ポケ×ぎじ 蒼鋼少女   作:緋枝路 オシエ

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バベ子「おばあちゃんの……育て方がいいからね…………(ドヤァ」



Segment・hepta――エスパーと酷似する『ノーマル』

断っておくと、オーヴェルに時間を稼ぐ意図は無かった。

 

「パリンッ…………ん、もぐっ、ポリンッ……おいしっ……♪」

 

 ジョウト地方から取り寄せた、オドシシの影絵が刻印された、まぁるい形に焼かれた携帯食。

 

 バーベットにとっては、オヤツになると同時に……バトル中もHPを少しずつ回復させる『たべのこし』へも変貌するっ!

 

「(壁も貼られてるし長期戦は分が悪い!)爽羽佳、バーベットを持ち上げ……」

 

「ネレグ! 地上は任せたままでいいです、爽羽佳さんへエアスラッシュ!」

 

 飛行タイプの爽羽佳になら、メガホーンの威力は半減するのでノーガードでもある程度は耐えれる。

 

 100kgに満たぬ、オドシシの体重ならリフトアップが可能だ!

 

 空中の階段を登らせ、無防備状態のまま連続攻撃を叩き込んで一気にHPを減らしてしまおうとしたけど、ジックが指示し終わるよりも早く貴婦人の生気並々溢れる発声が、抜かりの無い措置を下す。

 

「うァ!? にゃ~ろぉぉ! 邪魔すんなっつ~~~の! ヴィヴィちゃんごめん!」

 

「あのSignorinaの元へ向かおうとすれば、羽の付け根がくり抜かれるぜ」

 

 真空の刃をその場で――――高度100メートル地点だが――――倒立前転し躱す事が出来たけど、背を向けてしまっていたので危なかった……間一髪。

 

 悔しいが瞬発降下速度は、ネレグの方が上らしい。振り切ろうとしたけど攻撃有効範囲内まで侵入され、ジックの指示があったからこそ背面ストリップせずに済んだんだ。

 

 オウムがえしは相手の技を、そっくり真似るけどエアスラとエアスラ、残念ながら特殊攻撃では勝てないので相殺どころか、エセエアスラごと真っ二つされる!

 

 ……障害物はないけれど、トクサネにはエスパータイプに恩恵に預かれる風土。

 

 物理技の通りが格段に悪くなってしまったので、サイコキネシスの出番だろう!

 

 射程範囲も拡大しているので、上手く行けばネレグをも巻き込んだ二体同時攻撃も実現できるかもしれない……!

 

「今だっ! ヴィヴィ、サイコキネシス!」

 

 交代制ではないので無効化は、まもるを使われない限りされないハズ。

 

 手の動きをそのまま代行させる、幻覚の一種であるが顕現させ肉体的苦痛は脳へとシグナルを送る、バーベット専用のメガホーンを念話でジックと意思結合を果たしたこうそくいどうで回避しつつ、相手二匹を射程距離内へ捉えたスポットへ両脚を落とし、深紅の瞳を強く眩か――

 

 

「さぁ来ましたよバーベット、貴女の真の力……生まれ授かりし特色を余すこと無く発揮させてくださいな!」

 

 

「コクッ! 印、『封』!」

 

 

 上空のネレグも防御態勢を作ろうとすらしてなかった。

 

 間に合わなかったのではない、サイコキネシスが〝不発に終わる〟と知っていたから、爽羽佳との鍔迫り合いに集中させて貰っていただけだ。

 

「……やッ……!?……お腹にまとわりつくこの……!?」

 

 空間を湾曲しニューロンネットワーク軸索を、電気信号ごと停止させ兼ねない破壊力となるであろう。

 

 

 半減ですら強引に〝分からせる〟サイコキネシスが炸裂!

 

 

 ……発動直前でブレインコンピューターが、コンパイルエラー。 

 

 ピー、ピー、ピー……無慈悲なる長音の発生源は、ゆったりした衣装を纏いメランコリックな表情をややドヤらせ、トラップに嵌まったヴィヴィが硬直から復帰するのを待ってあげる優しさはないので、不可視のマリオネットで繋がったオブジェを――――左手は外回りさせ、右手は膝まで落とした後に左肘とクロス――――撃ち出して脇腹に一撃、髪飾りへ一撃の合計2hit!

