ポケ×ぎじ 蒼鋼少女   作:緋枝路 オシエ

33 / 73
Q.水着でバトルする必要

A.おっぱい


Segment・penta――無名無形

バトルフィールドは夕焼けの浜辺。

 

人数は減っているが利用者の迷惑にならないよう、隔絶されたかの端部まで移動した。

 

 海面に夕日が反射して、とても眩しい! 戦う地形はとても重要だ、何てことの無いバトルだって景色が良ければ心に残るし、地形を活かした戦法もとれる。

 

 

 海に沈む夕日……碧すらオレンジに溶け込む幻想的な黄昏のパノラマ……メコンは主人の手持ちとなったキッカケを思い出してしまう……

 

 

「でてきて、インフィス!」

 

 夕日に向かって走るように投擲っ、そのボールはライムグリーンを基調とし、4つの赤模様と中心の黄色い円、解放後にもライムグリーンの光に包まれる。

 

 空中前転しながら現れたインフィス。彼女が本来収納されるボールはフレンドボール。

 

 彼女の好感度が高いのはこのボールのお陰……いやいや、そんな単純な効果などで計れない関係でないし、彼女も「デザインが気に入った」以上の趣旨は含んでおらず。

 

「いっておいで、ヴィヴィ!」

 

 赤い羽衣の様な夕焼け雲へ吠えろっ!

 

 癖の無い蒼いエフェクトを裂け、広がるツインテールの毛先からスラスターの原理で、姿勢制御と着地までの微調整。

 

 やや前重心で脇を締めて構えるヴィヴィは念話を使わなくたって表沙汰になってしまっている。

 

「……………………♪」

 

 

 〝いっておいで〟の言葉が、嬉しかったんだろうなぁ……と。

 

 

本人は逆光でシルエットとなり、表情が隠されていると思い込んでしまっているが。

 

 

 シルエット、と言えば、ジックのVネックにはメタグロスのシルエットが追加されたと、報告しておこう。

 

 

 ヴィヴィが仲間となり、フエン旅行から帰ってきて早々にデザインやレイアウト設計し、なるべく早くお願いしますと頼み込めば、24時間以内に制作完了~配達されるオーダーメイド衣装専門店には、お抱えと呼べるレベルで互いに恩を受け、利益を得ている。

 

 その後ろ側、七分丈のシャツを着れば隠れてしまうのだが、これはインフィスの意見によってわざと隠されていたのである。

 

 コジョンドのシルエットは旧デザインにも刻まれていたので、出来上がったばかりの新デザインではフルメンバー! タイプや長所もバラけていて良い感じだ!

 

「水着に着替えたのか、私も所持していれば着替えたのだがな……」

 

「…………海ですので……」

 

 蒼い手甲は無論そのままだが、ブレザー制服もスクールスカートもホテル内で主の帰還を静かに待つ。

 

 ラッフルビキニで戦いたがる! 初めて〝感性〟で選び悩んだ品なので、愛着が湧き出たのだろう! 

 

 ヴィヴィは大丈夫と恐れ気なく言うが、ギャラリー側からすれば(特に指示側としてもジックが)制服よりもおっぱいが強調され固定が緩いので、ポロリを超越しトップレスにならないかでハラハラ物だ……

 

(インフィスさんは構えないのですか……?)

 

(あぁ、彼女には一部を除いて構えが存在しない、前のトレーナーさんと培った《無名無形》から相手や状況に合わせて、技を運んでいくんだ)

 

 フエンでの一件から念話でのアクセスも、アイコンタクトがあれば簡単に行える様になった!

 

 

 ……タイミングによっては「セクハラです」とシャットダウンされる事もあるけど……

 

 

 ぶかぶかの袖を真下へ垂らし、直立したまま動きを見せない。

 

 正しい姿勢見本として体育の教科書に載っている写真、妥当な表現がそれだろう。

 

 

「ネリちゃんが合図するニャ~! ホイッ、3~2~1~――――」

 

 

 この人と戦ったらどうなるのだろう?

