(マ゙……スター……! 大゙……丈゙……夫で、す……! ま……だ、負、げ で し、まっ゙……訳で、あり……ま ぜ ん゙ か……ら゙……っ゙! 耐、て、み゙ ぜ…………すの……で……!)
ジックよりもインフィスの読み、戦いにおける〝勘〟が上回っていた。
予めつるぎのまいを取り戻していたと発覚していれば、ジックも戦略を改めていたけど〝互いの技は教えない〟平等ルールを、逆利用された。
完全に……! 俺のミスッ!
念話で心からお詫びをする、だがヴィヴィは怒る事も呆れる事もせずに、彼をフォローする様な声かけで気丈させてくれた!
麻痺する声帯で苦しいのに……鼻先がツンとして、前頭前野が働きかける ソレ を、寸での崖っぷちで引っ込ませた。
こんな状況なのに嬉しすぎて……理性を貫通して何年かぶりにキテしまいそうになったじゃないか……ヴィヴィのおやになれて、本当に良かった。
当初の手順としては、まもるでとびひざげりを無効化、膝折り自爆ダメージを負い身動きの鈍くなったインフィスへサイコキネシス!
この手順で進められることが出来ていれば、間違いなく勝てた。
たった一手で、あまりに大きく戦略を崩されてしまった! これがポケモンバトル!
てっぺきで二段階上昇した防御、つるぎのまいで二段階上昇した攻撃。
打ち消された、上昇分がコレでチャラ、素のままの威力をそのまんま、蒼鋼少女へ凝縮したあらん限りのパワー! ブレーキをぶっ壊した新幹線の速度でぶっ込ます!
「っ……! と び……! ひ ざッ げ り !」
「んんぅぅ、ッ゙ッッ!! …………っ゙あ あぁッ゙!!」
手甲を交差させ、辛うじて防御態勢を取ることは出来た。
膝が命中しワンテンポ遅れてから、浜辺一帯を吹き飛ばす破滅的な衝撃が巻き起こる。
とびひざげりは発動までの準備動作が長い、外れてしまえば使用者が大ダメージ。
その見返りがこの威力……! どれだけデメリットを備えていようが、相手を一撃で倒す圧倒的な破壊力の前では! 問題にならないのだ!
病み付きになって指示をしてしまうッ! とびひざげりで締めくくる作戦しか考えられなくなってしまう!
高純度かつ高密度になる気を、一点に集中させられた蒼い手甲は――――
――ピシッ ――ピシッ ――ピシッ
「ヒビがっ゙!?」
メタグロス専用装備品にして、現代の科学力では量産不可能な、多次元からの物質ともされている蒼い手甲。
その物の戦闘力や意思に応じて、さらなる硬度を得る……が、ザムヤードとの戦いで全身火あぶりにされても、二つの手甲だけは溶けず、壊れず、一度たりとも傷を負わなかった手甲に亀裂を入れられた!
インフィスのチャージ時間も、ジックが知るとびひざげりよりも長かった。
恐らく、今まで耐えられていたポケモンですら、倒せてしまうだけの気を集結させていたのだ……すてみの特性も上乗せされ、通常のコジョンドとは比較にならない、鋼でも半減できぬ大爆発級のダメージをヴィヴィは食らわされた。
「…………! この技を食らってまだ瀕死にならないとは……!」
(損、傷、率゙……89%……危、険゙ で……すっ゙……っ゙!)
耐 え た ッ!?
当事者のヴィヴィでさえ「あぁ、負けた」と半分諦めていた。
彼を勇気づけたけど、残りHPでとびひざげりを耐えきるのは……無理だと、麻痺をしても演算処理は精妙、迅速、こちらこそ申し訳ないが、100%の確立でダウンする……
良い意味のタイピングエラー、エラーで良かった……!
ヴィヴィだって処理ミスをする? それとも……?
これも彼と一緒に戦っているから……そう思い込むようにしたっ!
「凄いな…………っ! 主のポケモンになれて良かったな……ヴィヴィよ!」
過去のメタグロス破って来たすてみ+とびひざげり。
衝撃波が海へ渡り、モーゼの如く真っ二つにしただけの最大技、インフィスとしても初めて耐えられてしまい少なからず焦燥が走ったが、持ち直し改めてヴィヴィを褒め称えた。
筋線錐が破裂しそう……本当は瀕死になっているけど、根性で立ち尽くしているだけなのかもしれない……
ミミズ腫れの様な亀裂の生じた手甲の影響で、ヴィヴィはクリアボディであるが攻撃力の低下を確認。
さらに防御はした物の、強制的に後退され半身が砂に沈んでしまった……!
