ポケ×ぎじ 蒼鋼少女   作:緋枝路 オシエ

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コジョンドはポケモンの中でもトップクラスのエロスを内包している!


Segment・penta――秀麗闘舞

「なぁぁっ! 世の中上手く行かねぇからオモシレーんだよなぁ小僧っ! オジサンまぁ~~たフラれちゃってよぉ!…………あアァぁーー!! オモシロクねェナ゙ァァッ!!」

 

「あっ、ハイッ……そうですね……すみません僕未成年なのでお酒は……」

 

「俺のかな~しみを~共感してくださいよォ~??…………飲めッ飲めッ、オジサンが全部奢ってやらぁ! キンセツのスロで五万買って来たんだゾー! 俺は大金持ちだ! ヴァファファファ!!」

 

 数十メートル先から聴こえる、人を不快にさせる酔声と、肩に手を回されながら一升瓶を口に付けさせる寸前の少年。

 

「ですから僕はお酒が飲めない年齢なんですよぉ……それと貴方とは知り合いでも何でもありません!……離してくださいよぉ……」

 

「じゃあこーしよっ! 今からアンタとオジサンはトモダチ! トモダチの頼みは聞いてくださいよぉ~~??」

 

 至近距離でドスを利かせた声を出しても、全く聞き入れてくれない中年親父に困り果てている店主から話を伺うに……

 

 食事処の店外席に座っていた少年が、110番道路方面から既に千鳥足だった場末感がプンプンする、ビール腹タンクトップ親父に絡まれてしまい、ポケモンバトルで倒すか警察に通報するかで店主は迷っていたらしい。 

 

 少年はポケモンセンターに手持ちを預けている最中の、お昼ご飯として店を利用しているのでバトルが出来ない。

 

 そうでなくとも価値観が古い、ウザ親父に何の因果か捕まっているのか...気弱な性格ながらそろそろ顔面を殴り兼ねない、右手を丸め震えさせている少年は一触即発。

 

 ここで少年が殴ってしまえば、逆に少年が警察のお世話になってしまう加害者だ。

 

「殿方よ、少年は昼食を食べている最中だぞ? この店にも迷惑が掛かっている、飲酒なら自宅でするといい、博打で稼いだのなら酒風呂なんて試し」

 

「あぁ? 俺がトモダチをなんで離す必要があんだ? おっぱいデカいコジョンドのねーちゃんや?」

 

「友達なら尚更だ。気乗りしてないのに無理矢理付き合わそうとす」

 

「あぁーー!! オジサンを苛めるようとしてるんだー! そーゆー奴は社会の厳しさ教えてやんよォ……くっ、ヒッ! いけぇフローゼルゥッ!」

 

 これはダメだ、会話だけで退場願おうとしたがやっぱりこうなった。

 

 激昂した枯れ声だけど、狂酔しているからニヤ付き顔のまま、少年の首に腕を回し引きずりながら店外へ。

 

 

 するとポケットからモンスターボールを取り出し、フラ付いた動作で前方へ落とし込むと、うみイタチポケモン、フローゼルが飛び出てきた。

 

 

 漁師町では人化、本来の姿問わずに良く見かけるポケモンで、発達した浮き袋をボート変わりにした人命・ポケ命救助や、獲物を捕る手助けをしてくれたりと、人間とは広範な交友ネットワークを築き上げている。

 

 トレーナーが酔っ払いなら、ポケモンも酔っ払い。アルコールは摂取してないハズだが……影響を受けているのか、パッチールを思わせる不規則な足取りで眼も瞑ってしまっている。

 

「アクアジェットォ!」

 

 ……が、指示を聞いた瞬間、ピントを合わせた本来の目付きを取り戻し、そこに海や川があるかのモーションのまま水流の如く勢いで、無構えなインフィスへ突っ込む!

