Fate/Drag Emperor ドラゴマ☆ゴセー 作:ギミ
side悟誠
「醤油ラーメン麻婆控えめ
ギルくんが出前を頼んで少し、その出前はやってきた。
そしてそれは、まさかのあの時のラーメン屋であった!!
またあの激辛麻婆ラーメンを食べさせられるのかと身構えたが、どうやら違うらしい......。
「さすが、早いですねおじさん! でも頼んだのは麻婆抜きだったんだけどなー」
ギルくんは慣れてるのかそつなく相手をしている。
対してイリヤちゃんは教室扉の影から少しだけ顔を出して怯えたように様子を伺っている。
『イリヤさん?どうして子羊みたいな怯え方を? いけませんよ、そんなにわたしの嗜虐心を煽っては...!!』
あのロクデナシステッキ、そろそろ本格的に叩きのめさないとダメかもしらん......
「はっ!!豚の背中付近の油と大豆を発酵熟成させたみたいな匂いがするです!!」
「餌付けで躾られないかしらこの子......」
クロ...お前の中で田中は犬か猫と同じ括りなのか......?
「税込三十八万円五千円だ」
「わぁお、それなら金額百枚で足りるかな?」
対してこっちは凄まじい額のやり取りをしていた......
それ、どうみたってボられてるだろ...。
それでいいのか英雄王......
「...エインズワースの工房に行ってきたよ」
そんなギルくんの意味深な言葉に......
「......丼は校門の前に置いておけ」
と、何の反応もすることも無く行ってしまった。
「...............」
しかし、その先にはイリヤちゃんが隠れている訳で......
様子を見ているので当然鉢合わせしてしまうわけで......
「......あ、えっと...」
ビクリと身体を強ばらせた彼女は警戒したようになにか話そうとするが、何も出てこない。
「.........あの
店主はそれだけを零すとそのまま行ってしまった。
「行っちゃった...」
『なんですかあのムッツリっぽいラーメン屋さんは? 胡散臭さがカンストしてますね』
それはお前も同じだぞ?ロクデナシステッキ......。
「どうしたの二人とも、早く食べないと伸びるわよ?」
それもそうだな。
「おう、いただくよ」
「.........ごめん、私、やっぱりいいや...誰か食べちゃって...」
「ズルルーッ!! カカカカッ んあ?
「うん、ちょっと食欲湧かなくて...」
「いやその前に悟誠は食べるか話すかどっちかにしなさいよ!!」
あ、そうか......
[ズルルーッ!! ゴクンッ]
「......ちゃんと噛みなさいよ...」
「あはは...足りなかったら悟誠くん食べていいよ? 私ちょっと外見てくるね」
そういうとイリヤちゃんは教室から出ていってしまった
「イリヤちゃん、昼に食ったアレのこと気にしてんのかな...」
まあ、それだけって訳じゃなさそうだけど
「...........」
その様子を見ていたクロが後を追って出ていってしまった。
どうかしたのかと見送ると......
『相棒、二人を追え。あの様子だ、なにかやらかすぞ』
何かって...。わかった、とりあえず平らげねえとな
一息に最後のラーメンを啜り飲み下し、オレは二人の後を追う......。
馬鹿なことするんじゃねえぞ、二人とも
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
気配を頼りに向かっていると、上の方から轟音が聞こえてきた。
「なんだ!?」
すわ敵襲かと思い、気配を探るが、それらしき気は感じ得ない
『とりあえず向かってみろ』
あぁ!!すぐに行こう!!
オレはすぐさま音のした方へと駆け出した。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「音のするのは...ここからか」
そうして辿り着いたのは学校の屋上だった。
激しい音は未だに続いている。
それに、ここに来てようやくわかった...これは、戦いの音だ!!
イリヤちゃん達が...戦ってる!?
クロが、イリヤが、同じ剣を手に突っ込んでいる!!
「っ...何してんだよ、おまえらッ!!」
オレは、そのまま流れるようにその間に割り込んだ。
刹那、凄まじい衝撃波が放たれた......。
◆◇◆◇◆sidechange◇◆◇◆◇
屋上で突然、クロに襲われた私は、なんとかカードを駆使しながらその攻撃を迎え撃っていた。
なんで...なんでこんなことになってるの...?
私にはクロが何をそんなに怒ってるのか分からない。
だから問い掛けた。
何故そんなに怒っているのか...言ってくれなければ分からないと......。
するとクロは......
「...知らない世界にひとりぼっちの寂しさも、とても敵わないような敵への恐怖も」
「ミユは口にしなかったわ」
「...えっ?」
あ──...
そうだ、ミユは......
今の私と、同じだったんだ......
「ようやく気付いた? あなたが今抱えてる不安は、恐怖は、かつてミユが
「どれだけ心細かったか、怖かったか...、
今ならわかるでしょ?」
「でも、ミユはそんな気持ちを、ついに誰にも打ち明けなかった。あの悟誠にもよ?」
私がミユだったら、好きな相手に頼って力になって欲しいと思うけれど...とクロはさらに続ける
「あの子の友達だって言うなら、私たちは弱音なんて吐いちゃダメなのよ...。私たちに弱音を零してくれるまでは......」
「......」
そうだった...。ミユは、弱音を吐かなかった。
知らない世界で、家族も知り合いもいない......。
そんな中で、必死に生きてた......
わたし、バカだ...そんなことも分からなかったなんて......。
クロは、それを私に分からせる為に......
「まだよ」
突如、クロが全身に力を込め、その鎖を弾け壊した。その手にはとても見覚えのある大振りの剣が......。
「まだ終わってない」
「......!! その剣は──!!」
なんでクロが...その剣をッ...!?
「加減無しよ!! 本気で受けないなら...」
「殺すわ!!」
猛スピードで私に迫るクロ......。
っ...もう、やるしか...!!
私はカードを上書きで召喚して迎え撃つように駆け出す。
そんな時だった......。
「何してんだよ!! おまえら...ッ!!」
そんな声と共に人影が私とクロの間に割り込んできた。
その直後、私たちは物凄い衝撃にそれ以上動けなかった......。