ポケ×ぎじ 蒼鋼少女   作:緋枝路 オシエ

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絶対このタイトルにしてやろうと思ってた。コンテスト前の前哨戦は...


Segment・hexa――音ゲーケッキング

明朝からフエンで見物した花火大会よりも、気合いの入った四尺玉発射に伴う爆音が、ミナモ一帯に響き起床させられるトレーナー諸君。

 

 

 どう考えても頭のおかしい号砲は、突発の「萌え」コンテスト開催日だとお知らせする合図。

 

 

 安眠妨害だろっっっ!!!

 

 

 ……と、クレームの電話をする者は、誰も居なかったりする。理由はテンションがビンビンにアップするからだそうな。

 

 マスターランクと突発開催コンテストは、毎回この目覚まし花火がぶっ放される。

 

 萌え、とは 〝何かが可愛い〟 と想う感情や 〝心がキュンとする〟 愛着心を概念に差し替え、もはや一般化した言葉。

 

 結局のところ、具体的なプログラムは直前まで配られないので、過去の突発コンテストを参考に、目星を付けて演技するしかない。

 

 爽羽佳とネリが考えうるシチュを網羅した台本を作ってくれたらしく、ヴィヴィはこの通りに振る舞いアピールすればいい……審査員の求めている物と一致していればの話だが。

 

 かなりのギャンブル、だが他の参加者も似たような作戦を持ち込むだろう、必要なのは想定外の事態にも冷静対処するアドリブ力か?

 

 ヴィヴィにアドリブを求めるのは、難しいけど……本人は優勝しか目指していないし、自分も『一緒に優勝しよう』と交わした握手を、ウソにしてはならない。ヴィヴィを勝たせてあげたい!

 

 二匹が徹夜で作ってくれた台本、朝食を食べる直前に完成し、ドレスアップ完了したヴィヴィと一緒の控え室で、確認してはいるけど…………

 

 

(いいのかなぁコレ……? 怒られるの俺な気がするんだけど……)

 

 

 だがヴィヴィならば、一般に知られる「萌え」たる属性を何種類も完備しているし、第一関門になるであろう、コンディション並びにビジュアル審査は『朝食をチーズドックにしたり』メコンがお手入れしてくれたので、瞬間的な起爆剤にはなっているだろう!

 

 

▼▼▼▼▼▼

 

「次は俺と回そうぜ~!」

 

「私も混ざる~! いいよねオニドリルのお姉ちゃん?」

 

「オッケオッケ~♪ まぁ~とめて相手したげるよぉ! 手加減は出来ないけどねぇ!」

 

 未だに、しつこいくらい、くどいまでに、ラフレシアの花弁を模した花火や、モンスターボール型に広がっていく花火を打ち出し続ける、とても重労働なスタッフとブーバーンそしてシャンデラさん達は、コンテストが終わったら別の意味での打ち上げだ♪ 

 

 しかし、コンテストドーム会場内は、打ち出される爆音など皆の耳へ届かない。

 

 ぼうおん効果と同一な仕切り壁で遮断しているのではなく、入場料を支払ったトレーナー、及び手持ちポケモンの肉声が超過密だからである!

 

「ドーム内は大変混雑しております! おさないで、かけないで、はしらないで!」

 

「Dブロックに応援を寄越してくれ~~! 今の人員じゃお客さんを捌けないんだよ~~!」

 

「うォォォッ! 人とポケモンの大津波だぁ! これはルギアかカイオーガのお力なのかッ?! コンテスト警備員歴12年の意地見せてやらァッ! 手伝ってくれナゲキー!」

 

 

 

 うわァ!? なんかすごいことに なっちゃってるぞっ!

 

 

 

 一年ごとに規模が巨大になっていくコンテストドーム。そもそもシダケタウン、ハジツゲタウン、カイナシティ、そしてミナモシティ、四つの街の施設をミナモだけに集結させたのが政府の読みミスである。

 

 ドームの上空を巡回しているのは、最北の地からご苦労なシンオウ地方の、コトブキテレビのレポーターがトライポフォビアを発症しかねない、推定人数4~5万人とすぐには頭の中でどれぐらい凄いのか想像出来ない行列は、ドーム周辺を三週してしまっている! まるで一つの巣に集まるミツハニーの様だーー!

