Fate/Drag Emperor ドラゴマ☆ゴセー 作:ギミ
side Illyasviel
「うぅ...大丈夫かな悟誠くん」
悟誠くんにあの場を任せて逃げてきた私と田中さんだったけど、その先で立ち止まっていた。
後ろの方から聞こえてくる音と地響きが悟誠くんの戦いから起こっているものだって容易に想像できてしまう......。
あのまま悟誠くんがやられちゃったら...そんな想像が頭から離れない......。
それに、悟誠くんがいなくなっちゃったことで周りの寒さが私たちから容赦なく熱を奪っていく......
「うぅ...これからどうしたらいいの...?」
家もない...雪は降ってる...ミユは何処にいるのかさっぱり......。
「イリヤさん、ひとつ聞いてもいいです?」
不意に、田中さんが問い掛けてくる。
「えと...なに?田中さん。悪いけど、今は色々悩んでるから......」
「今、あのキンキンの人が戦ってくれてます。あの人が逃がしてくれたから私たちはここにいます。なら、あなたは...いえ......」
「貴方達は何をする人ですか? 逃げる人ですか?」
......違う。
そんなはずない...
私は...そんなことのためにここに来たんじゃない!!
「ううん、違う。私はイリヤ! イリヤスフィール・フォン・アインツベルン!! 私はううん、私たちは! ミユを助けるためにこの世界に来た!!」
そうだ、私はもう、何も諦めないって決めたんだ。
なら、今のコレからだって逃げちゃダメなんだ......
悟誠くんが戦ってるんだ...私も、逃げてはいられない!!
「さて、それじゃ行くですか」
一息をおいて、彼女が歩き出す。
えっ...そのやらなきゃいけないことって......
「へっ...何処へ...?」
「どこって目的地は一つしかないですよ?」
「えっ、それって......」
「はい、さっき教えてくれたですよね。イリヤさんとキンキンでポカポカの人は何をする人でしたっけ?」
問いかけるように、期待されているような瞳でそう聞かれる。
うん、そんなの決まってる......
「私たちは...ミユを助ける!!」
「はい、それなら私も一緒に行くですよ。相変わらずなんにも覚えてないですけど、一つだけ...やらなきゃいけないことを思い出したです」
「エインズワースを滅ぼす」
「それが、田中の役目です」
そう言った田中さんは先程からは考えられない真剣な雰囲気を醸し出していた。
◆◇◆◇◆sidechange◇◆◇◆◇
あの後、オレがなんとか合流すると、イリヤちゃんがまた泣きながら抱きついてきた。
なんだか知らないが田中はやたらと...『キンキンになってください!!キンキン!!』と騒いで煩かったので、仕方なく超化しておいたら、目をキラキラと輝かせて周りを彷徨かれるのでまいった......。
その後、イリヤちゃんが逃げていた間の事を教えてくれ、今後の方針が決まった......。
「そ、それとね悟誠くん...悪いんだけど...」
そんなところでイリヤちゃんが急にモジモジし始めた。
「?どうかしたか?」
「あの...ね?その...あの、温かいやつ...また...」
そう言うイリヤちゃんの肩は寒そうに揺れている......
「! 悪い!!そうだよな...すぐにやるよ ハアッ!!」
再びシバリングを発動させ方熱させる。
「ほわぁ...ありがとう悟誠くん...もう悟誠くんナシじゃ生きてけないよぉ...」
「キンキンの人!!田中と併せてボカボカです!!」
そう言ってイリヤちゃんの真似して抱きついてきた田中は確かに暖かく、その...柔らかかったデス......
だからイリヤちゃん、そんな目でオレを見ないでくれ......
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「で、そのエインズワースを倒すってなったのはいいけどさ、田中は何か力を持ってんのか?」
どう見ても、そんな力を持ってるようには見えない。
それがエインズワース家を滅ぼすと言うのだから、オレはどうにもそれが腑に落ちない......。
「よく分からないです。でも──」
「絶対に滅ぼさなきゃいけない。なぜかそれだけは覚えているです」
......どうやら訳ありなのかもしれないな
「.........わかった。田中はエインズワース家を滅ぼす。私たちは捕まってるミユを助け出す。正直ちょっとだけ......ううん、凄く怖いけど......覚悟は決めた!」
その顔、しっかりと覚悟が決まったみたいだな。
「なら、行こうぜ!! 田中、そのエインズワース家はどこにあるんだ?」
オレの言葉に、田中は笑って言う。
「分かんないです」
うん、知ってた...。というかそんな気しかしてなかったよ...!!
「そうだよね。記憶喪失だもんね。覚えてなくて当然だよね。田中さんは何も悪くないよね。ただノリに流されて一瞬でも田中さんが頼もしいとかおもっちゃった私が決定的に間違ってただけだよね.....」
「あれ? 田中糾弾されてるです?」
というか、自分自身に呆れてる感じだなアレは......
「まあまあ、元気出せって、田中こうなのは分かってたことだろ?」
「そうだけど...。うう、これからどうしよう......」
「美遊ちゃんがエインズワース家に捕まってることと以外手掛かりゼロだしな...」
「......ねぇ田中さん、何か手かがりになるような記憶は...」
イリヤちゃんがそう聞こうとして後ろを振り返ってその言葉を止めた。
それに気づいて、オレはどうしたのかと振り向く。
その視界に写ったのは、道端に倒れ伏す田中の姿だった。
「田中さ────ん!?」
「大丈夫か!? まさか、逃げてる時に怪我とか...!!」
そう思って駆け寄って、後悔した。なぜなら......
「お......お......おなかがせつないです......」
.........ああ。
そう言えば、水しか飲んでなかったっけか、コイツ......
「公園に連れてってくさだいです.........」
「水!?また水飲む気!? ごめんなさい田中さん!! 正しい知識を教えていなかったけど、本気の空腹は水じゃ癒せないのよ...!!」
まあ、一時しのぎの空腹ならどうにかなるが......
「どどどどどうしよう!?食べ物なんて何処に行ったら......」
「......仙豆、まだあったかな」
オレは父さんから貰った麻袋を探ってみる。
そんなこんな、二人であたふたしていると、背後から誰かが近づいて来る。
「どうした?行き倒れか?」
そこには胡散臭いをその身に余すことなく表現したハチマキを巻いた厳つめの男がバイクに股がっていた