 

 リアル不意打ち、からの先制攻撃の二重奏。アクアジェットは発動までの準備が要らず、すぐに攻撃へと移れるフローゼルの代名詞。 

 

 フローゼルはかなりの敏捷さを持つ、一見すれば優先度の高い先制攻撃技とはアンチシナジーだが、『相手が先制技を使っても、その技より先に発動出来る』

 

 先制技を同時に使ったら、素の素早さが適用されるので元から素早いフローゼルは、先制合戦に強い! そうでなくともダメ押しにもなるので使う機会は多く、標準装備と言っても過言ではない。

 

 酔っ払い親父も本当は酔っていなかった? ボールから現れた絶妙なタイミングで、指示を下していた。

 

 

「不意打ちにしては遅緩だな」

 

 

 ご機嫌な気持ちを取り戻していたのにっ、その生意気なデカ乳にお仕置きだっ!

 

 

 酔いどれ親父とフローゼルの思惑は、たった一撃で阻止された。

 

 

 出会い頭の一発……が、得意なのはインフィスもだ。

 

 

 政府が公認した専門用語《優先度》

 

 

 通常よりも+1がアクアジェットだとすれば、インフィスが繰り出した先制技は+2とでも表せよう。

 

 先制技が重なれば、より優先度の高い技へと低い側が、潜在意識的に順番を譲渡してしまう。

 

 なのでこの場合は、フローゼル側が生まれ持っての素早さで勝利していても『ハイ、どうぞ』と無意識の内に、インフィスへ〝おさきにどうぞ〟なレディーファーストしてくれた状態になる。

 

 種族が持ち得る素早さを凌ぎ、片手を真っ直ぐフローゼルへ向けながら、もう片腕を腹に当て音の塊を発射する感覚で目元を遮らせる、ねこだまし。

 

 この技最大の特徴は確定で相手を怯ませる効果に尽きる!

 

 フィールドに出た瞬間、対戦ゲームで表せば1ターン目のみしか使用出来ない条件付きだが、その怯ませ効果は特に複数戦では任意のポケモンを封じられるので、ある意味では最重要な技とすら評価されている。

 

 

 ダメージもごま塩程度、誰も倒せないが優位性を握る事が出来なかったフローゼルは、無理に閉じさせられた瞳を開け次の命令を――

 

「おうふくビンタ!」

 

 頬に左右から四連撃、身体が倒れ込む威力っ……

 

「おうふくビンタ!」

 

 軸足で支え直す必要は無い、後方へ移動完了していたコジョンドが、僧帽筋へ五回、袖越しから平手を食らわせ逆方向へと押し――

 

「はっけい!」

 

 最後まで傾けないメトロノーム。

 

 再び後ろから前へ、身体の内側へ気をたたき込む掌底、はっけいでの強打。

 

「…………ヘっ? ハッ……? フローゼ――」

 

 運動神経が末梢へ伝わらないっ、伝達を鈍らせる麻痺作用がフローゼルの脊椎経路を減少させ、セールスポイントの素早さはカビゴンよりも鈍重に――

 

 

「鍼灸でなくてすまんな、外治法だ、きつけ!」

 

 

 連続攻撃を始めると、誰も止められない(ポケモン図鑑説明から引用)

 

 

 

 鋭くも流麗な武術は、一つ一つが美しさで構成された演舞。

 

 〆の一発は手も脚も使わず、胴着帯の様な形状の尻尾でくるんっと、回転間際に浮き袋へクリーンヒット。

 

 気功術を付与させ、相手の麻痺状態を完治させてしまうが、代金代わり(?)に威力を倍化させるきつけ。

 

 折角の状態異常を治癒させるので、使い勝手は良くないがセルフで麻痺にさせる技を所持するインフィスは、器用巧みに使いこなしている。

 

「これにて閉幕、対戦ありがとうございました」

 

「??…………? えっ? 何もしてないんだけど……? 何がっ……起こった……??」

 

 

 アクアジェット、か~ら~の~……敗北!?

