Fate/Drag Emperor ドラゴマ☆ゴセー 作:ギミ
「空中から剣が...!?」
その女の背後に従えるように浮いてる大量の剣を見て、その光景にイリヤちゃんが圧倒されている。
「貴女は誰ですか!? 金ぴかでかっこいいです!!」
田中さんは呑気にこんなことを言い出す。
『田中は田中です!!』と元気に自己紹介
いやいやいや...!! 今はそんなこと言ってる場合じゃねえ!!
「はいはい、少しは空気を呼んでよね。このシーンはちょっとした.....」
「....絶体絶命なんだから」
「なんてことった...戻って来たのか...ッ!! 逃げろ...ッ そいつは......その女は...」
危険だッ!!』
美遊ちゃんの兄の叫び声が聞こえる。
いや、こりゃ逃げたって無理だろ。オレ一人ならなんとかなるかもだが......
二人を護りながらだと確実に......
逃げられない...。逃げても、誰か確実に死ぬだけだ
「お前たちの目的・侵入方法を答えろ。三秒以内に答えねば...」
「一人ずつ殺していく」
「3」
......ここは、オレが行くしかないか、オレならアイツにターゲットを釘付けにさせたまま倒すくらいできる!!
「に、逃げろって言われても!!」
イリヤちゃんが困惑してる。今の状況を理解出来てないのか?
「2」
仕方ない...やっぱここは「お兄さん、動かないでね?」...んん...?
「1......」
「一人目だ」
女は剣の一本を弓で射る矢の様に放つ。射出された剣がイリヤちゃんに迫る。
イリヤちゃん!! あぶないッ!!
慌てて飛び出そうとしたと直後、イリヤちゃん目掛けて放たれた剣の前にギルくんが立ち不敵に笑う。
(ズボンッ!!)
すると、剣はギルには当たらず、目の前の空間に溶けるかのように剣先から消えた。
「へっ...」
「はら?」
「いいっ...!?」
「......なんだ? 何をした......」
「何をした貴様......!!」
それを見た奴はギル目掛けて残りの剣を一斉に射出する。
だが、全ての剣はギルに当たらず、一つ残らず消えていく。
「十二本、総数に比べれば塵みたいな数だけど......」
「
......まさかとは思ったけど、やっぱりだったか
「んん? 何が起きてるです?」
「剣が飛び出しきて...。ギルくんが吸い込んだ!?」
アイツは...あの時の金髪ショタは......
オレが、そしてイリヤちゃんが戦ったアイツだ......!!
「こうして見ると贅沢で傲慢な戦い方だ。本来、一人の英霊に対し、宝具は一つ」
「そんな神話や伝承に謳われる宝具の原典を星の数ほど有し、それを矢の様に無造作に無尽蔵に放つ。故にアーチャー。故に最強。それこそ人類最古の英霊────────」
「──────英雄王ギルガメッシュ」
「その宝具は宝物庫そのもの、
「アンジェリカ」
英雄王ギルガメッシュ......?
そいつがギルくんの本当の名前だってのか?
『相棒...ソイツは神代の時代...オレたちが在るよりもはるか昔に存在していた英雄の中の王にして...最古の半神半人だ』
へぇ〜...。ドライグ詳しいんだな......。
そんなドライグの説明を聞きながら、俺は二人の会話に耳を傾ける
「まさか...受肉したのか?」
「さすが、理解が早い。まぁ、受肉と言っても半分だけだけどね」
「なるほど、財宝の一部が消えていたのはお前と二分したためか」
「向こうの世界で随分と遊んで来たらしい」
まあ、遊んでた...といえば遊んでた......か?
「君らにとっては幸運だったかもね。完全な受肉だったらこんな物語、僕が塗り替えていた」
「あ...あの......」
「カード風情がよく吼える。大人しく使われていれば良かったものを」
「ちょっと......」
「ああ、全く。傲慢や慢心まで真似しなくたっていいのにさ!!」
「ねぇってば...」
あっと...。そろそろイリヤちゃんが......
「全然話が見えないんですけどーッ!!!?」
あーあ、やっぱりそうなっちまったな......
正直、オレにもよく分かっていないけど......。
「あら?」
「むっ...?」
あ、これは完全に気にされてなかった感じだ......。
「いやぁ、この辺予定調和とイレギュラーが酷く入り組んだ話でさぁ」
「さっきから田中置いてけぼりで眠くなってきたでぐぅ」
「おーい田中ー、寝る場面じゃないぞー」
「ごめんね、ギル君!!おねむの人もいるからその話はまたの機会に!!」
「それより、オレたちが知りたいのは一つだけだ」
「ミユは何処 !!」
黄金の女もとい、アンジェリカに向かってオレたちは問う。
「知ってどうす『美遊は、城の中央......一番高い塔の最上階だ!! 頼む......美遊を』─
「が...アッ!!!!?」
アンジェリカが何かを呟くと、美遊兄の断末魔にも似た悲鳴が聞こえる。
「お兄さん...ッ!?」
「余計な口は寿命を縮めるだけだ」
「だがどの道無意味なこと。お前達はこの場で──」
「纏めて殺す」
そう言い捨て、アンジェリカは宝具を開くと、先程よりも多く宝具の原典を放とうとする。
やっぱりオレが......!!
「悟誠さん、イリヤさん。合図したらこの布で隠れて田中さんと逃げて」
ん...?
「えっ...でも、それじゃギル君は......!?」
「言ったでしょ。僕の目的は彼女の使ってる僕のカード。君たちは自分の目的を果たしなよ」
「一人で戦うのは無茶がないか? 武器の数だってお前より向こうのが多いってのに!! オレが一緒の方が確実に......」
「そしたらお姉さん達ふたりはどうするの? 武器もない二人が他のドールズと出会えば簡単に殺されるよ。悟誠さんが守らなきゃ」
それもそうなんだが......
「......わかったよ、けど、お前も死ぬなよ?」
「大丈夫さ、さあ、行って!!」
「頼む...美遊を...救ってくれ...ッ!! 《あの人》のためにも...!!」
あぁ、分かってるよ美遊の兄ちゃん。
だが、そのあの人って誰のことだ......?
胸元の金のペンダントを引き千切り、それをギルは投げる。
すると、ペンダントは眩い光を放つ。
その隙に、オレはイリヤちゃんと田中を背負い、その布を巻き付けその場から全速力で走り去った。
そんな中、オレは美遊兄が放った最後の言葉が引っかかっていた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
庭の中を駆け、高い塔への入口を探す。
「何処に向かってるです?」
「決まってるでしょ!! 美遊が捕まってる塔!!」
「けど、塔は見えてるのに行き方が分からないんだよな...飛ぶか」
「いつもなら空飛んですぐなのに......ぇっ...?」
「飛んで、窓を破壊して誘拐...その方が早そうじゃないか?」
「ぶフぅー!!」
急に田中が吹き出した。背中で噴き出すの...やめて欲しいんだが......
「夢見がちなお子様です!!人は飛べないですよ!!」
「なんでここだけ常識的な意見なの!?」
「なんかムカつく!! コイツにこんなこと言われるとは思わなかったんだが...!!」
「悟誠くんも落ち着いて!!!?」
とりあえず正面入り口に向かうため、オレたちは建物の正面玄関へと突っ込んでいった。