基本的に原作のネームドキャラ(ダイゴさんとか)は出て来ません。名前の無いモブなら出してもいいかなと、木の実ジェントルマンは出演させました。
他の方達と同じ事をしたって意味ありません、私でしか描けない作品にしていきたいです。
これはジックが謎のメタグロスの少女を発見した、一時間後の出来事……
夜行性のポケモンが活発になる時間帯。
日中は何処へ隠れていたのか、ズバット達が省エネ街灯の周りを旋回し始め、誘われるように紛れ込んだモルフォンと軽く羽を接触させて、ご挨拶。
珍しくおくりびやまから散歩してきた、ムウマまで現れて世間話でもしているのか、本来の姿と人化したポケモンが入り交じるが、どれも主を持たぬ野生という点が共通している。
両目が完全に覆われるまでに、前髪を伸ばしたズバット少女がこっそり、近くの一軒家のベランダを覗く。
そこでは柔道着を羽織り、手持ちより自身で戦った方が勝てるのでは? と、指摘したくなる肉体へと鍛えながら、まだ足りないときょうせいギプスを装着し、自動カウンター機能搭載のソーナンス型サンドバッグを、相棒のエビワラーと共に拳を打つトレーニング中の空手王。
(あっ! カウンターくらってしま……あ~あ、痛そうですっ……でもたのしそーです)
反撃を受け流すトレーニングだったが失敗、倍のダメージを返されて戦闘不能となった一人のトレーナーと一匹のポケモン。
きょうせいギプスで動きを抑制されていなければ、難なくクリア出来たが抑制状態でクリア出来るかが課題だった。
戦うのはトレーナーじゃない、なんでトレーナーまで一緒に特訓してるんだろう?
ズバットはそれが分からない、野生ポケモンである自分はおやを持つポケモンの気持ちが。
だがエビワラーのあの表情、失敗したのに空手王と笑い合って、もっかいするかと立ち上がって。
よく分からない、けど楽しそう。
木の枝に逆さになりながら、密かにこの二人を観戦する楽しさを見つけているズバットの少女は、いつかトレーナーとこんな事をしたい、一緒に夜のお散歩したいと、叶う確率が高そうな将来ビジョンを描きながら、朝までジッと、静かに二人を見守っていた。
▼▼▼▼▼▼
「ふむっ、反応があったから来てみたが……」
船乗り場が設けられているミナモシティは、別地方からの来客も頻繁で、ホウエン一回りツアーなる物も開催され、なみのり用のポケモンを持っていても家族や手持ち全員で、のんびりクルージングし海と緑の広さを味わう、夏休みの思い出作りとして特に人気のプラン。
ホウエン屈指の歓楽街としての地位を不動の物に築き上げているミナモは、この時間帯になれば人もポケモンの寝床に入るシダケや、キナギなどの住民数が少ない町と比べて、狭小地マンションや宿泊地はまばらだが明かりが消えずに、灯台からミナモ全貌を見渡せば窓文字にも似て、何らかのメッセージにも捉えられるかもしれない。
「さて、どの様なポケモンであるのか」
そんな物どうでもいい、灯台の頂上部から飛び降りた人型シルエットが……二つ。
着地すればガシャッ、独特な音を鳴らした持ち主は全身を黒で塗りつぶしており、正体は全くの不明。
頭頂部にはフードを深々と被り表情も窺えず、額に位置する場所には金色に耀く単眼模様を刻んだローブ姿。
人型、であるが人たる生命エネルギーを感じずどこか非物質的な雰囲気は、只者ではない。
「……住み着いていたゴーストポケモン達は、おくりびやまに帰ったか、ミナモ近辺に散らばったままか」
民宿跡地に辿り着いたもう一人の人型が、片手を扉に掲げれば施錠されているに関わらず、とけるを使った痕跡も見当たらない、海に落ちた水滴のように何事も無く吸い込まれた。
民宿跡地の鍵は無くなっているのに入り込んだ。
ネリと同じくピッキングを使った訳でも無い、地まで届く丈であるのに動き辛さを微塵に思わせず、内側には複雑怪奇な電子信号処理を張り巡らせたコートに、顔全面を覆わせた仮面は一見すれば妖怪「のっぺらぼう」
表情変化が薄い、表情が垣間見えない、そんな次元の話じゃない。
顔のパーツが抹消され真っ平らになっているのだ、眼も鼻も口すら必要無いと、可視化させたウイルス媒体が感染し失わせた……不気味さよりも生理的嫌悪感を与える、サイバースフィアは異世界からの侵略者か?
