Fate/Drag Emperor ドラゴマ☆ゴセー 作:ギミ
side悟誠
「んもー!! 田中さんってば!! まるきり幼児みたいなことばっかして...!!」
「はは...保護者は大変だな、イリヤちゃん」
顔のラクガキを落としてご立腹なイリヤちゃんの愚痴を聞きながら苦笑していた。
「保護者じゃないよ!? というか、あれはもう記憶喪失とかそういうレベルじゃないよ......」
『田中さんの失われた記憶とは何なんですかね』
「ん? 急にどうしたルビー」
唐突に話に割り込んで来たからちょっと理解が追いつかなかったぞ.........。
『いえ、つくづく謎めいた方だと思いまして、出会った時からああいった感じで?』
「おう、最初の時から全然変わってないな...。どこから来たのかも...自分が誰なのかも分からないらしい」
「うん、後は分かってるのは『田中』って苗字と......」
イリヤちゃんが引き継ぐように話し出す。
『わたしとキャラが被ってる...ということだけですね?』
「いやもうそれはいい...」
お前や田中みたいなやつがこれ以上増えられても困るが、変に蒸し返されても困る......。
「エインズワースの関係者なのかとも考えてたが、向こうはアイツのことは知らなさそうだったし」
『なんともミステリアスでファンキーなベイベーだぜ』
「ムリにキャラ変えなくていいよ...」
ってか、余計おかしくなるからやめろ......。
『しかし、一度きちんと聞いておくべきでしょう。何を覚えていて、何を忘れているのか』
まあ、確かにその通りだな......。
いつまでもこのままってわけにもいかない
『一日くだされば自白剤を作れますが!!』
「不幸な未来しか見えないからやめて!!」
おいおい、自白剤って...なんか前にも似たようなことがあった気が......。
『悟誠さん、あなたのような勘のいいヒトは嫌いですよ...』
「ナチュラルに心を読んでくるんじゃねぇよ!!」
「あっ...あれは」
ルビーにツッコミを入れているとイリヤちゃんが何かを見つけたように上を見あげて声を上げる。
「どうした?イリヤちゃん。上になにか......」
イリヤちゃんの視線の先を追ってみると、その先にいたのは......。
「「田中(さん)!?」」
そう、田中は学校の屋上の、フェンスが破壊されて開けている場所に立っていた。
おいおい!! なんだってあんな落ちそうな所に立ってんだよ...!?
「何してるの!! 危ないよ!! 今日は風が強いんだから...」
イリヤちゃんが慌てて叫びながら近くまで走り寄ろうとするが......
「イリヤさ...あっ...」
田中がオレ達に気がついて手を挙げた直後、突風が吹き、田中のその身体を前に押し出した。
ちょっ...!!?
真っ逆さまに落ちていく田中......
「待て待て待てッ!!そんな投身自殺があってたまるかぁ...!!」
すぐさま駆け出し、落下してくる田中の下に滑り込む。
何とか支えようと試みるが、思ったより落下の速度が早く、その余裕はない......。
結果、オレは落ちてくる田中の下敷きになり......
「ぶい──ッ!!?」
「んぎゃああぁぁぁあッッ!!!!」
「田中さーん!!?悟誠く──ん!!!??」
落ちてきた田中に思いっきり押しつぶされる形でその身体を昔の漫画にあるような形で陥没させられた......
不幸だ......。
イリヤちゃんが駆け寄ってくる音を聞きながら、オレは上にのしかかっている田中をどうするか考えていた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「うわっ、何してきたのよ!? 泥だらけじゃない」
オレたちが戻った開口一番にクロがそういう。
「えうー......」
「ちょっと田中さんが大地に盛大なキスを...悟誠くんはそれの下敷きに......」
「ははは...はぁ......」
めちゃくちゃ尻に敷かれていました......。
『それは意味合いが違うだろう......』
「身体と服を洗った方がいい、風呂の準備をしましょう」
風呂...?
「えっ、お風呂あるの!? 私も入りたい!!」
嬉しそうなイリヤちゃんの言葉に、クロがなんとも言えない微妙な表情をしている。
「あー...イリヤ、期待してるとこ悪いけど、お風呂って...こういうのよ?」
そう言ってクロが書いたのはドラム缶に水を貯め、下から火で沸かすタイプの五右衛門風呂だった。
「へぇ、五右衛門風呂か、いいじゃん、いい汗掛けそうだ」
「えぇ...? まあ、悟誠なら普通に入れそうね......」
なんでクロはそんな呆れたような目でオレを見てくんだよ......
すると、横で聞いていたギルくんが口を開いた。
「なんだ、お姉さんたちお風呂に入りたいの? じゃあ...屋上でいいかな」
「えっ?」
「何が...?」
疑問符を浮かべるイリヤちゃんとクロ、同じくオレも訳が分からない状態だ......。
「あはは、ついてきたら分かるよ」
......今度は何をするつもりなんだ?
そうして歩き出したギルくんを、オレたちは訝しみつつもついて行くのだった。