サイコキネシスは使えるけど、体力が殆ど削られていないインフィスは、余裕で弾き壊してくれるだろう!
(もう一度まもるを使うかっ!? あまりにもハイリスクだが、それくらいしないと彼女には勝てない! それとも……ヴィヴィー! やれそうかっ!?)
防衛エネルギーが拒否反応を起こし、連続使用は大幅に成功率が下がってしまうまもる。
インフィスは再びゆっくりと……その一歩一歩が敗北までのカウントを削り、歩いているだけなのに練り上げた気に触れれば、戦意を失うかバタバタと気絶するか、避け様のないリーチの中心部で埋もれた少女目掛けて――
「次こそ決めるっ! とび……ひざげりッッ゙!!」
(……や゙ り、ま、ずッ゙!)
ネリが思わず「まもるを使うニャ!」と、片側だけが有利になる助言を、リーチに飛び込んでしまう勢いで走り、居ても立ってもいられず、声にしてしまった。
爽羽佳とメコンも、技を出すとすればまもる以外に考えられず、どちらも仲間なのにヴィヴィに負けて欲しくないと、この瞬間だけはヴィヴィだけを贔屓してしまっていた。
――――――――――
「受け止めたッ……のかっ!」
「欠損した手甲へサイコキネシスを使った! 攻撃の為じゃないがインフィス、膝を捕まれたから逃げられないぞ!」
「な、ァ、!!」
相手に放つのでは無く、自分の両腕並びに駆動系へサイコパワーを流し込み、纏わせ、防御術として活用。
一点へ 超気 を集中させる手段は、インフィスの対策として彼女が手持ちから離れている時に、考えついた物。
〝もしエスパータイプの子が仲間になったら、この方法が使えるかもしれない〟
当時は「機会があったらイイなぁ」程度だったが、鋼だけでなく超も複合したメタグロス、ヴィヴィが仲間となってくれたから実現!
軌道を逸らす事はほぼ不可能、じゃあぶつかった事を前提として彼女が 気 を一点へ集中させたり、たった一つ効果的な点を突く攻撃が得意なら、猿真似かもしれないけど実践に移す価値はありそうだと。
全神経が注がれた膝、これこそ彼女が言う 点 だろう。
一番力が入っているが、一番脆くなっている秘孔。弱点を晒すので確かに諸刃の剣!
「逃、が……じ ま、ぜ……! ガッ リ゙ ッ゙!」
着眼点は良かったが、とびひざげりの威力をゼロにするのは……出来なかった。
補強されたアクチェエーターがあれど許容量を超え、内側へとダメージが眼に見えぬ波形となり、倒れ込むまで5秒と持たな――
「し、ね゙ ん! の゙! ず……づきィ゙ ッ゙!」
5秒在れば十分……!
近未来的イメージかつ、人智を超えたエスパーとしては、あまりにもプリミティブで無骨な攻撃方法、頭突き。
スタイリッシュなエスパー達は、卑俗的な不良を思わせるこの技を嫌う。
物理方面に優れたエスパー(チャーレムやエルレイドなど)でも、可能な限りサイコカッターを使用させて欲しいと、エスパーとしての本能でトレーナーへ訴える場面は珍しくない。
ヴィヴィは最初からこの技を覚えていたのだが、鉄拳やビームがメイン武器なのでわざわざ頭突きをする必要が無い。
隠し持っていた訳じゃないが、今まで披露していなかったので皆はビックリ!
本当の意味での肉弾戦、初期よりもずっと脳筋、思念の力と共におでこを、おでこへ直撃させた! ゴッツンコッ!
「づ゙ !? ッ゙ ッ゙ーー!??―――」
ひび割れて攻撃が低下した分を、昼間に貰ったヌメヌメ……じゃなくて、エスパージュエルを噛み砕く事で得た上昇値が、本来の性能を取り戻させる。
ここでっ! ジュエルを使うか!?