材質不明なフードを、金色単眼と同じく被っているが、こちらは球体仮面で隠しているのでオマケのような物。
「……………………」
熟練のかぎわける使いでも、ほごしょく以上に空間とは渾然一体。
この世とは隔離されているに等しき、隠し扉をさも当然に見つけ出し、金色単眼より二回り近く積み上げられた太い層を持つ右脚で、乱暴に蹴飛ばせばドットや電子記号、精神状態がトリップする強烈で眩しいコントラストが蔓延る仮想空間を、繋ぐ架け橋を無言で下る。
「ほぅ」
めまぐるしく変化する、ネットワークグラフィックに惑わされず、神秘的な銀色ライトに囲まれた蒼い揺りかご。
やはり無言のまま電子基板の階段を淡々と昇ったが、この電脳空間に入り込んでから最初の言葉は、素直に驚愕を表現するに値した。
「……………………」
途切れなくぎっしりと、張り詰めた筋肉質の両腕を組む球体仮面に対して、金色単眼は何もリアクションをしない。
「目覚めたのか。探し出して保護をしたいのだが、既に何者かに保護をされたのか。この場に入り込める者が私達以外に存在するとは」
かろうじて人型と分かる黒衣の二人組は、広大無辺で果ての無い、しかし海に例えるならば水深が極めて浅い場所に過ぎないこの電脳層。
消えてしまったポケモンの行方が分からぬまま、やむを得無しに踵を返して何事も無く、侵入の痕跡を残さずに民宿跡地から消え去っていった。
▼▼▼▼▼▼
そして黒衣の二人組が現れる一時間前、揺りかごで眠るメタグロスの少女を発見し、どうしたものかと悩める一人のトレーナーと、四匹のポケモン。
どうしてこんな場所で眠っている、しかも強力なポケモンと共通認識のあるメタグロスだ。
器用万能がピタリと当てはまる文武両道、超優等生。
現在判明しているポケモンの種類は五百を超えているが、上位にランクインする攻撃力、守りの要である鋼タイプと、異能力の代名詞であるエスパータイプを併せ持ち、頭脳明晰でありながら武力も群を抜き装甲もブ厚い……メタグロス使用を禁止するレギュレーションで開催される、公式大会すらありうる圧倒的ポテンシャル。
そもそも進化前のダンバル、メタングですら入手が大変困難であり、メタグロスまでの進化チャートも途方も無く長い。
高性能に相応しく、選ばれしトレーナーしか所持出来ない。仮にダンバルを譲り受けてもメタグロスまで進化させられるトレーナーが、米粒程度に居れば上等だろう……
「メタグロスって、野生でいるモンなのかニャ、ご主人?」
謎の電脳空間に突入以来、呆気に取られお口あんぐりしていたネリ。
まだ現状を飲み込めないってか、飲み込みたくない要因は沢山あるけど、旺盛な好奇心を刺激されたのか、思い出したのか、鋼鉄とは真っ向対立するプニプニの卵肌ほっぺを、折りたたんで攻撃力を下降させた爪は日常生活に支障を無くすためである。
「……………………」
頬をツンツンしても反応無し。
一般に知られるメタグロスの人化は、男女問わず体躯は大柄である。
本来の姿では性別すら不明だが、コイルもビリリダマも人化すれば男女どちらかに、または男の娘やら……ニッチな属性も多少なり含まれるが、必ずどちらかの性別を手に入れる。
研究段階であるが、性別不明の分類は人間が勝手に決めていたのであり、本来の姿でも実は♂や♀に区別出来たのでは? 人化現象が発見されてから唱えられた論文を発表。
検証と解明の為に積み上げてきたデータをもう一度作り直す、ポケモンの謎と疑問は増えてしまうばかりだ。
「イッシュ地方で見かけたって、証言はあるが定かじゃないな。世界の何処かには生息しているかもしれないけど、簡単には見つけられないだろ、メタグロスは」
ジックは一般的に知られる容姿と、あまりにかけ離れた可憐で小柄な眠り姫を熟視する。
鉄足を模した大きなツインテールは、青銅のリボンで纏められ、毛先には六角形のクリアブルーリングを、絞るような形に止めている蒼から銀へ、神聖な質感と洗練されたシャープな印象を与える、クールな組み合わせで流れるグラデーションを作っている。
「子供のメタグロス? 身長なんて百五十も無いんじゃないこの子?」
マトモに戦えば勝ち目の薄い、タイプ相性で不利の鋼タイプの重鎮も、威圧感が皆無では爽羽佳も警戒心を解いてしまう。
爽羽佳の推測通り、百五十四であるネリよりもさらに一回りはミニマムだ……が、見逃せないモノがある。
(小さな身体には不釣り合いなくらい、おっ、大きいですね……)
まるでスクールライフを楽しむ学生、メタグロスのボディカラーと同じ、青銅色のダブル型ブレザーベストの制服は種族を印象付ける × マークが多く配置されていた。
膝上20cmものミニスカートの下部、縦に四つずつ並ぶボタンを交差する止め方、ブラックのショートソックス上部などに × 印。
髪飾りともなる装甲にもバッテン模様が入り、彼女がメタグロスなのは明白である。
「ミノッ、ホホォ~~♪」
カップ数では流石にメコンには劣っているが、ミニマムボディを考慮すればアンバランスなまでに胸部装甲が盛り上がっている!
