ポケ×ぎじ 蒼鋼少女   作:緋枝路 オシエ

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一週間に一話は更新するスタイルは続けていきます!

審査員は変態でなきゃ務まらないぜ?


Segment・hexa――コンテスト決着!

新手の公開羞恥プレイの様な――――マスターだけならともかく――――4万だか5万だかの観客が缶詰された観客席に囲まれて、猫科とは何ら縁の無いメタグロスがニャーニャー……尻尾を振りながらネコグローブで、グルーミングする仕草を魅せる……上半身も下半身も、立ち上がってしまう男女が増える増えるわ。

 

 これが出逢った当初のヴィヴィであるならば、羞恥心を抱くことは絶対に無かった。

 

 

 なんせ下着を〝はいてない〟のに、ミニスカートを翻しながら戦っていたのが証拠として残っているのだから!

 

 

 以前は理解できなかった、人間やポケモンではなく、一つの生命体としての〝心〟

 

 あらゆる情動と感情をパスロックしたのに、100%にならず99%。

 

 表には出さないだけでヴィヴィは羞恥心を完全には、押し殺せないまでに道徳や、豊かな感受性を築き成長している。

 

 喜怒哀楽を得たのに、自分からリミッターを掛けるだなんて、スパイスに飛んだ皮肉である。

 

 

『三度目のアピールタイムです! 実質的にシャクナゲ選手とヴィヴィ選手の一騎打ちと化しております!』

 

 

(そんな馬鹿な……あられを解禁したのに……)

 

 本日限りの限定属性:ドジっ娘――――という事にしておく――――を炸裂させ、またしても23点を獲得したヴィヴィ。

 

 第二アピールでシャクナゲを上回ってしまった! 

 

 これにはシャクナゲもショックを受ける!

 

 今までコンテストに出ていないなど嘘、そうまくし立てたいくらいに、憎らしいほどのエレガントでキュートな少女! 

 

(ヴィヴィ、あくび!)

 

 またしても、本来メタグロスが覚え無い技を指示させるジック! もう『彼が見たいだけ』としか思えなくなってくる、清々しい表情だ。

 

 やはりヴィヴィ相手だと、セクハラブレーキが効かなくなってしまう事がある……気がついているけど、それ以上に見たい! 利己的だと自分で軽蔑しながらも……止められない!

 

「フ…………ニャアアア……ヴィヴィ、眠たくなった、ニャー(棒)」

 

 一瞬だけ、観客席のネリ&爽羽佳へ無表情のまま視線を送り――――チーズドッグ食べ放題が待っていると、心の中で百回ほど大好物の名を連打させながら……

 

「ク、ニャアアッ……フニャアー(棒)」

 

 

 ヴィヴィの アピールは きにいられた!

 

 

「まるで気まぐれな猫ですな……! メタグロスを忘れてしまう程に、チョロネコやニャースの声帯を真似ておりますなぁ!」

 

「くぅぅぅぅ~~! あざといっ!! 萌え死ぬぅ! 気乗りしなさそうな表情と、感情のこもらない声色、こなゆきを振りまく様な氷よりも氷らしい目付き……!」

 

「あっ、あっ……! その視線堪りません!! 実は私マゾっ気あるんです! 年下のロリ巨乳猫に眼で殺されちゃうぅぅ~!? あぁん、ダイヤモンドラブリィィ~~!」

 

「ブイッヒッwww ヒュヒュニャァwww 生粋のネコって、そっちの意味じゃないニャんwww 私からすればちょっ~~と、猫演技に甘い点があるニャんwww だから今すぐ私の胸に飛び込むニャ、ヴィヴィにゃんwww お姉さんがベッドの上で手取り足取り個人指導してあげるニャ゙ん゙ん゙ん゙っwwwwww」

 

 真顔で変態弁する代表。

 

 この中ではマトモな部類に入るピカスキー。

 

 突然、コンテストとは関係の無いカミングアウトしたパウスキー。

 

 誰かコイツ追い出せよと、誰も言わないのが恐ろしくなるセリーヌ。

 

 

『あ~~~、心がニャンニャンするんじゃ~~!』

 

 

 万単位の観客の皆様もノリノリである。

 

 もう、シャクナゲの事なんて頭から消え去っているくらいには――――――

 

 

(ざぜまぜんわ゙ァ゙ァ゙ア゙)

 

 

 プライドになんて縋っていられない、最高の美しさを持つ自分でも、手に負えない強敵が現れた決断の刻。

 

 最強のアピール技を使わせて貰う! 生きている間で、ここまで追い詰められるとは……!!――――

 

 

『あ~~とッ!? シャクナゲ選手がヴィヴィにゃん……じゃなくて、ヴィヴィ選手をくすぐっております!! そんな技を覚えていただなんてーー!?』

 

 

オオオオオッ!!? 百合百合ィィ???