 

 

 

 何時ぞや皆とバトルした時と同じ、普通に考えたらタイプ相性で有利なのは自分。

 

 

 ――――しかも今回のバトルは相手側にトレーナーが不在で、自分には信頼……消去消去……ト、トレーナーが指示をくれるので、有利なのは自分で無ければおかしい――――

 

 

 が、バージョンアップされたスーパーコンピューターが、戦力を数値で表し算出した結果が「15%」

 

 それが自分の勝率っ、プラス条件がつぎ込まれているのに、15%の確立でしか自分は勝利出来ない。

 

(マスターを信じて……やるだけやってみますっ! わたしの力がどこまで通じるのかっ! 簡単過ぎるバトルなど求めてないんですッ……!)

 

 戦いが始まる前から、こんな考えではいけないのだけど……

 

 例え負けてしまったとしても、これだけの強者と手合わせが出来て、マスターと〝一緒〟に全力全開でぶつかれたのだから、感無量になるだろう……間違いない……

 

 

「――――0ニャーー!」

 

 

 夕空へ氷の手裏剣が放たれ――FとFのシルエットはその一歩の踏み込みだけで、対戦者との距離を大幅に縮めていた。

 

 

 地面からの反発力が弱まる砂地、地を蹴るよりも滑空する様に脚を上げる、細かな筋肉を使うのでアスファルトで強いから、砂地でも強い理由にはならない。フィールドごとに走法も変化させなければ。

 

 機動力が弱体化するので――関係ない、速攻優先度のねこだましで、出鼻を挫かせれば相手は確実に怯む。

 

 お互いはお互いの技を教えられていない、だがヴィヴィは先程数個だがインフィスの技を拝見しており、初手はねこだましであると確信……と言うより、初手でなければ使えない技なので……防止策はちゃんと作ってきた。

 

 

「――ねこだましを上回る速度を生み出したのかっ、見事! 逆手に取られたな」

 

「…………ッ!」

 

 

 砂浜から5、6㎝ばかり身体を浮遊させ、地形を無視できるネリ命名のツインテブースター。からの、バレットパンチの合わせ技。

 

 磁性粒子を蒼色へ噴出させ、加速度を全身に受けつつ猛スピードで目標へ到達。

 

 サンダースやプテラ、もしかしたらテッカニンですら振り切れてしまえた爆発的な速度を殺さず、発砲されたAP弾も自分自身だ。

 

 特例が無ければ、何かの技を使っている最中に、別の技を使う事は出来ない。

 

 こうそくいどうをキャンセルし、次のバレットパンチを繰り出すまでにはどうしても、眼で捉えられないコンマな領域だとしても〝ラグ〟が生じる。

 

 そのラグを限りなく薄く、小さく、インフィスですら「新発見された技か?」と頭よりも先に、瞬断、行動で結果を表していた。

 

「バトルは仕切り直しだな、短時間で対策を用意しているとは期待に違わぬ子だな」

 

「…………期待、してくれていたんですか?」

 

 惜しいっ、ジックや皆は弾丸鉄拳が命中したと思っていたが、上体を落とし込んだ姿勢でシュッ……つま先だけで手甲に覆われた手首付近へ舞い降りた。

 

「ああ、ヴィヴィは生まれてから日が浅いと伺ったが、過去に戦ったどんなメタグロスよりも強い! 私も22歳の若輩だが場数は豊富なつもりだ。規模の違う新世代の闘魂を感じたぞ」

 

 乗り上がっても体重を感じさせないインフィス。

 

 彼女が後転し飛び退いても、眼を瞑ってしまえばまだ乗っているのか、退いたのか……万有引力に逆らうような判断不明となる身軽さ。

 

 そんな力学に反するような身体である筈はない、重力制御システムなど装備されていないのだから、彼女独自の秘密がある……

 

 マスターであるジックから聞いてしまえば、簡単に正体は分かるけどそれではダメ、戦いの最中で正解を掘り起こさなければ!

 

(危険なのは承知してますが、接近してみます。ヒントになる物を探りたいのです……)

 

(分かった、近接は彼女の方が上手だ、深追いはしないでね)

 

(了解、ですっ……)

 

 バトルでは口頭からの指示ではなく、心と心を繋ぎ響き合わせ会話が出来るっ、他の皆はエスパータイプが付加されていないっ、念話が行えるのは自分だけっ。

 

 

 それが嬉しくって…………する必要の無い場合でも、ついつい自分は指示を仰いだり、選択肢を用意して彼に選んで貰ったりしてしまう。

 

 

「……ッ! コメット、パンチッ!」

 

 

 来たァっ! 海原をも震わせる彗星の一撃ッ!

