ポケ×ぎじ 蒼鋼少女   作:緋枝路 オシエ

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New(乳だけに)おっぱいの登場です!


Segment・penta――∞

大盛況するカイナの砂浜から、一旦離れて四時前になるまではカイナ市場や海の科学館を、遊び巡る事となった。

 

 カイナグループ・ロイヤルスイートホテルへ戻って、各自の衣装へ着替えてから、憂鬱や陰気なムードは今も昔もありませぬ!

 

「いらっしゃいっ! いらっしゃい!」

 

素材も投網したばかりの新鮮なら、従業員も活き活き!

 

 年配の方がやや多めだが、笑顔の数だけ若返りの福来たる。

 

 ホウエンの台所を支えている皆さんは、まっことお誘い上手。裏表無く見てけや、買ってけや、楽しめや。

 

 お魚をさばく無料サービスや試食コーナーもあるので、市場食堂が満席でもお腹いっぱいになってしまう! かもっ! 

 

「この壺には何が入ってるのですか?」

 

「手ェ突っ込んで確かめてもいいぜ! 蒼いお嬢ちゃん!」

 

 好奇心が訴えるままに、信楽焼の陶器の中へと手を差し込めば、新しい感慨が生まれる。

 

「…………ヌルッとしてます……海藻のアルギン酸ですねっ……」

 

「そン中に〝とあるアイテム〟が入ってるんだ! 見つけられたら良いことあるかもよ~?」

 

(…………どこっ、ここっ、ちがうっ……よっ、よっ……)

 

 行列の待ち時間に、子供達が遊べるちょっとしたゲームの様な暇つぶし。

 

 試食として頂いたお刺身を咀嚼しながら、ブラウスを肩まで巻くって壺底を探索……少し前のヴィヴィならば絶対にありえなかった光景が〝ありえる〟様になった。

 

 感情の起伏が無い から 小波小山を曝け出すくらいには成長している。

 

 抑制機能を取り除かれ、行列でも無ければ商品獲得が狙いでも無い「良いことがある」と店主が勝手に考えた信憑性が無く、取れなくても不都合の無い運試し。

 

 彼女は運に左右される要素を嫌っていた、絶対・確実と断言出来ぬ現象など合理的選択ではないからだ。

 

「…………取れました…………! エスパージュエル……ですね」

 

「おめでとーだぜお嬢ちゃん! 良い日になるって俺が保証するぜ! もう午後になってるって? ワッハッハッハッ!"まだ"午後なんだぜ! 一日はこれからだっ!」

 

 どんな理屈があり保証できるのか、今までの彼女なら問い詰めるか、最初から興味を惹かれずスルーしていたか。

 

 意味の無い一分間から、楽しかった一分間と思える事が出来る様になった。

 

 例え見つけられなくても、もう一回チャレンジしたいとか、何とかして見つけたかったなぁとか、感情を揺るがしたに違いないのだ。

 

(……………………チラッ、チラリッ……)

 

 ヌメってるので水流で洗い流す必要はあるけど……主力技の威力を高められる桃色の宝玉、バトルでの活躍は大いに期待できる。

 

「…………んっ? 凄いぞヴィヴィ!」

 

「……………………!」

 

 ジュエルゲットよりも、その一言の方が遥かに嬉しくて。

 

 無変の表情だけど、ヌメヌメジュエルをジックへ手渡しながら、ずっ~~と上目で見つめている。

 

 

 何か言う事あるんじゃない?

 

 

 そう訴えているのは明白だったので、とりあえずお褒めの言葉を掛ける。

 

(……確かに良い日になってますね……)

 

 右腕が海藻まみれになった見返りは、十分にあった。

 

 他の子達が居るから、リアクションは極端に薄くする様に急いでリミッターを掛けたけど、しっかりメモリに保存したので後で何回も聞き直そう、そうしようっ...

