心霊現象としてメジャーな仏教用語と同一の技名称を与えられた〝かなしばり〟
直前に使った技を封じ込まれてしまう呪札を貼られたヴィヴィは、暫くの間コメットパンチが使用不可能。これでマイナス症状を二つも付与されてしまった!
まもるとの相性は抜群、苦手な技を使われても必ず無効化出来るのでノーダメージにやり過ごせ確定で封ずる事が出来るからだ。
(ッ! 迂闊だった……まもるをバーベットが覚えているのは晒されていたのにっ……! ゴメンねヴィヴィあまりにも単調すぎたっ、ここでダウンさせないとって焦ってたのかも…………!)
確かにジックにしては警戒心が薄い一手であったと言わざるを得なかった。
コメットパンチが通ればバーベットを倒せる、かつてない強敵が相手なのだからリスクを承知で『ここだっ!』と思ったら針穴へ一発で糸を通そうとする勇気は必要だ。
ヴィヴィは、心の何処かでは『まもるを使われた場合の立ち回り』を問おうとするつもりであった。
それこそいつも通りの声色とジト目で『あのオドシシは自分に強力な技……オドシシ視点で最も喰らいたくない技を自分に誘発させようとしているのでは? 猜疑心が足りてませんよ?』と言い放ってしまえば良かった……
ポケモンを支えるのがトレーナー。
そしてトレーナーを支えるのがポケモンでもある。
(…………! 周波数をシンクロさせすぎて……気がついていたのに……わたしは…………)
彼と上から下まで心も身体も硬く結びついている感覚に嬉しくなって、疑念を浮かばせながらも――感情論とは少し異なる――かっ飛ばしてしまった。
高すぎるシンクロ率も問題が発生する……? 95、もしくは96にセーブした方が戦闘に支障が出なかったのではっ……?
理知的で論理的な彼女はジックのせいではなく警戒を催す発言をしなかった自分に責任があると、上空からターゲッティングされている事にも気がつかないまま両膝を地に落としてしま――――――
「落ち込んでる暇ないよっ! 今はバトルの真っ最中! ヴィヴィちゃんの気持ちは理解出来るけどさっ、だからって動き止めたら本当に勝てなくなるよっ! そっちのがご主人悲しむんじゃないかなぁ~~?」
ヴィヴィはとても強いけど強靱な外部装甲と反比例する様に、内部装甲には突然亀裂が走る事もある……合理性の塊でありながら誰よりも感情優先させてしまう姿を皆は知っている。
同調率が高ければ高い程、受け持った指示をノータイムラグで繰り出すことの出来る念話だってマスターが憤慨したり動揺すればシンクロしているポケモンへも伝わり、ウイルス感染の様に納得が行かなくとも自然に行動、気持ちへ移し込まれてしまう。
反則スレスレと評される念話だってちゃんとデメリットがあるのだ。この辺りは念話は労せず行える様になった二人だけど、洗練度で言えば課題は何個もあるので時間を掛け研磨する他ない……
「爽羽佳さん……っ」
主人が失敗したら――仲間が落ち込みそうになってるなら――
「もう一匹の仲間である私が励ましてあげればイインダヨーー♪」
ジックの手持ちとなって暫くはあまり打ち解ける間柄ではなかった。
彼女からすれば田舎から脱出出来るのなら、トレーナーなど誰でも良かったし方法など何でも良かった。
両親からの〝バトル禁止〟の約束をあっさり破って、彼女なりに経験を積んでいたつもりだったけど、本格的バトルに対してはそんな真似事は意味を成さなかった。
自分が原因であると理解していても扱い方が悪いだの弱い人の手持ちになって不幸だの……暴言のダークストーム、今の爽羽佳が聞いたら昔の〝爽羽佳〟をドリルくちばしで抉り倒してやりたくなる。
年頃の男女なのだか、旅の途中で何度も意識したり謝罪をしたいと想う事はあったけど、素直になりきれない鳥ガールは中々言い出せず仕舞いであった。
「なぁに? 私を逃がしたくなったワケぇ?」
