ポケ×ぎじ 蒼鋼少女   作:緋枝路 オシエ

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なぞの謎のポケモン


Segment・octa――【 h   e f   f 】

地図を入手したが、フロア数はとても一日では回りきれない多さだ。

 

 手持ちを総動員して、3日目の20時に最深部を除き全てのフロアの砂を回収した。

 

 洞窟内でのキャンプ……ミナモに居を構えた現在では、縁の無い行為となってしまったけど、旅するトレーナーとして必須なスキル。

 

 1日目はじゃんけんで勝ったメコンが、2日目はインフィスがジックのテントにご一緒していたので、鋼鉄ガールは頬を膨らませていたけど、例の一件以降は尾を引かずに「コミュニケーションは平等……ですよね」と、自らを納得させながら隣合うテントへ戻っていった。

 

 ジックも彼女の心情を察せ無いニブチンではない、洞窟内で勝負を仕掛けてきた――主にドラゴンつかい――とのバトルでは、積極的に使用し勝ったなら沢山頭を撫でてあげた。

 

 鋼タイプはドラゴンに有利、そんな単純理由でヴィヴィを使うのでは無い。

 

「…………もう終わりですか? もっと撫でたっていいんですよ?」

 

 存分に撫で回したつもりだけど、ヴィヴィは両手を掴んで彼を見つめてくる。やっぱり冷静を装うも頬の色は彼女の、瞳よりも深紅で顔艶が些か良すぎる。

 

 拒むどころか追加要求してくる。インフィスは自分が見てない内に、関係が進んだのだなぁと、ブカブカの袖で口元を隠しながらニヤっと笑う。

 

 自分も含んだ♀ポケ勢に対する、強大なライバルが何歩も先を進んでいる。

 

 が、ヴィヴィは隠し通せているつもりでも、インフィス達にはとっくに…………最初に出逢ったメコンですら、ご主人様との仲を裂いてやろうだなんて、毛頭思っては無い。

 

 ……この場合ヴィヴィが逆にニブチン過ぎるのかもしれない。

 

「残すは最深部だけだね。たきのぼりをお願いしていいかな?」

 

 地名に反する事は無く、囂々華厳の滝が行く手を阻むりゅうせいのたき。

 

 全フロア探索には、たきのぼりの技を強いられる。ひでんマシンは実力を認められたトレーナーが、免許を提示し発注可能となる品なので、滝をクリアする=実力が伴っている。

 

 奥に進めば進むだけ、挑んでくるトレーナーの強さが上昇していたのは、そういう仕組みが自然と形成されているからだ。

 

「お任せください♪ ギュッて、私の身体を掴んでいてくださいね……///」

 

 エッチな意図はない、そういう技だから!

 

 でもラッキーだと、背中に当たる彼の胸板と体温を感じながら、ライトの色がピンクになってしまう。メコンは水タイプ特権で、移動時にもお世話となる事が多い。ホウエンは海が他の地方よりも広いし…………

 

「たぁぁ…………! とぉぉーーーーっ!!」

 

 凄ませても、この気の抜けるまったりな声調。

 

 最後の滝を真っ二つにする頭突き、勢いのまま陸地に飛び乗ったら、どう頑張っても揺れを抑えられない、Hカップが衣装からハミ出てしまう直前であったので……後ろを向いて胸元生地を直す。世界の男性トレーナーが欲するランターンであろう!

 

「出て来て、皆ー!」

 

 トレーナーへ被害を出さない為に、たきのぼり時は水の防御壁を展開するので、ジックは髪の毛一本水に濡れていない。

 

 メコンは耐水性のある衣装であるが『カイスのみの先っちょが判別出来そう』な、ピッチピチに地肌へ貼り付いてしまっている事に気づいているだろうか? 彼女へは何も告げずタオルだけ渡す、ジックは紳士だ。他のトレーナーだったら○○浮かんでるよと、指摘する。メイドスカートまでお股にピッチリって貴女…………

 

「…………トレーナー、バトルを行っている音がしますね。採集は終了しましたけど、様子を伺ってみますか?」

 

 依頼を実行するだけだったら、このフロアに辿り着いた段階で、残すは依頼主へ手渡すのみで完了する。

 

 けど、最深部まで辿り着ける技量を持ったトレーナーが、恐らく二人居てバトル真っ只中。強いのは間違いない、是非ともお手合わせ願いたいと珍しく、ジックが掌で抱きしめているミノ以外は賛同した。

 

 音がするのは、なみのりを使って渡る対岸の方からだ。

 

 なみのりをして貰うので、何度も悪いがメコン以外はボールへ戻そうと、腰のホルダーへ手をなぞらえる――――

 

 

「ヘアッ~~ハッハッハ! お待ちしておりましたわぁ! あらあら、アリーに敵対心はありませんので、拳を収めくださいな?」

 

 

 …………っ、『魔女』

 

 待っていたと彼女は口にしたが、別の空間から転移――ワープ――ようにしたようにしか見えなかった。

 

 星を二つに重ねた台座の上で、大胆に脚を組ませて光量の足りない洞窟内だって分かる、その美として描く理想像を実体化させた太ももの卓越性が。

 

(スゲーエッチな格好……ニャーね……見た目がエロくなれば、強くなるって訳でもねーのにニャ)

 

 お前が言うなよっ! 