 

 ちなみに、人化現象が起こってから初めて開催されたコンテストは《カントー・ジョウト・シンオウ・イッシュの機動隊に協力を要請した》ギネス物の大事件であった……

 

 その内ミナモの面積の半分くらいは、ドームが浸蝕しかねないのでは? 

 

 人は多いが息苦しくないミナモシティは、南西部が特に一変してコンテストオタクから、暇人までホウエンに住む者達が集いし万魔堂。

 

「シェイシェイシェシェ! フフフフフンッ、ハハハハハハハッ~~~アッ!! ホアホアホアホアホアホアァァ~~!」

 

 …………阿鼻叫喚と化したコンテストドーム内で繰り広げられている前哨戦、休憩スペースのさらに右側に進路を取れば……キンセツシティのゲーセンにワープしてしまった? 

 

 電子音が反響し、極彩色のネオンが設定パターンに基づき点滅。このゲームスペースのみネオン以外の照明は落とされているので、プレイヤーの動きに反応して筐体に仕込まれたブラックライトが気分を盛り上げ、スクリーンには最もスコアの高いプレイヤーが映し出される。

 

 目立ちたい者には堪らない、とてもドーム内の一角とは思えないもう一つのステージ!

 

 「お姉ちゃんスゴ~~! 手の動きが見えな~い!」

 

 これで七連勝中! まだ年端も行かない人化したポケモンの少年少女が相手でも、獅子は兎を捕らえるにも全力を尽くす!

 

 徹夜明けの()()は、お化粧で隠蔽したがドームまでの道のりは、貧血を起こしそうでフラッフラだった爽羽佳。

 

「えっへっへぇ~い! まずは見える範囲内のボタンだけ追った方がいいかもねー。力を込めるんじゃなくてスッー……て、気になってる女の子の肌を触る感じで優しく、ねっ! おーぅ、キミは大分リズム感を作れて来たじゃん? スコア更新した記念にそらいろポロックを贈呈しよー!」

 

 音ゲープレイしたらご覧の通り、外部の脳である指先の動きがいい刺激となり、快調な音ゲー療法である。

 

「いいなぁ~、 私もほしー!!」

 

「大丈夫、私の分をあげちゃうよ~! 付き合ってくれてありがとうね!」

 

 音感に命を架して、レーンから流れてくるマーカーを撃ち抜いていたが、ゲームが終わればアドバイスは忘れずに、戦利品の高レベルポロックを一緒に遊んでくれた子達へ、平等に配る。

 

 年下が混ざる様になってから、最初の内は接待していた物の一人プレイではなく複数プレイなので、誰かしらが最下位となり「LOSE 」と画面に表示されてしまう訳で。

 

 負けるのイヤだから、大人げない17歳JKかもしれないけど、全力で戦った方が逆に子供達は喜んでくれたので、もう接待プレイはしなくなった。

 

 最近の子共の中には高難度譜面も簡単にいなし、腕がカイリキーよりも多い六本になっているんじゃないかってくらい、人間(ポケモン)止めてる一行年齢の子が乱入してくるので、舐めプだと足下すくわれる……

 

 音ゲー、もとい、ポロックを作るきのみブレンダーゲームに年齢は比例しないのだ!

 

 さっきバトったノコッチの姉妹も結構なもの、その前にバトったアメタマの兄妹なんて自称「天才プレイヤー」なんかじゃ太刀打ち出来ない音ゲーマーだったのだから!