歯で砕くなんて無茶苦茶な、HPが先になくなったのはヴィヴィであるが、打撃を伴う間違ったエスパーの使い方による、予想外の頭突きによって……
「――――ゃ、あ゙……ン゙ッ……」
両者 〝同時にダウン〟
「やりま……した……ァ……」
「なん……と……引き分けに……持ち込む……とは……っ!」
ヴィヴィがインフィスの身体を引き寄せた瞬間《まさかキスでもするのか》そっち方面で眼を瞑ってしまったメコンは、共倒れた二匹へ駆け寄り安否を確かめる。
「私はえっと、ほ、他の皆さんは……?」
「これは……引き分けっしょ……? 私の意見はだけど……」
「ネリちゃんもドローでいいと思う……ニャ」
「…………Zzz」
ビキニの中でDを枕にして横になろうとしている、かたくりこは兎も角として、マスターであるジックもヴィヴィが〝みちづれ〟を使ったとしか思えない、同時戦闘不能。
これは政府公認のバトルでは無いが、先に瀕死になっても完全に倒れ込んで、戦闘意欲が消滅したと確認されなければ瀕死扱いにならない。
この場合、先にHPがゼロになったのはヴィヴィ、しかし、倒れ間際のジュエルずつきでインフィスのHPを奪い去り、フィールドである砂浜へうつ伏せになったタイミングは、恐らく誰の視点からでも二匹同時であった。
インフィスだけを倒すのは無理だ、でも相打ちにする方法……
本当は勝たせてあげたかった。
レベルと場数経験の差もあったけど、15%と彼を信じてヴィヴィは立ち向かって行ったから。
読みミスによって、勝利と言う文字が消えた……でも敗北はさせたくない!
彼が批難覚悟で提案したのがドロー、麻痺になって手甲にヒビが入った現状では、そうさせるので精一杯であると。
(ヴィヴィ……ごめんね! 負けもしないけど勝ったとも言えない結果で……! 俺のせいだ!)
(…………わたし、は……勝率15%の熟練武闘家相手に……ドローになっただけ、凄いと思ってます……まもるを誤爆させてしまって、勝率は0まで下がりました……が、負けはしませんでしたよ……? 0を覆せたんです……あまり悲観しないで……わたしの頑張り……無駄になります……)
麻痺が治ったのは、戦闘不能になった証でもある……
またヴィヴィに励まされてしまった。
残された札で最善手を考えたが、結局ドローは黒星も白星も付けられない。無星だ。
タラレバは何個もある、あそこでああすりゃ良かったなぁ……バトルだけでなく、人生全てに置き換えられるが。
……彼女はミスを咎めず許してくれた、ミスったのならそこから取り戻そうと、ヴィヴィが知る中で初めて落ち込みそうになっていた、彼を『そんなマスター見たくない』と、頬を紅くさせながらフォローしていた。
それは念話をしていても、分からない程度の紅さであったが……夕日が邪魔をしてくれた。
「…………! 頑張ってくれてありがとうヴィヴィ!」
「…………ふっ…………♪ マスターでも……落ち込むんですねっ……」
非売品である、ゴールドカラーの小星型十二面体、げんきのかたまりを二匹へ使用。
枯渇した活力が忽然と復活……!
手を使わず脚腰だけで起き上がるインフィス、衣装には大分砂が付着したが、胸部と額を除いて損傷はない。
「んっ…………よいしょっ……」
微弱にサイコパワーを使ったのか、うつ伏せ体勢のまま数㎝浮かび上がったヴィヴィは、ちょっと怖いけど夏の日差しでふんわり焼き上がった、ミルクブッセは水着に収まったままだ、良かった良かった。
「ありがとう……ヴィヴィ。私は戦う事が純粋に好きだ、勝ち負けよりも相手の信念に応え、自らの力を試す……それに拘っていたのだがな……引き分けに持ち込まれて本能なのか……『次は勝ちたい』と五月蠅く吠えているよ、もう一人の私が! ククッ……!」
長袖から手首までを出し、手ぬぐいで一拭きした後に、握手を求めて胸前へ右手を差し出す。
血肉の細部まで仕上がっているも、成長の余地はいくらだってある。
もういい、と思ってしまえばそこで終了、己を研磨する理由は、勝利の美酒で酔うに非ず。
一瞬を共有する〝友〟との立ち会いを望み、心行くまで愉しむ、武術道を突き進めし躰が疼き啼く、暁光を彷彿とさせる視線が闘争を望めば、幸福に包まれながら友の壁となる。
極めるよりも、終わらない旅がしたい。
「こちらこそ……ありがとうございました……! 大きくて広い壁……です……簡単に乗り越えられません……でしたが、全力を出せて何の心配も要らない相手……ポケモンの本能ではありません、マスターを得て……芽生えたわたしの意思です! 貴女と出逢えたから……わたしはもっと強くなる事が出来るんです……」
ヒビ割れた手甲だけは、ポケモンセンターのお世話にならなければ。ヒビを入れたインフィスも凄いけど、一瞬で復元させるポケセンは……何も言うまい。
バトルが終われば握手、それはトレーナーもポケモンも変わりない。
ヴィヴィの頭がどれだけ良くても、予想外の連発、だから楽しいんだ、バトルも、余生を算出不可能な命ある期間も。
勝つ事だけしか考えていなかったヴィヴィが、結果に至るまでの内容を大事にする様になれた!