 

 

 超展開、戦闘民族な容姿の司会者が、歓喜の声を高らかに上げれば観客も手舞足踏。暗黒太極拳を踊り出す物も現れる始末。

 

相手の防御と攻撃を下げる技、くすぐる。

 

 ヒンバス時代の卵から、遺伝させてまで、ミロカロスに使わせたい効能ではないが……

 

 

――――ホラァ……貴女のおっぱいも防御力が低下して、カスタードケーキになっているわよぉ? 防げるのにしないってどういう意味かしら? 特性はノーガードじゃないでしょう? コショコショコショ……――――

 

――――あン゙ッ゙!? やぁ、止めてくださいニ゙ャア゙ンン゙ッ! にゃはんっ、ニャハァ゙ァ……なんだか下の方から、ボディパージしちゃいそうな気分になってきた……ニ゙ャン゙ッ゙!?――――

 

 

(!っ?っ!ッ?ッ~~~あっ、あ゙ンのミロカロス!! ヴィヴィにゃんに愛撫しやがってニャン!! そこを退いて私と場所替えするニャ! そんな気持ちよさは偽りニャあ! 眼を覚ましてニャ! ヴィヴィにゃ~~ん!!)

 

 

 *セリーヌだけにはそう見えております

 

 

 阿鼻叫喚遊戯、コンテストに参加=優勝の方程式を覆されてなる物かと、シャクナゲはプライドをハサミギロチンして、ヴィヴィへダイレクト妨害!

 

「ニャー、ニャー、驚いちゃった、ニャー(棒)」

 

 …………実際のヴィヴィは、擽ったくもなければ、感じる事も無いのだが。

 

 クリアボディだし……リミッター掛けているしで。

 

 満点を阻止され得点は逆転、乳繰り合いを創り上げたシャクナゲが22、ヴィヴィは20、僅差ながら第三アピールタイムはシャクナゲの勝利である。

 

(ハァーハァー…………コンテストって……ここまで疲れる……イベント……でしたっけ……ハーハー……ァ)

 

 回想しても殆どがぶっちぎりで優勝してきた彼女は、感じた事のない疲労感に戸惑いながらも、何故だか腹黒な顔ですら恵比寿になりつつあった。

 

 

『最終アピールです! 悔いの無い様にどうぞッ!』

 

 

 もう他の参加ポケモンですら、シャクナゲとヴィヴィのタイマンバトルと認めてしまっており、棄権して両者の演技を心待ちにしていた。

 

(最後っ! どうするか…………! ヴィヴィ、ゆうわくだ!)

 

「…………ニャー、ここが気になるのかニャン?」

 

 出ました、ヴィヴィ最大の武器かもしれないFカップおっぱいを二の腕でギュッ。

 

 

 左右から圧を入力され、乳袋がポップアップ。さながら飛び出す絵本ならぬ『飛び出すおっぱい』

 

 

「改めて全身見ますともの凄く短いスカートですねぇ!? ロリ巨乳の持ち味を最後の最後で強調……いけません、厳正な審査をしなければならないのに、ヴィヴィ選手へ考え無しに6点入れようとしてました」

 

「うッわッ!? あれよりも大きくなるだとォ!? き……きんのたまからサイコブースト…………こみ上げてキ、キぃ…………ア゙ ア゙ ア゙ ア゙ ッ゙ ! ? とくこうにだんかいさがっちゃいましゅぅぅぅぅぅッッ!?

 

「……………………しゅごい、クーロリフェイスにおっきい おっぱい……凶器ですっ、トレーナーに努力値を振られてしまったのか、生まれながらに個体値が最大だったのかっ、興味あるーーっ!」

 

「待ってましたニャァァ~~ンwww ヴィヴィにゃんの膝上でバブられたいニャンwww 艶声が山彦となって反響しそうなふか~い谷間に私の尻尾を挟んで欲しいニャハアアアッwwwwwww」

 

 

 やはりマトモな審査員など一人もいなかった!