 

 

 ネリと爽羽佳がはしゃぐ、ヴィヴィの主力にして最強の破壊力を誇る技は、発動前の予備動作から攻撃速度までリファインされ、割って攻撃を当ててしまえばキャンセル出来た実績はあるも、今のコメットパンチにはソレが無いっ!

 

 蒼き彗星エネルギーを手甲へ集めるのが、妨害出来ぬまで快速になっているんだ。

 

 トレーナーを得て、指示を聞き、一緒に戦うポケモンの強さ、これならししょ~こと、インフィスだって大ダメージ、若しくは一撃で――――

 

 

「ぅ゙!?ッ゙…………」

 

 

「脳に効いただろう? ダメージは悲しいが、内側への血液循環が一瞬途切れた……ヴィヴィの場合は磁力だったか、そんな感じになったか?」

 

 

 ――――倒れたのはヴィヴィであった。

 

 

 彗星となりインフィスへ突っ込む少女、肉眼で捉えるのは困難であったスピード、なのに直撃寸前で手甲の側面に掌を触れさせ、軸である腰を中心円転、もう片方の腕がヴィヴィの背面に回り張り手を一発。

 

 言葉通りHPは減っていないも同然、しかし棒で脊髄を思い切り強打されたに等しき衝撃が、磁力を遮断させ表層筋と深層筋がバラけてしまった。

 

(大丈夫ヴィヴィ!?)

 

(…………ハイッ、ぁ……ち、からが、下半身を支える力が維持できなくなってしまいました……よいしょっ、もっ、大丈夫です……)

 

 顔から倒れ込んだヴィヴィへ、インフィスは追撃をしなかった。

 

 侮っているのではない、仲間として迎えたヴィヴィへ彼女なりの戦闘個別指導。

 

 

 『私の謎を解いてくれ』

 

 

 ……身構えず袖で両手を隠したまま、サイコパワーを使い人間であれば違和感のある、起き上がりを見せた蒼い少女へ、それを願っている様に奨励する。

 

 本当のバトルはインフィスの〝要〟を発掘完了してからか……

 

 

(……歩法でしたね……円よりも図形を描くような間接節を内転、外転……後頭部からの衝撃は内面へ多く皮膚へは僅か、力は殆ど入れてませんでした……体内で生成した《気》を発して伝えられた……その様な分析結果があります)

 

 

 一発攻撃を受けただけで、ジックが言葉に困ってしまう。クレーム必死の欠陥コンピューターから、対象の精神や肉体情報を電子に変換し、物の数秒で演算処理を終えてしまう超並列ハイパフォーマンス・クアッドブレイン。

 

 いくらメタグロス種の頭が良くても、通常個体はこんな性能を発揮できない。

 

 ヴィヴィというハードウェアに、ジックというソフトウェアをインストールし、始めて可能になる芸当なのだ!

 

 もうジックが一緒ならば、何だって成し遂げられる気がしてしまう……! 戦況は有利では無いが、楽しめてしまえるだけのバトルに対する慣れや、判断力が地力に伴うようにもなっている!

 

「サイコキネシス……!」

 

 格闘タイプである彼女へは、正面からの殴り合いではメタグロスとて劣勢か。

 

 ならば遠隔攻撃だ、先程のコメットパンチも躱されてしまったが悪手ではなかった。

 

 推測で憶測……確定にするか否かは、この一撃の結果で判定を下せる!

 

 深紅の瞳を点滅させ、強力な念動派を攻撃対象へトランスミット。

 

 使用者にしかそのエフェクトは視えない、非物質の壁や波が迫る。

 

 物理の法則に反された「透明の何か」を離れた位置から一方的に浴びせられ、パワー自慢たるかくとうの長所が全く機能しない、大の苦手技。

 

 強引に耐えきってキツ~イ反撃、近年の攻略法としては不可能ではないが、コジョンド種は防御・特防に優れた種族とは言えず、何の因果かマニューラ種とほぼ同等。

 

 等倍なら耐える、が、効果抜群を食らえば一撃でダウン。彼女も一撃が命取りとなる速攻型の能力値である。

 

「エスパーのみならず、全ての技には効果の及ぶ領域がある。ヴィヴィ、貴女のサイコキネシスはかなりの広範囲を持っている、超能力とて範囲外ならば無力……」

 

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 視覚化されてないリーチを持つ超技へ対し、そんな感想を述べられるなど彼女がサイコキネシスを視てる以外の何物でも無い!