もし負けてしまっても、そこに至る道筋に胸に響いたり印象に残る出来事があれば、メモリに保存し何度も見返すだろう!…………少しは悔しがると思うケド。
沈み行く夕焼けをバックに握手……スポ根! 青春! 漢らしい!
影絵になっても胸部曲線だけで、漢じゃないって一目瞭然だけど!
……さて、戦いは終わった、闘争の残り香も無し。
「……皆で遊びませんか? 夜まで少々お時間ありますので……」
ヴィヴィがこの様な提案をしてくるとはっ!
水着だから勿体ない、そう思っただけとそっぽ向く。
断じて念話をアクセスしっぱなしで
――引き分けたので、チーズドッグは半分でいいです……捨てるなど愚かな真似は致しません、マスターが貰ってください……――
って、はんぶんこ☆ する様に上手いこと誘導出来たから、ちょっと高揚しちゃっている訳ではありません。
「やりましょうやりましょう~!」
メコンと爽羽佳はなんと! 衣服を脱ぎ捨て水着となった!
最初からこうなると予測していたのか? おっぱいは多ければ多いほど素敵な海華となる!
ネリは「小学生の水泳かニャ?」と、吹き出しながら普段着のまま(水着とあんま変わりないけど)、何時までも寝こけてるかたくりこをおっぱいから取り出し、ボール代わりにポーーンッ! 夕焼け空に黒点が一つ~!
「ミノァ! ハァァ~~ン!」
♂のミノムッチが喘いでも、ぜんっ、ぜん需要はナシ。
ジック、ヴィヴィ、メコンとインフィス、ネリ、爽羽佳でチームを組んで夜になるまでビーチバレーは止まらない!
かたくりこの、誰得艶声が左右を往復、何故メコンどころかジックも違和感を抱いてないのか、月は人を狂わせてしまうが、日没寸前の海辺の太陽にも同じ効果があるのかもしれない……限定的過ぎる。
「あんっ!…………また……♡」
「ミノォォ…………ッ♪」
知ってた、約束されたHカップ。
ネリが(絶対わざと)メコンのホルターネックへとシューーッ!
すっぽり、ズッポリ、沈没してしまったかたくりこは、どうやっても取り出せなかったので、しくしく顔のメコンがバブルこうせんを集束させ、泡のビーチボールを作り再開!
そして、健全すぎるマスター・ジック。
――嗚呼、ビーチボールが2、4、6、8、10……そんなっ、トスなんて、とんでもない――
美少女ポケモン五匹――しかも三匹は水着――に囲まれていたら、去勢でもされてない限り、コレが当たり前の反応なのである。
最後にもう一度言っておこうか
夏、と言えば、お っ ぱ い であると……!
▼▼▼▼▼▼
嘘つきました、まだ続きます。
ホテルにチェックイン、皆でバイキングをいただきますし、備え付けなのに大浴場かってくらい広~~い、浴槽で汗と砂と潮の香りを流せば、お疲れの皆は22時には消灯、就眠…………
ホテルの四階「442」がジックとかたくりこ、メンズの部屋。
同じく四階の「443」がレディース四匹の部屋。
壁越しに耳を凝らしても、枕を投げる音も乳を揉みしだく効果音も聞こえない、本当に寝入っているのだろう、今日だけで三日分の運動量となった気がするし。
インフィスはカイナで寝泊まりする予定は無かったが、折角ジックや皆と再会出来たので、明日の朝までカイナホテルで過ごすことになった。
急な予約だったので、一階の「118」号室になってしまったが。
積もる話はあれど皆も自分も、体力は限界だ。
もう少しホウエン地方の名物料理……じゃなくて、ツワモノとの戦いの場を探し、流離いの旅に出かけるのだとか。
「あ、主……眠いだろうに呼び出してすまない……按摩を……お願いしたいのだが……」
(分かってたよ、インフィスと再会した時点でこうなるの……でもさぁ)
さ ら し ほ ど く の っ て ア リ ?
バイキングの時、皆がデザートを取りに行っている間に、インフィスは密かに耳打ちをジックへしていた。他の皆は余り見れないレアな彼女……羞恥を前面に押し、凜々しい短眉を8時20分にし、癖のある横ハネを下落させながら。
「さらしがあると邪魔になるだろう……」
「…………前は解かなかった気がするんだけど……」
「…………前は前、今は今だ……主から按摩を施されなければ、旅立てん……主(の技術)をこの背に刻んで欲しい……思い出をもう一つ……たのむっ……」
ぶかぶか袖の内側で、肩をちょいちょい叩いたり、二の腕を引っ張りながら頼み込んでくるのは…………ズルい!
