Fate/Drag Emperor ドラゴマ☆ゴセー   作:ギミ

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お待たせしましたです






前話の後書きにおまけの話を追加しました


VSキャスター

side三人称

 

その日の夜、悟誠を含めた五人は再び鏡面界へとやって来ていた。

 

 

接界(ジャンプ)完了!一気に片をつけるわよ!」

 

「二度目の敗けは許しませんわよ!」

 

 

「「「了解!」」」

 

凜、ルヴィアの合図で一斉に三人が走り出す。

 

 

「いくぜ!赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)!!」

 

『Boost!!』

 

悟誠の左腕に神器が装着され、機械音声が鳴り響く。

 

そして心配の種の美遊はといえば......

 

 

『いけますか?美遊様』

 

 

「大丈夫」

 

そんなやり取りの後、地を蹴り、空に跳んだ。

 

比喩ではなく、文字通り跳んだのである。

 

 

「な、なぁドライグにイリヤちゃん...アレってさ」

 

 

『あぁ、相棒の思っている通り......』

 

 

『飛ぶっていうより、跳んでますねー』

 

 

「と、とりあえずは安心...かな?」

 

そんな事を話していると、イリヤの背後に照準のレーザーのようなものが迫ってくる。

 

 

「うおっとぉッ!!大丈夫かイリヤちゃん」

 

 

「う、うん...って、え?あわわわ...っ!」

 

間一髪のところで悟誠が抱き上げると、武空術で空へと飛び上がる。

 

 

「なっ...なんでアイツが空飛んでんのよ!!」

 

等と凜達が驚いているが気にするものは誰もいない。

 

魔方陣の上まで飛び上がった悟誠は腕のなかで茹でダコの如く真っ赤になったイリヤに声をかける。

 

 

「イリヤちゃん、攻撃で驚いたろうけど、今は敵に集中してくれ」

 

 

「う、うん...そ、そうだね...!」

 

まだ赤い顔を振り、イリヤも目の前の敵に意識を向ける。

 

 

『さあさあ、この空がバトルフィールドですよー!敵勢力を排除して制空権を我が物にするのです!』

 

 

「な、なんかテンション高いね!」

 

 

『相棒、相手は遠距離型だ、接近戦に持ち込めば有利に戦えるだろう』

 

 

「分かった!二人とも、オレが突っ込むから隙を見て攻撃してくれ」

 

 

「分かった!」

 

 

「了解です」

 

二人の言葉を聞いて、悟誠はキャスターに向かって突っ込んでいく。

 

 

「うおおぉぉぉおおおおっ!!」

 

『Boost!!』

 

十秒が経過し、悟誠の力が倍加される。

 

孟スピードで突っ込んでいく悟誠に気づいたキャスターは悟誠に向けて魔力砲を向けて放とうとするが......

 

 

【シュンッシュンッシュンッシュンッシュンッシュンッ!!】

 

悟誠の姿が突如ブレ、あちらこちらで悟誠が消えたり現れたりしながら移動してくる。

 

 

「ッ!!」

 

あまりの早さに目が追い付けないキャスターは狙いをつけられない。

 

 

『Boost!!』

 

「オラァッ!!」

 

突如聞こえる機械音声、それと共にキャスターの目の前に現れたり悟誠がキャスターの腹部に重い一撃を叩き込む。

 

 

「ーーッ!!」

 

凄まじい一撃にたちまち苦悶の表情をするキャスター。その隙を逃す悟誠ではない。

 

 

「まだまだぁっ!!」

 

間髪入れずにラッシュを叩き込んでいく。

 

 

「だらあぁぁぁぁっ!!」

 

ラッシュを叩き込み、その勢いで鋭い回し蹴りを叩き込みキャスターを吹き飛ばす。

 

 

「────ッ!!」

 

吹き飛ばされるキャスターだったが、なんとか空中で体勢を立て直した。

 

伊達に英霊をやってはいないらしい

 

悟誠との距離が開いたことで魔力砲を放とうと展開するキャスターだったが、そこに......

 

 

「イリヤ!!」

 

 

「中くらいの...散弾!!」

 

 

「──ッ!!」

 

それなりの大きさの魔力散弾がキャスターに向けて撃ち込まれる。

 

しかし瞬時反応したキャスターは障壁を張りそれを防ぐ。

 

だが、それはブラフ......

