...?
「と、まあそんな訳ですので...」
・・・ん?
「お買い上げありがとうございます」
・・・・・・アレ?なんか嫌な予感が......
「一本三百円になります」
...!!そっ...そうだコレ...!?
そして、オレ達は強制的に一人一本ずつアイスキャンデーを買わされた......
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「............」
あの後、ダメそうな人の
「あれ?どうしたの?そんなうなだれて...」
オレたちの様子に気がついたミミちゃんが声をかけてくる。
「いや、はは...なんでもねえ...気にしないでくれ」
「えぇ...そんなこと言われると逆に気になるんだけど」
いやマジで気にしないで欲しい......。
『あんなダメそうな奴の押し売りに負けた孫一家の長男だなど言えるはずもないからな』
ヤメロドライグ!!しっ...!!
「さて、そろそろ会場に移動するか」
ふと、荷物を背負った士郎がそう声を掛けてくる。
会場って...なんのだ...?
「会場?なんの...?」
「ウチら疲れたからもう帰ろうかと思ってるんだけど」
と、スズカとナナキがハテナを浮かべている
甘いな...この程度でへばるなんてまだまだだぜ......
「ちょっと!?今日の趣旨忘れてない!!!?」
あー...そういえばなんかあったな...女子ズの水着のことで忘れてた......
「......今、悟誠くん失礼なこと考えなかった? 」
「さ、さーて、なんのことだか...さ、いこいこー」
「あっ!!誤魔化した!!何か言ってよー!!」
ささ、巻き込まれる前に逃げるのみだ
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
そうして士郎たちに案内されたのは海の家だった。
「海の家...」
「がくまざわ...?」
へぇー、海の家がくまざわか...って、ちょっと待て、がくまざわ...がくまざわってまさか......
「あ、ここオレん家がやってる店だ」
やっぱりお前かタツコォ!!
『まあ、がくまざわなんて苗字はそう居ないだろうからな』
まあ、それもそうか...世界は広いが世間は狭いな......
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
その後、タツコの家族に出迎えられながら、『海の家がくまざわ』でイリヤちゃんたち三人の誕生会を始めたオレたち
「「「「「「「 せーの......」」」」」」」
「イリヤ&クロ&美遊、お誕生日おめでとう!!』
誕生日の代名詞と共に、オレ達は一斉にクラッカーを鳴らす。イリヤちゃんとクロは嬉しそうな顔をし、美遊ちゃんは少し困惑した顔をして、クラッカーを浴びている。
「なんかすごいね、これ」
「カキ氷とアイス?」
「やるな...海の家がくまざわ......」
「海で普通のケーキはキツいかと思ってさ。特別に作ってもらったんだ。この暑い日には丁度いいだろ?」
「えー、本日はお暑い中......」
「イリヤちゃん、そんな堅苦しいのはなしで行こうぜ?」
「え、堅苦しい...?」
「あぁ、なんか会食中のリーマンとかおっさんの挨拶みたいだぞ?」
「おっさん!?それは酷くない!?」
いや、だってな...マジでリーマンみたいなこと言ってたし
その後は用意してもらったカキ氷とアイスを皆で囲んでワイワイと騒ぐ。なんだかんだいって全員が楽しそうに笑っている。
あぁ、平和だな...こういう時が一番だよ......
そんなことを考えてつつ、ふと、美遊ちゃんを見る。
「.........」
美遊ちゃんは笑っておらず。ただ無言でジュースを飲んでいるだけ......。
おいおい、今日の主役の一人がそんな様子じゃダメだろ......
もしかして、嫌だったか?美遊ちゃん的には集まってワイワイやるのは好きじゃないのか......?
すると、美遊ちゃんが不意にイリヤちゃんに問い掛けた。
「イリヤ」
「ん?」
「誕生会って、なにをするものなの?」
んん...?
「誕生会なんだから、誕生日をお祝いするためのものでしょ?」
「誕生日って、祝うようなものなの?」
「「「え……?」」」
イリヤちゃんの答えに美遊ちゃんがそう答える。
その言葉で場の空気が一気に冷え込む......。
美遊ちゃんの言葉に全員が固まり、美遊ちゃんに視線が集まる。美遊ちゃんの顔は至って真面目で、巫山戯ているとか敢えてそうしようという訳では無いみたいだ......。
「ず、随分根本的な質問するなミユッチは……」
「今まで祝ってもらった事ないのー?」
「......ない」
な、ないのか...複雑な家庭環境だったのかな......?
......おし、ここは年長者として。オレがおしえてやらないとな!!
「んんっ...美遊ちゃん、誕生日ってのはさ。生まれてきた事を祝福し、生んでくれた事に感謝し、その生を謳歌している事を皆で祝福する。オレはそういう事だと思うんだよ」
そうさ、オレを産んでくれた元の父さん母さん......