 

 

 先制攻撃したと思ったら、自分のポケモンが倒れていた。そう説明するしかない。

 

「酔いは醒めたか? 武力行使になってしまって申し訳ない」

 

「あっ、え……こっちこそ……スンマセン……」

 

 俺は本当に酔ってしまっていたのかもしれない……旋風に過ぎ去った野良バトル、キュウコンにつままれている感覚は拭えなかったけど、残業帰りの社員の様な体勢で、のびてたフローゼルをボールに戻し終えたら〝負け〟の現実を、受け取れる事が出来た。

 

 少年や店主、その他の客人に拍手と御礼を述べられるも、インフィスは手を振りながら会釈しその場を去る。

 

「あの者は酒に酔ってない、酔ったフリをしてドン底気分を発散させたかったのかもしれないな。理由は分からないが恐らく、職場で嫌な事があったのかもしれない。ちなみにあの一升瓶の中身はサイコソーダだ」

 

 チラッと店内に視線を送れば、嘘酔い親父が店内の一人一人に深々と頭を下げていた。

 

 彼の言動や行動はわざとらしすぎた、悲しみを誰かに共感して欲しかったのは本当だろうが……アルコール臭がしないのに酔っている訳が無い。

 

(流石ししょ~……略して〝さすししょ〟……ネリちゃんも進化したり技を覚えたり、別人てくらい強くなったんニャけど、ししょ~には素早さ以外で勝てる気しないのニャ……)

 

 彼女の恐ろしさと卓越した戦闘力を、その身で味わい鼻先で見ていたネリは、氷タイプなのに寒気が走った……

 

 相性も最悪の格闘タイプ、練習試合では全敗、避けて躱すのに精魂込めなければ、試合開始の合図と共に自分は瀕死! 

 

 つまり「攻撃」のカードを最初に引けないどころか、山札が全部「回避」のカードだけで編成を余儀なくされてしまう。

 

(ねこだましからの攻撃は、最初から最後まで全部一つの線で繋がっているとしか思えないのよねぇ~……武術套路ってヤツ?)

 

数十秒に渡って次々とスタイリッシュ拳舞をお見舞いされ、完走=端的に表せば相手は死ぬ。

 

 見物人は胸がスッとするだろうが、対戦する側は堪ったモンじゃない!

 

 飛行タイプだから有利とか、ポケモン界の法則をまかり通せない熟練の女武闘家。

 

 爽羽佳は勝ち星を持っている……一つだけだけどっ! 爽羽佳が弱いんじゃなく、インフィスが一人当千なだけだ。

 

(私達は昔よりも実力を付けております。インフィスさんが〝昔と同じであれば〟勝てるかもしれませんが、懈怠していなかったと先程の戦闘で報じて下さいました……組んで戦えば非常に心強いのですが、相手取るとなれば……)

 

 彼女や恋人と茶化されるだけ、長い間ジックの手持ちとして活躍しているメコンも、状態異常技と豊満な耐久力が上手くハマって、やっと五分になれる。

 

 とにかく単純な戦闘力ではジックメンバーで最強、ネリの師匠だけあって『マトモ』に戦おうとしては勝ち目無し!  

 

「口論では埒が明かない、勝ち目がないと直感すればバトルになるのは自然な流れ、俺はインフィスに《いつもの》としか指示を出してないよ」

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()の手持ちだったインフィスは、ジックが出会った段階でも相当な高レベルで武者修行の名目で、各地方を一人旅していたので必然的にトレーナーの指示を仰がずに、自己判断のみで戦う局面に慣れている。

 

 一人で暮らす期間の長かったネリもだが、状況によってはポケモンの自己判断に任せてしまった方が、相手の作戦を狂わせる事も出来るし、指示よりも早く身体が動くので咄嗟の攻撃も、躱し易くなったり少なからず光る点はある。

 

 それでもポケモンと言う不思議な生き物は、おやの下で生活し戦った方が強くなれる、身近な例がヴィヴィだ。

 

(インフィスはそれに当て嵌まらない、トレーナーが指示をしなくてもむちゃくちゃ強い……だから俺が彼女に命ずる事は一言、二言くらいだからな)

 

 

《いつもの》は戦闘パターンの一つ。主にタイマンバトル用。

 

 