 

 

 興奮物質を鷲づかみされ、拍手は閃光のクロニクル、強烈な縦揺れを巻き起こす驚喜の産声に、ボルテージは最高潮。

 

 

 エキサイトゲージもMAX! ボーナス加点が入り24点満点中28点! 異例のシチュになってしまう。

 

「わー、嬉しい、ニャー(棒)」

 

 全ての感情を押し殺したヴィヴィは、事務的過ぎる口調のままとりあえず、喜んでおく。

 

ニャーニャー鳴いとけばいいだけなのだから、楽であると思考回路を頑張って切り替えたらしい。

 

(私 を 忘 れ ん な で す わ ァ゙ ァ゙ ッ ! メロメロ+メロメロボディ強制発動~~!)

 

 ブラウスのボタンが、辛うじて寸止めされているミッチミチFカップ、あのアピールを上回るアピール……同じく! おっきい おっぱいを、強調させるしかあるまい!

 

 ヒンバス時代は貧相だったお胸、マスターから直包みされ、パン生地の様な質感を持つおっぱいへ育て上げられた。

 

 ヴィヴィが触ったら崩れるプリンなら、シャクナゲは伸び縮み自由なアハ体験のバターロール!

 

 全てがヴィヴィの虜と言っても良い観客の注目を奪い返す。

 

 貴族服を緩めて、がっつり〝荘厳なる夜明け〟をアピール。

 

 内心嬉しくて仕方が無い、もう認める、作業の様にこなしても勝ってしまう世界一美しい自分は、互角に張り合えるだけの相手を求めていたのだとーー!

 

「むんっ!」

 

「……ニャン?」

 

 前回に引き続いて、今回もFにFがデッドロックされている!

 

 まるでFとFが引き寄せられている!? 

 

 視聴者へ向かって「どっちのFが好き?」と訴えている~~!?

 

 顔とか腕とか……色々挟まれたい欲求を解放したい素人おっぱいと、プロのおっぱい!

 

 これぞ驚異(胸囲)の代行者! 

 

 あまりのエキサイトっぷりに、一部機材が破損し緊急修理を施すスタッフも、本当はFとFの〝おっぱい席取りゲーム〟を見たくって溜まらないのにっ!

 

 

『はーいっ! そこまでー! 両選手とも胸を退けて距離を取ってくださーい!』 

 

 

 こんな事言われる参加者は、後にも先にもこの二匹だけであろう。

 

 相変わらず感情リミッターが働いているので、棒読み無表情マシーンのヴィヴィと、まだ最後の審査があるのに満足げに長く伸ばした、赤いヒレ髪を耳に引っかけるシャクナゲは汗だく。

 

 彼女の得点も28点であった。持ち点はリードしているが微々たる物で、最終審査で逆転される可能性もあるだろう。

 

(させませんっ! 優勝するのは私ですっ!)

 

(…………ニャー、ニャー…………)

 

 緩め込んだ衣服を着付け、左右からのプレスを取り止める。

 

 短時間でライバル心が芽生え、蹴落とすよりも純粋にコンテスト技術を競い合いたい!

 

 そう思ってくれている彼女には、非常に申し訳の無い最終審査となる――――

 

 

『では、この瓦を何枚割れるか! ブレイクブロックですッ!』

 

 

「…………ちょ゙っ゙!? ポケスロンじゃないのですよっ! 何故腕力が物を言いそうな種目設定なのですかっ!?」

 

 ワンリキー君が重たそうな顔をして、運んで来てくれたのは厚さ20㎝の瓦が20枚!

 

 自分はバトル経験の無いレベル1なのにっ、突然ビジュアルやバトル以外の要素が重要なコンテストで、簡単操作のミニゲームみたいな真似をしなければならないのか!