 

その隙にキャスターとの距離を積めた美遊がクラスカードをサファイアに翳す。

 

 

「『ランサー』限定(インク)...」

 

そこまで言いかけたところでキャスターの姿が欠き消える

 

 

「「えっ...?」」

 

 

「消え...」

 

 

「美遊!!後ろだぁ!!!」

 

美遊がそう言い終わる前に悟誠が何かに気づいて叫ぶ。

 

反応しようとする美遊だったが、それより早く、キャスターの持っていた杖で殴り飛ばされてしまう。

 

 

「ミユさん!?」

 

『今のは...!?』

 

「美遊!? クソッ!」

 

地面へと叩きつけられた美遊は動けない。

 

 

「申し訳ありません美遊様...!物理保護の強化が間に合わず...」

 

 

「大丈夫、大したこと...っッ!?」

 

立ち上がろうとするが、足を負傷したらしく立てない

 

 

『美遊様 足を...!?』

 

 

「このくらい...治癒促進(リジェネレーション)ですぐ」

 

その直後、美遊の全身にレーザー照準が集中する。

 

 

「逃げなさい美遊!そんな集中砲火を受ければ障壁ごと......!」

 

美遊のピンチにルヴィアが駆け出していく。

 

 

「あっバカ!戻っ...!!」

 

怪我の影響で美遊は逃げることが出来ない。

 

 

「うおぉお...おぉぉおおおッッ!!」

 

 

【ドゴォッ】

 

 

【ババッ】

 

魔力砲を放とうとするキャスターが殴られるのと、美遊がイリヤに助け出されるのはほぼ同時だった。

 

 

「―――...!」

 

 

「......へ?」

 

まさかの事態にすっとんきょうな声をあげるイリヤ。

 

 

「大丈夫か?美遊」

 

キャスターを殴り飛ばした悟誠も美遊の元へ飛んでくる。

 

 

「イリヤ、よくやったな、美遊も大したことなさそうでよかった」

 

 

「う、うん...」

 

 

「ごめんなさい ...」

 

 

「良いって、後は俺に任せとけ」

 

 

「「えっ...」」

 

そこまで言うと、二人の返事を聞く前に悟誠はキャスターの方へと向かっていく。

 

 

「お前の相手はオレだ...かかってきやがれ」

 

 

「──ッ!!」

 

 

「いくぞ!!」

 

『Boost!!』

 

もう何度目かも分からない倍加の音声が響く。

 

 

目にも止まらぬ素早さでキャスターの周りを動き回る悟誠。

 

 

「ーーッ!?!?」

 

 

「でりゃっ!だりゃりゃりゃりゃっ!」

 

大きな隙を見せたキャスターに悟誠が勢いよくラッシュを叩き込んでいく。

 

叩き込んでは消え、別の方面から再度現れ、またラッシュを叩き込んでいく。

 

 

「......ッ!!!」

 

最早戦いとも呼べないそれに、地上の四人は呆気にとられて見ている。

 

 

「ねぇ、ルビー」

 

『はいはい、なんですかリンさん?』

 

 

「英霊って...人間に敵わないことってある?」

 

『いえ、それはまずあり得ません。アレは悟誠さんが異常なんです』

 

 

「うん、アレを見てたら英霊の強さが良く分からなくなりそう......」

 

『黒化しているとはいえ、英霊相手にあそこまで戦える悟誠さんはいったい何者なのですか?』

 

それぞれが思った事を述べる。その間にも戦況は進んでいる。

 

やがて悟誠がキャスターを蹴りあげると、両腕を構えて腰辺りに添えると何かを唱え始めた。

 

 

「かぁ...」

 

「めぇっ...」

 

「はぁっ...」

 

「めぇっ...」

 

やがてその手の中に青白く発光する球体が出現する。

 

 

「──ッ!!」

 

蹴り上げられたキャスターも大魔術で対抗しようとするがもう遅い。

 

 

「波あああぁぁッッ!!」

 

刹那、悟誠の両腕から青白い閃光が迸った。

 

 

「──ッッッッッ!!!!!?」

 

成す術なく閃光に呑まれたキャスターはその身を消し飛ばされ、カードだけが残されていた。

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

「それにしたって、まさかホントに倒しちゃうなんてね...」

 

遠坂凜は困惑していた。

 

以前から話は聞いてはいたが、にわかには信じられなかったのだ。

 

だが、現に悟誠は一人でキャスター相手に渡りあい、あたかもそれを降してしまったのだ。

 

しかし目の前でその光景を見せられては信じざるを得ない。

 

 

「悟誠くん...アンタいったい何者なの......?」

 

だからこそ気がつかなかったのだろう......

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私達に接近していたもう一人の人影に......

 

不意に襲ってきた笑劇と激痛に、私は意識を持っていかれた。


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