 

 

 

 

「オイオイオイッ!? このねーちゃんスゲェぞっ!」

 

 

「あんな細い身体の何処にどうやってラーメン9杯も入ってんだよっ!? そう言ってる間に10杯目に手ェ付けてるし~~!!」

 

 

 気分を高揚させ、先頭を歩いていたヴィヴィが、掘っ立て小屋の様な外観ながら創業50年近く、地元民から長らく愛されているラーメン屋の賑わいに耳を引っ張られる。

 

 決して広い店内ではないのに、野次馬達も入り込んで熱気に包まれる月一のイベント、早食い大会が行われているらしい。

 

 ヴィヴィは除く事になってしまうが、ジックメンバー一行はこのラーメン屋で食事したことがある。

 

 メニューは一種類しか無いけど、値段のわりにはインパクト抜群な麺量と、丼に咲いた花弁の様にレイアウトされたチャーシュー、背脂でコッテリと思えば案外あっさりめのスープ、カイナ市場で仕入れた煮干しの風味が好評でラーメン好きなら、毎日コレでもいいかなってくらい美味であった……

 

「この香りっ……バーベキューしたばっかなのに腹が空いてくるな……」

 

「同感ニャ~ね! 店のオヤジはネリちゃん達の事覚えてるかニャ? 野次馬がてら挨拶してくるニャ~!」

 

 

 食べないのにお店に入るのは、いけないんだけど……

 

 

 それでも店内の様子が少し気になる、細くて女性……しかも人化したポケモンとな?

 

 タマムシ食堂の大食い選手権で優勝した実績を持つ《最後の手持ち》を思い浮かべながら、暖簾と人だかりを避け――――

 

 

 

「はぁ……フー、フー……はっ、ズズズズッ、チュルッ、チュルルッ、むぐむぐっ……フッーフッー……ズルッ! チュッ! ングッ、ゴクッ……! 食べ終わった、スープも底まで飲み干したぞ店主殿!」

 

 

 

「はいっ! そこまでぇ~~! まさかデブ野郎共に囲まれた華奢なねーちゃんが一位になるとはなぁ! 飯代はタダだ! そんでもってコレが賞金だ! あんがとよぉ!」

 

「ありがとうございます、これだけ食べても飽きが来ませんっ、この味に辿り着くまでは艱難辛苦の連続だった事でしょう。このラーメンを食べる事が出来て私は幸せです、折角ですのでもう1杯注文してよろしいでしょうか?」

 

「え゙ぇッ゙!? まだ食うのかいねーちゃん!? 超大盛り10杯ってじんじょーじゃないんだぜっ!? 追加する奴ぁ初めてだぜ!」

 

「この日の為にお腹を空かせて来ましたので!」

 

 

 

 なんか凄い人(ポケモンだけど)が居る……巨漢の男共との差を二杯分引き離し、優勝賞金を袖の中へ納めながらも、胃袋と舌が満足してないらしく超大盛りの追加オーダー? 

 

 骨細だが弱々しく、頼りなさげな佇まいを感じさせない、薄く化粧を施した凜としている表情は、大人の余裕が窺える。

 

「はふっ♪ はっ……ちゅるるるっ……」

 

 跳ねる汁すら艶やかに、長く伸びている横髪を耳元へ乗っけながら、早食い時がアギルダーなら現在はヤドランの素早さで、最後の一杯をご賞味。

 

 他の席でぐでり込んでいるピッツァ達は、マジかよっ……腹の中ブラックホール……芸能デビューのお声掛けから逃げてきた様な、女性が憧れる女性、神の寵愛を受けたナイスプロポーションの女性へ、興奮と賛美を送りながら息の根を止めていく。

 

 

「…………しっ! ししょ~~~!!」

 

 

 並外れた美貌を持つそのポケモン、種族名は……ぶじゅつポケモンのコジョンド。  

 

 

 銀が混ざった白髪を後ろでシニヨン風にまとめ上げ、山吹色のグラデーションを肘近くまで伸ばした横髪の毛先に施している。

 

 シニヨン部にも紫陽花色のグラデーションがあり、衣装の大半も白+紫陽花の色調で組み合わせており、さらっとしながら落ち着きのある印象で彼女の性格を体現させている。

 

 本来の姿の耳を思わせる、癖っ毛と短眉が〝ししょ~〟であると決定づける!