 

 これには流石のシャクナゲも、平静を保っていられず抗議しだす。まぁ、当然の反応であろう。

 

「静粛に静粛に……シャクナゲさん、これは〝萌え〟コンテストです、私達がトチ狂ってこの会場をポケスロンで埋め尽くそうなどとは考えておりません。…………別に全てを割らなければ得点が入らない訳ではありませんよ?」

 

 キリッ、変態集団の長は、ブーイングする腹黒ポケモンの本性がバレているとか、デリカシーの無い発言をせずに、さりげの無いアドバイス。

 

(…………フフッ、そういう事ですか、私は今日だけで何回取り乱してしまっているのでしょうか……つくづく、今回のコンテストは頭が可笑しくなるくらい私を熱くさせてくれますね……)

 

 

 そう、コンテストである本質は何ら変わっていないのだ。

 

 

 この種目だけ隠していたのも、土壇場からの順応性、今までの審査で掴めた洞察力、皆が求めている〝萌え〟への要望にお応えする決断と判断力。

 

 締めくくりにはもってこい、レベル1の物理型ミロカロスですら、勝ち目は……ある!

 

「アクア~テールぅ゙!? イ゙ッ゙!? だ、あ゙ぁ゙あ……ダメっ、瓦さん達が可愛そうなのっ! シャクナゲ割ることが出来なぁ~い~!」

 

 そのまんまの意味で、一枚も割ることが適わなかっただけなのだが……

 

 キャラ崩壊は覚悟の上で、水流の勢いで叩きつけた尾。

 

 めっちゃ痛い……尻尾の中程がジンジンする……

 

 はじき返されて反動ダメージ、瓦なんかに負けるミロカロス、されどレベル1の箱入り娘なので仕方ない。その前に瓦がブ厚すぎる。

 

 尻尾を抱いて座り込みたいけどアピールアピール! あざとく舌ペロさせながら逆手ピース! 

 

 幼い頃の自分だったヒンバス種すら倒せるか怪しいか弱い女の子を演出!

 

(うっ、ウケてる……これが〝萌え〟……)

 

 なんか、新しい扉を開いてしまった気がする。切羽詰まった状態になったのもこれが初めて。

 

 挫折を味わったことのないシャクナゲは、極めてソレに近い物を第二審査中に味わい、マスター共々『コンテストの楽しさ』たる原点を思い出せたのだ。

 

(さっ、メタグ……ヴィヴィさんの番です)

 

 あれだけハンカチ引き千切る勢いでグヌヌしていたのに、アイコンタクトを交わしヴィヴィの演技を見守る事に専念する。

 

 もう〝勝っても負けてもいいや〟とすら思っている。こんな気持ちになったのは初めて……絶対に一位獲得を命じられ、有言実行してきたのに〝負けてもいい〟とは――――

 

(台本にない種目だけど迷うことはない! ヴィヴィ、9割の力でコメットパンチだ!)

 

 そりゃ、予想出来る方がおかしい。

 

 歌唱力だとか料理だったら敗北確定だったかもしれないが、あまりにもヴィヴィに適合した最後の種目!

 

 全開だと機材を越えて、ステージをぶっ壊しそうなので……ちょっとだけ抑えて...

 

「ニャー、こめっと☆ぱ~んち、だ、ニャー(棒)」

 

 

 ファンシーで柔らかそうなネーミングに変更したって、彼女の主力技かつ、集いし帚星が蒼穹となる必殺の一撃であるのには変わりない。

 

 ぶつ切りセリフのまま、9割の力で瓦20層へ――――

 

 

「…………全部割れた、ニャー、ヴィヴィ、頑張った、ニャー?」

 

 

『なっ!? なんと言う事でしょう! 例えグラードン級の伝説のポケモンがじしんを使ったと想定しても、破壊されない衝撃吸収素材で作り上げたステージがっ……真っ二つになってしまったァァ!!?』

 

 

小柄華艶な容姿であるのに、ネコグローブから何時もの蒼い手甲へ交換。

 

 実に易々と地表まで突き破ってしまった根底には、ネリそわジックへの処刑予告でもある。

 

(ひィぇ……)

 

会場内で大地震が起こり、反動でスポンサー看板の一つがシャクナゲと、ヴィヴィ目掛て落下したのだが―――――

 

「…………ニャー」

 

 棒立ちのまま片手キャッチ。

 

 靴がバランサー代わりになっているので、震源地でも彼女のボディは微動だにしていない。

 

 

 ――――だが、そのおっぱいは激しく揺れ動いていた――――

 

 

▼▼▼▼▼▼

 

 

『それでは! 結果発表です!』

 

 

 ちょっとしたハプニングはあったけど、控えていたコンテスト統括委員に所属する黒服サングラス達が、既に半分近く修復しちゃっているので気にしなくてもいいでしょう。

 

