※あらすじと実際の内容とは大きくかけ離れている可能性が常在戦場です。
みなさん、こんにちはー!
わたしの名前は立花響! 年齢は彼氏いない歴イコールの17歳!
趣味は人助け!
好きなものはごはん&ごはん&小日向未来!
体重はもう少し親しくなったら絶賛増加中!
えーと、今日はですねえ、ふらりと歩いていたら、街角で見つけてしまったわけですよー。
え? 誰かって?
じゃーん、雪音クリスちゃんでーす!
ほらほら、可愛いでしょ?
制服も可愛いけど、私服はもっと可愛いー!
どうやらお買いもののようですが、一人暮らしの割にはずいぶんとたくさん食材を買い込んでいますねー。
そして帰るわけですが…おおっと? 帰る方向がクリスちゃんの自宅のマンションと違いますよ!?
奥さん、これは事件ですよ! 事件の匂いがぷんぷんします!
さっそくあとを着けてみたいと思います!
いやー、赤いローファーもピカピカで可愛いですよね~。
軽くスキップすると、長い髪の先端もぴょんぴょん跳ねてます。
あの髪型、ウルフカットで、ダブルウルフっていうらしいですよ、みなさん知ってました?
わたしは美容室で「クリスちゃんと同じ髪型にしてください!」って頼んで店員さんに教えてもらいました。
もちろん髪の長さが足りなくて全然無理だったんだけどね!
ともかく、ウキウキな足取りのクリスちゃんが向かう場所は…おーっと、ここは通称『師匠の館』!
池のある広い庭に、道場や合宿設備も備えてあるお屋敷です!
かくいうわたしもここで様々な鍛錬を積んできました!
クリスちゃんは玄関の鍵を開けて、どうやら台所へと向かったようです。
こっそり庭先から、台所の方へと回ってみましょう!
大きな鍋をコンロにかけたクリスちゃん。花柄のエプロンを装着してとってもキュートです!
包丁でざくざくと具材を切って、どんどん鍋へと入れちゃってます!
調味料も、結構おおざっぱにガンガン入れてますが、大丈夫でしょうか!
しかし、一体何を作っているのでしょう?
立花隊員、いま、決死の覚悟で鍋の中身を確認すべく窓際に―――。
ぱきっ!
「…誰だッ!?」
にゃ、にゃおーん
「なんだ、猫か」
…ふう、危ないところでしたッ! どうにか誤魔化せました!
しかし、これ以上の接近は命が危険で危ないと判断します!
ここは少し下がりましょう!
く~、お醤油の煮えるいい匂いが漂ってきて正直堪らないのですが…おーっと、クリスちゃん、台所を飛び出して行きましたよ?
この隙に鍋の中身を…いやいやいや! ここはクリスちゃんを追ってみます!
クリスちゃんは玄関へダッシュですね! そして玄関には…。
「どうしたんだ、クリスくん?」
我らの師匠がいました! トレーニング帰りでしょうか、ジャージ姿です!
「おっさんが今日はオフって聞いてさ。せっかくだから一緒に飯でも食おうと思ってさ」
「ずいぶんと急な風の吹き回しだな」
「…ダメか?」
なんとここでクリスちゃん、上目使いのキラキラとした眼差しです!
これで断れる男はいるのでしょうか!?
「では、ありがたく頂戴するとするか」
さすがの師匠も一撃で陥落です! こんなのは当然ですね! クリスちゃんからあんな目で見られたら誰だってそーなる! わたしだってそーなる!
ああ、みなさんにもライブでこの素晴らしさを伝えたいッ!
ですが、無理なので、スマホに録画してデジタル永久保存したいと思いますッ!
と、そんなことをやっている間に、クリスちゃんと師匠は居間へと向かったようです。
師匠はテーブルに座って、クリスちゃんがおっちらこっちらと鍋を運んできましたよー!
なんと差し向かいで食事を始めました!
御茶碗にご飯をよそうクリスちゃん!
食べる師匠!
ななななななんですかこれ、まるで新婚さんみたいじゃないですかッ!!
これはダメです! レッドカードです!
ステイ! 師匠、ステーイ!
「…これはちゃんこ鍋か?」
「ああ、日本では縁起物なんだろ?」
「別に俺は力士というわけではないが…」
駄目です、師匠に聞こえてません!
こんなに心の中で絶叫しているのにッ!
クリスちゃんはわたしの嫁ですよッ!?
あ、もちろん本妻は未来だよー☆
つまりクリスちゃんは2号さんですね!
技の1号、力の2号!
「…美味い!」
「そうだろ? ちっとばっかり見てくれは悪いけどさ」
「いや、クリスくんは意外と料理が上手いんだな」
「意外とってなんだよ」
なんでしょう、二人してぽかぽか空間を展開してます!
羨ましい、羨ましい、そして何より美味しそう!!
しかし、残念ながら、わたしは草場の陰でハンカチを噛みしめるしかありません!
ああ、でも、せめて一口…ッ!!
ぐううううううううううううううううっ
「…何の音だ?」
「猫だろ。さっきから意地汚いやつウロウロしているみたいでさ」
…あ、危ない、どうやらギリギリセーフでしたね!
ここも少し距離を置いた方が安全でしょう!
「おっさん、あらかた具材は喰い終わったか?」
「ああ、堪能させてもらった」
「今から締めのうどんを煮るから、ちょっと待っててくれ」
クリスちゃんが鍋を持って居間から一旦退避するようです。
もちろんわたしもあとを追いますよ!?
「…ありゃ、うどん買い忘れちまったみたいだな。おーい、おっさん、ひとっ走り買い物いってくらあ」
なんと! 鍋をコンロにおいたまま、クリスちゃんは買い物へ行くようです!
今、台所は完全な無人となりました!
これはチャンスですよ~! クリスちゃん特製のちゃんこ鍋。
想像しただけでヨダレがじゅるじゅるです!
ぜひ賞味せねば!
この動画をご覧のみなさんに、その貴重な美味しさを、わたし立花響が、懇切丁寧にレポートしたいと思いますッ!
では、抜き足、差し足…。
蓋を開ければ…おおおっ、具はほとんど残ってませんが、やっぱり美味しそうな鍋です!
メインは鶏肉だったんでしょうか!?
甘じょっぱい醤油の香りに、たくさんの野菜の溶け込んだ豊かな風味が立ち昇っております!
それではさっそく一口…ッ!
がしっ
…あれ?
「…やっぱりウロウロしてたのはお前だったのか」
ク、クリスちゃん!? 出かけたはずじゃあ!?
なんということでしょう! 一転して、わたしはドキドキするほど大ピンチですッ!?
クリスちゃんが無言で怖いです!
ぎりぎりと締め付けられた頭があいたたたたた!
いつの間にかスマホのバッテリーも切れかけで、今まさにわたしの命とともに風前の灯!
わたしはこれからどうなってしまうのでしょうッ!?
みなさん、どうやらこれまでのようです!
さようなら、みなさん、さようならっ!
未来、さようなら! わたし、未来のことを心の底から―――ああッ! やめてクリスちゃんクリスちゃんやめて! 冷たいうどん玉が鼻の穴に入ッ
「この動画を今度の秋桜祭で上映しようと考えてるんだけど、どう思う未来?」
「こんな動画公開したらクリスは絶対に怒るし、そもそも盗撮だし、だいたいどうして響は無事に動画もって戻ってこれているの!?
ああ、突っ込みが追い付かない…ッ!!」