大人の女性は〝男が断れないやり方〟を良くご存じで。
ベッドにうつ伏せとなった彼女は、膨らみを抑えて、主に中心の突起物を隠す白布を解いており、早い話上半身裸、トップレス。
背を向けているので幸い、大事な部分は見えてないが……あまりにもエッチすぎるでしょう?
ていうか、寝そべって潰れたFの実がこっからでも! ムニュぱいは完全に圧迫されているのではなく、ある程度シーツに反発しまるでおっぱいが、シーツとの隙間を形成している様である! 胸筋を鍛えているので、横へハミ出るのも最小限に留まっている……か。
「ヒゃんッ!? あぁぁ……この感覚、最初だけはどうにも慣れんな……ア゙ッ! アアァ…………♪ 段々……気持ち良く……んっ! んっ……う……んっ……♪」
香り立つアロマオイルを、メコン達よりも筋肉質、だが硬さは男性よりも控えめで、女性特有のフェルトの様な肌触りで、みずみずしさはメコン達にも負けていない背中へ、たっ~~ぷり馴染ませる。
掌で温めたが、人の肌へ渡ればビクリッと背筋を硬直させる冷たさ、この瞬間だけはどうも彼女は苦手らしい。気持ちは分かる。
ここからは見えないが――腹筋も女生としては割れている方だが、ガチムチマッスルに6つも8つも、腹直筋の段差が激しくは無い。
ジックよりさらに効率的に身体を絞り上げ、必要とされる分量のみ各部位へ振り分けている。彼女の武術は力に頼らずなので……
「んっ、ぅ……は、ぁ、ァ……ろ、老廃物が……っ、取り除かれていく……静脈されて……がァ……ひゃっ、ふっ、くっ……くぅ~…………ィ、きもち、イィ……ぞ……主…………声が、抑えられんん゙っ! はっ、はぁ……はぁぁぁ……っ♪」
掌に軽く圧を掛け、皮膚へ滑らせる。
左右の手を順番にひねって、肩をしっかり掴んで揉みほぐす、今度は指先で強めの圧を背筋を傷つけない様注意しながら、背中のツボを刺激……
女性が好むアロママッサージと古典的な按摩、組み合わせたのがジック流の療法。
ちゃんと政府認定の国家資格を取得しているので、その気さえあればマッサージ指圧師として、お店に就職も出来る。
「はァァん……んゃ゙! ああっ、くっ、ぅ……♪」
「わざとやってない? ねぇ……?」
「なぁ、なにが……だッ゙~~んッ! ふーふー……しょ、そこっ! い、い……っ~~♪」
……なんか『後ろからエッチな事してる様にしか見えない』
予め申し上げておきますが、彼が資格を取って手持ちにマッサージする理由は、ポケセンでも癒やせない心的な疲れを癒やしたり、コミュニケーションのキッカケとしたり、マスターであるには当然だと、労いや思いやりの率直かつ清しい心を持つからだ。
断じて『エッチな声聞きたい』とか『身体を触れるから』とか、猥り不純物思考は持ち合わせていない! いないったらいないのっ!!
▼▼▼▼▼▼
翌朝、インフィスが旅立つよりも、ジックが起床するよりも前に、インターホンを連打された。
流石のジックも寝起きと言う事もあり、不機嫌な表情でチェーンロックを外したら――
「インフィスさんのお部屋から、妖し気な声が聞こえて来たのですが……マスター? インフィスさんと二人きりで、ナニかヤッていた……のでしょうか?」
何故!? 寝ていたハズのヴィヴィが四階と一階、一番右端と一番左端、真逆に位置している部屋の状況を知っている!?
「…………ふんっ、やはりマスターはエッチですね……わたしには関係のない話ですけどっ、ふんっ!」
荒ぶるツインテール、ドアに鉄拳を繰り出され閉じられた衝撃で、ジックは部屋の壁まで吹っ飛んだ……マジコワイ……
ヴィヴィの機嫌を取るために、今日の海水浴では昨日よりも多めに、ヴィヴィと遊ぶ事になった。
プンプンフェイスはずっと変わらなかったけど、彼から贈られた帽子で口元まで隠しながら、深紅の瞳を欣喜させていたのはちゃんと……見られていた。
ヴィヴィと海にも夕日にも沈まない、楽しい夏の思い出を作った! なつき度が上がった!
ナニかをヤル、例のブツ、今から書きますね><