Fate/Drag Emperor ドラゴマ☆ゴセー 作:ギミ
side悟誠
「おっ、起きたみたいだな」
イリヤちゃんが起きた気配がしたので保健室に向かったオレは、壁代わりのカーテンを開け、顔を出す。
「悟誠くん!?それにバゼットさんまで!!」
「よっ、よく寝れたか?」
「精神と体力を余程消耗していたのでしょう。我々と合流してすぐに気を失ったので、拠点としていたこの学校に運びました」
バゼットがイリヤちゃんに、説明をしてくれる。
気づけば、外は夜になっていた。
「日が暮れてる...。私、結構眠っちゃった?」
「三時間程です。...なにがあったかは彼からだいたい聞きました」
「隠すことでもないから全部話したぜ?」
「あ、うん、ありがと悟誠くん...」
それ以外に方法はなさそうだしな。
「あっ、そういえば他のみんなは...」
「待てって言ってるでしょーッ!!」
そんな叫び声と足音が近づいてくる。
あー...来やがった......
「あっ!!」
そこにやってきたのはやはり
「イリヤさーんっ!! おはようです!!」
「ちょーッ!!?」
まるでルパンダイブの如く、半裸の田中がイリヤちゃん目掛けて飛び掛る。
あわや大惨事かと思いきや、そんなことはなく、田中はイリヤちゃんのベッドに飛び乗って騒ぎ出す。
「イリヤさんはおねぼーですね? 子供は寝るのが早いですか? 田中は大人なので眠くありません!!」
ヤホーイ!! と、何故かやたらとテンションの高い田中、原因は知らない......
「えっ...何そのテンション!? いろいろ言いたいことはあるけど、とりあえず服着てくれるッ!?」
「着てくれないのよ。なんなのこの人......」
クロが疲れたようにため息をついている。
こんなクロを見たのは初めてかもしれない......。
「クロ...」
「オレも手伝おうとしたんだけどさ...断られちゃって」
「女の子の着替え手伝わせるわけないでしょ!!!」
まあ、そう言われればそうなんだが......
合法的に女の子の身体に触れると思ったのに!!
『ギルさんが新しい服を用意してくださったのですが、なぜか田中さんたらお気に召さないようで』
「田中タイ...ソウ......フク? しか着ないです!!」
「名前すら朧気なものにどうしてこだわるの!?」
そこが謎なんだよな......あれは服じゃねえだろ
「それより、さっきひとりでおしっこ出来たですよ!! 褒めてください!!」
それはその成長度合いで言うことじゃねえな!!
と、そこにギルくんが帰ってきた。
どうやら体操服の替えが見つかったらしい......。
「はい、体操服。ワガママなお姉さんに着せてあげなよ」
これでとりあえずみんな揃ったな。
それを見てクロが声を上げる。
「よし、みんな揃ったわね。それじゃ始めましょっか」
「戦略会議よ」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「まず状況の整理からね」
クロは黒板に図を描いて説明を始める。
なぜか遠坂達みたいに眼鏡かけてるけど、そこはご愛嬌だな!!
「今いるこの世界は私たちが居た世界ではなく美遊が居た世界...。つまり、全く別の平行世界」
「おそらく、大空洞周辺の数百メートルの空間ごとこの世界に飛ばされてしまった...と」
あぁ、確かにあの時そんなこともあったな......
死にかけてたからあまり覚えてないけど
「オレやイリヤちゃんが来た時、誰も傍にいなかったらしいけど......」
『どうも、皆さん飛ばされてきた時間には数日の誤差が出ているようです』
ルビーの説明に、オレは納得する。
それなら確かに誰もいなくてもおかしくは無いのか
「私とクロエは、二日日ほど前に飛ばされてきました。平行世界への移動など完全に魔法の域......正直、今でも信じ難い状況です」
バゼットはこの状況を信じられなさそうに話す。
魔法...か、なんだっけ、『チンカラホイ』...とかの呪文唱えるようなアレか?