 激闘を繰り広げた二匹以外は同率3位、途中で引っ込んだから順位も何もあったものではないが、限られた枠に残った実績は誇って良いだろう。

 

 会場の照明は落とされ、ただ二つのライトがシャクナゲとヴィヴィを映し出す。

 

(……………………)

 

(……………………)

 

 少なくともシャクナゲは、やりきった顔を見せているので、どんな結果が出ても受け入れられるだろう。

 

 ……もう名誉だとかプロ意識だとか、彼女はそれだけで生きる存在ではなくなっている。

 

 

『……………………優勝は! シャクナゲ選手ですッッ!! おめでとうございますッ!』

 

 

 一度だってしたことのない、両手を合わせて祈る様な仕草を作り上げていた女性のライトだけが残った。

 

 観客の誰もが「やっぱり」だとか「当然」と思っていない。

 

 本当にどちらが優勝するのか分からない、圧倒的な差を作り上げて結果など見えていた今までのコンテスト、切磋琢磨できる〝ライバル〟が彼女のコンテスト感を変異させてくれたのだ――――――

 

「ありがとうございます! 私、負けたっていいやって、プロ失格な想いでこの場に立っておりました。ですけどっ、優勝……出来たらやはり……嬉しい物なのですっ!」

 

 インタビューなど上っ面だけ、世界一美しい私が出場したのだから当たり前でしょう?

 

 心の中では対戦相手を見下し、自身を昇華させる踏み台としか思わなかったのに――――

 

「…………この子、ヴィヴィさんが居てくれたから……私は優勝出来たのです。えぇ、価値観を色々と、良い意味で変えてくださいました! 萌えなるジャンルは初開催ですが、今後は定期的に行われるのだと思います! 他のコンテストもですが、四連覇をしたプロとしてではなく、一匹の挑戦者として参加させて貰います!」

 

 ヴィヴィが居たから優勝出来た 

 

 矛盾な響きだが、何となく皆には真意が理解できた。

 

 優勝カップやリボンなど下に置き、健闘を称えながら握手を求めている。

 

 ……シャクナゲのこんな姿、見たことが無い! 表彰式で絡むのはコンテスト関係者か、カメラマンなどの報道関連者くらいだったのに!

 

「ヴィヴィさん! ありがとうございます!」

 

「こちらこそ……どうも、です……」

 

 気持ちのリミッターを解き、何故こんなに感謝されているのか、ヴィヴィはイマイチ理解しきれていないけど、不快ではないし観客や審査員も感動してるし……

 

 

 空気を読まずスタスタ帰ってしまうヴィヴィは死んだ。

 

 

「カメラが来ましたよ! ピースですよヴィヴィさん!」

 

「んっ…………!」

 

 完全に把握や理解しきれなくても、場の雰囲気や彼女の想いを察して、応じる事が出来る様になっているヴィヴィが生まれていた。

 

「…………ヴィヴィ選手、全ての演技で熱が入っていないのが致命的でしたね。メリハリを付けるべきでした」

 

 一回、二回なら〝そういう演技〟として評価されていたが、最初から最後までずっと同じ口調、表情で突っ走ってしまったのが優勝を逃した理由だ。

 

 

(…………リミッターを、取り付けてしまったばかりに…………っ…………ですが、リミッターが無ければ第一審査で落とされて……あぁ、チーズドッグ…………食べ放題…………ビッフェ…………)

 

 

 ジックからは『この演技は表情を~』だとか『緩急を~』だとか、指示はされていたけど、おっぱいを強調させるよりもヴィヴィにとっては難しい事だったらしく、実行すれば下手なのが明るみになってしまうと警戒した結果が...

 

 にゃんにゃんパワーで騙くらかせた……と思いきや、審査員の判定眼は曇り無い。そうでなければ変態集団の首領は務まらない。

 

 

(ヴィヴィちゃん、残念そうだニャー……今優しい言葉を掛けたらコロッと落ちてくれないかニャー……? ギュフッwwwwwwww)

 

 

 バネ尻尾をシコシコ、ペロペロさせながら、ヴィヴィにゃんに萌えていたコイツも、何だかんだ審査員としての役割を果たしていたらしい。

 




げんじつは きびしい 

コンテストは終わりましたが、六章はこれだけで終わりませんよ!

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