「違うよ! キミのバトルスタイルについて相談と提案があるんだ。聞いてくれるかな?」
「…………眠いから、さっさと話して…………」
その日を境にして彼女は《嘴を脚に装着するユニークなオニドリル》として、既存の「オニドリル」から脱却しジックの元で《自分だけの大空》へと飛翔、本当の意味で巣立つ事に成功した。
目立ちたいから脚を武器にしている、それは半分本当だ。
彼女は通常のオニスズメ種より嘴の力が弱かったのだが両脚の力は、ワカシャモ並のパワーとスピードを兼ね備えた潜在能力を眠らせているのだとおやになってトレーナーメモへ手持ちデータを記入する際に隅々まで対象を調べるので、爽羽佳本人が全く気がついて無かったがジックはその様に分析し予測する事が出来た。
通常の戦い方では彼女の能力を活かせない、風変わりかもしれないが進化すればそれこそバシャーモに匹敵する脚力……脚に武器を装備させる提案を示した。
「っ! ヴィヴィちゃん危ないっ! だだァッ゙!?」
彼女が急速にバトルで勝てるようになった在りし日を振り返っている間にも敵は攻め込んでくる。
狙いは激励されて低下しつつあった敵対心を再び構える事に成功した鋼鉄娘だ!
「…………庇った……っ、命中したからいい……けどっ……追撃よろしくっ……」
ホーンオブジェを華麗にトリックさせるバーベット。指先の腕の動作と連動させ不可視のストリングスと結ばれたホーンが新たなるプレイを魅せる。
敵対心を感知すれば自動で攻撃、指の動きが追いつかないほどの速度は先制攻撃の名に相応しい、ふいうち。
彼女は本来のニュアンスとは異なるが、ふいうちを組み合わせたりふいうちから開始される一連のトリックを『フリースタイル』と命名している。
威力は小粒程度であるが、真価は仲間との連携にアリ。
「物理型には死活になるかもしれないな、ほらよっ! ねっとう!」
「アヂだぶばァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ッ゙じゃぢゃじゃばだァ゙ァ゙~~~~ッ!?!? ちょちょちょっ、アイツッ、ふざっ…………!? トサカにお湯ぶっかけやがってンなろぉ゙ぉ゙ッ゙~~!! ハゲたらどー責任取ってくれるのよォォォッ!! この歳でオニドリルからバルジーナに転生しろとかぁ、ゴメンだっつーーの゙ォォ!!」
狙いを外した……が、どちらも物理型なので失策では無いと、オーヴェルは手持ち二匹へ更なる攻め立ての指示を与える。
一瞬で相手の背後から角を一振りしては手元へテレポート。ただし攻撃する素振りや敵対心を感じられなければ空振りに終わってしまう、便利だけど正確な読みが要求される高優先度技を用いたフリースタイルで相手の体勢を崩しネレグの攻撃を確実に当てる。
ヴィヴィを狙っていたが反射的に爽羽佳が突き飛ばし、庇う形でダメージを受け持ってしまった。
煮え滾る水を相手へぶつけるねっとう。
威力自体もそこそこあるが、本当に恐ろしいのは火傷の追加効果とその発生確率が比較的高いと言う事だ!
グヅグヅと熱膨張を起こしている〝やかん〟を、両羽から振り落とす。
このやかん(ねっとう)は使用者のイメージを顕現化させているので、使い手によって形状や色彩などに個性が生まれている。
……英国風執事の身なりである彼が、お笑いの小道具の様なデザイン……?
電気ケトルではダメだったのか? やかんである必要性...どんな思い入れが込められているかは不明であるが、威力や効力はどんなスタイルでも変化はないので火傷にならなかった爽羽佳は運がいい。
もしも……火傷になっていたら物理攻撃しか覚えていない――爽羽佳に限らず物理型ポケモン全般は――機能停止、だっ!
「あーーもォ! 背中から入ったからスーツん中も熱湯でぐしょぐしょ……! アイツ、絶対に許さーーーーん私がたおーーす!」
やかんの理由は
裏側で
なんちゃって