 

 クレジット代わりに木の実を投入、シューティング要素とリズムゲーを融合させ、独自の発展をアップデートで遂げ続けるきのみブレンダー。

 

 

 提案元はキンセツシティの役員の、何気ない要望。

 

 

『ゲームセンターでは若者を中心にリズムゲームがとても流行っている。きのみブレンダーもタイミング良くボタンを押すゲームの様な物、掛け合わせたらヒットするのではないか?』

 

 

 なるほど、面白い試みであるとゲーム会社とデボン社がコラボし、生み出されたのが先程ノコッチの姉妹と爽羽佳が、三面六臂な活躍をしていた筐体だ。

 

「誰か~~! 私に挑んでくる者はいないのかぁーー?(一度は言ってみたかったんだよねぇー! くぅ~~!)」

 

 繁華街を中心に活動するシティガール(生まれは田舎だけど)としては必須科目の特技らしい……

 

 おこづかい代わりに、ジックが育てた木の実やネリがバイトの老夫婦から報酬代わりに受け取った木の実詰め合わせなどをバッグに入れ、使い切るまで電子盤上で両手を狂ったように乱舞。

 

 木の実の品質だけでなくスコアや順位によって、出来上がるポロックのレベルやなめらかさは激変するので、ジャンジャカレア級ポロックを量産させる爽羽佳の腕前は『逆に引かれるくらい上手い』

 

 上半身しか動かしてない筈だけど、バトルでは下半身ばっか使うので、偏らせずバランスよく絞らせ鍛えられるとジックに診断して貰ってからは、より一層打ち込んで現在の音ゲー廃人へ至る。

 

 ライダースーツの前開きを少し下ろして、自前の羽で連戦に次ぐ連戦を苦ともしなかった身体へと、やっと冷風を送る事ができる。

 

 ノーブラと思われる球体が二分割され、もしこの姿のまま音ゲーしたら確実にズレて…………あはぁ~~ん♪ 

 

 彼女が目当てでキンセツやコンテストドームへと、ひとっ走りのひとっ飛びするファン(ストーカーとも言う)が存在するくらいなのだ! これには本人も悪い気はしな――

 

 

「――では、ワシが挑ませて貰おうかのぉ? オニドリルのお嬢ちゃんや」

 

 

「にゅァ゙ッ!? あなたはブレンド名人!? ここで会ったが三ヶ月ぶりィ! 今の私ならあなたにだって勝てそーだよっ! ふふへへぇ…………!」

 

 数秒間、ゲーセンの一角と化したブレンドスペースが静まりかえった……

 

 ジッパーを早くも持ち上げて臨戦態勢、ヴィブラスラップな時代劇音を咲かせ、堂々たる出で立ちの老男性はブレンドめいじんと称えられ、ポロック作りの神様としてテレビで『ポロックめいじんの一日』特集なる物が放送された巨匠。

 

「…………ヤ(戦)ろうか……」

 

「…………ヤ(戦)りますよ……!」

 

 このやり取りだけだと、金品を代価にJKへ猥褻な行為を働こうとするおっさんにしか見えないが…………爽羽佳も分かっててやってるから、ギャラリーは熱烈たる賑わいを再開させる!

 

 ポロック作りの神様と、七連勝中のニューエイジガール! コンテスト前の前哨戦で火花散らしまくりだ!

 

 

 *音ゲーケッキングとか言ってはいけません。

 

 

 爽羽佳は過去に何度か名人とバトったけど、全て敗北させられている。そう簡単に勝てないから名人の異名を持つ訳で……

 

 

(今日は勝てる! 終わったらぶっ倒れてもいいくらいコンセートレート集中させる! じしんかじょうにアドレナリンVジェネレートォォォ!! あぁしゃぁぁッッ!!)

 

 

 カイス、シーヤ、ベリブ。

 

 かなり貴重な木の実を羽ぶりよくサイドテーブルに置けば、名人もミクル、イバン、ジャポを同じタイミングでテーブルにセット。

 

「うわぁ……非売品の木の実をあんなに……」 

 

 バトルでも高い効果を持つ木の実を、百円コインの様に取り出した名人にザワめき、ドン引くギャラリー達。

 

 名人も爽羽佳を認めているが故の最強セレクト。

 

 どんなポロックが出来上がってしまうのだろうか、期待と興奮のあまり鼻血を流す者まで!

 

「きのみ~~ブレンド~~開始――――」

 

 

 

 

「キシシシ! ちょ~と待ってくれよォ、あても遊ばせて貰っていいかナ?」




だれだ おまえ!(正解した方には30ヴィヴィプレゼント♪)
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