Fate/Drag Emperor ドラゴマ☆ゴセー 作:ギミ
side悟誠
一触即発の空気から一転、唐突に現れた存在にオレたちは助けられた。
そして現在、オレたちは店を後にしているんだが......
「ねえ、あの子っていつもあんな感じなの」
救世主であるその少年は金髪を揺らしながら、オレに問いかけてくる。
「いや、いつものはあんなんじゃないんだけど...前の一件があったからな......」
そう説明すると、少年はやれやれと肩を竦めて......
「まったく...せっかく立て替えてあげたのになんだってのさ」
まあ、危ないところを助けてもらったのだからそういう態度はやるべきじゃない......
そう、今現在オレたちは、美遊ちゃんを巡って戦ったあの金髪全裸ショタと共にいる......。
...というか、あの場の代金を立て替えてもらい、なんとか命拾いをしたという...なんとも情けない状態だ......。
そして、イリヤちゃんに離れて警戒されている。
「だ...だって...!!」
「あなた、敵でしょう...!? カードの英霊...か何かで...ミユを狙ってる...!!」
まあ、その説は間違ってはないんだが......
それを聞いていた少年はやれやれとため息をついて......
「野暮だなぁ...。勝った方がその話を蒸し返すのかい?」
「確かに僕たちは戦いあったけど、あれは君たちが勝利して終わったことだろう? それに僕は
そこまで言って、クルリとイリヤちゃんの方を振り返り......
「だからさ、仲良くやろうよ。お姉ちゃん」
屈託のない笑顔で、笑いかけた。
これにはイリヤちゃんも......
「〜〜〜っ!!」
「コッ コホンッ... ま、まあそういうことならこっちとしても別に敵対する必要はないっていうか...立て替えてくれてありがとうとか思ってないんだからねっ...」
そんなことを顔を背けて頬を朱に染めながら言っていた......。
イリヤちゃん...お前チョロすぎない......?
「あはは、与しやすいってよく言われない?」
言われてるというか...周りからはほぼ全員にそう思われてると思います......。
こんなんで大丈夫か護衛対象......
オレは一抹の不安を覚えながら黙っているしかない。
「ところで、そこのお姉さんと怖いお兄さんは分かるんだけど...そちらのお姉さんは?」
少年は興味が田中に向いたのか、そう問いかける。
「田中です!!あなたは誰ですか!? 何する人ですか!?」
「外国語を直訳したみたいな聞き方をする人だね」
「はは...自称記憶喪失らしいんだ......」
ホント...それ自称っていうのか......?
しかし、少年は特に気にした風もなく答える。
「んー、そうだなぁ。僕のことは......」
「ギルって呼んでください 何をする人かって言われると...ちょっと困るけど、とりあえず今は現代の生を謳歌しているところです」
『この時代でも黄金の価値は変わってないようで助かってるよ』...と虚空から金塊を出してニコニコとしているギルと自身の事を呼んだ少年にイリヤちゃんが頬を引き攣らせている。
しかしそんなことは気づいていないのか、ギルくんは田中を訳知り顔で見てつぶやく......
「記憶喪失のお姉さん...ね」
見られている張本人は疑問符を浮かべているが......
しかし、ふとその視線を外して話し出す。
「召喚時にこの時代のことや、エインズワース家の周りの知識は入ってきたんだけど、田中さんのことはわからないなぁ」
知ってる風だったのにわからない...? いや待て、それよりコイツ今......
「お前、今エインズワースって言ったか?」
「? えぇ、言ったよ?」
オレの問いに事も無げに返してくる。
「......どこまで知ってる?」
「......どこまで...?そうだね、ほぼ全部かな。なんせ、僕はそいつらが作ったカードから召喚されたんだもの。エインズワース家がこの世界で”聖杯戦争”を起こしたんだ。美遊という聖杯を据えてね」
そこで...美遊ちゃんが出てくるのか......
「ねぇ、どうして君がその名前を知って...「滅ぼします」 ん...?」
ギルくんの言葉を遮り、間髪入れずに答えた田中の言葉にギルくんが疑問符浮かべている......。
「田中は...エインズワース家を滅ぼす為にいます」
「わたし達は...捕まってるミユを助け出したい!! お願い! エインズワース家の場所を知ってるなら教えて...!!」
「......それは、お兄さんもイリヤお姉さんと同じでいいの?」
オレか...?
「あぁ、オレもイリヤちゃんと同じ気持ちだ...。美遊ちゃんを助けだすためなら、オレは世界とだって戦ってやる」
その結果...オレが死ぬことになっても...後悔はねえ。
「あはっ」
オレ達の言葉を聞き、ギルくんは笑った。
「君たちぶっ飛んでるね。相手がどれ程醜悪で根深いのか知ってるのかな?“エインズワース家を滅ぼす”“美遊を助け出す” その二つの願いは殆ど同質だ。それに、そこのお兄さんに関しては二人のために世界を敵に回す覚悟までしてる......」
「当たり前だろ...「本当にそれが出来る?」...なんだと?」
「見た所戦えるのは君だけ。他の二人はろくに武器も持っちゃいない。僕たちを打ち破ったあの姿は? 黒い方の僕を消し飛ばしたあの蒼い閃光は? たしかに、ヴィマーナを
ギルくんの言う事は正しい......。
俺一人なら、奴らくらい、めちゃくちゃに暴れ回れば勝てる。けど、イリヤちゃんに美遊ちゃん...それに田中まで守りながらでは...まず間違いなく勝ち目はない......。
けどな、それでも......。
「男には、やらなきゃならねえ時があるんだ...!!」
「やらなきゃならない時...か。そっか、うん。でも
────面白い!」
「「へっ...?」」
ギルくんの言葉にオレはイリヤちゃんと共に素っ頓狂な声が出る。
「行こうか。なに、僕も僕でエインズワースに用が無いわけでもないから」
「あ、案内してくれるの!?」
「...錆びれて退屈なこの街と、そのお兄さんに感謝しなよ。じゃなきゃ、僕もこんな気まぐれ起こさない」
オレ...?そんな気に入られるようなこと言ったか......?
「......はっ!? 話長かったので田中、寝てました!何がどうなったです!?」
いや、大事な話してただろ寝るなよ...!!
これには流石のギルくんも呆れてるぞ......。
「寝てたの?......ま、まあ目的はそれぞれ。目指す場所は一緒。案内するよ。エインズワースの工房は
────クレーターの真ん中にある」