 ねこだまし→おうふくビンタ&はっけい→きつけ。耐久力の高くない敵はコジョンド種の優れた攻撃から繰り出される、天衣無縫な乱舞に反撃する事も出来ずバトルの幕は閉じられる。

 

「だが、主から指示を貰わなければ危ない場面は何回もあったからな。やはりポケモンはおやとなる存在の側に居てこそ本当の強さを手にできる……私はそう思っているぞ? 主を思わなかった日は無いからな……「今同じ空を見ているのか?」などと、似合わない哀愁な気持ちになったりした物だ!」

 

 屈託のない笑顔、この一年で主たるジックはさらに男前になっていた。

 

 自分が修行をサボっていないのと同じ、彼も肉体トレーニングを毎日欠かしていないのは、こうやって手持ちのシルエットが刻まれたVネックの上を撫で、安定した体幹を作るシックスパックの手触りが頑強になっていると、腹直筋が教えてくれた。

 

 女性は男性の筋肉に逞しさを感じる生き物。 メコン達がそうであるなら、インフィスだって体温を感じながら身体を密着――

 

 

「…………インフィスさん、貴女の戦い方は敬服に値します……柔と軟を織り込んだニホン舞踊、魅入ってしまいバトルだと言うのを、フローゼルが倒れてから思い出せました……凄く格好良くて美しくて……わたしの電子頭脳回路はインフィスさんへの興味が大きなウエイトを占めています……お手合わせ、願えませんか……?」

 

 

 伝統芸能など興味が無かった子なのに、舞を連想するとはフエンでの一件後に勉強したのかもしれない。

 

 相手を立てながら敬意を払い、丁重に頭を下げお願いするヴィヴィ。形だけだった一昔前とは違う、自分より強いポケモンへ稽古を付けて貰いたいと、胸を借りる事を切望する《心》ある少女になったのだ……!

 

「良いぞ! 私からヴィヴィへ申し出するつもりだったからな! 強くなりたいと願うのはポケモンの本能、されど自らの意思で私との決闘を望んだのだろう、ヴィヴィは?」

 

「ハイッ、よろしくお願いします……!」

 

 バトル関連(とチーズドッグ)しかやる気のなかったヴィヴィが、他の四匹と同じく「今日くらいはお休みしよう……」と戦闘プログラムを閉じていたのに、結局始動させる事になってしまった。

 

 フローゼルと酔っ払いを止めるよりも前、ラーメンを色香な表情で召し上がっていた時から、半端ではない闘気を感じてジックの手持ちでなくとも、バトルを申し込んでいた。

 

 メコン達も興味ないと言えば嘘になる……レベルでは劣っているが多種多様な技を内蔵する高種族値のメタグロス、生まれながら素質があるこの子ならば健闘は間違いなし、レベル差を覆すだけのプロバニリティーを秘めている。

 

 

 

(…………全力で指示してくださいね……? )

 

(おぉッ! インフィスに勝つつもりで一緒に戦おう!)

 

(…………んっ、…………♪)

 

 インフィスはトレーナーの指示が無くても、存分に戦えてしまう風変わりなポケモンだが、ヴィヴィはトレーナーの指示が無ければ、最高のポテンシャルを十分に発揮できない、トレーナーが傍に居て力を添えられてこそのポケモン。 

 

 相手が古株で自分が新参者だからと、わざと勝たせるような演技や相手の面子を保たせる為に、自分の意を無視された指示を下されるのもゴメンだ。

 

 

 ……彼はそんなセコい男でないのは分かってるけど、楽しげに過去話する二人についていけず、少々不機嫌な気持ちをジト目で表現したのだが……

 

 

 上っ面は牢固として不変だが、心の中でコミュニケーションを取れる念話が接続中だと忘れ、ついスズノネの様な穢れの無い声色で同調し、忽ち上機嫌になっていると知ってしまえるので、ジックの方が視線を合わせ辛くなってしまった……喜怒哀楽が生まれた彼女にドギマギしてしまう。

 

 

 




FとFの闘争...か



【挿絵表示】

インフィスさんはこんな感じ! ∞おっぱい!!!
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