 

 文字通りの死闘相手、ヴィヴィが自我を得たキッカケにもなった黒いリザードン、ザムヤードもチャイナ風ドレスであったが、こちらは腰までスリットを刻みながらカンフーパンツを穿いている。

 

 その理由接近戦が主体になる格闘タイプなので、必然的に丈長を選ぶ必要があるからだだ。わざと下着を見せる趣味も彼女は持ち得てない。

 

 

……手甲を使用した打撃が得意なのに、鬼短いミニスカを穿いた蒼い子が隣に居るが……それぞれの好みもあるので、『これが絶対!』のファッションは無い。メコンや爽羽佳だって改造しまくってるし。

 

  

 しか~し! 菱形に抜き取られた胸元にはメッシュ加工が成されFighterでFascinateなFカップが屹立しているではないかッ!?

 

 

 ただ肌色を増やせばイイってモンじゃない、大人の色気に拍車を掛ける〝魅せ〟を把握している。

 

 萌え袖どころか、ぶかぶかの袖余り、お箸を持つ時はちゃんと指を出すがそれ以外の場面で、彼女の手を袖奥から露出させる事が出来れば大した物だ。

 

 

 袖口には8を横に並べた  の記号を一定間隔で刻んでいる。誇り在るニックネーム《インフィス》の由来となった『インフィニティス(無限)』の強さと可能性を求め、旅を続ける彼女は…………

 

 

「ネリッ! 主もっ! 皆久しぶりだなっ、ホウエンに帰ってきたから数日後には、主の家を訪れるつもりだったんだ! カイナシティで会遇出来るとはなっ、海水浴に来ていたのか?」

 

 とっちめた過去のある、冬でもビキニ姿のマニューラ――――あの頃はニューラ――――に背後から声を掛けられたら、超加速でラーメンを食べ終えたらしく、お手拭きで口元を拭ってから店主へと一礼。

 

 最後の一杯分のみの代金を支払ってから、仲間達との思いがけぬ再会を喜びながら抱きついてきたネリを、袖越しにポンポン撫でる動作一つ取っても、独特な色気が醸し出ている。

 

 年長としての魅力だろうか? と言ってもジックメンバーで唯一の成人済みだけど、22歳なので年の差はそれほど無いのだが。

 

「早食い姉ちゃんってワードだけで、ししょ~な気がしたんニャけど、本当にししょ~だとは思わなかったニャ~! 相変わらずエッチぃ食べ方ニャし♪ 参加者の集中力を削いでいたニャ!」

 

「私はそんなつもり無いのだが…………スープが髪で汚れてしまうだろう」

 

 髪がスープで汚れる ではなく スープが髪で なのがインフィス。

 

 新陳代謝や基礎代謝が優れており、摂取カロリーが膨大でもすぐに消費されるので、お腹周りが気になるメコンや、体操サボると養鶏になる爽羽佳からは特に羨ましがられている。

 

 彼女とて恵まれた体質任せにするのではなく、鍛錬を怠らないのでメリハリの利いた、体型が崩れないのである。

 

 生きる事は修行その物である、修行と苦行を勘違いしてはならない、命絶えるまで修行は続く。

 

 歩み始めたら止まってもいいが、逆走はするな。止まるのは自らの道筋を確認する時のみ。

 

 弱い自分を打ち砕きながら、信念を磨き鍛え、武器は己の肉体のみとする武人。

 

 身体を触ることが出来れば、女性にしては筋肉質である腕や腹筋を持っていると判明するだろう。勿論、気軽に触って良いのは仲間の女性陣と、新しい主として認めたジックだけだ。

 




ジック最後の手持ちは、コジョンドでした! 皆さんの予想は当たっていたでしょうか? 

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