異世界に飛ばされたオレを快く息子として迎え、強くなるために鍛えてくれた二人目の
ただ、依頼として別世界に飛ばされて、一人だったところを暖かく迎えてくれた
その人たちにこれまでの人生を感謝し、祝福することが、誕生日の本当の意味だと思う......。
「いいこと言うじゃないか、悟誠。でもまぁ、そんな堅苦しく考える必要もないと思うけどな。誕生日を祝われる側はさ、美味い物を食べて適当に騒いで、プレゼントを受け取る。やる事なんてそれだけでいいんだよ」
士郎が最後に上手く締めくくってくれる。
美遊ちゃんにそう言葉を掛けながら、士郎は持ってきていた荷物の中に入れていた三つの箱を取り出してテーブルの上に並べ、イリヤちゃん達に渡す。
「三人とも、お誕生日おめでとう」
しかしここで綺麗に締まらない(締めさせない)奴がいることを忘れてはならない......
「なんだそれ!?甘いヤツか!?甘いヤツが入ってるのかー!?」
「ちょっ...タツコ!!ここは空気読んでくれないかな!?」
「やっぱダメだコイツ!!」
・・・ま、タツコはコレがいい所でもあるからな...けど
「はいはい、タツコは大人しくしてようなー?」
「なっ...!!離せ!!ゴセー!!HA☆NA☆SE!!」
離すわけないだろ...このお馬鹿......
そうこうしている間にイリヤちゃん達は早速、中身を取り出して手に取っていた。そして、それを見たクロは大喜び。イリヤちゃんも目を輝かせて渡したブレスレットを見つめてる。
よかったな、二人とも......
「やるじゃないお兄ちゃん!!こういうの選ぶのヘタなイメージあったんだけど、見直したわ!!」
「あー、実は選びきれなかったから遠坂に協力してもらって......」
あ、そんなこと言っちまったら......
「......ここで他の女の名前を出す辺りが、本当にお兄ちゃんだわー...」
「ほんとにねー......」
「急にテンション下がった!?」
そりゃまあ...ここで他の女の名前出すのは...なぁ......
「うん、でも...」
「「ありがとうお兄ちゃん!!きっと大切にするよ」」
そう言ったイリヤちゃんたちの顔はとても嬉しそうだった。
「ほら、ミユも!」
「あっ...」
イリヤちゃんに急かされ、美遊ちゃんも少し躊躇いながら口を開いた
「生まれてきた事。今日まで生きてこられた事。イリヤに会えた事。みんなに会えた事。士郎さんに会えた事。そして、悟誠に会えたこと......その全てに―――」
「...感謝します。ありがとう......」
「「「......」」」
いやいや、なんだこの空気?重い......。
美遊ちゃん、言葉の一個一個が重すぎるぞ......。
いや、そこまで感謝されても...ちょっと大袈裟すぎだと思うんだが......
照れくさいというよりなんとも言えなくなる......
だけど美遊ちゃんの顔...きっとそんなことを言ったら失礼にあたるよな......
「「お……」」
お...?
「!?」
「重ーい!」
「感謝の言葉が重すぎるわー!!」
「きゃーっ!?」
おぉ、オレの代わりにスズカ達が代弁してくれた...ナイス!!
「結婚式のスピーチかと思ったわ!そんなら、ウチらからのプレゼントも受け取れー! そんで感謝しろー!!」
「なっ!? これこの前タツコが着てたヒモ水着じゃない!? いらないわよ!!」
「あぁっ!!私らの気持ちをー!!」
「やるかイリヤ!!かかってこいやぁ...!!」
「力ずくで受け取らせてやるわーッ!!」
「なんでこうなるのー!?」
「こ、こら。あんまり騒ぐなって......!!」
元気なヤツらだな...さっきの重い空気が一転したよ......
「参加してこないの...?」
ふと声が掛けられ、見るとクロが隣に来ていた。
「オレはいいよ、あの中に混ざりに行くほど不粋じゃない」
「ふぅん...?悟誠って変なところで大人よねー...ねえ、そ れ よ り」
いきなりしなだれかかってくるクロ、いったいなんだ?
「な、なんだよいきなり......」
「なんだ...じゃないでしょ?今日は私たちの誕生日なのよ?悟誠からは...何もないのかしら...?」
コイツめ...自分達が主役だからって調子に乗ってるな...?
「やれやれ、タイミングを測ってたんだがな...仕方ない、ほら」
紙包みを一つ渡してやる
「ありがと悟誠♪早速開けてみちゃいましょ、さてさて中身は〜...って、コレ...」
そこから出てきたのは弓の刺繍の入ったリストバンドだった。
「どうだ?オレのお手製だぜ?」
「ウソ、コレ悟誠の手作りなの!?凄いじゃない!!」
「中々苦労したんだ、気に入ったか?」
「えぇ、とっても...嬉しいわ悟誠、これならあの二人も喜ぶと思う」
とても嬉しそうにクロが微笑む。
喜んで貰えたみたいでよかった...イリヤちゃんたちには...まだ後の方がいいな......
「コレはオレから後で渡すからクロは黙っててくれよ?」
「分かってるわよ、そんな野暮なことはしないから♪」
ったく、本当に分かってんのかね......
そんな時、ドガガガガガッ...という音が辺りに響き渡るのだった。