ブレザーと組み合わされる上品な黒いブラウス、スカートまで届く長さのピュアホワイトのロングリボン、中心部には本来の姿の瞳と同じ、数少ない弱点である炎よりも深紅に、稼働エネルギーを維持させるコアを想起させる、紅の宝玉が埋め込まれている。
……ギュッと締め付けているからなのか、そんなの関係ないのか、やたらと存在を主張しながら重力に抗う、双実をお持ちであった。
装甲を身につけていても、攻撃を受ければ朽ちてしまいそうな華奢であるのに、早くも胸に潜りたそうにフーセンガムを噛み続ける、かたくりこも絶賛なロリ巨乳。
他部位の脂肪を吸い取ったからなのか、小さい身体なのに男が劣情をそそられ性的な魅力を感じてしまう、巨乳とは対照的に手や脚、ボディラインなどは肉感が不足している。
バランスなど考慮せず胸部だけ強制的に肥大化させてしまった賛美両論。
小さい子は胸も小さいからいいんだろッ! 愚の骨頂だ!……と、必死の叫びが何処からか聞こえそうだが、クーロリフェイスと母性の象徴のギャップに、不覚にもジックは外面では伏せつつも内面では心惹かれる要素だと、素直に認めざるを得なかった。
ネリもロリ巨乳カテゴリーに食い込むが、この子はこの子で別の魅力を感じた。上手くは言えないけど。
別の角度から良く見るために視線変更すれば、横向き姿勢も相まって下着が見えっ……
「っと、保護するぞ」
ヤバイヤバイ、思わず覗いてしまうところであった。
各地方を旅して経験と実績を積んだ、誠実なジックでも多感な十八歳。
自分からセクハラはしないけど、手持ちにハグを求められたら応じるし、偶然眼に入ってしまえば「仕方ない」と申し訳なく思いながら、ラッキーであると自覚もある。
偶然パンチラしてしまったらしょうがない、けど自分からスカートを捲ったり覗ける位置に移動するのは、相手が手持ちだろうが野生だろうがとても失礼な事だ。潔く、勢いよく、下半身から視線をズラす。
……それでも「どんな下着だろう?」とか、思春期の少年らしい予測をしてしまうのは許して欲しい。
「ボールに入れるのですか?」
「ボールは使わない、この子の意思を尊重したいからゲットだのは、目を覚ました後だな」
無遠慮に弱らせて捕獲する者も居れば、馬鹿正直に「これから捕まえさせて貰いますね」と、一礼するトレーナーまで流儀は様々。
特に人化現象が起こった世代の少年少女は顕著、ジックはなるべくスカウトやネゴシエーションに近い形で、仲間を増やして「ゲット」の形を取っている。
かたくりこだけはタマゴから孵化したが、その他の子は漂流から助け出したり、田舎から脱出したいから特効してきたり、レアなアイテムにつられたり……面白そうだと加入した子も。
「とりあえずポケモンセンターまでは、俺が背負うよ。他には何も無いだろうしな……」
民宿の地下にこんな空間が広がり、こんなポケモンが眠っているだけでお腹いっぱいだ。
自分ら以外のポケモンや人、アイテムの気配も無いので眼がチカチカするこの場から出よう。
(依頼人にはどうやって報告しようか、それと政府への書類にはなんて書けば……よっ! ゔッ!? ヴ゙ァ゙ッ!?)
ギュムッ……❤
蒼き少女をおんぶして、改めて想う。
「どーしたニャご主人? グロスって言えば五百kg超えてるニャ、その子もめっちゃ重いのかニャ? あっ、それだと圧死されてるニャんね! マニュハハッ!」
女の子に「重い」は禁句であるのだが……同性だから辛うじてセーフにしておこう。
(スゲェ……おっぱい柔らかいんだけど……)
体重は軽い、全然軽い!
ネリよりも軽量級なメタグロスってどういう事だろうか。かるいしでも所持していればまかり通るが、この子は天然のヘビーボール×二以外は何も所持していない。
超重量級のメタグロスも、人化すれば見た目相応となる。
それでも小柄で軽量で――胸は除くと付け加える――幼い女の子は、あまりに背中に入力される圧が希薄だ。
やっぱり胸だけはもの凄い圧を入力してくるのだけど。こんなトコだけ重量級って、エッチだ……
ジックは紳士な性格ですけど、やはりまだ少年ってコトで...女の子の身体はどうしたって視線が行ってしまうのです。健康ですね、健全の範囲内です。美少女達に囲まれてたらどんな男でもそうなるもんですが...