 

(ゥ゙あ、けふ、ぅ……! 〝メガホーン〟のコンセプションを……完全に逸脱させてます……! サイコキネシスだけじゃありませんっ、まもるも封印されてしまいましたっ!)

 

 なんて曲者! ネレグと交戦中の爽羽佳も技を封印され……たけど、彼女は元々まもるを覚えていないので実質的な被害はない。

 

 エスパーに恩恵がある地形でも、エスパータイプを使ってこない理由。されどサイコキネシスを覚えさせているのは――――

 

 

「――――そうですよ、ジックさんにヴィヴィさん。有利地形に便乗しようとするだけでなく、そこから『如何に技を使わせないか』を考えるのも重要な焦点となります」

 

 

バーベットが指先で描いた漢字は『封』

 

 

謎解きは簡単だったが、解いた後ではもう遅かった……自分が覚えている技の全てを、相手に使用禁止のマイナス症状を付加させるふういん!

 

 白く縁取りされた紫紺色の〝封〟の字は、時々生きているかの様に形が崩れ呪詛として絡む鎖。

 

 バーベットを倒さない限り、まもるとサイコキネシスは不発に終わってしまう……

 

 バーベットも同じ技を覚えていると、手の内を晒しているが不利なのはどちらか、言うまでも無い! 

 

 客観的視点でバトルを凝望するオーヴェルは、サイコキネシスの発動タイミングやメガホーンの命中地点さえ理想通りにバトルを運べているけれど、決して勝ち誇って得意気に自慢する事はしない。

 

 彼女は再びポケモンと戦う者として、この世界へ舞い戻ったが力を付け直しているのは、最強の称号を獲得する為に非ず。

 

 心は若返るかもしれないが身体は老いる、自分よりもずっと未来がある新人や若手の育成に力を注ぎたいから、恥ずかしくない実力や戦術を構築させ参考にして欲しいと、願っているからだ。

 

 古参だからと〝強さ〟を独占してはならない、巨大な樹木だからと苗木の成長分を横取りする理由にならない。それが彼女の提唱。

 

(エスパーの地の利を借用せず、エスパー技を封印するっ、まんまと乗せられてしまったエスパー使いは戦術を大きく制限されてしまうんだっ……! 礼賛するしか無いですよオーヴェルさん……!)

 

 ヴィヴィがもしも、エスパー単タイプだったら殆ど〝詰み〟だったかもしれない。

 

 ダブルバトルでの戦況を左右するまもる、エスパー永遠の主力サイコキネシス……そして物理エスパー技のしねんのずつきまで封じられたと、呪気漂う『封』の鎖に侵攻されたと念話で交信してきたヴィヴィ。

 

 移動などに支障は無いが、これで地形効果を活かすことは出来なくなってしまった!

 

 これはジックの勘であるが、恐らくバーベットは彼女が覚えられるだけ、エスパー技を覚えさせられている――そして自分では全く使わない――のではないか?

 

「…………行って…………!」

 

 ふういんだけじゃない、エスパーを倒す手段もやはり用意されていた!

 

 くいっ、中指と薬指を手前に倒し込んでメガホーンを引き戻しながら、二本角の根元に埋め込まれた球状から、エスパーの大半が苦手とする影球を左右から一発ずつ!

 

 威力を分散させる代わりに、命中精度に比重を置いたシャドーボール。その為ダブルバトルでは『二匹同時攻撃にもなる』

 

今回のシャドボは分散させたが、ルートはヴィヴィのみに絞る。爽羽佳にノーマルタイプが複合されているので、上空へ放っても効果は無いからだ。




バーベットは『見た目は冷帯地住まいの女の子、能力はシャーマニズム』にしてます。

戦い方やポケモンを熟知してる、大人の戦い方ですね。自分の為だけにバトルしているのではないのです。
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