しかし、大の大人が小学生用の机の椅子に座ってるのって、なかなかに面白い絵面だな......。
「けど、まさかミユが平行世界に住人だったとはねぇ......」
「彼女からしてみれば君たちが平行世界の住人だけど」
ギルくんが話腰を折るように机に足を掛けながら言う。
「ギルガメッシュ君。授業態度が悪いわよ!!」
「堅苦しいのは無しだよ、
ギルは隣で眠っている田中さんを指差す。
「その子はいいの、寝てくれてた方が静かで」
確かに、正直一番話を聞かぬ理解せぬが田中な気がするな......。
「......ミユはクレーターの中心にある敵の工房に囚われてるのね」
「お姫様は“完成してる聖杯”だからね。エインズワースが手放すわけがない。
「でも、彼女を聖杯として機能させるには面倒な手順が要るらしいよ」
「その手順がいつ完了するのかはわからないけど......そう猶予はないかもね」
その言葉にイリヤちゃんは俯いて口を閉ざしてしまう。
「さしあたって、分かってる敵の戦力は三人」
クロが黒板に例の三人を描く。
絵のセンスは遠坂とどっこいどっこいか......。
「アンジェリカが使うカードは『アーチャー』...。ギルガメッシュ」
「僕のカードだね」
「イリヤ達と再会したらしれっと仲間になってるってのがまず信じられなかったんだけど......」
まあ、オレもそれはすごく思ってた......
頼りになるから何も言わなかったけど
「仲間じゃなくて一時的な協力関係。利害が一致してる間は味方だよ」
そんなギルくんを、バゼットは険しい目つきで見ていた。
「それでクロ、ベアトリスのカードは?」
「それは予想がつくわ。あれは......」
『雷神トール......ですね』
ルビーがベアトリスのカードの英霊の名を言う。
「透?」
「雷神 透? 人の名前か...?」
「トールよ! ミョルニル=トールハンマー!! 知らないの!?」
いやぁ、知らないな。向こうには神様、界王様、界王神さましかいなかったし......。
こっちの神様は複雑すぎて覚えらんねえや
「北欧神話の最強の神です。それこそ信じ難い......悪夢のような話ですが」
「主神オーディンすらも超える信仰を集める雷神......」
「もしその力を十全に振るえるのだとしたら」
「その戦力は人の域を凌駕する!」
へぇ、そんな凄いやつなのか、アイツが使ってる時はそんな風には見えなかったけど、弱かったし......
「どうにもインチキ臭い話だけど、なんにせよあのカードはやっかいだね」
「現状、
まあ、悟誠お兄さんには関係ないみたいだけど、と笑ってくるギルくん。
まあ、オレならアイツをぶっ飛ばせるだろうけどな、ついでにあの金ピカツインテも......。
「対抗策ならあります」
不意に立ち上がったバゼットが三枚のクラスカードを叩き付ける様にイリヤちゃんの机の上に置いた。
「私が保持していたカードですが当分の間、預けます。これらを持ち帰ることが私の任務でしたが...。現状、このカードを使いこなせるのはこの中では一人」
「現状を打破できる可能性があるとしたら、イリヤスフィール。貴女と孫悟誠の二人です」
オレが単身突撃して城ごと破壊してきてもいいんだが......
わざわざイリヤちゃんにやらせるのもな......
「それじゃ、イリヤは一通りカードの
[ぐぎるるるるるる...]
クロが言いかけたところで、不意にそんなデカい音が響く。
音のした方を見る......。
「おなかがせつないです......」
あぁ、田中、腹減ったのか......
「いったん会議は切り上げようか。そろそろディナーの時間でしょ?」
ギルくんがそう提案してくれるけど、食べるものなんてあるか...?
「でも、食べる物なんて......」
「木の根っこならまだ蓄えがあります」
バゼットが自信満々に木の根っこを差し出すが......。
「それはもう二度とごめんよ!!」
「食べたの!?」
それしか食べるものがなかったんだろうなぁ......。
「出前でいいよね?」
何故かやたらとかっこよく金ピカの携帯を取り出して見せたギルくんがどこかに電話を始めた。
恐らく出前先の店に掛けているんだろう......。
あ、そうだ...
「ギルくん、悪いんだけど、オレのは三十人前くらい頼む」
「えっ...!?」
イリヤちゃんがすごい顔してる...なんかおかしなこと言ったか?
「あーはいはい...分かったよ。もしもし?」
ギルくんはとくに反応はせずにそのまま電話を続けている。
ふふ、久しぶりに腹いっぱい食べれそうだ......。