 

 これで確定したッ! 力を入れずに脳天を揺るがされたり、あれだけの勢いの彗星拳を簡単に翻された理由――――

 

「今の私は領域からは逃れられぬ……ならば……っ!」

 

 そんな気はしたんだ、サイコキネシス一発で簡単に倒される相手ではない。

 

 全力疾走しても、過去に戦ってきたエスパータイプより念動波の攻撃範囲内、到達速度、軌道が良質。

 

 物理に特化させている訳ではないらしい、特殊攻撃も十分に得意なオールラウンダー、元来の素早さは微妙な値でも、人化すれば珍しく小柄な体型となった利点なのか、機動力にも難は無い。

 

  

 ――――まだ、まだだっ、最も恐ろしく、最も〝死ぬ〟と第六感が覚悟した瞬間に、一歩を踏み出す…………――

 

 

「逃れられぬなら……壊すしかあるまい?」

 

「……………………!」

 

「私にサイコキネシスは利かないぞ」

 

 力を求めず、ただただ試す場を欲する、父でもある元主からの教え。

 

 安穏な表情だが、しなやかな肉体からは威容、衣服を着用したエネルギーが充溢している。

 

 あくが複合したズルズキンでもなければ、超技を無効化するかくとうタイプは存在しない。

 

 

 インフィスは無効化したのではなく、サイコキネシスその物を壊した。

 

 

「そそそ、そんな事が出来るのかニャ~~~!?」

 

「…………てっ! うォいっ! 出来るからノーダメだったんでしょ! 何で一番近くに居たネリが驚いてるんじゃ!」

 

 シリアスムードになりそうだったので、こちらも壊しておく。

 

 ジックの手持ちになるまでは、インフィスと旅をしていたネリ。

 

 エスパータイプとバトルする機会は何度もあった、超霊狩りを得意とする自分が負傷で戦線離脱を余儀なくされた時……

 

 いくらししょ~が強くても、絶望的に相性の悪いエスパータイプが二匹も相手では……

 

 腕力を一切用いず、科学では解明出来ない超常現象を自由に扱えるポケモン達は、伝説として語り継がれる存在にも付属している事が多いので、何かと特別扱いされがちだ。

 

 そんな超能力の干渉を受けず、ズタズタに引き裂ける先天的な属性を持ったのは誇らしげにもなる。

 

 

 自分が戦えれば、エスパー二匹などボロクソにしてやるのにっ……ししょ~が負けた姿など見たく……

 

 

「終わったぞ!」

 

「マ゙ニャア゙ァア゙ッ!? サイキネを弾いて壊して勝っちまったニャ゙!?」

 

 袖から出した草団子片手に、天敵……のハズなエスパーをあっさり撃退。

 

 表面ではなく内側にほっこり、程よく甘い小豆が入っているらしい……一本貰いながら超常現象よりも、オカルトな現象の正体を教えて貰った。

 

「ギリギリまで引きつけて、それこそ『あっ、私死んだ』ってくらいまで……そのスリルも戦いに身を置いている実感として味わっているらしいのニャ。負けを恐れていたらアレは出来ないって、前のトレーナーから習ったらしいんニャ(ちょっとマゾっぽい考えニャね……!)」

 

 

 他ポケモンの力を借りず、自らインフィスと手合わせしていた……それが元おやでありたつじんの肩書きを持つ、武術を極めし〝閻魔〟にして〝豪鬼〟

 

 

「だけどその人はししょ~に『武術は極める物じゃない』と教わったらしいのニャ」

 

 今この瞬間の闘争に《楽しい》感情を覚え、《楽しい》を身体を借りて衝突させる。

 

 超能力は避けられない、視点を変えれば不可能が可能になる。

 

「サイコキネシスは破壊、及び無力化される確立は100%……次なる技を繰り出しますっ!」

 

 超技の使用は控え、別の遠距離攻撃。

 

 サイコキネシスは通じない、もしかしてラスターカノンも同じ手段で打ち消してくるのか?

 

 ジックへ確認しながら両手を一つに、銀色の結晶を束ね砲撃する!

 

 効かない可能性は十分に考えられる。そうであれば不利は承知で接近戦に持ち込むしか――

 

 




格闘タイプだから戦闘シーン考えやすい
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。