Fate/Drag Emperor ドラゴマ☆ゴセー 作:ギミ
side Illyasviel
「はは、は...なん...でさ...」
ズシャッ...そんな音を立てて悟誠くんが砂浜に崩れ落ちる。
その上には『あらら?イリヤさんに落下していたんですが逸れちゃいましたか』などと抜かして私に近づいてくるルビーの姿。
「ちょっ...ルビー今までどこに...」
「出来ました!できたんですよイリヤさん!!」
いったいなんのこと...?というか悟誠くん倒れて動かないんだけど!!!?
「何が...というか今それどころじゃ...」
『イリヤさんに依頼されてから三十三の夜を越え...熟成に熟成を重ね...ついに今日完成したんです!!刮目してください!!これこそが...!!』
『ルビーちゃん特製!! 惚れ薬〜ッ!!!!』
あぁ......。あったような気がするそんなハナシ......。
「って!!今そんなこと言ってる場合じゃないんだけどぉ!!なんでこのタイミングなの!?」
『イリヤさんの誕生日に間に合わせるべく ここ最近出番を削って最後の仕上げをしておりました!!じゃあ早速』
出番とかメタいこと言わないでよぉ...!!はぁ......
「......悪いけどイヤな予感しかしないから その話はなかったことに『えいっ♪プスッ』ってあああーっ!!」
私が断る間もなく、ルビーはその注射を突き刺した。
動かない悟誠くんの頭に......
「............... ビクンッ」
悟誠くんが頭から血を流しながら痙攣するように一際大きく跳ねた。
「うおっ...!?なんだどうしたんだ!?」
「大丈夫か...?動かないし、凄い勢いで跳ねたが......」
「孫くん!?」
「ゴセー!?」
あまりの事態に追いかけてきていた人達も足を止めて様子を見ている。
「あああぁ...もう後戻り出来ない...!!」
『さあ早く!! 効果は
「うわーん!! 人の気持ちをオモチャにして──!!」
そんなこんなで悟誠くんの元に駆け出した時だった。
「ちょっと悟誠!!大丈夫!?しっかりして!!」
クロが抱き起こして声をかけ始めてしまった...!!
「あっ...!!」
「ああっ...!!」
「あああっ...!!」
上からリンさん、ルヴィアさん、私の声が響き渡る。
「ク......ロ......?」
「そうよ!!大丈夫なの悟誠!?」
「クロの...」
「おっぱい小さいなぁ...」
「「「「「..................へ??」」」」」
悟誠くんが目を覚ました開口一番、発した言葉に周りの空気が凍った。
「大きいおっぱいもいいけど...小さいものには小さいものなりの魅力がある...年齢の割に大きいというのもあるので...これからの成長に期待感が大きい...」
「なっ...何言ってるのよごせいぃぃ...」
「時折当てられるソレの感触はかくも柔らかく今後の成長でこれの魅力がさらに増す...それを思うと今後の成長が楽しみなおっぱいだ...」
「もっ...もおぉ...っ!!ムリィ...ッ!!」
ブツブツと呟く悟誠くんに、我慢できなくなったクロがルヴィアさんの方へと突き飛ばした。
「ルヴィ...ア...ルヴィアは...」
「へっ...?」
「大きくてハリもあるが、程よく柔らかくもあるいいおっぱいをお持ちだ...このおっぱいを見るといつも無性につつきたくなる...先端を押したらどうなるんだろうか...」
「なっ...ななななっ...なんですの!? なんですの!? なんてお下品なことを...!?」
ガスガスと悟誠を蹴り飛ばすルヴィアさん......
「ちょっとどういうことルビー!?」
『ふーむ 間違っていつも持ってる自白剤の方を打っちゃったっぽいです』
「ルビィィ──ッ!!!!?」
その後も他の子達に悟誠くんの自白の被害は続き......。
さすがにもうどうしようもなくなった私は......
「もーイヤ──ッ!!!誰か何とかしてーッ!!!」
「うるっせェな...オマエらちったァ静かに出来ねえのか...」
そんな少し聞きなれた、けどあまり聞きなれない声が聞こえたと思った時だった。
ふと、あれだけやかましかった声がピタリと止んだ。
見ると、バタバタとみんなが倒れているのが見えた。
「やかましすぎだ...そこらで寝てやがれ」
それをやったのはルビー...ではなく、ついさっき自白剤を打たれて倒れてた悟誠くんだった。
「えっ...悟誠くん...なの...?」
確かに見た目は悟誠くんだけど、口調や雰囲気がいつもの悟誠くんじゃない......。
もっと別の...全くの別人のような佇まいが私をそう認識させた。
「んで、なんでコイツは倒れてやが...『いやー、手が掛からなくて助かりましたよー それでは、今度こそこっちを...えいっ プスッ』る...? 」
「あっ!!」
またしてもとんでもないタイミングでルビーが悟誠くんに注射を打ち込んだ。
フラフラとしだす悟誠くん、先程までの威圧的な雰囲気も今はなくなっている。
『周りは岩場...人の目はありません』
「えっ...あ!!」
ユラり私に近づいてくる悟誠くん
『ロマンティックなひとときを』
そうは言うけどルビー......
この絵面のどこにロマンがあるの──────ッ!!!
ユラユラと近づいてくる悟誠くん。その様はまるでホラーにも見えてくる。
確かに悟誠くんは好きだけど...好きなんだけど...!!!
「待って悟誠くん!!正気に戻って!!」
しかし叫んでも悟誠くんには声は届かない......
何処か年上のような暖かな態度も、いつものようにニッカリと笑ってくれる笑顔もない....そんなの......
「ごせいくっ...きゃっ...」
ロマンなんて欠けらも無く、ホラー要素満載の岩場にて2人きり......。
助けてくれる人達も居ない......
岩場に背中を預ける私を壁ドンの体勢で詰め寄る悟誠くん。
スッ...とその手が私の顎をクイと上へと向けさせ......
ここで...?こんなかたちで...?
ヤダ...やだよこんなの...
いつもの悟誠くんに戻ってよ...!ごせいく...ッ!!
「なーんつってな?冗談だよ、イリヤちゃん」
「へっ...?あうっ」
唐突にかけられた声と共に来た軽い衝撃に、私は少しのけぞってしまう。
『なんと!!なぜなんともないのですか悟誠さん!?あなたにはしっかりと薬を打ちこんだはず!!』
「やっぱし今回も主犯はお前か... そりゃオレいつも鍛えてるんだぜ? たかがこの程度の薬物でどうにかできるかっての 今までこうしてたのはあんまりにもイリヤちゃんの反応が良かったんで悪ノリさせてもらっただけだよ」
ま、身体はなんかちょっと重いけどな?なんとかなるだろ...と、カラカラと笑う悟誠くん。
「ほ、ほんとに悟誠くん...なんともないの...?」
「ん?あぁ、このくらいなんともねえよ なんなら転身して襲ってきても返り討ちに出来ると思うぜ?」
「確実にタダでは済まないと思うので遠慮させてイタダキマス...」
そっか、そりゃ残念...とちょっと残念そうな悟誠くんに心底安堵する。
けど、悟誠くんに迫られた時...怖さもあったけれど...ドキドキもしたのホント......。
「今度は...もっと...」
「ん?何か言ったか?イリヤちゃん?」
「なっ...なんでもない...!!!」
あっぶない...危うく悟誠くんに聞こえちゃうところだった......
そういえば、あの後からルビーはどこに行ったんだろう...?