 

 心の中で総ツッコミされる、ネリの眼前で空中浮遊しているのは、自らを『アリー』と呼ぶなぞのポケモン、スターミー。

 

 人化現象が発見される前は、揃って性別不明として纏められていた種族だが、人化を果たしてしまえば……この通りだ。

 

「ヘアハハハッ、アリーは確認しに来ただけですから。危害を加える必要など全くありませんわよ」

 

 シックな装飾で色づけされた、ウィッチハットに左右を赤い紐で繋ぎ止めているだけの、ワンピースは必要過多の露出性で、女性ですら目を疑いたくなるスタイルをこれでもかと、押し出してしまっている。

 

 スターミーのコア部を模した眼帯を向かって右へ、何故だかツーサイドアップに結っているテールは、向かって左側のみが耳の辺りで結っているのに、逆側は膝まで伸ばしている。そのミステリアスな輝きを持つ、紫色のヘアーは金箔のような保護膜に包まれ、毛先には星形のアクセサリを付けていた。

 

「……………………」

 

 おっぱいの大きさは、メコンとタメ張れるかもしれない。アリーと名乗るスターミーは奇妙な笑い声を発しながら、ジック達の周りをフヨフヨ一定速度で旋回するが、特に何も仕掛けては来ない。

 

 ヴィヴィは鉄拳を収めようとしなかったが……どうやら彼女、アリーは本当に攻撃姿勢を見せずに、バトルとは別の目的があってヴィヴィらに近づいた……と推測される。

 

(このスターミー……野生とは考えられない……相当な高レベルだぞっ、りゅうせいのたきにスターミーは生息してないし、この洞窟内におやが居るのか?)

 

「…………要件は何でしょうか?」

 

 彼女が左手に持つ獲物は、オクタグラムを先端に、七色の宝石を展開させている身の丈ほどのロッド。古来より知られる西洋魔女の特徴が、随所に現れているがそれにしてもセクシー過ぎる。

 

「アリーはですね、ヴィヴィさん? 貴女の姿を一目見たかっただけなのです。他には何もありません、安心しましたわ…………」

 

 実体と真意を掴めない、掴ませない、アリーと名乗る魔女はジック、メコン、爽羽佳、ネリ、インフィスへは、見ている側が恥ずかしくなる衣装の下から、玉虫色の声を反響させながらの妖しい笑みはそれだけで、魔法を掛けられているのかと誤認してしまう。

 

 …………が、ヴィヴィにだけは理由は全くの不明だが、妖しい笑みを潜めさせ、長らく離れ離れであった姉妹か、もしくは*****か……

 

 〝安心した〟の言葉は嘘で無い証明、その瞳に浮かんだ星形マークを捉えた、ヴィヴィの深紅の瞳も警戒心を解かざるを得ない。他人と思えぬ『結び付き』を心で感じてしまった…………

 

(それと…………)

 

 ロッドで顔を隠しながら、ジックが抱えているミノムシを一瞥した。

 

「……………………ミノ…………」

 

「…………そちらもお元気なようで。ヘアッーーハッハッハッ……! 今ある未来を歩んでくださいな、マスターのお気持ちがよぉく理解出来ましたわ! 生まれを問わず、行為を問いなさい……それでは――――」

 

 虹彩色の星屑と共に、謎のスターミーの姿は消滅してしまった。まだ洞窟内には去り際の、笑い声が残っているが……

 

「あのスターミーとは旅路で縁があった訳では無いのか? 只者ではなかったぞ」

 

「いや…………俺も初めて会ったよ。ヴィヴィを見に来たって言ってたけど、本当にそれだけで帰ったね。う~~ん…………」

 

 あんなエッチで、ミニ丈なのに脚を組んじゃっているから、赤い紐パンがモロ見えだった。

 

 実はあのスターミー、男が居るのに分かってあの体勢を崩さないのだから、タチが悪い。自分の身体がどれだけの破壊力を持つか、理解し反応を楽しんでいるのだから。色欲を司る魔女なのかもしれない。

 

 スターミーの分類は〝なぞ〟だけど、アリーと名乗る彼女の行動も謎の謎。

 

 ヴィヴィもあのスターミーとは初対面、心理を分析しようとするが、何の成果も摘出出来なかった。

 

 

 唯一――――

 

 

(!…………? アシンメトリー……独特な笑い声……?……?……でも名前は名乗ってた…………?? あれはニックネームなの……? 本当の名前じゃないって気がする……本当の名前は誰も…………)

 

 

 キシシシシシシ!

 

 ヘアッーハッハッハ! 

 

 あの時、謎のヒートロトムと唯一会遇を果たしていた爽羽佳は、顎に手を当てながら既視体験の正体を見破ろうとしていた。このままでは眠りが浅くなる。

 

(もしかして……主人が同じ……なのかなッ!? やっ、判断材料少ないけどさっ、ピーーンと来たよ私……あのヒートロトム、あてちゃんとは仲間……?)

 

 そういえば、あのヒートロトムと出会った件を誰にも教えていなかった。

 

 教えたところで何になる訳じゃ、ないかもしれないけど……

 

 変な人ならぬ〝変なポケモン〟だって、居てもおかしくはないし。中二病か何かだと思えば、笑い話で終わってしまうだろう。

 

 家に帰ったらジックに伝えよう。思案する爽羽佳は羽を広げながら、二脚遅れて戦闘音のする方面へと向かうのであった――

 




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